SuperSmashBrothers GrandCross -SeeFallCrisis-   作:I_Ryuji

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表はゲーム好きの青年達。だが裏は怪物を消し去る戦人(ファイター)。これは、見滝原と彼等の邂逅の序曲である。


02 to the beginning -super smash bros-

~2040年 6月3日(日) 東京都品川区・某所~

 午前6時、彼らの朝は早い。

 「・・・兄さん、朝だよ。」

 「・・・んぁ?・・・はぁ、6時か。」

 「昨日も遅くまでゲームして、明日の大事な会議なんでしょ?」

 「・・・そういや、そうだったなぁ。色々と落ち着いて、久々にやろうって生きこんで、アイツはアイツで張り切り過ぎてるし・・・」

 そのアイツが、料理の合間に寝室へ来た。

 「もう!組の長がそんなだらけてどうするのよ!いい加減にしないと、フライパンで横スマッシュ打っちゃうよ?」

 「それはマジで痛いからやめてくれどうせ裏面じゃねーんだろ(´・ω・`)」

 「それとも?流石にフライパンはキミでも皮膚がキレるからゴルフクラブかテニスラケットにでもしてあげましょうか?」

 「だから『公式戦』の技をリアルでかますのは勘弁してくれぇ(´・ω・`;)」

 「じゃ、ボクは兄さんよりもロングスリーパーな文学少女を起こしてくるわ。」

 「へーい。んぁあぁ、起きるかぁ。」

 寝癖でボサボサな髪の毛を適当に掻き上げて、何故か冷蔵庫に冷やしているメントールガンガン系のアイボンで洗眼し、高校3年生の彼女が作ってくれた朝食のあるテーブルの椅子に腰掛ける。

 「それじゃ、いただきまーす!」

 「ふぅ、いただきます。」

 

 その頃、別の部屋の弟の方。

 「おーい、もう6時過ぎたぞ。」

 「・・・」

 「・・・相変わらず、死んだみたいに息も長いし脈も弱いんだなぁ。おい、早く起きろ。」

 「・・・ぅるさいわねぇ・・・zzz」

 「・・・ほぉ、ボクに対して『煩い』かぁ?じゃ、今日は・・・。」

 横にブランとだらしなく伸ばしている彼女の腕を手に取り、秒速で腕菱木十字固めする、なんて鬼畜な男だ。

 「んぃっ!?」

 「もう兄さんも起きてるんだぞ?腕を折られたくなかったらとっとと起きろ。」

 「わ、分かったわよ!それを早く解きなさい!!」

 観念して飛び起き、筋を伸ばされた腕を摩って渋々ベッドから起きる高3JK。兄の部屋に行く前に寄った配達物入れにあった新聞紙を玄関から持って、何処を確認すると思えば・・・

 「っうし、3連単10万賭けは成功しているね。」

 「・・・また競馬?そんなのに金を無駄にするより、もっと実のあるモノを買ったらどうなの。・・・まぁ、こんな忠告してもあんたは辞めないどころか全部当てるんですから?」

 「今日の仕事が終わったら直ぐに換金しに行くか。134.2倍だから1342万か、十分だ。」

 それを十分と捉える彼はどんな頭をしているのか、訳が分からない。

 「今日は明日に向けての会議があるんでしょ。何処でやるの。」

 「うーむ、今日は折角赤日だから、いつものところでやるか!」

 そう言いながら、簡易的に作った朝食をテーブルに出す。

 「いただきます。」

 「さて、いただきます。」

 

 食べ終わった4人は、部屋の外に出て作業をする。と言っても、お城の様に大きい場所である。通路や広間には数々の絵が描かれており、床は白と水色のチェックで統一されている。

 【泊まり込みの社員の皆さん、朝6時半になりました。料理部の皆さんは大食堂にて朝食を出してください。】

 「すいません!料理長は分かりませんか?」

 「へ?・・・まさか今日も朝食の事忘れてるなぁ!?」

 兄の方が呆れて、料理人達の会議室を開けた。料理長である少年は、いつもこの部屋で雑魚寝している。

 「・・・ふぅ、岩〇両斬波!!!」

 「ひでぶっ!!!」

 世紀末の断末魔を吐いて目を覚ました茶髪の少年、涎を垂らしてテーブルが汚い。

 (クルー)「・・・」

 「・・・ぉぃ。」

 「ふわあぁ・・・ぇ?・・・あっ!朝食作る時間だ!!」

 「もう過ぎてんだよバカが!!」

 「ひぃっ!?・・・わっ!!大変申し訳ありませんでしたあああああああああああ!!!!!!!!」

 (クルー)「色々と新しいアイデアを出したりアドバイスで一段階二段階も料理を格上にする力があるからあまり言えないですし、朝食に出すものの殆どは固定されてるから大丈夫ですけど、幾ら中学3年生だからって、そろそろ責任というものを感じてください!」

 「っ・・・す、すいませんでした・・・。」

 「割とガチな説教だなw」

 (クルー)「てことで料理長、早く朝食の残りを作ってください?じゃないと今日のお休みはないですよ?」

 「すいません!!直ぐに準備します!」

 走って厨房に駆ける少年。青年は頭を抱えた。

 「本当申し訳ない。こんな一年中寝て曜日のヤツを普通は雇ってはいけないのはごもっともなんだが、彼の事情といい俺達の活動への参戦といい、今度、その場所でお土産持ってきますから勘弁してやってください・・・。」

 (クルー)「いえいえ、正直我々は大助かりです。謝らなければいけないのは自分達ですよ。職員の皆さんに作らないといけない料理の数々を数段階上まで引き上げる事に加えて、身になること全てを指南して下さいます。あれでまだ中3な上に、そちらの活動に何かと役立って、毎日疲れる程動いて、疲れない訳が無いですよ。我々も見習わないといけません。」

 「まぁ、確かにそうかもな。快く面倒を見てやってくれ。」

 そして開門時刻になる8時前、会社が休みの日限定で彼らが門を開ける。ここは会社である一方で、その風貌や会社の本業を全開で用いる為に副業を社内で行っている。

 「ロック外したな?」

 「OK、開けるよ!」

 息の合う男女が声を揃えて、

 「本日もご来店いただき、誠にありがとうございます。只今より開店です!!」

 外門を開けて、来店客の車が門内に次々と入り込む。ここは彼女の母が起業したアミューズメントセンター運営やアーケードゲーム制作の大手企業、『PEACH』である。彼女は学生ながらに、母親から之を継いだ若き女社長である。1フロアにJリーグのサッカーコート2つは入るほど非常に広いながらも、1F~3Fがゲームセンターで4F~5Fが四つ星のホテルを完備、彼ら専用の最上階を含めた6F~9Fが本社となっている。地下も1Fと2Fがあり、それぞれ社員と来店客兼用のレストラン街となっている。またこの会社は、・・・いや会社というよりは城である。これも彼女の母が設計したもので、とあるゲームから丸々引用して『ピーチ城』と呼ばれている。ゲーム原作とはデザインは一緒でも巨大すぎるが。

 (係員)「では、お休みという事ですがセキュリティー管理なので打刻を。」

 「はーい☆」

 IDをカードリーダーに通し、腕の動脈認証を済ませたら入店・・・ではなく出勤打刻の完了である。

 (係員)「大島桃花社長、おはようございます。」

 「おはようございます♪」

 当社はスーツではなく、蝶ネクタイではなく普通の会社と同じネクタイをしているところ以外は執事のような格好をするのが決まりで、女性社員はメイド服からフリフリや余分なアクセサリーを外したような膝丈スカートが規定となっている。社長である彼女は会社に出勤する場合のみ、踝程までのロングスカートを着用したピンク色のドレスを身に纏っている。地毛金髪ロングヘアー、身長177cm・体重61kg・Dカップの彼女こそ、親より会社を引き継いだ女子高生CEO、大島桃花である。

 (係員)「西川星薇様、おはようございます。」

 「ええ、おはよう。」

 静かで小生意気な態度の彼女は、同じく高校3年生であるピーチに誘われて入社している。文学少女とも言われる程読書を好むが、その半数以上は所謂ラノベである。正社員ではあるが彼女のみ、ピーチの許可もあり水色のロングドレスを着用し、社員として働く際は同じ女性社員と分け隔てなく普通の制服に着替え直している。身長181cm・体重41kg・Cカップと痩せ過ぎと思われがちな彼女が、西川星薇(せいら)である。

 (係員)「相場竜輝様、えー、1時間の寝坊分と残業は差し引かせていただきますね。」

 「本当にすいませんでした・・・。」

 彼は社内食堂の料理長を担う中学3年生。休みという事もあるので彼のみ退勤の打刻をしてもらう。とても料理をするとは思えない細身で、これでも数学が得意で強肩であるのが驚きな「ショタ」である。退勤登録が終わると、彼の場合は自転車でマンションまで帰る。本来中学生は仕事してはいけないのだが、お手伝いという名目で面子は保っているようで、お金の方も自由に使えているようだが一度桃花のサブ垢(つまり2口目以降の口座)に振り込まれてから封筒で領収書と共に渡すそうだ。身長166cm・体重40kgの彼が相場竜輝である。

 そしてこの兄弟。二卵性双生児の双子で20歳、身長2cm差で低い方が兄、高い方が弟である。どちらも何か違うという事は殆ど無い。特徴的に違うといえば、兄の方は制服で細身に見えるが鋼のような肉体を持ちどんな場所でも頭脳で突破出来る力がある。弟の方は4.0以上の強力な視力を持っており、普段でも自分の視力で酔うので、視力を2.0にする視力低下コンタクトを付けて生活している。兄とは違ってそれほど筋力は無いが、身長差やジャンプの高さによって、兄の目となる事があるのだ。イタリアと日本のハーフで、兄の方は身長189cm・体重77kg、弟の方は身長191cm・体重55kg、彼らの名は、

 (係員)「おはようございます、藤原マリオ様、藤原ルイージ様。」

 「ああ、おはよう。」

 「はい、おはようございます。」

 

 2040年の世界、ふざけた政治の時代が終わり、新たな政権によって再始動を果たした日本。車の免許も中学生から取れるようになり、若手ドライバーが急増した事に加え、高速道路や一部道路への特殊改造車両の速度制限が解除されて常にレーサーの街へと化した東京都。品川区に建つ城のような会社、その最上階が彼らの家でもある。また同じ品川区に、ルイージが2年で手に入れた資産を使いマンションを建設し、その大家の部屋も別荘として使っている。まさに品川区は、彼らの街と化していた。先程の竜輝も、家賃無償でマンションの最上階に住んでいる。彼らは会社で仕事をする一方で、もう一つの活動も行っている。

 「マーリオっ!今日もやるんでしょ?」

 「今日は港区の団体がHPを通して挑戦状を叩き付けてきた。ポータブルWi-Fiで互いに公開生放送するらしい。」

 「ボク達に対して公開生放送で喧嘩を売るなんて、ボク達も舐められたもんだね?」

 「いいんじゃないの?どうせ彼らは自分の醜態を全裸で晒したいだけのドМなんでしょうから。」

 「そんな訳だから、直ぐに出発するぞ。」

 一行は、各々スポーツカー・スーパーカーに乗り込み、港区のゲームセンターへと向かった。マリオは所狭しと赤系全色が塗りたくられたGTO、ルイージは深緑のRX-8、桃花はピンク色に塗装したポルシェ918、星薇は中古車を魔改造して水色塗装を施したカローラレビン(AE86)である。

 「あ、やっぱりそこにいたか。ルイージ、ちと俺は寄り道するぞ。」

 【了解。撮影の準備しておくね。】

 マリオは車列から外れ、その近くの朝食バイキングをしているファミレスの駐車場へ行く。

 (店員)「何名様ですか?」

 「いや、あそこの茶髪の連れだ。」

 「ん?あ、マリオさーん!」

 「よっ、相変わらず休みは食べ放題で謳歌か?」

 「私が食べ放題大好きなのはマリオさんもよく分かってらっしゃるじゃないですかー♪こうやって色んな場所の食べ放題を歩き回ってるんですよ!」

 「・・・ったく、後で店員にガン飛ばされても知らねーぞ?この量、大赤字じゃねーか。」

 一般人が食べる量ではない、それはタワーの様に積まれる使用済みの皿で一目瞭然だ。これで太らないから驚きだ。一体このエネルギーは何処に飛んでいくのやら。

 「マリオさん、今から動画の撮影ですか?」

 「まぁな。高速から遠目でお前が見えたもんだからあいつ等に準備を頼んで、俺はこっちに来たって具合だ。」

 結局、無茶苦茶食べて黒字で店を後にした。

 「お前はどうすんだ?」

 「これから、ちょっとゲームしに行こうと思います。そろそろお店が開く頃ですので、朝の頭の体操にパズルゲームでもやろうかなって。」

 「そうか。ま、交通事故だけは気を付けるんだぞ。」

 「はい。では失礼します!」

 自転車に跨って、これで少しぐらいしか膨れないのが不思議なお腹を前屈みで隠しながら、颯爽と道路に消えていった。

 「ふぅ、さて俺も行くか。」

 

~AM8:55 ゲームセンター前~

 「待たせたな。」

 「ヨッシー君、相変わらずだった?」

 竜輝の事はヨッシーと呼ばれているらしい。

 「相変わらず、店泣かせの胃袋を発揮していたさ。」

 「あ、今日のカモが来たよ。」

 「よーし整列ー!」

 桃花の掛け声で、4人が横一線に並ぶ。駐車場にやってくる5人の団体、彼らは、マリオ達が運営するホームページの掲示板にて挑戦状を叩き付けた『命知らず』である。

 (敵隊長)「俺達はこの地区を牛耳っているASHというチームだ。お前ら、この間この中で目立ったそうじゃねぇか。俺達のテリトリーでカメラ回してそんな事されちゃ黙ってらんねぇんだよなぁ!!なんだ、今日は4人だけかぁ!?」

 「人数はどうでもい。俺達の目的はお前らの息の根を止めるだけだ。」

 「そろそろ9時だね、始めるよ。」

 そこに、自転車が駐車場へ入り込んだ。

 「・・・え?ヨッシーか!?」

 「え!?マリオさん!?」

 なんと竜輝もこのゲーセンに行くようだった。偶然とはいえ・・・

 「マリオ!?もしかしてついて来いって彼に話した?」

 「い、いや俺は何も言ってないぞ!?俺はただヨッシーに会いに行っただけだ!!」

 「兄さぁん・・・?」

 「待ってください!これは完全に偶然です!!マリオさんには何処に行くなんて言ってませんし・・・」

 「本当かなぁー?」(テニスラケット取り出して

 「マジですガチです許してください(´・ω・`)」

 「ピーチさん、マジなヤツですから・・・」

 大島桃花、彼女はヨッシー同様マリオからピーチと呼ばれているらしい。

 「・・・ふ、本当に偶然っぽいから許してあげるわ?で、どうするのよ?」

 (敵メンバー)「ケケケッ、カモがもう一人増えたぜ?」

 (敵メンバー)「今日はあのショタもご馳走になってやろうぜ?」

 「・・・ここに来たのは偶然とはいえ、どうやら戦うしかなさそうですね。」

 「・・・ヨッシー、やれるかしら?」

 「勿論ですよ!しっかりと腹ごしらえも済ませてきたので!!」

 「よし、文句無しの5on5だな。急な展開だが、さっさと始めるぞ!」

 この戦いが始まった時点で、特に竜輝が混ざったことによって、勝負は完全決着のシナリオになっていた。マリオは格ゲーの決闘を申し込まれ全戦無傷で返り討ち、ルイージはメダルゲームにて最高配当ジャックポット連発という強運にて敵を粉砕、ピーチは全身を動かす音楽ゲームでパーフェクト連続の完封勝利、ヨッシーは店舗内対戦専用になってしまったパズドラのアーケードで無類の強さで敵を圧倒的に鎮圧。星薇はガンシューティングゲームで一回も死ぬことなく全クリし、何回もコンティニューさせた相手に赤っ恥をかかせた。

 (敵隊長)「・・・覚えとけよ・・・、次はお前らを二度と立てない様にしてやる!!ズラかるぞ!」

 「言ってろ。完封される様ではお前らは何世紀後も勝てない。」

 竜輝がカメラを止めて、ASHの負け戦を収めた動画撮影を終える。

 「っし、今日も完全勝利だね!」

 「みんな、ご苦労さん!これから例の場所で明日の会議をするが、祝勝会も兼ねてヨッシーも来るか?」

 「はい!お供させていただきます!!」

 

 彼らが昼食で来たのは、5つ星ホテルの中に建つビュッフェレストランの中。

 「何気に初めて来るけど、美味しそうなのは一目瞭然だね!」

 「ヨッシー、ここではあまり爆食するなよ?」

 「でも全種類イっていいですか?」

 「それは構わない。程々にね?」

 全員が受付して、各々食べたい料理を手に取って席に着く。竜輝は白目で見られるほどの爆食で、周囲を困らせるほどのヘビースリーパーだが、それ以外は空気の読める方なので、マリオの言いつけ通り少なくした。本当に全種類食べるつもりではあるが・・・。

 (全)「いただきます!」

 とても美味しそうに食べる5人。ここで、本題を切り出してみる。

 「ではこれより、明日の遠征について会議をしようと思う。ロゼッタ、話は纏まったか。」

 ピーチやヨッシーと同じく、星薇もロゼッタという名前があるようだ。

 「ええ。明日行く場所は、最近になって政府によって合併が決まった地域、世田谷区の下半分と狛江市を合体させた場所、見滝原市よ。なんでも見滝原市は現在、音楽ゲームの戦場とまで言われているらしいわ。」

 iPadを取り出して、壁に立てかけて説明する。

 「音楽ゲームの戦場!?という事は、私が大活躍するってこと!?」

 「ま、そうなるな。明日はきちっと頼むぞ、ピーチ!」

 「ふふーん、この私を誰だと思ってるの?この世の音楽ゲームなら知らぬものはない音楽ゲームの女神、ピーチ様ですわ!!」

 「でも気を付けた方がいいともいえるよ。流石のピーチでも敵が多すぎる。住民全員が音楽ゲーム内段位道場で高段位修得者と思わないと、甘く見てると・・・」

 そこに着信を知らせるバイブがテーブルを伝う。

 「お、丁度いいな。お疲れ様です、将軍!」

 「ふっ、待たせたな!!」

 彼らより遥かにオヤジな男が画面に現れた。小さい画面では見にくいので、iPadの画面を左右2分割にして大きくする。

 「えっ!福山さんも来るんですか!?」

 「月曜日、この日は休みが取れたもんで、マリオに話しておいたのさ。有事にならない限りは暇ってことよ!」

 「スネークが来てくれるなんて、俺としてはなんて心強いか!」

 「お前と同じでオールジャンルのゲームをやってきた漢だ、新たな戦場にお前達だけ行かせるなんてクソみたいなことは出来ないさ!」

 笑顔が凛々しく強面なこの男は、神奈川県は横浜市に基地を置く陸海空総合的な日本有数の軍事基地・KASDF(神奈川県総合自衛隊)の大将、そしてマリオ達のチームに欠かせない『非常勤』の中でも一番の戦闘力を誇り、マリオとは一つのライバル関係でもあるアメリカ出身日本在住の、ルイージ超えの高身長192cm・体重83.5kg、福山スネーク(真名:ソリッド・スネーク)である。因みにIQも非常に高く、チームではルイージの次(彼は550)に高い180である。

 「しかしお前らも恐ろしいところに喧嘩を売りつけたもんだよな。よりにもよって見滝原市は止めた方がいいって何度言ったか。したがもう引き返せねぇ、人類最強ゲーミングネットパフォーマー集団の無敗神話が途切れるか伸びるかは、もう神の手に委ねられたって事よ。」

 チーム内一の音楽ゲーマーのピーチも、ここまで聞くと流石に心配になる。年長者の同業者に言われれば、肝の据わり過ぎて何個肝臓があるかよう分からん彼女も身構えるのは必然だ。

 「本当に危険なの?」

 「下調べは済んでいるとは思うが、あそこに潜む2人の美闘士と2人の狂戦士がいるそうだ。」

 「DDRのff(フォルテシモ)とmaimaiのT.R.(ティロ・リズマー)、そしてjubeatのDZ ZEUS(DZゼウス)とRbのGodHades(ゴッドハーデス)か?」

 「戦う前から怖気付く訳ではないが、あのガキ共は最強だ。なんでも全ての譜面フルコンボは当たり前で、彼らに土を付ける為にSEGAやKONAMIは頭を悩ませているらしい。現在諸事情で活動休止しているGodHadesも、十八番であるRbに限り初見最大難易度でプレイして、一発フルコンKO出来る『絶対音感』と『絶対間隔』を持っているらしい。」

 「GodHadesはよくニュースで耳にするよ。活動休止以前は世界進出して猛者を何度も無敗でぶっ潰したらしいよな。」

 「それだけじゃねぇ。ffは、同じくDDRで東日本最強と言われている、群馬県は風見野市に活動拠点を置くAppleBite(アップルバイト)に匹敵するクソガキと言われているらしい。」

「スネークが言うんだ、その話は本当と見て良いだろう。だが、対策はどうするんだ。見滝原攻略についても、俺たちの事情についても。」

「断言しよう、お前たちの事情については俺も全力で支援するが、その他は知らん(・ω・`)」

 「俺達の事情に関しては俺達が何とかするさ。スネークは最強の傭兵とはいえ、俺達の世界では民間人の扱いだからな。」

 「なら、俺は民間人のフリをして、今日中にでも見滝原市とやらに潜入してやろうか!」

 「そうだな。では翌日見滝原駅集合、俺達は先に見滝原入りしているから、ピーチとロゼッタ、そしてヨッシーは学校が終わったら来てくれ。」

 「了解!」「ええ、いいわ。」「よぅあい!」

 「お前食べながら喋るな・・・」

 

~6月4日(月) 東京都見滝原市~

 有給でお休みを取ったマリオとルイージが午前10時、都内の電車にて見滝原市へ向かった。車もあるし交通手段には困らないのだが、彼らは何かと用心深く、あまり行ったことのない場所には公共交通機関で赴くという、石橋を叩いて叩いて叩きまくって渡る前に割る程に慎重である。

 「見滝原市・・・噂通り音楽に満ち溢れているな。」

 「うん。スクランブル交差点の横断歩道BGM、自販機のコイン投入時のBGM、家電量販店の店外BGM・・・ここはいつ来ても飽きなそうだね。」

 「おう!お前ら!!」

 現地のファッションセンターでピーチの指示通りに着こなしてきたスネークが、大量の荷物抱えてマリオ達に歩み寄ってきた。

 「おいおい、どうしたんだその荷物は!」

 「昨日の退勤後に早速乗り込んでみたんだ、ここは品川以上に未来に満ち溢れてやがる。そんでこれは、乱獲してきた非常食だ。」

 中を開封すると、UFOキャッチャーのプライズだろう大型のお菓子や加食の詰め合わせが3袋ぎっちり詰まっていた。

 「そういや、お嬢ちゃんはどうした?」

 「おいおい・・・、今更忘れたとは言わせないぜ?ピーチは女子高生だ。今は通勤じゃなく通学してるんだよ。」

 「お、そうか。だがまだハッキリしていない事もあるだろう。一企業の社長であろうものが、週5で休んでいていいのか?」

 「その辺は心配するな。代わりの方がいらっしゃる。」

 その頃の社内では・・・

 (社員)「おはようございます!」

 「ああ、おはよう。」

 上品な口紅を塗り、見るからに高そうなスーツを着こなした女性社員が出勤する。その女性は、何の躊躇いもなく最上階付近まで上がり、社長室まで歩き、出勤の打刻を押すと扉のロックが解除される。ピーチこと大島桃花ではない者が使用しようとしているのだが、警報などは一切ない。この女性こそ「社長代理」である。

 【詢子さん!おはようございます!】

 「あーおはよう。今日は見滝原市に凸りに行くんだろぅ?よかったら私の娘にも宜しくな?」

 【はーい!私達の活躍、是非生配信で見てくださいね!】

 【そろそろ行くわよ桃花。直ぐ朝偵察終わらせないと鬼教師にコロされるわよ?】

 【分かってるわよぉ!じゃ、今週も宜しくお願いします!】

 「あー任せときな。」

 そう、鹿目詢子はピーチがCEOを勤める会社の代理であった。しかし、当の娘であるまどかには会社の社員と言っているようだ。

 「ふわぁ、じゃあこの書類を終わらせちゃいましょうかねぇ。」

 (執事)「社長代理、beat nationの代表が来られております。」

 「分かった、直ぐに向かうよ。」

 

 そしてピーチ達が学校を終える時間、2台のスポーツカーが颯爽と見滝原に繋がる高速道路の風を切った。

 (野次馬)「お、おい!遂にSMBのピーチが見滝原に来やがったぞ!!」

 ピンク色、そして白のストライプをアクセントに取り入れたランボルギーニが瞬く間に過ぎ去った。

 (野次馬)「その後ろは・・・!やっぱりロゼッタだ!!」

 水色を基調とした、エンジンをスポーツカー用にフル改造したスバルのR2が野次馬達に風を送り届ける。

 「しかし、本当に魔界使徒っているのかなぁ?」

 【先日あなたのカレがぶっ潰したでしょ、もしかしたらその生き残りが居るのかもよ。】

 「親玉を倒して生き残るって?・・・まぁ、あり得ない話ではないけど・・・。」

 法定速度を超過していて、普通なら当然アウトなのだが、2040年の日本では申請が受理された車両に限り、高速道路や指定道路を制限速度超過して走行することが出来る。平均300km/hで突っ走り、見滝原市到着にはそう時間は掛からなかった。

 「着いたわよ、マリオ!」

 【そうか。今すぐ見滝原市の音ゲー人間どもを駆逐しに行きたいところだが、それよりも先に惨く駆逐しなければならない先客がいらっしゃったようだ。】

 「惨く駆逐する?どういうこと?」

 【魔界使徒・・・、市内のショッピングセンターの倉庫内に、魔界使徒の反応を検知した。直ぐに殲滅すれば、そう時間は掛からないだろう。行けるか?】

 「勿論よ☆」

 「一体、私達は何のための切り札だと考えているのかしら?」

 【承知しているさ。では座標を送るから、現地集合で頼む。】

 マリオからの座標図がピーチの画面に転送された。車両から必要なものを持ち、ロゼッタは撮影機材を担ぐ。

 「ピーチ、分かっているだろうけど、今日の目的は今から叩き潰す使徒なんかじゃないんだからね。分かっているわよね。」

 「大丈夫っ!でもロゼッタちゃんも、絶対に油断しちゃダメだよ?機材、一つでも落としたらルイージ君が泣いちゃうよ?」

 「もう何年動画配信者をやってると思ってるのかしら。初歩的なミスをそれくらいで犯す訳が無いわ。」

 これから始まる撮影に興奮するピーチと、冷静沈着なロゼッタ。使徒の観測された倉庫に先に着いたのは、駐車場にドリフト駐車したマリオとルイージだった。

 「さて、借り暮らしの邪魔者には、命を以て立ち退いてもらいましょうか。」

 「久しぶりの交戦だからね。あーあ、『組み手』したいなぁ。」

 ルイージが退屈そうに『組み手』というワードを口にする。背伸びしてリラックスした表情のルイージに対して、非常に落ち着いているマリオ。倉庫の扉の前にやってくると、警備員に止められる。

 (警備)「お客様、ここから先は関係者以外立入禁止区域でございます。裏のお客様用入口からの入店を・・・」

 「そうか、だが今は俺達も関係者だ。命が惜しくなければお前が立ち退け。」

 マリオとルイージが、同時に警察手帳っぽい形の物を見せた。警備員の目の色が変わり、焦りが見える。

 「この倉庫内に、使徒反応を検出した。中で手荒な真似はしないけど、事態が酷ければ多少は覚悟するように。」

 (警備)「しっ、失礼致しました!お気をつけて!!」

 「よし、行くぞ。」

 「5分でカタを付けようじゃないか。行こうか!」

 シャッターを開き、立入禁止の倉庫に足を踏み入れる。マリオのショルダーバッグ、ルイージの腰のポーチから、謎の機械を腕に取り付ける。

 〈Battle Assistant System、起動シークエンス。登録者の腕の静脈及び動脈認証を行います。〉

 〈登録者、藤原マリオ様、確認しました。BASを起動します。〉

 〈登録者、藤原ルイージ様、確認しました。BASを起動します。〉

 「神経接続プログラム、W型使徒目視アプリケーション起動。」

 〈了解。W型使徒目視機能を開始します。神経より脳に一時的な能力付与につき、約1秒違和感が生じます。ご注意ください。〉

 腕に装着した機械により、2人は「魔界使徒」を目視出来るようになった。その瞬間、辺り一面が結界に包まれる。そう、魔界使徒とは魔女の事である。

 「目視出来るようになった人の気配を感知して、臨戦態勢に入ったようだね。」

 「ざっと500くらいか・・・。蛆の様にうじゃうじゃ出てきやがって、目障りだ。」

 「全部、一気に燃やそうか?」

 「そうだな、だが手の内をバラして対策されると面倒だ。俺達の力は最終手段にしよう。見た感じ、コイツ等は俺達の力を使えば簡単に捻れそうだ。少し遊んでやろうじゃないか。」

 鋏を持った手下が襲い掛かる。それをマリオは長い脚から繰り出される素早い回し蹴りで一蹴する。ルイージは一歩下がった後で、スライディングキックで吹き飛ばす。これだけの攻撃で手下達は散る。

 「これじゃお腹いっぱいにならないよね?弱すぎるし。」

 マリオの無線に通信が入る。

 【マリオっ!もう行ってるの?】

 「ああ、裏の方に行っている。」

 【使徒が現れたのね。強そうかしら。】

 「いいや、全然強くないよ。だから『遊んで』いるんだ。周りに人の気配も無いし。」

 【ふーん、それじゃ今から私達もそっち行くね。実はスネークにちゃんとした格好をさせる為にご指導していたけど、実際にここのファッションを見たくて、実はそっちにいるのよ。】

 「分かった。くれぐれも、手荒な真似だけはしないようにな。」

 無線を切ると、徐々に手下達が迫っていた。

 「一気に襲い掛かれば倒せるって魂胆かな?」

 「正しい決断だが、残念ながら俺達は『組み手』が得意でな、選択を間違ったようだな!」

 凡そ100体の手下が一斉に襲い掛かるが、マリオは顔面を掴んでは握り潰し、ルイージは鋏を奪い取って首を断ち切る。そのまま次々と飛来する人面綿の大群を、マリオはパンチやキック、ルイージは武器を奪い取って連キルを重ねる。

 「ほう、遂に四方八方を囲みに来たか。」

 「追い詰められたねぇ。・・・この際ってどっちが追い詰められているのかな?」

 「ほざいてろよ、分かってるんだろうが。」

 「はははっ、言ってみただけだって!」

 「なら、ツインアタックと参ろうか。」

 「僕はいつでもOKだよ!」

 「よし、行くぞ!」

 マリオは足でカウントすると、両手を正面に翳して気を集中させる。簡単に仲間を殺されて焦る手下共は相手を間違えたと後悔するように引き下がろうとするが、それを許さないのがこの兄弟である。マリオは右手の掌底を勢いよく床に叩きつけ、ルイージは両手を自身の真横に開く。一気に地面が熱せられ、結界内の辺り一面は高温地獄と化し、ルイージが旋回することによって火の玉を撒き散らして200体を一気に殲滅した。

 「ざっと300体、あとは200体だけども・・・」

 【はーい!ピーチだよっ☆】

 【無線でもテンションの変わらない桃花に敬意を表して、中指。】

 【ちょっとぉ!星薇ちゃん酷いよぉ!】

 「なんだ?あまり無駄話している状況ではないという事は理解しているのか?」

 【こっちも現地に到着したよ!禍々しい瘴気が充満しているわね・・・。】

 【けど、外から伝わる微弱熱波とダクトから流れる羽毛の焦げたニオイからして、半数は焼却したのかしら。】

 「その通りだ。こちらも残りを捜索するが、正面の倉庫から入ってくれないか。」

 【了解。行くわよ、桃花!】

 【オッケー!さてと、いっちょ片付けますかっ!!】

 通話が途切れ、マリオ達は捜索を再開する。一方のピーチ達も、『ff』捜索に駆けるファン達を掻い潜りながら、倉庫前の扉に到達した。

 

 (警備員)「おいおいちょっと!そこの女子高生さん、そこからは関係者以外立ち入り禁止の場所だぞ?」

 「ごめんねぇ~、でも私のマリオ君から話は通ってる筈だけどぉ?」

 「『OSF』直属の怪異殲滅部隊・世界ランク1位のクルー『SMB』の者よ。公務執行妨害で拘束されたくないのなら、直ぐに通してくれるかしら。」

 ピーチはおねだりしながら、ロゼッタは冷徹な眼差しで警備員を見つめ、マリオ達と同じく警察手帳型の証明証を突き付ける。

 (警備員)「ひっ!失礼致しました!!!」

 「行くわよ。どうやら、自然生成の結界内に一般人が取り込まれている様ね。」

 「えっ!?急がなきゃ!!」

 「それだけじゃないわ。2名の、私達と同じ雰囲気の中学生が侵入中よ。それも、一方は中学生を助けようとしているようだけど、もう一人は行く手を遮っているように見える。」

 「二手に分かれましょう!星薇は結界の方向、私は交戦中の場所に行ってくる!」

 「ええ、行きましょう。」

 この2人もマリオ達と同じBASを左腕に装着し、彼女達の場合は起動するメニューが違った。

 「BAS!登録者専用メニュー、『Battle Form』の起動!!」

 〈スクランブル確認。Battle Formを起動。ゲーム開始まで、5秒。4秒、3秒、2秒、1秒…〉

 「BAS、フルスロットル!!」「BAS、フルスロットル。」

 〈Battle Form,complete.〉

 その瞬間全身が強く光る。ピーチはピンク色のロングドレスを纏い、数本のチョークを胸ポケットに装備する。ロゼッタも水色のロングドレスを纏い、胸ポケットにタクトを挿す。

 「あれは・・・拙い!」

 ピーチは颯爽と交戦中の戦場から300mの場所に到着し、魔力変換によってズーム監視を行う。巴マミと暁美ほむらが交戦し、暁美ほむらの方が危険と判断すると、胸ポケットからチョークを取り出して、ハルバードパラソルを開いて盾にした陰で10秒で魔法式を書き上げる。

 「行け!Unbreakable magic wall!!」

 床に描かれた魔法式が光を起こし、傘を始動点として一直線に極薄の魔法壁が完成する。その防壁によって間一髪、暁美ほむらによる巴マミへのヘッドショットは阻止出来た。

 「この魔法式の短さじゃ15秒と持たないだろうけど、あの子が結界に取り込まれた少女を助けに行くには十分ね。あの黒髪が勘付く前に、戦略的撤退へと勤しみますか☆」

 撤退中に、ロゼッタへ無線を繋ぐ。

 【こちらコードネーム・ピーチ。応答願います。】

 「こちらコードネーム・ロゼッタ。仕事は済んだかしら?」

 【ええ!あと一歩遅ければ正義の味方の脳ミソが吹き飛んじゃうって所だったよ!間に合ってよかったぁ~。】

 「こちらも結界に潜入出来たわ。一般人が脱出口を探しているみたいね。」

 【私もそっちに向かいたいけど、ヤバい中学生に目を付けられちゃったら大変だから、私は一時撤退するわ!】

 「了承したわ。こちらも、結界の使い魔を擂り潰して、地獄に出荷したら戻るわね。」

 【よろしくぅ~っ!終わり。】

 一般人が徐々に使い魔に歩み寄られてくる。この瞬間が狙い目だった。

 「さて、あの一般人には一生の思い出に、あの綿毛の成り損ないには冥土の土産に、私の西洋星術でも見せてあげましょうか。」

 胸ポケットに挿しているタクトを取り出すと、敵の結界範囲をタクト一振りで引き延ばして、自分が結界に入った後に、脳裏に流星群を思い浮かべる。

 「(一斉砲撃するには、何かとあの一般人が邪魔ね。)邪魔よ。離れて。」

(まどか)「ふぇっ?」

 「星々の加護があらんことを・・・。邪神に憑りつかれし悪魔よ、その姿を滅して平伏せ。」

 タクトを一回転させて、先端を使い魔の集団を指すと、その集団に無数の砲弾とも言える星(?)が降り注いだ。忽ち、綿毛の使い魔は儚く散ってしまう。

 「(まだまだよ。)星の子よ、迷える子羊を救う道を開きなさい。」

 出口を塞いでいた使い魔の壁に向けて一斉掃射し、大半を亡き者にする。

 「さあ行きなさい。時間がありません。」

 桃色の髪の少女と水色の髪の少女は、一礼して出口へと駆け込むが、またもや使い魔がこれでもかと塞ぎにかかる。

 「全く、どれだけ私の読書時間を奪いたいのかしら。」

 次の術式を詠唱しようとした時、別方向から先程ヘッドショット寸前の所を助けられた黄色の髪の少女がやってきた。

 「(あの体外に湧き出る魔力、もう大丈夫のようね。さて、早く表の準備をしましょうか。)」

 これで結界内の一般人は大丈夫だと悟り、速やかに結界に穴を開けて脱出した。

 

 「ピーチとロゼッタから通達。状況の終了が確認されたよ。」

 「よし、なら俺達も用事を済ませに行きますか。」

 用が済んだ以上、倉庫内に居座る必要は無いので、出口へと向かった。しかし、謎のテレパシーを彼等の直感で盗聴する。

 《僕と契約して、魔法少女になって欲しいんだ!》

 「・・・兄さん聞いた?」

 「ああ、はっきりと聞こえた。ピーチから授かったテレパシーを聞く能力が、ここで役に立つとはな。」

 メールでピーチに「5分程遅れる」と打ち込み、予定を変更した。

 「市外の訪問者として、挨拶せねばなるまい。」




藤原マリオ「Mario」(CV:木内秀信)
世界最強の実力を誇るゲーマーにして、世界最高峰のゲーマー集団並びに世界一のゲーミングネットパフォーマーYouTuber「Super Mario Bros.(SMB)」の代表に君臨する20歳の青年。普段は幼馴染であり想い人でもある年下の社長の下で働く一流社員で、仕事が終わると直ぐに仲間達とゲーム三昧の日々を送っている。しかしそれは表の顔で、本来の姿である裏の顔は、世界最強の能力者、平安時代より受け継がれし「豪炎」の力を持つ『戦人』である。彼が幼き頃より親しまれ、現在は全部隊の総本山として身を構えるプレイヤーである。炎の力で攻撃するだけではなく、炎で傷口を焼くことで治癒し、炎の力で一定時間の身体能力向上も出来る。ゲーマーとしての専攻はアクションゲーム・格闘ゲーム全般だが、激しく体を動かす音楽ゲームも得意である。(イメージは絶園のテンペストの不破真広)

藤原ルイージ「Luiji」(CV:森久保祥太郎)
世界最強のゲーミングネットパフォーマー集団の副将を務めており、集団戦ではチームの頭脳として活躍する。双子の兄であるマリオと同じく社員なのだが、普段は不幸なことがよく起こる残念なイケメン。しかし、ギャンブルに関しては豪運の持ち主であり、競馬等で億単位の資産を持っている。彼もまた平安時代から続く「豪炎」の力を持ち、力で捻じ伏せるマリオに対してパワー面に欠ける分、戦法で敵を叩く戦略型のスタイルを貫く。いざとなれば炎で敵を焼き払えるのだが、彼は狙撃に特化しており、視力はマサイ族も逃げ出す20.0を誇る。更に炎で直接眼を炙ることで、一定時間倍以上の視力を持てる。但し普段は視力を2.0にする矯正眼鏡を掛けている。専攻はメダルゲームとシューティングゲーム、戦略型のゲームだが、手先勝負の音楽ゲームなら自信はある。(イメージは絶園のテンペストの滝川吉野)

大島桃花「Peach」(CV:伊藤静)
高校生にして大手企業「PEACH」の社長を務める。マリオとは幼馴染であり、同時に両想いの関係である。また、鹿目詢子とは長い付き合いであり、彼女が高校に「出勤」する時は、代理で詢子が社長として出勤する。実は彼女は元々「魔法少女」だったのだが、マリオが所属する特殊部隊の元締である研究所によって、彼女が契約した時に背負わされたデメリットの一切を解除してもらい、研究所が誇るシステム「BAS」によって疑似変装出来る。石突にハルバード、露先に刃の付いた武器を使うのだが、魔法少女時代に解読した魔法少女原文を用いて魔導計算式(魔法式)を魔力を籠めたチョークで床などに書き、強大な魔法を発現することも出来る。またマリオに劣らない格闘技術も持っているので、「肉弾戦姫」とも呼ばれる。専攻は音楽ゲーム全般。(イメージは絶園のテンペストの鎖部葉風)

西川星薇「Rosetta」(CV:ゆかな)
名目上アルバイトとして、桃花の会社のOLとして働く高校生。とても病弱に見えるが、痩せ過ぎなだけで体力はある。ルイージとは両想いなのだが、周りからはルイージが尻に敷かれてると思われている。重度のラノベ中毒者で、一日の大半は読書に費やす。桃花と同じで彼女も魔法少女の過去を持ち、魔法少女の現実を知った直後研究所で「契約解除」した桃花とは違って、彼女はその力を利用して自らの願いによって閉ざされた西洋星術への道を抉じ開ける選択をした。タクトが内蔵された薙刀を武器を扱うのだが、魔法よりも西洋星術による呪術や砲撃を優先する。専攻はシューティングゲーム全般だが、テーブルゲームやオンライン麻雀も得意である。(イメージは絶園のテンペストの不破愛花)

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