リベンジ戦としてダインはジークに勝負を挑み、引き分けに終わる
力尽きた二人を時の界王神がコントン都に送り返していた
「よし、これで大丈夫よ」
時の界王神がダインとジークの回復を終え、一息つきながら言う。
二人がむくりと起き上がる。
そして、ジークがダインに手を差し出した。
「さっきの攻撃、良かったぞ。俺も完璧に油断していた」
「ああ、だが今度戦うときには引き分けじゃなく、お前を越えてやる」
ダインがジークの手を握り、固い握手を交わした。
その時、雲に隠れていた太陽が現れ、二人の所に光が集まり、ボロボロの二人を神々しく照らした。
二人の顔には笑みが浮かんでいた。
戦いを終えて時の巣に一旦戻ってきたダインとジークに時の界王神。
半透明なゲートを潜り抜けて時の巣に足を踏み入れた途端、気を感じたのか、保管庫からトランクスが飛び出してきた。
「どうしたの、トランクス? 何かあった?」
「時の界王神様……歴史が……!」
「……ッ!」
それを聞いた三人が息を詰まらせた。
急いで保管庫に入ると、そこには既に老界王神が巻物の中を見ていた。
「なにがあったの!?」
「……これを見れば分かる」
その巻物の中はいつもどおり改変された歴史。
歴史は改変されている事自体はいつもどおりなのだ。
問題なのは内容だった。
「……なに……これ……」
時の界王神が目を見開きながら現状の歴史をみている。
ダインとジークも奥歯を噛み締め、悔しそうに顔を引き締めていた。
内容はこうだ。
この歴史は悪の帝王フリーザがナメック星のドラゴンボールを求めて来たという歴史なのだが、通常だったら同じくナメック星に来た孫悟空が超サイヤ人に覚醒してフリーザを倒す。
だが、この歴史には孫悟空の姿もフリーザの姿も無かった。
詳しく言うと、マグマに侵食されたナメック星は地上も火の海になっている。
ナメック星人は見たところ居なく、最長老の家ももはや土台部分が少し残っている程度だった。
歴史がここまで酷く荒らされて居るのは今回が初めてだった。
「どうやって……ここまで暴れまわったんなら巻物から強大な邪悪な気が溢れ出ても良いはずよ。この巻物からは殆どでていないじゃない」
巻物から出る邪悪な気の量はその歴史をどこまで改変されたか、その歴史に突如現れた邪悪な気の持ち主の強さに比例するはずだ。
しかし、この巻物には出ているのは煙のような量の気が数量出ている程度。
正直、棚にしまってあって取り出さなければ気づけ無い量だ。
「俺が歴史の確認をしている時に見つけたんです。大きな気じゃなかったので一応確認してパラレルクエストとして送ろうと思ったんですが、確認したら既に歴史がひどい状態になっていたんです」
「ありえないわ、こんな量の気しか出ていないのに誰も気づかずこんなにも歴史が荒らされているなんて。ありえるのだとしたら余程神速の速さで荒らしたしか……」
とりあえず歴史を少し戻して、何者かがやったのか確認することに。
一旦画面が砂嵐になって再び画面が復活。
そこには最終形態のフリーザがクリリンを殺した後、超サイヤ人に覚醒しようとする孫悟空。
そこに突如現れたのはスラッグだった。
「スラッグ!?」
その場にいたダインを除いた全員が驚愕する中、歴史ではスラッグがフリーザと戦っているが、スラッグは余裕そうにしている。
時間を飛ばして、フリーザを殺し孫悟空を殺そうとした瞬間―――なにかに気づいたスラッグが急いで歴史から消えていく。
鑑賞していた全員が頭の上に?マークを浮かべていた刹那。
突然見ていた周辺が爆発した。
画面全体が爆発音と爆風に埋め尽くされ、砂嵐になる。
「どうしたの!? もしかしてこれで……!」
砂嵐から開放された画面が映し出した光景は周りからマグマが溢れ出し、ナメック星が火の海と化していた光景だった。
「うそっ、あの一瞬で!?」
急いで時間を戻して何者かの正体をこの目で見ようとする。
しかし、いくら目を凝らしても荒らした人物の人影すら見えない。
「一体、なにがあったっていうんだ……?」
ジークが珍しくどうして良いか分からない表情を浮かべていると、顔を俯けていた時の界王神が顔を上げてダインを見た。
「とにかく、歴史に行ってみて止めるしか無いわ。もしも危険になったら急いで転送してあげるから、行ってくれるわね? ダイン」
「当然だ……しかし、どうやって?」
「今思いついたんだけど、もしもあの爆発の時間を変えられなくて止められないなら、先に悟空くん達をナメック星から逃がせばいいわ。トランクス、ちょっと調べてくれる?」
「あ、はい」
そう言って時の界王神がトランクスに何か書いてある用紙を渡す。
それを受け止めるやいなや、トランクスが巻物とにらめっこして何かを調べ始めた。
数分後、トランクスが立ち上がり、時の界王神にバッ! と振り向いた。
「時の界王神様、分かりました! 何も邪魔が入らなかった場合、丁度爆発までに悟空さんは逃げ出せるはずです!」
「分かったわ。この歴史には見た限りフリーザが特別強くなっている訳ではないっぽいの」
「まぁ、そこは面倒なことをしないスラッグの正確じゃろうな……」
「つまり、ダインは悟空くんがナメック星から逃げ出す前にスラッグを倒すこと。今回歴史を荒らした犯人だけど、あの一瞬で星をあれほどにする力の持ち主よ、恐らくあなたでは勝てないわ。だから、今回の任務はスラッグを倒すこと、いい?」
「ああ、了解した」
そして、トランクスから巻物を受け取り、胸に当てて強く念じようとした時、ジークがそれを止めた。
「……なんだ?」
「……気をつけろよ、ダイン」
「フンっ、言われんとも分かってる」
ダインは巻物に向かって強く念じた。
~エイジ762 12月24日~
「よくも……よくもォ……ウォォォォアアアアア!!!」
悟空の全身から青い稲妻が溢れ出る。
稲妻は地面を削り、大気がビリビリと振動する。
すると、悟空の髪色が金色に変わり、全身から金色の気が滲み出る。
悟空が無事超サイヤ人に覚醒した上空で、スラッグが現れる。
悟空を見るなり、懐から暗黒魔界の力で強化された神精樹の実を齧りつく。
溢れ出る途轍もない気に不気味な笑みを浮かべ、悟空に向かって急降下しようとした時。
「やらせるかよッ!」
ダインが斜め上からスラッグにドロップキックを食らわせ、スラッグが遠くの崖に突っ込んだ。
衝突音と共に崩れ落ちる崖の近くに降り立つダイン。
目を凝らして崩れ落ちた崖を見ていると、中から禍々しい気が柱になって何本を現れ、瓦礫ごと爆発し、中からスラッグが出てくる。
出てきたスラッグは眉間にシワを寄せて額に怒筋マークが浮き出ている。
―――聞いたとおり、短気な性格らしいな。この性格を利用できれば有利になれる。
「貴様……タイムパトロール隊員か、フッ! この俺が最強の力を手に入れた前ではどんなやつにも負けん!」
「ハァァ!!」
飛び込んできたスラッグにダインが構える。
飛んできた右ストレートを右に避けようとした時、右ストレートの速度が落ちて、代わりに左からパンチが飛んできた。
「ッ!!」
音にならない声を漏らし、予想外な所に飛んできた拳を右腕の腹で受け止める。
受け止めた途端、体に振動が走り、体が小さく揺れる。
そして、その場でジャンプしたスラッグは拳を絡ませて両拳をダインに叩きつけた。
それをダインは両腕の腹で受け止める。
普通に拳をぶつけるのであればまず鳴らないであろう重い音が鳴り響き、さっきよりも体に振動が走り、足が少し地面に埋もれる。
―――なんて力任せの攻撃だ。これならスピードで優れば行ける!
瞬間、ダインが高速移動してスラッグの後ろに回り込む。
右ストレートの構えをして放つ。
ワザとスラッグに防御する体勢をさせてからフェイクも右ストレートを止めて右回り蹴りが炸裂する。
これでは結局回し蹴りは守られたのだが、この後ダインは左回し蹴りをして、スラッグを両足で挟んだ。
そして、スラッグを挟んでそのまま上空へ飛ばした。
「フッ!!」
飛ばされたスラッグを追ったダインは右ストレートを放ち、直ぐに体勢を治したスラッグの左ストレートと衝突した。
衝突した所から衝撃波が散り、両者は高速移動しながら激しい攻防を繰り広げた。
高速移動で戦っているせいで二人の残像しか見えず上空には幾つもの衝撃波が散っている。
攻防の陶、スラッグの力任せの一撃に両腕をクロスして防御するも、数メートル飛ばされて地面に衝突した。
幸い、地面に足は付いたままだ。
サイヤ人の特徴からか、その時ダインは顔に笑みを浮かべていた。
そこに横入りするようにトランクスの声が通信で響いた。
『ダインさん、目的分かってますよね!? 楽しんでいる時間は無いんですよ!』
「っとそうだったな」
表情を切り替えたダインはスラッグを同じ高さまで浮遊し、対峙する。
「残念だけど俺たちには余り時間がないんだ。さっさとケリを付けさせてもらう」
ふと、ダインはスラッグのはるか遠くにいる悟空をフリーザの気を感じる。
今丁度二人は100%の力を発揮したフリーザ対超サイヤ人孫悟空の死闘が繰り広げられていた。
それを感じたダインは再びニヤリと笑い、
「あっちも本気で戦ってるんだ。こっちもお互い、本気で殺り合おうぜ……」
「ハァッ!!」
ダインの全身から金色の気が溢れる。
一瞬青色のスパークが発生するがすぐに消える。
髪色は薄い金色よりも少し濃い。
本気といっても一応体力に消耗を考えればコレが本気だ。
同じくスラッグからも禍々しい気が溢れて全身を包んだ。
お互いに超スピードで近づいていく。
再び両者の激しい攻防が続く。
本気でやっているからか衝撃波と共に青い稲妻も発生する。
数分間お互い一歩も譲らない攻防を続けた後、スラッグがダインの顔面を手で覆い、気弾を生成しようとする。
それを悟ったダインは急いで距離を取ろうと後ろに下がった。
しかし、読まれていたのか気弾はフェイクで直ぐにダインの後ろにスラッグが現れた。
スラッグの渾身の一撃がダインに当たろうとした刹那。
拳はダインの体を貫通した。そこでスラッグの顔に少し笑みが生まれた。
瞬間、ダインの体が薄くなっていき、消えた。
「なっ!?」
「こっちだ!!」
ダインが初めてジークと戦った時にも使っていた残像だ。
残像が消えた後スラッグの後ろにダインが現れ、スラッグの背中に肘で殴って攻撃した。
鈍い音と共にスラッグは地面に一直線で衝突した。
煙が消えた後やっと立ち上がったスラッグは地上に降り立ったダインを睨む。
「クソッ!!」
「無駄だ。今のお前じゃ超サイヤ人の力を完全に引き出せる俺には敵わない。諦めて大人しくやられることだ。そうすれば苦しんで死ぬことはなくなるぞ」
「クソッ! クソォッ!!」
声と共に地面を拳で削るスラッグ。
「俺は最強の力を手に入れたはずだ……!」
「お前の最強の力はそれっぽっちだったって事だ」
「ありえ……ぐッ!? ぐぉぉぁああああ!?!?」
いきなり唸り声を出し始めてスラッグにダインは反射的に後ろにジャンプして距離を取った。
唸りだしたスラッグは頭を掴んで息を荒くしている。
「はぁ……はぁ! …くっ、トワの奴、まさか……!」
『なにが起こるんだ……?』
「うォ、ア、ウガァァァァァァ!!!」
途端、スラッグの全身からこれまでに無いほどの禍々しい気が溢れ出た。
余りの気の風圧にダインも手で風圧をガードする。
「ウガァァァァァ!! ウガォォォォアアア!!!」
数秒間叫びながら全身から溢れ出る禍々しい気も絶えない。
ダインがそろそろスラッグの見る目が『気色悪い』に変わろうとした時。
叫び声がやみ、溢れ出ていた巨大な気のオーラが一旦無くなる。
そして再び禍々しい気に包まれた。
その色は黒、今までの気の中でも最も濃い黒だった。
そして、目は紅く煌めいており、その表情も常に笑みを浮かべている。
「な、なんだ。何が起きた?」
『気をつけろダイン! パワーアップしたそいつ相当やばいぞッ! こっちにビンビン禍々しい気が伝わってくる!』
通信でジークの警告を聞いてダインは直ぐに身構えた。
スラッグはその笑みを浮かべた表情から発せられた言葉は一言だった。
「殺す」
「―――ッ!!」
猛スピードで距離を詰めてきたスラッグに少し驚きつつも直ぐに構えを治したダイン。
そしてスラッグが右ストレートの準備をして放った。
ダインは直ぐに両腕をクロスして防御態勢を取る、しかし。
放たれたパンチはダインの予想の威力を遥かに超えてダインは防御していたのにもかかわらず飛ばされた。
幾つもの山岳を貫通しながら飛ばされたダインは4つ目の山岳に当たると同時に止まった。
余りの威力に上になっていた左腕の腹が負傷して血がダラダラと垂れている。
「クソッ」
左腕の腹を抑えながら呟いたダイン。
そして瞬間移動して目の前に現れたスラッグにダインは身構える。
再びスラッグが猛スピードで突っ込んでくる。
スラッグの右ストレートをダインは左に避ける。
そして前とは比べ物にならない速さで右回し蹴りが放たれた。
想定外の速さに負傷しているのも忘れて左腕の腹で受け止めてしまう。
「あがぁ!?」
途端、鈍い音と衝突音、そして鳴ってはいけない音が鳴った。
受け止められず右に飛ばされたダインは直ぐに回り込まれたスラッグに上空に蹴られる。
蹴られた腹に激痛が走るがそんな事は気にしている場合じゃない。
そして再び回り込まれてスラッグはダインの背中を殴って地面に叩きつけた。
煙と派手な音が響く。
何とかして意識を繋ぎ止めたダインはよろよろしながらも立ち上がった。
だが、まともに2回も途轍もない威力の攻撃を食らった左腕は力が入らずぷらーんとぶら下がっていた。
ダインの顔が大きく歪み、上空からゆっくり降りてきているスラッグを睨む。
~一方時の巣では~
「やばいですよ、ダインさんが完全に押されています!」
「なんという計り知れないパワーじゃ……」
「しかも左腕ももう使えない状態、後もう少しよ、悟空くんの決着が付くまで」
「このままじゃ奴を倒すどころか倒されそうじゃ」
すると、後ろでずっと黙っていたジークが口を開いた。
「……おい、その巻物を渡してくれ」
「……ジーク、行くの?」
「ああ、歴史は二人入っても大丈夫だよな?」
「え、ええ。問題は無いけど、でもあなた新人が入る時、強くさせるため任務には絶対に手を貸さないって言ってたじゃない」
「事が事だ。今回は特別しょうがない。これでいかなくてダインが死ぬのも嫌だしな」
それを聞いた時の界王神が優しく微笑み、
「そう、そうよね。じゃあよろしく頼むわ。絶対倒してくるのよ!」
「……言われずとも」
ジークは巻物に強く念じた。
途端、ジークの意識が途切れてどこか遠くに行った。
今回は新しい挑戦という事で前書きをあらすじっぽくしてみました