SuperSmashBrothers GrandCross -SeeFallCrisis-   作:I_Ryuji

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とある別世界の2040年、群馬の都市は壊滅した。ただ一人取り残された少女は、新たな同じ世界に希望を託し、その世界を捨て続けた。何度でも何十度でも、ただ「彼女」を絶望から助ける為に。


01 to the beginning -puella magi-

~2040-07-17 群馬県見滝原市~

 《目まぐるしい勢いだったね。誰にも倒せないあの魔女が、まさか彼女の一捻りで消滅するとは。》

 「ええ、だけどその代償は、その身を之と同じ巨悪にするもの・・・。」

 彼女の目の前には、山というに相応しい黒く巨大な影、之は彼女の言う「その身」の成れの果て。街を一掃する筈だったその「魔女」を殲滅する為に、彼女は奇跡を願い一閃した。その対価として、次は彼女自身がこの街を一掃する。自分の意志とは関係無く。

 《・・・何処に行くんだい?》

 「もうここに用は無いわ。私は、もう一度やり直す。」

 

 彼女は腕の小盾を回し、時間をやり直した。全ては、「彼女」を救う為。

 「(もう何度目に・・・いや、何十度目になるだろうか。私は以前に、数回の遡行で彼女を助けた筈。私の記憶違いだろうか。でも、私の鮮明じゃない記憶の方は、彼女は女神となった。それから後は、自らの魂が最期を迎えて、それからは悪魔に隔離された空間で、その当時の記憶を封印されたまま、空想世界で皆と過ごした。そして皆に救われて、晴れて私は女神にあの世界に迎えられた・・・。その筈なのに、私はまたこのやり直す世界を繰り返している。私は彼女を救うために、何度か世界を諦めたこともあった。ある時は車の免許を、ある時は身分を隠して戦闘機の免許を、ある時はあの存在を消す為に武器を集め続けた。けど、一向に倒せない。それどころか、繰り返す度にそれは強くなっている感じがする。・・・これで49回目・・・、流石に50回目はいけない。次で・・・潰す!!!)」

 彼女は頑なに決意している目標、いや自分の存在意義を自己確認し、次の世界に進んだ。彼女が目覚めるのは、いつも病院のベッド。

 「(知っている天井・・・。身体は14歳でも、心は既に4つ上・・・。この負の連鎖は、これで終わらせたい・・・!)」

 彼女はベッドからメガネを外し、窓に向かった。魔女に一掃される1ヶ月前の見滝原市をその目で一度見つめる為に。・・・が、数秒程度しか見ない予定がその10倍近くも見ていた。目の前の風景は、見滝原市より先進的な風景となっていたからだ。そして、この街のランドマークは、日本人なら絶対知っている建物にすり替わっていた。

 

 「・・・東京タワー・・・・・・!?」

 

 

~2040-06-18 AM6:30 とある家~

 「・・・はぁ、夢オチぃ・・・?」

 寝惚け眼で目覚める少女。目を擦りながら自室のドアを開けて1階に降りると外には家庭菜園でトマトを収穫する男性。少女の父親、知久である。

 「パパ、おはよー!」

 「おはよう。今日の朝はトマトだよ。」

 寝室では、日頃のストレス社会を生きる、少女の母親が激しい格好で爆睡していた。

 「ままーー!おきてー!」

 3歳の男児のポカポカ攻撃では全く歯が立たない。少女はドアを激しく開け、布団を豪快にオープンする。

 「起きろーー!!」

 差し込む日差しに、絶叫する母親、詢子である。

 「うぎゃあああああああああ!?・・・もう朝か・・・。」

 「ままーーおはよー。」

 私の名前は鹿目まどか。見滝原中に通う2年生。弟のタツヤと4人家族で暮らしている。

 「まどか~、そろそろ行こうよ~。」

 鹿目家のホーンを鳴らして立つ水色の髪の少女。

 「あっ~。さやかちゃんおはよ~。」

 あたしの名前は美樹さやか。まどかと同じ2年生で、まどかとは昔からの幼馴染。

 「仁美ちゃーん!おっはよー!!」

 「あら、おはようございます。」

 彼女は志筑仁美。私のクラスの同級生。いっつもラブレターが来る彼女。いいなぁ~、私にも来ないかなぁ~。・・・でもさやかちゃんは私にイチャイチャだし。。。

 「それでさぁ~、昨日中沢が寝言で言ってたんだけど・・・」

 さやかの言葉が止まる。一緒にいた筈のまどかがいないからだ。

 「まどかー?」

 そっぽを向いて気付かないまどか。その方向には長身でYシャツを着ながらも、一方は桃色のロングスカート、もう一方は水色のミニスカートを穿いている2人の影があった。

 「さやかちゃん、向こうに誰かいる・・・」

 「ん?今日はハロウィンじゃないぞ??」

 だが、2人が瞬くと、消えていなくなっていた。

 「何だったんだろ・・・」

 「さやかさん!まどかさん!もう始まりますわよ!!」

 「あっ、ゴメ~ン!」

 

 東京都立見滝原中学校。教室がガラスで仕切られて、外観も作品の如く芸術的な、東京都見滝原市が誇る都立進学校。進学校と言えど秀才と劣才の差は激しいが、高校進学への全ての条件は揃っているので、進学率はどの高校や大学の付属高校よりも計り知れない。

 この学校に通う前者の3名は2年生の同じクラス。担任はメガネが特徴的な独身・早乙女和子。生徒はフロアに収納されたテーブルを出し、主にPCを用いて授業を受ける。それが普段の学校の一般的な流れなのだが、今朝は担任より話があるそうだ。

 「さて皆さんっ!!玉子焼きは半熟がいいのでしょうかっ?焼き過ぎがいいのでしょうかっ?はいっ、中沢くんっ!!」

 「別にどうでもいいと思うんですが。」

 「その通りっ!!そんな細かいことはどうでもいいのですっ!!流石は学級副委員長っ、話が早いっ!!」

 「いや、俺は確かに半熟が好きだが、人が作った料理に屁理屈を並べては、その後の道徳性に問題が発生する、俺はそう思ってるぜ。」

 「そうなんですっ!皆さんもっ、高が多少の違いでとやかくいう様な人間にはならない事っ!!そしてっ、その様な人間とは結ばれない事っ!!」

 割とどうでもいい話。これは、和子先生のあることを完全告知していた。

 「あー、ダメだったんだねー。」

 「これで何度目なのぉ?こうして人間は独身で生涯を終えるんだなぁ・・・トホホ・・・。」

 「・・・えー、こほん。あと、序でにもう一つお話があります!」

 「(いや今のがメインかよっwww)」

 この頃、少々遠くでスタンバイしている少女は、教室を見ながら解析をしていた。

 「(あの中沢が、学級副委員長・・・?それに、いつもなら先生この嘆き含む持論のとばっちりで突然呼ばれて慌てる筈。・・・まぁ、副委員長を除いてこんな感じの時間軸は2回くらいあったかしら・・・。)」

 「さあ、入ってらっしゃい!」

 和子先生に呼ばれるがまま、静かに歩いて教室に入る黒髪の少女。凛とした風貌で、決して結ばないロングヘア―、その喜怒哀楽の表現をする必要のない美しい眼差しは、あっという間に周りの目線を全て掻っ攫っていく。

 「暁美ほむらです。宜しくお願いします。」

 

 頭脳明晰で運動神経は神の領域、例の転校生はあっという間に周りの注目を奪い取った。

 (生徒A)「何処から来たんですか~?」

 「何処?(見滝原市と言ったら、ここが見滝原市だから知っている事になる。だからここは・・・)風見野市の市立中学よ。」

 (生徒B)「この学校の何処が気にいったんですか?」

 「・・・芸術みたいな・・・場所と言えばいいかしら。」

 「おーい転校生!俺はこのクラスの学級副委員長代理の中沢って言うんだけど、良かったら俺達の部活来ないか?」

 「(今までの時間軸より、何か構ってきてる?)・・・悪いけど、今から薬の時間だから。」

 「薬?どう見たってそんな感じには見えないけどなぁ。」

 「この感じで色々と飛び抜けていると思われているようだけど、これでもまだ病み上がりなの。通してくれる?」

 「俺はそう見えないぜ?お前のその口調は、単に質問攻めに遭いたくないというエゴだ

 ドガッ・・・と、両足の付け根の間に力強い膝が入った。

 「ぎゃああああああっ!?」

 「ごめんなさい、タマが潰れない程度に調節はしておいたわ。通してくれるかしら。」

 保健委員であるまどかは事情を説明する。

 「ごめんみんな。暁美さんは心臓がちょっと悪くて、軽い抗生物質を打たないといけないの。」

 (生徒A)「そうなんだ・・・。ごめんなさいほむらさん。」

 「いえ、転校生とは大抵質問攻めに遭うのが運命、これ位大丈夫よ。」

 まどかの案内で教室の外に出るほむら。一方、まどかの前の席に座る男子生徒が中沢の惨状を見ていた。

 「・・・男性終了のお知らせ、だな。」

 「さ・・・真田・・・」

 「今のはお前が悪い。初対面という体なのに、ガッツリ行き過ぎたな。」

 「・・・暁美ほむらは1000点棒を場に置いている状況なんだ、今回は本気で・・・オエッ」

 

 「暁美さんはさ・・・」

 「・・・ほむらでいいわ。」

 「・・・じゃあ、ほむらちゃんはさ・・・カッコイイよね・・・っ?」

 「・・・」

 「頭も良くて、運動も出来て、」

 「・・・」(歯軋り)

 「なんだか、憧れちゃうなーって・・・」

 すると、ほむらは急停止して回れ右した。それもロングヘアーを靡かせるように素早く。

 「鹿目まどか・・・、貴方は自分の人生が尊いと思う?」

 「へっ・・・?」

 「家族や友達、何よりも自分の周りを大切にしてる?」

 見知らぬ転校生、未だ分からぬ赤の他人同前の少女の、突然の質問。意地悪とも聞こえるが、彼女のに纏わる話とも聞こえる。

 「わ・・・私は、大切だよ・・・。家族も友達も、ここにいるみんなも大事な人達だよ・・・?」

 「・・・もしそれが本当なのだとしたら、今とは違う自分になろうとはしないことよ。周りを失いたくなければ・・・いえ、あなたの全てを失いたくなければの話だけど。」

 意地悪ではなく、意味深と捉えるべきか。

 「えっ・・・?」

 「あなたは鹿目まどかのままでいればいい。今まで通りに、そしてこれからも。」

 「・・・あっ・・・ほむらちゃん・・・!?」

 呼び止めに応じず、道を知っているかのように保健室へと去っていった。

 

 その日の授業が終わり、帰路に就く黒髪の少女。そこに、あれだけのニーを喰らっておいて性懲りも無しに近付く少年、中沢だ。

 「いやいやいや・・・、先程の膝蹴りには恐れ入ったよ。」

 「・・・またあなたなの?私はこれから買い物があるの。引っ越して来たばっかりで最寄りのマーケットを探さなければいけないのよ。もういいかしら?」

 「探す?その割には、既に丁度目星を付けて行っているように見える。だがその先は俺のメインホームだぜ?見滝原市にも既に何回か行ったことのあるような歩き方だが、お前のお望みは逆方向だ。」

 「はい?・・・はっ!?」

 そうだ、今のここは群馬県見滝原市ではなく、東京都見滝原市なのだと、目を見開いて思い出した。迂闊の行動、更に色々とウザいこの男。何よりも、この男はせいぜい不運な少年だけにしか共通点が無いと思っていた。

 「あなた、何者よ。」

 「俺は学級副委員長の中沢だ。中沢輝彦(なかざわてるひこ)。もし俺に興味があるなら神奈川県の自衛隊まで来てくれ、群馬県見滝原市に約4年以上も生活している暁美ほむらさん?」

 『4年以上』『「群馬県」見滝原市』、この言葉にほむらの心拍は急上昇する。丁度路地だったために、拳銃を取り出して一気に奥まで押し込む。その顔は言わずものかな、瞳孔も不安定で汗が噴き出す。

 「何よ・・・!?私の何を知っているというのよ・・・!?中沢っ!!」

 胸倉を掴まれて壁に強く叩きつけられてしまう輝彦だが、彼女とは対照的にリラックスした顔で平気だ。背中を強く打っているというのに、まるで効いていない。片耳イヤホンしている輝彦は片手でスマホのBGMをglobeからDJ YOSHITAKAに変更した。

 「ある程度は調べてあるんだ。まぁ、福山教官と手を組めば簡単な話さ。」

 「貴様・・・っ!!今すぐこの時間軸をやり直してやる!!!」

 突然コスプレとも見て取れる衣装に切り替わると、左手の小盾を回し始めた。が、彼女の脈拍を更に上乗せする現象が目の前で起こった。

 「おや?まだ一日目だというのに、もうリタイアかな?そうやって逃げて逃げ続けるのは、もう嫌なんじゃないかな?仮にも次の世界に行けば、この街に訪れる災悪を止める術は無くなる。言ってしまえば、これがラストチャンスなんだよ、優等生のほむらさん?」

 「動かない・・・っ!?(何故!?今、私は魔法で筋力を上乗せしているのに、コイツの握力の方が上回っている・・・!?それに、仮に彼も魔法を司る存在なら感知できるのに、魔法は一切使ってない!?)」

 これ以上は大事な魔力の無駄遣いと判断して、この場所での時間遡行は諦めた。

 「何がしたいのよ・・・っ!?貴様は一体、何がしたいのよ!?」

 「俺か?別に用がある訳では無い。・・・あ、違うわ。お前に渡したいものがあるんだった。」

 渡されたのは、彼が部長を担う『軍事活動部』の募集チラシだった。学校が休みの土・日・祝日や夏休みなどの長期の一部に野外でサバイバル活動を行う他、サバイバルゲームの試合にも出場する、アクティブ系運動部だった。

 「・・・高がこれだけの為にここまで私を追って来た訳?」

 「折角の勧誘チャンスなんだ、逃す訳にはいかないだろ?」

 「お断りさせてもらうわ。私には、今すぐやらなければならない事象があるから。じゃ。」

 「安心しろ!お前は何れ俺の部に入る事になる。その日が来たら、温かく歓迎してやるさ。」

 ビリっとチラシを破いて、横のコンビニのゴミ箱に投げ入れた。念には念を(中沢が本当にウザいから)、マーケットに行くフリをして遠回りにショッピングセンターに行くつもりだ。

 「・・・少しネタバレし過ぎたかな?ま、後はお願いしますよ。炎の使い手さん。ここまできて漸く掴んだチャンスなんだ、無駄には出来ないぞ。」

 意味深すぎる言葉を吐いて、大きなショッピングモールへと足を運んでいった。

 

~PM4:30 フードコート~

 「そっかぁ~、いよいよまどかも痛い方面に走ってしまったかぁ~!」

 「ええっ!?ちょっとさやかちゃん!私は本当に気にしてるんだよぉ!?」

 「きっとまどかとあの転校生は、何かしらの因果で結ばれた切っても切れぬ縁なんだよ~!」

 「こらこらさやかさん、まどかさんが困っておりますわよ?」

 「・・・むぅ~。」

 ムスッとするまどかの後ろで、同じ見滝原中の生徒が適度な声量で噂話をしていた。

 (生徒)「おいおい!見たかツイッター?遂にこの見滝原にも、例のゲーミングパフォーマー集団が遠征するんだってよ!!」

 (生徒)「おう見た見た!あの5人~10人以上で活動する毎日投稿系のYouTuberだろ!?」

 (生徒)「見滝原っつったら、音ゲーの激戦区だろ?果たしてあの5人組が見滝原市民に勝てるかっつったら、こりゃ生で見てみてぇなぁ!」

 まどかはもとより、さやかと仁美の耳にも入っていた。

 「うおっ!!遂にあのガチゲーマー集団があたし達見滝原の國境を超えようというのだな~っ!!けしからーん!!」

 「さやかさん、とても気合が入っているじゃないですの。」

 「当ったり前でしょー!?だがここは音楽ゲームの超激戦区!!毎日のように音楽ゲームコーナーは何処も満員御礼!骨肉戦のように互い鎬を削る日々!そんな紛争状態の戦場に足を踏み入れれば、世界最強を謳うSMBも勝てまい!!」

 「さやかちゃんって、何の専攻だっけ。」

 「あたしはmaimaiとDDRの見滝原チャンピョンだよ?忘れたとは言わせないぞぉ?」

 「仁美ちゃんは・・・やってるの?」

 「残念ながら私は習い事で精一杯です故、ゲームセンターに現を抜かす暇はありませんわ?」

 「ったく仁美はいっつも習い事習い事で、優等生も暇じゃないわね~?習い事でひっそりと自分を磨くよりも、あたしみたいに表に出て敵を無双した方が、簡単に先立つモノなんて手に入るんだからぁ~♪この間のギタドラのギター部門大会だってー」

 そう言って、パンパンに膨れ上がる財布を出すさやか。そこから煌びやかに指を動かし、福沢諭吉を4人引っ張る。

 「凄い・・・さやかちゃん凄いよ!!」

 「・・・習い事のコンテストでは・・・手に入らない・・・」

 「おやぁ?優等生も劣等生に転落する気になりましたかぁ?」

 「・・・そ、そんな気などありませんわ!?私は皆さんが知っている通り志筑物産の御令嬢、そんな束にならないはした金になど興味はありませんわ?まどかさんは何か専攻しているの?」

 「私は・・・うん、一応パパの影響でビートマニアをやっているけど・・・。まだ高速譜面は出来ないなぁ・・・。」

 「けど出来るようになったら世界が大きく変わるぞ?よーし、今日は用を終わらせたらSMBを迎撃だぁ!!」

 「用って、あの子?」

 「ふふっ、まぁね。」

 仁美と別れて、CD店に寄るまどかとさやか。当然店内もあの噂で騒がしかった。

 (生徒)「おいおい!今日はメインの5人が来るって話だぞ!!」

 (生徒)「リーダー格の2人は現在見滝原入りしていて、副リーダー格の女子高生は学校が終わり次第高速で直行、あと一人の陸自の将軍は休みとって昨日から見滝原入りしてるんだとよ!!」

 (客)「ガチだ・・・!圧倒的にガチ勢だ・・・!!」

 (客)「今日は戦争が始まるぞ・・・っ!!見滝原とSMBの第一次音ゲー大戦だああああっ!!!」

 (見滝原ラジオ)「皆さん聴いてください!本日、世界的に有名なゲーミングネットパフォーマンス集団のSMBが見滝原に襲来するとの予告が公式Twitterにて明らかになりました!!今日はアドアーズ見滝原店にて現地集合するそうで、現在店内は音ゲーコーナーのみ店側の好意で貸し切り状態、見滝原代表は既に臨戦態勢!ただ、未だにDDR女王の中学生プレイヤー『ff(フォルテシモ)』は現れておりません。あの中学生は気付いていないのでしょうか・・・?」

 「さやかちゃん・・・の事だよね?」

 「もしかして今から試合なのかな・・・。ごめんまどかっ!あたしの頭だけ見えないようにして!」

 「えっ?・・・そっか、やっぱり音ゲーよりもそっちが優先だよね。」

 「うん。この状況で見つかったら、非常にヤバイかもぉ・・・!」

 「有名になるのも大変だね・・・。」

 (生徒)「おい、まどかの奥の、フォルテシモじゃないか?」

 (生徒)「・・・あの水色の髪は・・・マジか!?」

 「・・・気付かれた・・・ぁ?」

 「さやかちゃん!あっち逃げて!!私がこの場を凌ぐから!!」

 「わ、分かったよ!!このCD、買っといて!!後でお金出すからっ!!」

 「あ、うん!」

 有名人も一苦労、まどかはリバースしそうになったただの友人と嘘ついて、なんとかさやかを脱出させた。

 「ふぅ・・・なんとか急場は凌いだ・・・かな?」

 《誰か・・・助けて・・・》

 「・・・ふぇ?」

 《早く・・・誰か・・・っ!》

 「・・・こっち・・・?」

 偶然にもさやかの逃げた方向。その奥は立ち入り禁止の倉庫なのだが、謎の声に導かれて歩く。

 「ここで・・・いいのかな?」

 突如、一枚の天板が崩れて、白い動物が落下する。辺りは傷だらけで、とても弱っている。

 「・・・大丈夫!?」

 《早く・・・あっちに・・・っ!!》

 「・・・助けなきゃ・・・っ!!」

 どうして猫と兎が合わさったような姿をしているのか、どうしてテレパシーで脳に話しかけるのか、そんな事を考える余裕もあったのだが、先ず考えたのは、安全な場所への救助だった。しかし、背後に一瞬にして現れる黒い影。

 「そいつを私に寄越しなさい。」

 「!?」

 右手を拳銃の形にして、まどかの背中に突き付ける少女。まどかは背筋が凍り、ゆっくりと振り向くと、それは今朝の彼女自身だった。

 「ほむら・・・ちゃん・・・!?」

 《そいつだ・・・っ!そいつが・・・僕にいきなり・・・っ!!》

 「痛い目に遭いたくなければ、何も言わずそれをこっちに渡しなさい。」

 「(ただの・・・指鉄砲・・・ほむらちゃんは・・・本気じゃない・・・!!)っ!!」

 まどかは直角に逃げようと足を横に出した。だがほむらは咄嗟に、

 「バンっ。」

 「っいっ!?」

 ほむらの掛け声とともにまどかは前方へと吹き飛ばされる。まどかには何が起こったのか一切分からなかった。

 「次は吹っ飛ぶだけでは済まないわよ。さぁ出しなさい。」

 「っっっっっ!!!(何で・・・っ!?ただの指鉄砲じゃないの・・・っっ!?)」

 《助けて・・・僕はもう・・・。》

 「誰か・・・助けて・・・。」

 その瞬間、辺りが白い煙に包まれた。

 「まどかっ!!今だ!!」

 「うっ、うんっ!!」

 その白い動物は赤い目をしていたので、白い空間でもはっきりと分かった。直ぐに立ち上がって、ほむらのいる場所から離れる。

 「さやかちゃんっ・・・手を・・・」

 「あ、まどかは鈍足だっけ。仕方ないなぁ。」

 「どうして分かったの・・・?」

 「何か落ちる音がしたからさ、観客に見つからないルートで走ってきたって訳よ。で、その白いのは何?」

 「分からない・・・分からないけど・・・。」

 が、走る2人の目先に異変が起こる。見つめる先の空間が歪み、謎の背景へと変化していく。

 「・・・何なのよ・・・。何が起きてるのよ!!」

 「非常口が・・・開かない・・・っ!!」

 ほむらも白い空間を謎の力で吹き飛ばすが、俊足美樹さやかの逃げ足はコスプレ通り魔の視界から外れるほど速かった。

 「・・・ちっ。」

 彼女は舌打ちをするや否や、謎の空間を察知した。そこに『アイツ』がいることも。

 「厄介ね・・・。一先ず彼女を迎撃してからの方が早いかしら。」

 空間に閉じ込められたまどかとさやかは、不気味な生物に囲まれていた。

 「何なのよ・・・何なのよコイツ等は!!!」

 「気持ち悪いよ・・・さやかちゃん・・・!!」

 謎の言語を発する生物は、裁ちバサミを持って円を狭めて接近する。

 「あんなのに挟まれたら痛いじゃ済まされないよね・・・?」

 「くそーっ、こんな場所で使いたくなかったけど、使うしかないっ!!」

 「え?さやかちゃんっ!?」

 さやかはまどかの逃げ道を作るために、制服スカートの背に隠していた伸縮警棒を取り出して立ち向かう。体に突き出される刃先を弾き、回し蹴りで吹っ飛ばしてから一匹ずつ息の根を止めていく。

 「さやかちゃん・・・!」

 「グズグズしないで、あたしの傍に!!」

 一方の外界、黄色の髪をクルクルのツインテールにした同じ中学の制服姿の少女が、白い生物の行方を追っていた。

 《大丈夫?怪我してない?》

 《直ぐに行きたいのは山々なんだけど、魔女の結界に閉じ込められてしまったようだ。それにちょっと今の状況では自立歩行も難しい。それに、君と同じ見滝原中学の女子学生に介抱されている。今は僕達でこの結界に留まった方が良さそうだ。出来るだけ急いで!》

 《テレパシーの感応テンポが早くなってきたわ。おそらくすぐそこ!!》

 チャキッ、と、不気味な金属音が彼女の耳に届く。

 「誰っ!?」

 「巴マミ、やはりここに来ると思っていたわ。」

 「あなたは・・・例の転校生かしら?今日からまた一つ、近くに魔法少女の反応が現れた思ったら、やっぱりあなただったのね。それで?何故私の名前を知っているのかしら。」

 「詳しいことは言えないけど、私は見滝原市の全てを知っている。あなたの事も、そしてあなたに訪れる絶望も。」

 「言っている意味が分からないわね。今の私は急いでいるの。キュウちゃんが見滝原中学の生徒と一緒にいるようだしね。」

 《僕を襲ったのは黒髪の魔法少女だ!彼女は危険だ!!》

 《奇遇ね。私も丁度対敵しているところよ。》

 マミが不気味に微笑む。

 「どうやら、話で解決しようとしても済みそうにないわね。だけど私も暇じゃないの。通してくれるかしら。戦いたいのなら別の日にしましょう。」

 「そうもいかないわ。既にこの時点で計画は大きく狂っているの。もう取り戻しようがない。なら、この世界を絶望に包んでもう一度やり直すだけ。」

 ヘビーリボルバーの照準をマミに合わせ、威嚇する。

 「・・・分かったわ。殺りましょう。」

 火縄銃の西洋版・マスケット銃を大量に召還すると、ほむらに対して先制攻撃を放つ。

 「いきなり100連発・・・ちょっとやりすぎちゃったかしら。」

 「・・・甘いわね。」

 「っ!?」

 ほむらの方向へと銃撃して、体に全弾が着弾したしたと思った、いや確かに肉眼で確認した。ところがほむらは真反対の場所まで瞬間移動しており、マミを軽く背後から蹴り倒した。

 「何が起こったの・・・っ!!」

 「終わりよ。」

 マミが振り返る瞬間に放たれた凶弾、マミは咄嗟に空になったマスケット銃で防いだが、何故か肩に激痛が走る。ほむらはまた瞬間移動で真横に移動していた。

 「!?」

 「あなたは私を一生倒せない。どんな奇跡があろうとも。」

 「(これは真っ向勝負を挑んだらこちらの魔力はおろか体力が持たないっ!仕方がない、先ずは魔女の結界が先よ!!)くっ!!!」

 マミは直ぐに戦略的撤退が正しいと判断し、反応のある方向に逃げる。が・・・

 「無駄よ。」

 ほむらは逃げる方向を直ぐに判断し、瞬間移動でマミの方向に立つ。そしてマミの必死な顔面に魔法弾をお見舞いした。

 「ぐぅっ!!!!」

 「もう、あなたは私から逃げられない。ここであなたを楽にしてあげるわ。」

 マミはこの瞬間、絶望感に満たされた。自分の死が目の前に来ていることが現実となっていること。悔しいが、もう成す術無し。それは仮に観客がいたら満場一致で感じることだ。

 「さよなら。」

 マミの脳ミソを吹き飛ばす銃弾が放たれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「・・・え?」

 「・・・は?」

 両者がフリーズする。零距離に近い空間、その僅かな隙間に湾曲する透明な壁が現れていた。薄さは性病予防のゴムくらいだと思われる。それくらいの極薄のガラスのような魔法陣が、マミとほむらを遮り、拳銃の弾を止めていた。

 「・・・チャンス・・・っ!!」

 「何よこれ・・・っ!!」

 マミは一瞬のフリーズから目が覚めて、魔女の結界に向かった。ほむらは謎の防壁をあの手この手で破壊を試みるが、一向に壊れない。

 「(巴マミを葬って、少しでも未来を変えるチャンスだったというのに、畜生!!!)」

 不可解な現象が、マミの窮地を救ったが、あちらは依然として危機を迎えていた。

 「さやかちゃん、全然減らないよ・・・?」

 「それどころか、増えていると思うのはあたしだけかなぁ?これじゃこの後の戦まで体力が持たないよ!」

 「この状況で音ゲーの心配・・・?」

 呆れるまどかだったが、その呆れも直ぐに焦りに変わる。

 「まどか、こうなったら突っ込むよ!どうにかしてこの変な場所を抜けるの!!」

 「うん、それしかないよね・・・。」

 さやかは決死の覚悟でまどかと共に結界を強行突破する決意を固めた。その時だった。

 《邪魔よ。離れて。》

 「ふえっ?」

 「何?」

 凛とした声がフィールド内に響き渡る。中央に現れたのは、今朝のドレス女。

 「星々の加護があらんことを・・・。邪神に憑りつかれし悪魔よ、その姿を滅して平伏せ。」

 金髪で高身長、水色のドレスを纏った弱冠18前後の少女。指揮者のようなタクトを振りかざすと、閉鎖空間であるこの場所に大量の流れ星を降らせ、之を生物に直撃させることによって辺りを全滅させた。

 「何が起きてるのよ・・・。次から次へと訳分かんないよ・・・。」

 「星の子よ、迷える子羊を救う道を開きなさい。」

 タクトを非常口があった場所に向けると、先程の流れ星が次々に突き刺さり、結界の出口を形成した。

 「さあ行きなさい。時間がありません。」

 「何かよく分からないけど・・・ありがとうございます!!」

 「ありがとうございました!!・・・って、あれ?」

 まどかは確かにドレス姿の彼女を見ていた。が、お辞儀をした瞬間に消え去っていた。

 「早く行こう!いつ閉まるか分からないから!!」

 しかしながら現実は無常、非常口を今度は例の生物が覆い隠した。

 「しつこいっ!!そこをどけぇ!!!」

 《大丈夫!私に任せて!!》

 「え?さやかちゃん、後ろ!!」

 「一気に決めさせて、もらうわよ!!!」

 出口を覆い隠し、これでもかと護る綿毛頭の魔物を、無限の魔弾で焼き尽くした。

 「開いた!」

 「今だっ!ありがとうございます!!」

 無事に脱出に成功した2人と巴マミ。直ぐに治癒魔法で白い生物に対して応急措置を施す。

 「これで大丈夫!」

 《やれやれ、世話をかかせてしまったね。》

 「お二人は大丈夫?」

 「なんとか・・・。」

 《まさか警棒で抵抗するなんて、恐れ入ったよ。やっぱり君達は僕が見出す適性を大きく超えている。とんでもない存在になる事は間違いないだろう。》

 「どういうこと?」

 「そういえば自己紹介がまだだったわね。私は巴マミ。あなた達と同じ、都立見滝原中学校の3年生よ。そしてこの仔はキュウべぇ、私の大切な友達よ。」

 《実は、君達に大切なお願いがあってきたんだ。》

 「大切なお願い?」

 

 《僕と契約して、魔法少女になって欲しいんだ!!》




キャラクター紹介

鹿目まどか(CV:悠木碧)
東京都立見滝原中学校の2年生。至って平凡で柔らかい家庭に生まれ、至って普通な中学生生活を、至って平和で仲良しな親友たちと過ごす少女。しかしある日、この世に無い筈の力の存在を知ることになる。音楽ゲームの街・見滝原市での専攻はBEAT MANIA

美樹さやか(CV:喜多村英梨)
鹿目まどかと同じで、運動が出来ること以外は至って普通(まどかとベタベタなところを除いて)な元気いっぱいの少女。また、交通事故で入院している少年に恋心を寄せている。見滝原市内ではDDR中学生王者「ff(フォルテシモ)」の名で有名であり、数々の大会に於いて豚共を撃墜している。ある日、この世の必定なのか半強制的に世界最強ゲーマー集団と音楽ゲーム対決することが勝手に決まってしまい、まどかと同じく流れによって力の存在を知る。専攻はDDRを始めとするKONAMIの音ゲー全般とmaimai

暁美ほむら(CV:斎藤千和)
鹿目まどかを絶望から救い出す、ただそれだけの為に幾度となく世界を繰り返してきた魔法少女。しかし彼女の記憶は曖昧で、一度自分は彼女自身によって救われたと思い込んでいる。だが、この世界に起きている謎の事象に端からこの世界を諦めかけており、無能だと思っていた少年に時間を巻き戻すことをロックされ、時間操作や銃刀法に引っかかる事間違いナシの武器によってマミを追い詰めるが謎の防壁であと一歩のところを妨げられたりと不幸が続いてしまう。一応、専攻はDDRとSOUND VOLTEX

巴マミ(CV:水橋かおり)
まどかとさやかを囚われた結界から助け出した、見滝原の魔法少女。その前にほむらによって殺されかけたが、謎の事象で一命を取り留めた。主要人物中唯一の3年生で、基本的に周りには友達がいない。またこの時期ならではの「病(?)」を抱えており、彼女は気付いていない。火縄銃の西洋版であるマスケット銃と、リボンを用いた拘束魔法で敵を嬲る。専攻はmaimaiとCHUNITHM

中沢輝彦(CV:松岡禎丞)
見滝原中の2年生で、まどかとさやかのクラスで学級副委員長をしている。とてもおちゃらけているが、どんなことにも真剣に対応し、部活「軍事活動部」の部長兼同部サバゲーチームの隊長をしている。暁美ほむらの存在や謎については既に知っているようで、必死に彼女を部に勧誘するが、その裏では何を考えているのか全く不明である。専攻はjubeat・GITADORAのドラムを始めとする全社音楽ゲーム全般(太鼓の達人を除く)
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