~エイジXXX~
崩壊した街、崩れ落ちたビル、瓦礫。
不自然に粉砕した大地、山岳。
もう人が住んでいるかも分からない時代の上空で浮遊する二つの影。
二人共赤色の全身タイツのような格好に所々の黒の装飾をした服をしている。
その二人の杖を持っているトワが苛立たしく声を張る。
「いない!? 何処に行ったのかしら!」
「気は、感じられない」
腕を組みながらそう言ったミラは暗黒魔界の科学者、トワに作られた人造人間である。
この時代はジークと仮面のサイヤ人が戦闘した時代。
中々帰ってこない仮面のサイヤ人にわざわざトワたちの方から迎えに来たのだが……。
「まったくいないわ! これじゃわざわざ仮面まで使って洗脳した意味無いじゃない!!」
杖をぶんぶんと振りながら叫んだ杖の先端には赤い球体が浮いている。
これは、仮面を捜索するための気のナビゲート。
ナビ的にはこの時代の何処かに居ることは間違いは無いのだが、気は感じないため、自分で探し回るしかない。
「あのサイヤ人が消えている内にタイムパトロール隊員が来たら不味いわ……速く探し出すわよ!」
キリが足りなく、タイムパトロール隊員に太刀打ちできないミラの代わりに仮面のサイヤ人に戦って貰うしか無い。
トワが移動しようとした、その時。
後ろからいきなりターレスが現れる。
先程の戦闘で肩パットの先端を少し削れてしまった程度で、そのほかの負傷はない。
「なんだ、いきなり呼び出して」
「来たか。スラッグはどうした」
「どうせ無視してるんでしょうよ。まぁ、その間に歴史を荒らしてくれているのはいいわ」
お互いが対峙しあう。
手を組むといっても、良好的なものではない。
100%信用出来るとは限らないのだ。
「あんたが言ってたパトロール隊員だがな……はっきりいってサイヤ人なのが嘘みたいに弱かったぜ」
「そう……以外ね」
「あれがあんたらが苦戦してる奴らなのかよ?」
「いいや、違う。恐らく俺を倒した奴じゃない」
無の表情の仮面を付けている様に表情を変えずに言うミラ。
「まぁいいわ。ターレス。一旦あなたは元の時代に戻っていいわよ。指示が出るまで目立つ動きはしないように」
「……ああ」
言われたターレスはそそくさと元の時代に帰る。
直ぐに振り向いたトワは、
「スラッグは仕方がないとして、余り目立つ動きをして奴らに気づかれるわけにはいかないわ。一刻も速く探し出すわよ!」
そう言うと、トワ達は黒い空に消えていった。
ある時代のある星。
ターレスが復讐のため、時代を荒らしている間、《クラッシャー軍団》は今も星を侵略しては神精樹の実を食べる生活をしていた。
暗黒の空に紅の稲妻が発生している薄暗い星。
太陽の光は届きづらいものの、星の住民が工夫をしては保っていた土地の栄養を《クラッシャー軍団》が目を付け、侵略して既に神精樹は途轍もない大きさまで成長していた。
神精樹の近くに円形の宇宙船が止まっている。
その宇宙船の近くにターレスは現れた。
スカウターに反応があった軍団の全員がターレスの所に集まってくる。
「お帰りなさいませ」
全員が息を合わせ地に膝を付ける。
その姿を見た部下たちを一瞥するなり、ターレスは視線を神精樹に移す。
「だいぶデカイ神精樹だな」
「これが実です」
渡された実を齧り付くターレス。
瞬間、体の筋肉が一瞬膨張し、体の奥から力が溢れ出る。
「素晴らしいな。こんなに効果が高い実は地球以来だ……」
続いて2~3回と齧り付くターレスに部下たちは、一斉に立ち上がった。
「長い旅、お疲れ様でございます。ごゆっくりお休みください」
一斉に礼をし、ターレスを宇宙船に促す。
ターレスは無言で宇宙船に入っていく。
歴史を荒らしている間、まともな睡眠を取れなかったので、今のうちに取ることにしたターレス。
懐から、トワから受け取ったドス黒く染まった神精樹の実を見て、口の端をニヤリと笑い、少し握る拳に力を入れる。
こいつを食べれば、自分は新たなる最強の力を手にする事が出来る。
しかし、コレを食べるのは今ではない。
復讐を誓ったサイヤ人の面汚しのカカロットに使い、殺してやるのだ。
そして、ターレスは懐に実を戻し、目を閉じようと―――
瞬間、外から爆音の爆発音と地震が起きる。
急いで外に飛び出すターレスの目に入ったのはとんでもない光景だった。
まず、宇宙船の横でメラメラと燃えている神精樹。
恐らく奴がやったのであろう人物が10メートル先くらいに腕を伸ばしている。
薄暗いので余り表情は見えない。
そいつは静かに腕を降ろし、目の間に並んでいる《クラッシャー軍団》を睨む。
臨戦態勢の《クラッシャー軍団》は謎の人物に向かって飛びかかった。
ターレスはその瞬間、今まで感じた事がないような拒否反応が体に入った。
そして、普段では言わないような事を言おうとした。
「やめろ!」と。
しかし、目を細める程の閃光がピカッと現れ、視界を遮断した。
瞬間、静寂だった星に鈍い音が連続して一気に鳴り響いた。
一瞬。
一瞬だけ遮断された視界に開放されたターレスは目の前に広がる光景に目を見開いた。
飛びかかったはずの《クラッシャー軍団》が全員、地面に倒れていた。
皆眉間に攻撃を食らっており、だが白目を向き、口から血が溢れ出ている。
恐らく致命傷だ。
閃光の一瞬だけだったのにも関わらず、普段から神精樹の実を食べて戦闘力を上げ続けている部下たちをこうも簡単に倒したのだ。
その光景をターレスは唖然としながら見ることしか出来なかった。
謎のそいつは歩いてターレスに近づいていく。
その内に真っ白くなっていた頭を再生し、状況を把握したターレスは飛びかかろうと片足に力を入れようとする。
だが、謎の人物は腕を上げてターレスの方に向けた。
瞬間、飛びかかろうとしていたターレスがまるで時が止まったかのように動きを止めた。
「なっ!? ……う、動けねぇ………!」
その瞬間、目にも留まらぬ速さでターレスに近づいた謎の人物。
その速さに驚愕するターレスをよそに、無言のパンチが腹に放たれた。
衝撃波がターレスの背中から溢れ、地面を削って後ろの宇宙船を横に倒した。
とんでもないパワーに戦闘服を当然貫通し、ターレスの体をも貫通していた。
鈍い音と共に抜かれた拳の後に、動けるようになったターレスはその場にうつ伏せに倒れ込んだ。
「あ……が……」
声が思う様に出ないターレスの髪を掴み、自分の顔の所まで持ち上げる謎の人物。
距離は近いものの、薄暗いこの星では顔をしっかりと確認出来ない。
謎の人物はターレスの付けていたスカウターを見ると、
「スカウター……気もまともに扱えない無能なサイヤ人が開発した弱者のサイヤ人の象徴……」
そう言った謎の人物はスカウターの戦闘力測定スイッチを押した。
数秒機械音が続いて、測定された戦闘力数は、未知数―――エラーだった。
その結果にニヤリと笑った謎の人物は思いき握ってスカウターを壊した後に掴んでいた髪を放つ。
再びうつ伏せに倒れたターレスは顔を動かし、謎の人物に向ける。
そして、謎の人物はなぜか笑いだし、
「フフフ、ハハハハハッ!! やはりその程度かサイヤ人! そうっ! 神に選ばれしサイヤ人の俺の力は到底貴様らのような弱者のサイヤ人には分かるまい! ハハハハハ!!」
瞬間、薄暗い星に一層大きな紅の稲妻が走る。
その光でターレスは見た。その謎の人物の顔を。
高笑いするサイヤ人の顔はまるで俺たちサイヤ人を下に見ている表情だった。
そして、確信した。
こいつはターレスと同じ正真正銘のサイヤ人だと。
そして、謎のサイヤ人は手のひらに濃い紫と黒が入り交じった禍々しい気弾を作り出した。
その気弾はその禍々しい光を強くし―――
星の三分の一を無に変えた。
暗黒の空の上空。
謎のサイヤ人は自分が作った星事態の形を変えるほどのクレーターを見るなり、不気味な笑みを浮かべた。
「これで4人目……ククッ」
謎のサイヤ人のその笑みはしばらく消える事は無かった。
最後までお読み頂きありがとうございました。
次回は必ずダイン対ジークにします。
それと、今回出てきた謎のサイヤ人の髪型はまだ前髪を失っていないベジータみたいな髪型です。