【マリエル・アテンザ】ver.2.037
眼鏡で白衣を着こなすマッドエンジニア。腕は一流だが、ロマンチストなのが玉に瑕。予算と許可さえ有ればデバイスに魔改造を施してリミッターを掛けたり、新装備の構想や実験をしたり等、仕込みに余念が無い。
【シャリオ・フィニーノ】ver.2.037
眼鏡で白衣を着こなすマッドエンジニア其の2。技術面ではマリエルを尊敬しており、実際に助手として貢献できる程の知識と能力を備えているが、性格や思想は一般的な少女と変わらない……筈であった。面影が何処となく、“なのは”の姉である美由希に似ている。
Side:すずか
良くない事が起こっている。――――唐突に“なのは”ちゃんが学校を休んで、音信不通になった前回がそうだった。だからこそ、状況が同様である今回もそうなんだろうなと推察して、ある程度の覚悟と諦観をしていたつもりでしたが、やはり悪い変化が有ると心苦しく感じます。
「お早う“すずか”ちゃん、アリサちゃん」
珍しく、通学バスを利用せず早めに登校したらしい“なのは”ちゃんは教室で私達を待っていた様で、見慣れない白手袋を着けていました。
「お早う、“なのは”ちゃん」
「お早う、“なのは”。10日振りだけど、また怪我でもしたの?」
「うん。でも、地獄先生よりはマシだから」
そう言いつつ白手袋から左手を抜いて見せてくれましたが、手の中心を貫く縦線の古傷とは別に、手の平を彫刻刀で
「あんたね……。その調子で怪我したら、左腕が遠からず『
「流石に、これ以上は無いと思いたいなぁ……」
それから“なのは”ちゃんは、利き手じゃない右手でやる宿題や食事の大変さに、先生方への説明で一々傷を見せる面倒さを
やがて先生が教室へと訪れ、出欠確認と朝の会が始まって何時も通りの日常が再開するかと思いきや、珍しい事に転校生が居るとの事。その紹介をすべく、先生は黒板に“高町フェイト”と書いた後、廊下で待機していた子を教室へと招き入れます。雰囲気から察するに……、冷淡な性格なのかもしれません。
アリサちゃんよりも色合いが明るい金色の髪、綺麗だけど無機質さを感じる表情と
「“高町フェイト”です。短い間ですが、宜しく御願いします」
馴れ合うつもりは無い。そんな無言の主張すら
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Side:なのは
実のところ、9月頃の文通では明らかになっていたのですが、フェイトちゃんは条件付き無罪な訳でして、その条件には島流しもとい「地球で5年間は滞在する事」という条件も含まれていました。
ならば、友達の近くが良いという理由で海鳴市に住むことが確定し、日本の法律的に義務教育も有るので、じゃあ友達と同じ【聖祥大学附属小学校】に編入すると決まりましたが例の襲撃で予定が狂い、デバイス改修に機能確認がてら訓練したりで4日間。フェイトちゃんへ日本人的常識やら、校内における
さて。
数ヶ月前からクロノさんが手続きや学習用具等の準備を済ませ、エイミィさんによる情報収集と事前教育が
私が通う【聖祥大学附属小学校】は私立校なので、普通の小学校の生徒と比べれば同級生達の知性や品性も高いとは思うのですが、自立精神が
「ねぇ、“なのは”ちゃん。フェイトちゃんは親戚の子なの?」
「親戚で友達だよ。仲良くなったのは割りと最近だけど」
人類皆兄妹という観点で見れば、従姉妹と言えなくなくなくも無いかと。
「へ~……。“なのは”も、普通に友達を作れるのね」
「や、結構な紆余曲折が有りました」
「Understood. ……何時かセッティングしてあげるから、普通の交際もしてみなさいな」
「アリサちゃん。友達は作るんじゃなくて、為るものだと思うよ?」
「それは親友や知己でしょ。友達って、もっと簡単な関係で良いんじゃないかしら?」
「まぁまぁ、二人共その辺りで……」
アリサちゃんと“すずか”ちゃんは、容姿やファミリーネームで注目されるので人が集まりやすく、広く浅い交友関係が必然的に多いです。とは言え、そんな浅い関係の人まで友達に含めていたら、身体と時間が足りなくて付き合いきれない様な……。いえ、別に私が気にする事ではありませんね。それを良しとするなら、それはそれで良い事なのです。
時に、無造作に千切っては投げるかの如く塩対応をしていたフェイトちゃんは無事に質問攻めを突破したらしく、同級生達の壁はさっぱりと無くなっていました。休み時間は残り僅かですけど、折角なので声を掛けておきます。
「お疲れ、フェイトちゃん」
「うん……。転校生って大変なんだね……。ところで、其方の二人は?」
「“アリサ・バニングス”。“なのは”の親友よ」
「“月村すずか”です。私も、“なのは”ちゃんの親友です」
ひゅー。何故、此処で謎の対抗意識を出したのでせうか。そして“すずか”ちゃんは
「……そうですか。
「はぁ? それってゲームか何かの話かしら?」
「部外者には答えられません」
「ふーん……。まっ、仲良くやりましょ。“なのは”の為に」
あのその……。三者共に親友である為、友達の友達と仲良くなれるかは別として喧嘩せずに済めば良いなと願っていましたが、こんな相互不可侵条約もどきの締結は何とも……。けれどコレ、火元が口を挟める事では有りませんよね。沈黙は金なり。
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そして訪れた放課後。体育の授業で、フェイトちゃんと“すずか”ちゃんが風切り音がするくらいの速度でドッジボールを投げ合っていた事以外は至極平和でした。何だかんだ、遠からず馴染めるのでは?
尚、日常における不安要素は解決の兆しが見えて参りましたが、非日常サイドたる魔導師襲撃事件の進展は宜しくないです。回復に努め、準備したところで
そんな風に、内心では
「“なのは”、今日は如何するの?」
此処のところ、と言うかデバイスの改修後から私達は毎日1~2時間程の戦闘訓練を続けており、復讐鬼と形容するには
それはさて置き、管理局が保有する過去の交戦記録によるとベルカ騎士は近距離戦が得意との事。じゃあ、付かず離れずの中距離戦で頑張るしかないですねーと鍛えて
「連日の中距離戦は飽きてきただろうし、近距離戦でもしようかなと」
「それって……、私が“なのは”を追い立てれば良いのかな?」
「うんん。フェイトちゃんも追い立てられる側だよ」
具体的には、御兄ちゃんor御姉ちゃんに。メイン武器は小太刀という短めの日本刀を二振り使っていますが、武器なら一通り使えるらしいので今頃は模造刀で切り合ってウォーミングアップをしているのではないでしょうか?
いや~……、念の為に経験を積んだ方が良いと考慮したからこそ御願いするに至ったものの、近接戦闘への
「……よく分からないけど、楽しみにしておくね」
そうクールに決めたフェイトちゃんでしたが、1時間後には我が家の道場で熱心に斧を振るうフェイトちゃんと、使い慣れない筈の長刀で苛烈に攻める御兄ちゃんの姿が其処に在りました。攻防が
カットカット。
先ずは、この訓練を専念して終わらせましょう。もう怪我は勘弁ですからね。その次は御風呂で、またその次は夕食。そうやって淡々と終わらせて行けば、何時かは事件も終わります。反省や反動なんて、最後の次で構いませんよ。
「良し、此処まで」
「ふぅ…………。有り難う……、御座いました」
「それじゃ、“なのは”。またやろっか?」
「……宜しく御願いします」
フェイトちゃんと御兄ちゃんが端に寄り、私と御姉ちゃんが中央に出て第3ラウンドが開始されました。因みに今日の訓練は、私とフェイトちゃんで交代しながらあと3試合、つまり計6試合やるとの事。是非とも欲しいですね、無尽蔵の体力。
そんな
強引に突き飛ばしたり、拘束魔法で足止めすれば中距離戦へと移行できるんでしょうけど、記録映像や交戦経験から察するに
「“なのは”、下がるだけじゃなくて前にも出てみろ。初速を殺された剣は、切れ味が良い棒でしかない」
要するに、防御魔法で良い感じにシールドバッシュするなり減速させれば脅威度は下がると。参考になります。そして空気を読んだのか、御姉ちゃんが大上段から長刀を振り下ろしてくれたので、
そうやって学びを得ながらも今日は過ぎ行き、平和な一日となりました。いやー、明日以降は筋肉痛に悩まされるでしょうから、もしドンパチするなら明々後日から先を期待したいところですが、如何なる事やら……。まぁ、一番良い解決方法は『