【夜天の書】ver.2.052
現代では貴重な魔導書型ストレージ・デバイス。古代ベルカ時代の製作物と推測されており、嘱託魔導師『八神はやて』が個人所有している。何処となく【闇の書】に似た装丁だが、古代ベルカ時代において魔導書型は珍しくない形状なので類似品と
side:なのは
「うちで御茶会するわよ!」といった有無を言わさぬアリサちゃんからの招集メールが届き、早くも週末。
そんな感じで開かれた久々の御三家ティーパーティーなのですから、積もり積もった話が出るわ出るわ……。まぁ、主にアリサちゃんが止まりませぬ。
聞くところによれば、世界中で発動した侵蝕変換魔法《 イルミンスール 》によってイギリスに居る遠い親族だったり、『バニングス建設』海鳴支社の役員が亡くなったりしたそうで、折角だからと両親に連れられて日英の葬式を社会経験させられたとの事。確かに、進んで参加したくはないですね。
「国ごとに主要な宗教も、葬式の方法も違うのは理解していたつもりだけど、何で日本の葬式って火葬した後に御骨を拾わせたりする訳?! 知ってはいても、実際に見るとやっぱりショッキングだったわ……」
「アー、ウン。御愁傷様ナノ。あれはあれで、きちんと見送ったり決別する意味があるらしいよ?」
いや、
魔法が存在するのですから、ピンク髪の魔法少女に召喚されて巨大ゴーレムを十七分割していたり、異なる歴史を歩んだ明治時代へ飛ばされて流浪人&剣聖をやっていても不思議ではありません。
「でもこう、もうちょっと優しい見送り方が有るような……。まっ、辛気臭い話は此処までとして、この先からが本題。最近“すずか”も親友が増えたそうだし、御茶会のメンバーを増やそうか悩んでいるのよね。別で開くのも準備が大変だろうし、まるで仲間外れみたいじゃない? そもそも、私達のコミュニティーの規模が小さいだけだから数人増えても許容範囲内だと思うのだけれど、“なのは”や“すずか”的には如何かしら?」
「3人でも予定を合わせるのに苦労しているし、これ以上は難しいと思うよ?」
「私も同意かな。それに、“はやて”ちゃんと話すのは物語に関する話題が多いから、御茶会の楽しみ方とはまた違うんだよね」
「あのねぇ、もう少し会話を弾ませなさいよ。『招きたい親友が出来たの?』とか色々有るでしょうに……」
「え? アリサちゃんの色眼鏡に適った子が居るの?」
「それを言うなら御眼鏡っ! 居るには居るけど、3人とも東京だから遠いわね」
「へー……。それで、親の職業は?」
「確か、セキュリティソフトウェア開発会社の創設者一族と、警視庁の上から四番目の警視正に、あとは警備会社の経営者だったかしら?」
「そういう所だよ、アリサちゃん…………」
一般的かはさて
少し前の私みたく、優しくて平凡だと自負していそうな子なんて石を投げれば当たる程度には居るでしょうに、意外なことに私のような親友さんを見掛けた覚えが無いのです。時間は有限であり、身体は1つなので交友範囲は制限すべきかもかもではありますが……。
とまれ、アリサちゃんはそんな風に
ふむ。このマカロン、カリカリで甘美ですね。善きかな。
「ところで、“すずか”ちゃん。最近の出来事だけど、私と“はやて”ちゃんが御友達になったって話は知ってる?」
「……初耳だね。二人は、どんな風に知り合ったの?」
「御兄ちゃんが夏頃にシグナムさんと切り合って、それ経由で
「嗚呼。だから一時期、御姉ちゃんの機嫌が悪かったんだ……」
忍さんと恋人関係になってから、御兄ちゃんの
多分その内、人型になれるタイプの宇宙戦艦を海岸で保護したり、別の次元世界から降って来たロボット美人姉妹と仲良くなっても、私はもう驚くことはないでしょう。御兄ちゃんですからね。何時ものやつです。
「ちょっとタイム……。どんな経緯があれば切り合う訳?」
「それはねー。夏になると臨海公園で御祭りがあるんだけど、――――」
楽しき日々。大切だと思える家族や親友が居て、アニメに漫画にゲームといった娯楽に囲まれて、たまに模擬戦などで気分転換をする。そんな幸福だけで満ち足りていれば良いのに、私の
あの日の侵蝕変換魔法のせいか、ずっと大気中の
念の為、関係各所にそれとなく伝えているので初動遅れは無いでしょうけれど、何が起こるのかが分からないというのは非常に厄介です。
「そうそう、二人共。最近、雲行きが怪しいから気を付けてね」
「ざっくりし過ぎて意味不明なんだけど……。それって、運勢の話?」
「
「あんた、シリアスなのかコミカルなのか。どっちかに決めなさいな」
ええ、はい。
「まぁ、“なのは”がそんな事を言うのは珍しいし、槍の雨が降って来るとでも思って大人しくしとくわよ……。その代わり、2月になっても何も起こらなかったらガトーショコラを
「合点です。“すずか”ちゃんは如何するの?」
「それなら……、私はショートケーキで」
「おっけー。オーダーを承りました」
憂いよ、去れ。
嗚呼されど、天地抱きし世こそ煉獄ならば、
生ある限り、憂いは去らず。
避け難きモノとあらば、廻れ、愛しき刹那よ。
数多の憂いを措いて、
汝ひとり、我が胸を射止めよ。