魔法少女リリカルなのは√クロスハート   作:アルケテロス

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人物紹介
【アルフ】
フェイトの使い魔。歳相応に幼く、直情径行なところがあるものの面倒見は良い方で、御主人であるフェイトをサポートする為に治癒魔法と拘束魔法に長けている。しかし本人(本犬?)としては肉弾戦が好みの模様。通常は子犬形態だが、必要に応じて子供形態になる。



第15話:淡紅色が照らすモノ【後編】

Side:アリサ

 

 これは、何度目の『また』なのだろうか? そう、『またしても』である。“なのは”に電話が繋がらない。――――という事は、『また』何かが起きているのだろう。具体的には、“すずか”の家で起こった神隠しのような何かが、『また』起こっているのかもしれなかった。

 

「繋がらないわね……。“すずか”の方は、どう?」

「うんん。こっちも駄目みたい……」

 

 何時ものバス停で通学バスが止まっても、“なのは”は乗り込んで来ず。その時点で何かがあったのかと思い、防犯で持たされている筈の携帯電話に掛けてみたところ、例の如く音信不通となってしまった。おそらく、意図的に電源を切っているとは考え難いので、やはり同じようなケースに巻き込まれているのだろうと推測してみたものの、結局のところは()れ止まりである。

 

 不安になっても何ら解決の糸口は無く、“なのは”も何かを知っている筈なのに教えてはくれないので、何もかもが分からない。どうせ、今回もひょっこり戻って来るのかもしれないけれど、ここ最近で起こっている不審な事象は危険度を増しつつあり、関連性が有るにせよ無いにせよ、無事に戻って来て欲しいとは心底思っている。

 

 まったく……。この不安の落とし前は、一体如何してくれようか?

 

 取り敢えず、次の御茶会は家で開くとして、ついでに1泊2日くらいは泊まらせるのも有りだろう。勿論、御風呂には一緒に入るし、ベッドは1つで同衾だ。すずかとは出来て、私とは出来ない道理などは無いのだから、此処までは押し通せる筈だ。それから、夜会用のドレスを着せまくったりして――――

 

 

~~

Side:なのは

 

 古今東西、エネミーシンボルと鉢合わせをしたら即戦闘というのは、様式または典型例として有名なので、不本意ながらもそれに倣って戦闘エリアならぬ結界を張り、変身してバリアジャケットを纏ってみましたが、如何やらそれは私の早合点のようでした。

 

「待った。私は、あんたと戦いに来たんじゃあない。話をしに来たんだ」

 

 そう言って、アルフさんは一瞬光に包まれたかと思うと子犬型から人型へと姿を変え、恐る恐るといった感じで話を続けました。

 

「あんた、以前フェイトに言ったそうじゃないか。ジュエルシードを持ち去ってくれるのなら、それはフェイトでも管理局でも構わないって……。あれは、まだ有効なのかい?」

「ええ、有効ですよ。私からしてみれば、フェイトさんも管理局もどの様にジュエルシードを扱うかは預かり知らぬところなので、この世界や私の親類縁者に被害が及ばなければ構わないと思っています」

 

 そもそもの話。私が管理局に不信感を持っているのが事の発端で、危険物もといロストロギアを封印して然るべき場所で管理をしているとは聞き及んでいますが、見方を変えればロストロギアを蒐集しているだけに過ぎず、果たして悪用をする事無く、その崇高な理念を守れているのか如何かまでは分かりません。

 

 よって、それ故の保険と人手不足解消の為、フェイトさんの回収を黙認しているというのが正しい実状だったりしますが、敢えて注釈を入れずに見送ります。

 

「ならさ……。今回のジュエルシードの回収は、私達に任せておくれよ」

 

 そうアルフさんが言うや否や、遠方で――――臨海公園からもそう遠くはない海上辺りで、幾つもの大規模魔力反応を感知しました。波長からして、おそらくはフェイトさんとジュエルシードによる物。

 

 なるほど。つまりこれは、交渉と足止めなのでしょうか……? 手段としては悪くはないのですが、仕掛け方があまりにも御粗末な気がします。だって探す為とはいえ、魔力流か何かを海に撃ち込んだのでしょうけれども、ジュエルシードを7個も強制発動&暴走させてしまっては、被害ゼロを信じるのは無理があるというものです。なので、急ぎ現場へと向かわざるを得ません。

 

[> “なのは”、こちらクロノ。そちらでも感知していると思うが、緊急事態だ。どうか手伝ってくれないか? <]

 

 そして掛かる支援要請の念話。これで大義名分はバッチリです。

 

[> したいのは山々ですが、現在足止めを食らっておりまして…… <]

[> それは承知済みだ。しかし、君なら突破も容易い筈だろう? 期待している <]

 

 しれっと「モニターしているぞ」という暗示に呆然すること暫し。……さて、気を取り直して再考です。アルフさんを魔法で気絶させたり、振り切ること自体は確かに容易なのかもしれません。しかし、力量差を考慮したのでしょう。“話をしに来た”と言うアルフさんに対して、魔法で以って回答するのは少々ナンセンスのような気がします。

 

「アルフさん。暴走中のジュエルシード7個、フェイトさんだけで封印出来ると思いますか?」

「それは…………」

「信じたい。でも、心配ですよね?」

「うっ……。そりゃ、そうなんだけさ……」

「なら、一緒に行きませんか? 今直ぐに向かえば、きっと助けられると思うんです」

 

 こうして不安を煽り、決断を迫ることで強引に同行の承諾を得た私は、短距離転移で現場上空へと移動をしたのですが……。吹き荒ぶ風、舞い上がる波飛沫、猛威を振るう7つの竜巻など、一目で見て近付きたく無いなと思えるくらいの状況でした。

 

………

……

 

「だから、フルチャージして撃ったんです。《 ディバインバスター 》を」

 

 1つ1つの場面を思い返し、言葉にして。

 

「それで封印されたジュエルシードを僕とユーノ、フェイトとアルフが取り合っている間に、発射元不明の次元跳躍攻撃魔法により本艦のセンサー類が一時沈黙。続く第二撃目が現場へと落ち、結果として僕達が4個、フェイト達が3個のジュエルシードを確保した後に彼女達は現場から逃走し、戦闘は終了。概要は以上となります」

 

 それをクロノさんが引き継いで、リンディ提督へと受け渡し――――

 

「ふむ……。まぁ、取り敢えず4個だけでも守れたのは喜ぶ事にしましょうか。では、30分の休憩を挟んでから再開とします」

 

 このように纏められて、話は一段落しました。ええ、そうなのです。先程まで絶賛反省会もとい検証会の様なものをやっておりまして、丁度終わったところだったりします。戦闘終了から換算すると、あれから(おおよ)そ2時間経ちました。

 

 文字通り、青天の霹靂(へきれき)のような第三者の攻撃魔法により戦闘が終わってしまった為、その戦闘詳報を作成する前の参考資料作りとして、「こうして反省会を開くのが、この艦の習わしなの」と自称アースラのお姉さん事、エイミィさんから教えて貰ったのですが、正直に言って場違い感がもの凄かったです。はい。しかし如何やら、ようやく一息が吐けそうで……。

 

「ちなみに、“なのは”さんとクロノは残るように」

 

 訂正。どうやら、もう少しだけ続くみたいです。

 

 

 

~~

Side:クロノ

 

 艦長の人払いにより、会議室に残ったのは、僕と艦長と、“なのは”の3人のみ。艦内では3番目の序列にあたるエイミィを除いてまで、すわ何事かと思ったものの。始まったのは何とも穏やかな尋問風景――――否、面談のような物だった。

 

 フェイトについて。アルフについて。ジュエルシードについて。管理局について。“なのは”の家族や友人について、“なのは”自身は如何思っているのか? そういった漠然とした質問を淡々と問いかけ、淡々と返って来た言葉を聞く。たったそれだけの、5分にすら満たない短い遣り取りを経て、艦長は彼女を退出させてしまった。

 

「では、今度は()()()()()()()()()に質問します。今までの話や行動を聞いて見た上で、“なのは”さんの事を如何思っているのかしら?」

 

 いや、あれだけで如何と問われましても……。

 

「執務官の目線で言えば、戦力としては大変頼もしい限りなのですが、現場に私情を挟みかねないのが懸念事項だと思っています。そして個人的には、まぁその……。良い子、なのではないでしょうか?」

 

 管理局ですら、ほんの一握りしかいない貴重なSランク魔導師であり、甘さは目立つが行動力と良識は兼ね備えている。故に彼女が望み、努力さえすれば武装局員でも戦技教導官でも、執務官にでもなれるに違いないだろう。

 

「そうね。とっても良い子だとは思うのだけれど、此方側に心を開いていないのがネックなのよねー……」

「確かに言葉遣いは硬いとは思いますが、それは艦長の職責を重んじているからこその配慮なのでは?」

 

 そう伝えると、艦長は一瞬遠い目をして何事かを勘案していたようだったが、何か面白い事でも考えついたのだろう。満面の笑みを浮かべつつ、僕にこう告げたのだった。

 

「ねぇ、クロノ。貴方、ほとんど有給休暇を取って無かったわよね? この事件が終わったら、“なのは”さんが通っている学校へ短期留学してみたらどうかしら? きっと勉強になると思うわ」

「……………………はい?」

 

 一体、何が如何してそうなったのか。全く検討が付かないものの、知見を広める為ならばそれも存外悪くはない。――――のかもしれなかった。尚、これが後に甘い考えだったと思い知らされるのは、また別の話である。

 

 

 

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