しかし、二人を倒したことは直ぐにトワにバレてしまう。
今回は少し短めです。
これはダイン達がスラッグを倒してから少し先の事。
未だに失踪した仮面のサイヤ人の捜索をしていたトワはもう怒りが爆発寸前まで来ていた。
「………………」
既に何回目歴史を移動してきたのかなんて分からない。
ナビゲート通りに歴史に行ってしばらくすると別の所に移動している。
その繰り返し。
もう怒りなのか脱力感なのか分からなくなってきたトワは肩を重く落として、
「……仕方ないわ、最後の手段に出ましょう」
既にいま来たばかりの歴史を捜索する気力も無いトワは杖に話しかける。
杖の先端に浮いている真紅の球体はナビゲートとしても使えるが通信機としても使える。
トワが杖に話しかけているとある異変に気づく。
「ターレス、スラッグ! 返事をしなさい! ………返事がないわ」
「……まさか」
通信機は何処の歴史に居ようが絶対にトワの声は届くはず、ならば通じないという事から推測される事は一つしか無い。
「まさか、倒されたっていうの……私達が仮面のサイヤ人を探している間に……?」
「それしか、考えられない」
トワは歯を噛み締め激怒した。
「……あいつが勝手に何処行くせいで……もういいわ、見つけたら仮面引剥して他の奴を探すわよ!!」
トワが怒りのあまり叫んだ時、トワが持っていた杖の真紅の球体が光りだしてアラームが響いた。
光るということはこの歴史に居る証、そして音が鳴るということは自分たちの近くに仮面のサイヤ人が居る証。
突然の事に唖然としているとミラが素早く後ろに振り向いた。
トワもそれに続くとそこにはボロボロに負傷している仮面のサイヤ人が居た。
「……ッ! あんた今まで何処に―――」
「おい、あんた。俺を回復しろ」
やらかした張本人に怒りをぶつけようとしたトワの言葉にかぶせて仮面のサイヤ人が呟いた。
一瞬の静寂が流れたがトワがある仮面のサイヤ人の異変に気づく。
「……なんで喋れてるの……」
そう、仮面によって洗脳されているはずの仮面のサイヤ人は自分で言葉を喋れるはずがないのだ。
「まさか、仮面が壊れているからその影響で洗脳が解けて―――いるはずないわね」
―――本当に洗脳が解けているのであればサイヤ人は私を殺そうと襲ってきてもおかしくはないわ。攻撃してこないのであれば洗脳は解けていないはず……
「仮面が破損、しているからではないか」
「そんな事はどうでもいい、さっさと俺を回復しろ! そうすれば俺はもっと強くなれる……!」
何かに気づいたかのように顔をハッとさせたトワはやがて嫌な笑みを浮かべた。
「……! なるほどね……」
「いいわ、回復してあげる。その代わり協力してもらうわ」
トワが杖を一振りすると仮面のサイヤ人の体が発光し始め、ジークによってやられた傷がどんどん治っていく。
やがて仮面のサイヤ人が仮面の奥で満足そうな笑みを浮かべると自分の腹部を思い切り殴った。
「がふっ……」
「もっとだ、もっと俺は強く、強くならなければ……」
それからトワと仮面のサイヤ人は傷つけては回復を繰り返した。
数十回繰り返した時、ミラが表情を変えずに呆れた声で言った。
「こんな事をして、なんになる」
トワがミラの方向に振り向く。
トワは今まで以上に不気味に笑うと、
「ふふっ……良いことを思いついたのよ」
「今まで散々やってくれお礼にこっちもそろそろ何かしてあげないとね? 潰しに行くわよ、コントン都を」
小さい声でふふふと笑うトワの後ろで仮面のサイヤ人もその不気味な笑いに続いた。
少し時は遡る。
ダークブルーの床の保管庫に転送されたダインとジークは尻もちを突きながら帰還した。
ダインとジークは深く息を吐きながら体の力を抜く。
「お疲れさん」
老界王神がダイン達を見ながら言うとダインは口を開く気力も無いのかゆっくりと口を開いた。
「……流石に今回は死ぬかと思った……まさか暗黒魔界の神精樹の実があれほどの超パワーを与えるものだったとは」
時の界王神が真剣な表情で言う。
「そうね、でもあれほどの力を持った神精樹の実を暗黒魔界の力で作ったのならドミグラの世代で一度崩壊している暗黒魔界の力は相当弱くなったはずよ。もう手を組んでいる奴が居ないのだったら後はミラを倒すだけで今回は一件落着よ」
「ミラも一度ジークに倒されたから力は劣っているはずじゃ」
「それでも侮れないけどね、トワたちのことだわ、何をしてくるか分からないわ」
それを聞いていたトランクスがパンと手を叩くと、
「それではしばらくの間は俺もみなさんも気を引き締めていきましょう」
そう言うと時の界王神は一応歴史を確認、老界王神は家に入っていった。
それぞれの行動をしている中、ダインは、
「トランクス、少し修行に付き合ってくれ」
「さっき任務に行ってきたばかりなのに大丈夫なんですか?」
ダインは暗い顔をしながら拳を強く握る。
「今回で俺はまた思い知らされた。俺はもっと強くならなくちゃいけない。親父の仇を取るためにも……ここを守るためにも」
「……はい、そういうことならご一緒します」
トランクスとダインは保管庫から時の界王神が作った疑似地球に向かって歩きだす。
それをジークが見ていると、自然に笑みを浮かべた。
時の界王神がいきなり笑っているジークに気づくと、
「……どうしたの?」
「いや、これからのダインの成長が楽しみだと思ってな」
そう言うと少し悔しそうな表情を浮かべた。
「俺はダインと戦った時も今回のスラッグの時も超サイヤ人の状態での本気で戦っていた。それに比べてダインは超サイヤ人2には敵わなかったものの、俺はあの時超サイヤ人で負けそうだったから超サイヤ人2を使ってしまったんだ」
「スラッグだってダインは超サイヤ人でも敵わない強敵にあがき続けた。だが、俺は超サイヤ人2の力に頼って今回は倒せたが……既にダインは俺の超サイヤ人を越えている」
「そして、ダインがこれからどんどん強くなっていけば必ず俺よりも強くなるだろう。俺もうかうかしてると不味いかもな……」
すると時の界王神が不思議そうに聞いた。
「でも、それだともう超サイヤ人2にはとっくに変身出来てもおかしく無いはずじゃない? なんで未だにダインは超サイヤ人2にはなれないのかしら」
「それは俺も不思議に思っている。今のダインなら超サイヤ人2になっているはず。なのにどうしてなれないのか……まるで何かのストッパーが掛かっているような……」
やがてジークは諦めた様にため息を付くと、
「……考えても仕方ないか。ま、その内なれるだろ」
そしてジークは保管庫の入り口にあるき始める。
時の界王神は再び歴史の確認に戻って振り向くと、
「……これでもしも俺が死んだとしても、ここを任せられる……か……」
「えっ?」
小さく呟いたジークの言葉に振り向いた時の界王神だったが、そこにはもうジークの姿は無かった。
最後までお読み頂きありがとうございます。
今回は区切りが良いため、短めにしました。
次回、ついにトワ達が動き出す予定です。