魔法少女リリカルなのは√クロスハート   作:アルケテロス

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デバイス紹介
【レイジングハート・ヴァルカノーネ】
マッドエンジニア達に魔改造された『レイジングハート』。“なのは”の対魔導師戦における膨大な魔力消費量から、ベルカ式野戦砲にも使用されている大型カートリッジを採用する案も有ったが調達コスト面で却下され、大量の汎用カートリッジを消費する事で魔導師側の負担を局限まで減らす…………筈だった試作カートリッジ・システム『ウルカヌス』が採用された。予備弾倉19個、装填数60発、本体装着済みの弾倉と合わせて計1200発。予備フレームは3組格納しており、他にも色々と仕込まれている模様。



第44話:ラストダンスは盛大に【前編】

side:なのは

 

[> ねぇ、フェイトちゃん。そっちは司令部と通信できてる? <]

[> こっちは大丈夫だけど、“なのは”の周囲にある魔力残滓(ざんし)が邪魔しているんだと思う。今だって、“なのは”が念話を飛ばしてくれたから繋がったようなものだよ? <]

 

 まさかの自業自得でした。何だかんだで、この短時間の戦闘で2マガジン120発を使い切っていましたからね。然もありなん。実際に貯蔵用として吸収したり、干渉してみればラジオのチャンネルが合うようにちゃんと繋がりまして、クロノさんやリンディ提督から御小言を頂いた後、作戦を改善すべく集まる事になりました。

 

 因みに、後段作戦から参加するユーノさんや、クロノさんの師匠であるリーゼアリアさんとリーゼロッテさんも加わり、【闇の書】の主らしい少女と融合中の『管制人格』さんことリインフォースさんも前線メンバーに含むなら総勢14名と、今更ながら凄い作戦を実行しているんだなーと感じます。

 

「特例措置だが、此方【闇の書】の主“八神はやて”及び『守護騎士』達と共闘することになった。これまでの蒐集行為は騎士達の独断で、一般人だった“はやて”には知らされてなかったらしい。水に流せとは言わないが、今この場において責任問題は不問とする」

 

 如何やら、司令部やクロノさんの意見を総括すると『使えるモノは使う』方針で行くみたいですね。どのみち現状を鑑みずに留置所へ送るには惜しい戦力なので、手伝ってくれるのなら嬉しい限りです。

 

「“八神はやて”です。事態収拾の為、尽力します」

「“高町なのは”です。宜しくね、八神さん」

「…………」

「で、あっちで()る気を放っているのがフェイトちゃんです」

「……変な動きしたら、私が御首級(せきにん)()るから覚えていて」

 

 ん~、至極殺伐。しかし時間は進み、【闇の書】の破片っぽいのが集結して(まゆ)みたいな物を作っているので些末事は無視し、クロノさんに視線を向けて話を促します。

 

「作戦の変更箇所は、主に“なのは”の負担を振り分けるぐらいだな。そもそも、通常なら武装局員を連隊規模で招集したいところなんだが……」

 

 クロノさんから「まぁ、“なのは”だしな……」みたいな視線を投げられた後、第二形態について八神さん達に説明がてら、新しい作戦が示されました。【闇の書の闇】、()しくは畏怖と嫌悪を込めて【止まらぬ破壊機構(アンストッパブル・ディスラプター)】とも呼ばれる物体は出現後から多重複合防御魔法を展開しつつ、脅威度に応じた迎撃やら無差別な捕食行為をするらしく、ともあれ堅牢な防御魔法を破って体積を削り、お宇宙(そら)へ打ち上げて汚い花火にしなくてはいけません。

 

 制限時間は、地球が滅びるまで。

 

 (もっと)も、それほど悲観していませんけど朗報も有り、無限転生を繰り返すための旅をする機能はリインフォースさん側に組み込まれているとの事で、アレを強制転移で宇宙に移動させる事さえ出来れば次元巡航船の戦略魔導砲《 アルカンシェル 》で対消滅させたとしても復活はしないだろう。――というのが司令部とリインフォースさんの見解らしいです。

 

「過去の交戦データから、約25秒間隔でオーバーAAAランク相当の火力を5連続ほど叩き込めた場合、防御と再生能力を超過して奴の制御中枢まで迫れるだろうと試算されている。それを念頭にヴィータ、シグナム、フェイト、“はやて”、次に自分ことクロノ、最後に“なのは”という順番で短期決戦を仕掛けたい」

 

 尚、従来の案では『私→フェイトちゃん→私→クロノさん→私→それでも駄目そうなら対地艦砲射撃』という大変ブラックな案でした。6連続にして心の余裕を得るのも大事ですが、どうか人材も大事にして欲しいところ。

 

「そしてアリアとアルフ、ザフィーラは妨害と支援攻撃を頼む。ロッテとゼスト2尉は遊撃要員で、ユーノとシャマルは観測と強制転移魔法の準備を。必要が有れば指示はするが、即席のチームなので臨機応変に動いてくれて構わない。あくまでも目標は、無事に勝利する事だ」

[> クロノ君、コード【止まらぬ破壊(U・D)機構】の活動再開まで予測時間2分切ったよ! <]

「了解した、エイミィ。では各員、指定座標へ移動する様に。健闘を祈る」

 

 そう言ってクロノさんは、凍結魔法に特化させた決戦用戦術デバイス【デュランダル】と4基の浮遊ユニットを(たずさ)え、己の指定座標へと飛んで行きました。あのフィン・ファンネルみたいな物、何時か【レイジングハート】にも凄く付けたいですね……。

 

[- I think it's Technically possible. -]

「それじゃ、これが終わったらマリエルさんに頼んでみるね」

 

 (しか)しながら、多分それは叶わない気がします。現状ですら【レイジングハート】は十分に強いので、今回以上にヤバい案件というのは早々起こるとは思えないのです。まぁ、常設は無理でも試験評価用で試せるでしょうし、その為にも()ずは勝たねば。

 

 

 

 そして約1分後、コード【止まらぬ破壊(U・D)機構】が孵化しました。

 

 

 

 名状し難い冒涜的なビジュアルをした怪物は、今まで呑み込んだであろう無機物や生物を混ぜ合わせつつも、それが破壊へと機能する事を予期させるような不気味な調和性を保ち、頭部と思わしき頂点には異形の女神像が据えられています。他にも6本の多脚、4対8枚の歪な翼、3つのカラフルな光輪、触手等々。へぇ、奇遇ですねー……。私にも有るんですよ。同じ数の光翼と光輪が。

 

[> この有象無象、“なのは”の真似をッ! <]

[> あっ、おいっ! 一番手は私の役目だろ! <]

[> 譲ってやれ、ヴィータ。どうせ叩き込む回数は変わらん <]

[> そりゃそーだけどよ…… <]

 

 偶然の一致かはさて置き、フェイトちゃんが怒って切り込んで行きました。シグナムさんの言う通り、順番は暫定的なものですから特に問題は無いのですが、例えば明らかに魔法初心者な八神さんに急な順番変更とかしたら、心構えが崩れて魔法の発動が不安定になる恐れが有ります。

 

 そういった理由や、そもそもブリーフィングをした意味とか、何で本人以外が勝手に怒って独断専行しているんだとか色々な点でアウト判定ですけれども、その御蔭か結構な威力を出せているように見えます。と言うか、魔力で作った刀身を一時的に数十メートル伸ばしての横薙ぎって、フェイトちゃんもすっかりベルカ面に染まりましたね。きっと遠からず、半実体弾を音速の6倍ぐらいまで電磁加速させて投射するフェイトちゃんを観測できるかもしれません。

 

 (とき)に、先程から念話ではなく各員に通信モニターを1つずつ追従させて映像共有&録画を行っております故、下手な事をすると戦後評価よりも怖い『心象評価の下方』が発生しかね……。あっ、もうクロノさんがチベットスナギツネみたいな虚無顔をしているので、これは戦後に雷が落ちるでしょう。

 

[> なかなかやるじゃねーか。こっちも派手にブチかますぞ、アイゼン! <]

[- Jawohl.(ヤヴォール) -]

 

 それから先は、ヴィータさんが何時ものように巨大化させたアームドデバイスでゴルディオンハ〇マーした後、シグナムさんが剣と鞘の連結から巨大バリスタを生み出し一射貫通して、じゃあ次は八神さんの番かと思いきや異常な魔力反応を感知。赤黒い柱みたいな魔力流が海中から無数に湧き立ち、それと同時に《 封時結界 》が強制的に解除されてしまいました。

 

[> 何だ、この魔法は! <]

[> ……侵蝕変換魔法《 イルミンスール 》。あらゆる物や生命を魔力に変換する固有魔法だ。本来なら、この様な使い方は―――― <]

[> 効果範囲が急速拡大! ま…、間も無く惑星全体が効果圏内にっ!? <]

 

 クロノさんやリインフォースさん、エイミィさんが何かしら嘆いておりますが、説明と状況から察するに地球全域で命が変換され、束ねられているのでしょう。現在地は、私が住んでいる海鳴市藤見町から数十km離れた沖合上空なのでよく分かりませんけど、()しかしたら私の家族やアリサちゃんや“すずか”ちゃんの生命力だって、何処かの柱に吸い上げられている可能性がある。

 

「ロード・カートリッジ」

[- 《 Divine halo : Peril point 》 -]

 

 滅びてしまえ。私の大事なモノを傷付けるなら、滅びてしまえば良い。(かつ)て御父さんを帰さなかったように奪うのなら、()()()()()()()()()()()()

 

「カウントレスっ!!」

 

 24基のバスター・スフィアから光芒が垂れる。――降り注げ。浄化せよ。牙を、爪を、翼を、脚を、砲口を、触手を、光輪を、尻尾を。その悪しき全てを撃ち砕け。私達の幸せの為、喜びに満ちた未来を夢見る為に、御前は私が終わらせる。

 

 

 

 どうかどうか、さっさと■■■■■遊ばせ。

 

 

 

 毎秒1発。時を刻むかの如くゆっくりとカートリッジを食らい、余剰魔力と混合させた圧縮魔力を魔法陣へと流し込む。照射され、防御魔法や装甲を削り取って霧散した魔力残滓を回収し、再び圧縮魔力に混ぜて照射する。

 

 魔力で構築された躯体の破片。砕けた防御魔法から溢れる魔力。偏差射撃をせずに、拘束魔法などの(から)め手もなくバラ撒かれる攻撃魔法の魔力魔力魔力……。其処彼処(そこかしこ)に魔力が漂っています。嗚呼、そう言えばこの柱は魔力流でしたね。折角なので借りましょう。何せこれは仇討ちも兼ねていますから、きっと心地好く加担してくれると思います。

 

如何して、こんな事に……」? アレが諸悪の根源です。

怨めしい」? 丁度そこに敵が居ますよ。

助けて欲しい」? 助けるので助けて下さい。

滅ぼせ」? 無論、悩むまでも無く。

 

 ええ、そうですね。許すまじ。赦すまじ。その■■、確かに請け負いました。だから如何か、少しだけでも手伝ってくれませんか?

 

(あまね)く命へ、束の間の平穏を(もたら)さんが為に」

[- Master? What's happened? -]

「つまり……、『私達は独りぼっちじゃ(We'll never fight alone.)ない』って事だよ」

 

 気持ちを新たに、ガッションガッションと装填機構による振動が激しい【レイジングハート】を魔法で浮かべ、空中にて固定します。や、別に保持が面倒になった訳ではありません。轟々と湧き上がる濃密な魔力流を受け入れるなら、精密機器は遠ざけた方が良いかなと思いまして、念の為に20mくらいは離しておきます。一度、【ルーンライター】でやらかしましたからね。当然の処置ですとも。

 

[- Master!? That action is dangerous!! -]

 

 あの【レイジングハート】でも声を荒立てる。そんなトリビアを増やしながら、羽を可変させて魔力流と接続。供給ラインを開……あ、ミ゛ッ

 

………

……

 

 

 

~~

side:はやて

 

 彼女――“高町なのは”さんは被害者の一人で、私はシグナム達の主だからフェイトさんがしたように恨まれて当然なのに、微笑みながら挨拶をしてくれた。そんな彼女が怒りを顕わに、神罰とすら思える程の壮絶な魔法を行使している。いやはや、躯体に閉じ込められている時に使われた魔法も凄まじかったものの、これ程までに怖くは無かった。

 

 何でシグナム達は、一番怒らせたらアカン相手に喧嘩売ったんやろな?

 

 それが切っ掛けになり転機になったんやろうけど、高町さんの優しさも相俟(あいま)って心と頭が痛い。取り敢えず、地球滅亡エンドを回避せにゃならんので魔法初心者なりに貢献して、そっから先の事はケセラセラやね。

 

[- 準備が整いました。あとは発動用の呪文を唱えるのみです -]

「ありがとな、リインフォース。で、呪文は……。ほーん、頭ん中に浮かんで来よるとは便利やね」

 

 手取り足取り。本来なら、もうちょっとスローペースで教わりたいものの……。初戦がこないな最終決戦なので、諦めざるを得ませんNA。恐らく、現時点なら自動運転みたくリインフォースに全部任せた方が早いし強かろうとも、同い年っぽい高町さんやフェイトさん(礼儀的に名字で呼びたいけども、分からへん)が頑張っているのに、自分だけ頑張らないのは筋が通らんっちゅー話や。

 

 聖杖を頭上に掲げ、最後のピースを埋めるように呪文を(そら)んじる。流し込む魔力量も、ターゲットの設定も、射出角度も着弾位置修正もリインフォース任せ。情けない? そないな感情、車椅子生活の初期で捨ててしもうたわ。

 

「熾天に()えよ、我が鼓動。出でよ巨獣、全てを圧し潰せ」

 

 さぁさ、御開帳。

 

「ジャガーノート!」

 

 銀光を帯びた円錐状の魔力弾を5連射。高町さんが雨霰と撃ちまくっていたビームと比べれば地味なのは仕方無いとして、着弾箇所から異常重力圏が拡大し、瞬く間に防御魔法と共にコード【止まらぬ破壊(U・D)機構】の巨体を潰し、挟み、捩じ曲げてもうた。

 

 何でも有りやね魔法。只これでも威力が足らんのか、それともコード【止まらぬ破壊(U・D)機構】がしぶといのか、破損した外殻を卵のように破って新たな生体パーツが膨れ上がる。……正直、エイリ〇ンとバイオ〇ザードで鍛えてなければ、あまりのキモさに叫んどったかもしれん。

 

 そんな事を考えとったら、下方の左斜めという死角にあたる位置から来た強風に煽られ、少し揺らぐ。あの辺は確か、高町さんが陣取っていたような――――

 

「あー、うん……。エヴァン〇リオンで見覚えがあるやつやね……」

 

 目を離してと言うか、初めての魔法で精一杯やったから何が有ったのかは分からん。(しか)し、「暴走状態かも?」と思えるぐらいには高町さんの翼や光輪がでかくなって、数えるのも億劫なぐらいに分岐&分裂している。いやいや、何でも有り過ぎやろ魔法……。流石に魔法初心者でも危険を感じるほどの魔力濃度やのに、それを至近距離で浴びてて大丈夫なんやろか?

 

[- あの濃密な魔力流を奪い、己に取り込むとは随分無茶をする…… -]

「そうせーへんと、負けると思ったんやない?」

 

 普通に6割勝てるor無茶すれば9割勝てるのとでは、安心感が段違いやからね。実際の思惑は知らんけど。まぁ、リインフォースから見ても大丈夫そうなら大丈夫と信じ、意識を名状し難い生物へと向ける。

 

 そもそもの話、眠気と緊張と興奮と怖気がぐっちゃぐちゃになってて、他人を心配する余裕なんて雀の涙ぐらいしか無い。“はやて”は激怒した。何故、良い子でねんねしてた9歳児がこんな目に? やはり天使共はクソであります! 現世を煉獄だと勘違いしとんのなら、頬を二度も殴った挙句スイカバーによる串刺し刑で修正してやらねばならぬ。

 

[> 悪に告げる。冷々(れいれい)たる棺の内で、白き静謐を奏でよ。……凍てつけっ! <]

[- 《 Eternal coffin 》 -]

 

 勝手にヒートアップしかけた最中、クロノさんの魔法が発動して青白い閃光が海諸共に冒涜的存在を急速冷凍し、その無限再生を強制停止させてもうた。てかあの浮遊ユニット、ファンネルじゃなくてリフレクター・インコムの仲間やったんやね。それに強力な魔法なのか、5秒経っても変化は訪れない。

 

「おおっ、砕いておらへんけど『 おわるせかい 』(コズミケー・カタストロフェー)やん! カッコええな~」

[- 我が主。アレはまだ、もう一当てする必要が有ります -]

「…………如何にも絶対零度で凍らせとるのに、まだ動けるんかアレ?」

[- 魔法生命体に対し、通常の物理法則は当て嵌まりません -]

 

 なるほど。気温も気分も冷えたところで、気合いを入れ直して威力増し増しの魔法をリインフォースに選んで貰う。

 

 そうやっている内に氷像が徐々に砕け、先程のやり直しかの如くうねうねと肉塊が湧き出すもスルーする。アレに脅威判定されて優先的に狙われたら、リインフォースに全部任せないと砲台にすらなれへん。シグナム達や他の魔法使いの人みたく、回避や防御しながら攻撃なんて魔法初心者にとっては無理に等しい。せやから余計な事はせずに、遠距離から狙い撃つのがベターやろ多分。

 

[> 埋め尽くせ! 《 鋼の(くびき) 》!! <]

[> 仕掛けるよ、ロッテ。《 ミラージュ・ハウザー 》! <]

[> おうよ、アリア。《 ミラージュ・アサルト 》! <]

 

 高威力の魔法が飛び交い、様々な色をした魔力弾も入り混じる。綺麗ヤナーと黄昏ながら発動準備をする最中、恐らく高町さんっぽい魔力反応の増大を感知。コード【止まらぬ破壊(U・D)機構】が(おぞ)ましいなら、こっちは怖いやろか? どちらにせよ、ラスボス染みた魔力を至近で感じるのは心臓に(よろ)しゅうない。

 

[> ……集え、凶星。必中相殺、光あれ <]

[- 《 Starlight breaker 》 -]

 

 桜色の砲撃が、闇を祓う。うちが放った《 ジャガーノート 》なんて子猫ちゃんだと思える程の馬鹿げた火力で、見間違いでなければ海ごと吹き飛ばして、海底が見えてしもうた。只それでもコード【止まらぬ破壊(U・D)機構】はぎりぎりで耐えたらしく、高速修復をしながら絶叫し、さっきよりも魔法の乱射が激化している。

 

 あれが最後の足掻きor単なる怒りにせよ、あまりのしぶとさに辟易(へきえき)してしまう。何故、あの連続攻撃の最中で昇天しなかったのか。そんなんやから、もっと痛いのを叩き込まれる羽目になるんやろ。

 

「ふー……。やっぱり、ぶっつけ本番は難しいよね……」

「あの、高町さん。何か御用でも――――」

「魔力が減っているみたいだから、あげようかなと思いまして」

「は? ……えっ?」

 

 何時の間にか真横に居た高町さんが、ドスっとうちの胸元に帯状の魔法を突き刺して3秒チャージ。空腹感とはまた別の、保有魔力量の残量感覚が5割ぐらいから10割へと満たされ、未知なる感覚に少し酔う。見渡せば他の人にも返答を待たずやっている様で、複数の帯による犠牲者がどんどん増えて行く。

 

「それじゃ、後半戦も頑張ろっか?」

「お、おぉ……。せやな!」

 

 桜色の眼光が怪しく煌めき、左手の甲からも同色の魔力光が鮮血と共に溢れ、その微笑みは敬虔(けいけん)な聖女の如し。「逆らうなかれ。撃ちてし止まぬ、勝つまでは」――――言外に、そう告げられたような気がした。

 

 

 

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