魔法少女リリカルなのは√クロスハート   作:アルケテロス

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人物紹介
【御神 美沙斗】
美由希の実母で、恭也の叔母。とある事件により、当時はまだ赤子だった美由希を兄の士郎に託し、長らく姿を消していた。その為、高町家の家系図は大変ややこしく、高町士郎と高町桃子の血を受け継いでいるのは“高町なのは”のみで、恭也と美由希の間柄は従兄妹同士だったりする。尚、現在は和解済み。

【赤星 勇吾】
恭也の数少ない男の友人。剣道家として生計を立てており、学生時代の頃は恭也や美由希と遊びで打ち合ったりもしていた。しかし最近は疎遠気味で、上位互換に等しいシグナムが現れてしまった為、更なる疎遠が懸念される。



第32.7話:群青色に染まれども【閑話】

Side:はやて

 

「お帰り、シグナム。少し遅かったよーやけど、何か有ったん?」

「済みません、主“はやて”。実は先程まで、彼の青年と語り合っていました」

「おおっ! それはつまり、あの双剣使いの御兄さんの事やな!?」

 

 結局あの戦いは、素人目では分からない事ばかりでしたが解説役のシャマルによると、千日手だったので御兄さんが態と負けてくれたらしく、最終的にシグナムが1位を取り、2位は運良く上がってきたチャラそうな男性で、3位が例の御兄さんという順でした。

 

「そんで、茶でも誘われたんか?」

「いえ。そんな華やかな物では無く、再戦の約束をした程度です」

「うーん……。それならまぁ、ある意味では健全な付き合いやね…………」

 

 そもそも、乙女回路どころか現代倫理が備わっているかも怪しいシグナムに、恋愛小説的な展開を期待する方が間違いだったよーな……。それ以前に、私の脳内が御花畑なだけである可能性が無きにしも非ずですが、巡回と護衛以外にやりたい事が増えるなら、家長としては快く背中を押してあげたいと思います。

 

 多分、本人達にとっては苦痛じゃないんやろうけど、折角の人型で知性も在るんだから趣味を見つけて遊んだり、楽しんでくれたらなーと密かに願っておりまして、この流れでヴィータやシャマルやザフィーラにも何か影響が有ればと期待してみますが、はてさて……。

 

「健全も何も、彼は男である前に剣士です。ならば、切りたくなるのは当然かと」

「ふむふむ。理屈が謎やけど、納得してるならそれでもええよ」

 

 取り敢えず、再戦の日には御兄さんに渡す菓子折りと、シグナムの弁当を準備せなあかん事は理解しました。あとは、動きやすくて可愛い服を用意するのも追加で。

 

「あー、せや。再戦するのは何時頃なん?」

「翌日の午後1時に合流する予定です。……ところで、何か問題でも?」

 

 

 

 いやいやいや、大問題ですよって。

 

 

 

「あんなぁ、シグナム……。もしや、ジャージ姿で行こうなーんて考えとらん?」

「そのつもりでしたが、変えた方が宜しいのでしょうか?」

「その方がええよ。何てったって、服は鎧やからな」

「服は鎧……。その心は?」

「つまり、他人にダサい恰好を見せたら騎士やなくて、ニート侍としか思われへんよ?」

「…………成程。心に刻みます」

 

 納得して貰ったところで、次は優先順位を付けます。菓子折りは最悪無くても良いから後回し、弁当の献立については多分どーにかなる。となれば、最初にすべき事はトレーニングウェアとインナーの購入やな。幸いな事に、シグナムが勝ち取った商品券も有る事やし、ちと勿体無いけど使ったろ。靴に関しては、有る物で問題無い筈やから……。ま、一先ずはこの方針で行こか?

 

 

~~

Side:美由希

 

「喜べ美由希。手合わせの相手が見つかったぞ」

「えっ……? ああ、えーと……。何か、良い事でも有ったの?」

 

 本日の予定は特に無し。という訳で、リビングのソファーで(くつろ)ぎながら読書をしていたら、脈絡も無しに其の様な言葉が降り掛かって来ました。美しい文学とは真逆である粗野な表現。この場合、「寒暖差で風邪を引きそう」といった形容は適切や否や?

 

 ともあれ、遠慮もせず本の世界から現実へと私を連れ戻した挙句、何故だか闘争心を顕わにしている恭ちゃんは外出先で何をして来たのやら……。そう呆れつつも好意的に許せてしまう辺り、まだ振り切れて無いなーと感じます。もう既に終わってしまった事だから、この未練も捨ててしまえれば楽なんだけどね。まぁ、それはさて置きましょうか。

 

「ひょんな事から素晴らしい剣士と出会ってな、意気投合をして今に至る」

「成程。ところで、その人って女性だったりするのかな?」

「その通りだが、性別なんて二分の一の確率だろう? 特に重要では無いと思うぞ?」

 

 その二分の一で女性の知人ばかりを増やしている人は、何処の誰なんだか……。“なのは”曰く、恭ちゃんは生粋の【フラグメイカー】らしいけれども、この片寄り具合は神掛かっているなと他人事の様に思います。これで件の女性剣士が同年代の綺麗な人なら、恋人である忍さんの心労がマッハになるのは確定です。

 

「ねぇ、恭ちゃん。その人の年齢ってどれ位? あと、手合わせする日は何時なの?」

「恐らく20代前後。手合わせは明日の13時に集まって、山の方でする予定だ」

「……それさ、忍さんにも話しといた方が良いと思うよ?」

「別に、逢引き等では無いんだがな……」

 

 因みに、念の為に容姿や印象も聞き出してみると、「ポニーテールをした美沙斗さんが、普通の大学生をしているイメージに近い」という返答だったので、凛々しくて優しい雰囲気が有る美人さんなんだろうなーと察しました。うん、思いっきりアウトだよ恭ちゃん。

 

「まぁ、何だ……。一応、忍には話しておく」

 

 そして翌日。案の定と言いますか、忍さんと従者のノエルさんが見守る最中、想像以上に美人剣士であるシグナムさんに対して、私と恭ちゃんで交代しつつ竹刀で打ち合う事になったのでした。どっとはらい。

 

 

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