『闇の三人衆』
コード【止
side:なのは
初めから、嫌な予感はしていたのです。私やフェイトちゃんや“はやて”ちゃんのドッペルゲンガーみたく、あんな風に精巧かつ魔改造が可能ならば、他の誰かでも仕上げるのは難しくないだろうな~と考えた事はあります。それでも、まさかこの人選になるとは…………。
「知己の為なら、押っ取り刀で即制裁! 『劫火灼然の討ち手』アリサ・スティクス!」
「大切な人の為に、今こそ冷徹なる意志を。『雪華の舞い手』すずか・コキュートス」
「「貴方の心に正義を刻む! 【ブレイズ・ヘイル】、堂々顕現っ!!」」
アリサちゃんっぽい人は大太刀型デバイスを構え、白いチャイナ服みたいなバリアジャケットの上から黒のロングコート。
“すずか”ちゃんっぽい人はグローブ型デバイスを装着し、白と藤紫のメイド服を纏うだけでなく頭部にはホワイトブリムも完備しています。
えぇ、はい……。明らかに混ざってますね、『灼眼のシャナ』が。
昨今のライトノベルでは超人気作の1つですから、私のデータなり《イルミンスール》で不特定多数の人から吸い上げた時に知ったのかもしれませんけど……。何故、こんな悪魔融合を? あと戦隊ヒーロー物みたいな名乗りも混入しており、珍しく頭が痛いです。
「さぁ、我が宝具【フレイムアイズ】の
「“なのは”ちゃん。支援砲撃、御願いね?」
「アッ、リョーカイナノ……」
その後。焔の翼を
「えーと……。有り難うアリサちゃん、“すずか”ちゃん。二人は如何して此処に?」
「“なのは・オードナンス”、あんたの勧誘に来たのよ。でも家に行ったら居ないし、こんな所で孤軍奮闘しているしで、よくもまぁ砲撃型なのに単騎でやれるわね……」
ほうほう。よく分かりませんが、そういう設定と認識であることは理解しました。
「ところで、今後の予定は? このまま【
「むしろ、私達それしか出来ないような……」
「それに
少し距離を取り、回れ右。先程から敢えて閉じていた空間モニターを表示させますと、其処にはエイミィさんではなくリンディ提督が映っていました。まぁ、閉じたところで向こうからの映像と音声が届かないだけですし、緊急であれば強制的に繋げますから、「静観して欲しい」という意図は正しく伝わっていたようで何よりです。
「リンディ提督。私はこの3人で、脅威度が高いポイントを攻略したいと思います」
[> 確かに、此処で戦力が増えるのは有り難いのだけれども……。本物のアリサさんや“すずか”さんは、自宅に居ると確認が取れています。それを踏まえても、偽者である彼女達を信頼するのですか? <]
「あの日、その場で味方になった
シャマルさんは例外ではありますが、最初の襲撃で1対3をやられて墜とされた後悔と怒りは根付いていまして、苛烈に復讐するつもりは無いんですけどね?
[> “なのは”さんからして見れば、それもそうよねぇ……。分かりました。監視を続行しつつ、クロノかフェイトさんが近場になるように調整して、万が一に備える感じで良いかしら? <]
「はい。それで御願いします」
交渉終了。それからまたエイミィさんへと画面が変わり、次のポイントである神奈川県の上空を指定されました。この距離なら飛行魔法で飛んだ方が魔力消費量は少ないものの、貯めに貯めた余剰魔力があるので惜しみなくテレポートしませう。
「方針は決まったようね? なら早く行きましょ。時間は有限だもの」
「あっ、アリサちゃん。待ってよ~……」
「…………まぁ、それもアリサちゃんらしいね」
一緒にテレポートするつもりだったのに、アリサちゃんと“すずか”ちゃんは保有魔力量に自信があるのか単独でテレポートして行きました。それはそれで、私の消費魔力が節約されるので有り難いんですけど、総量的に大差無いんですよね……。
取り敢えず、さくっとテレポートして追い付きます。
そして神奈川県上空、ポイントA2。黄金色の夕日に照らされるは巨大な黒煙。……如何やら、まだ実体化というか実害化?はしていないようで、少しだけ安心しました。
「それじゃ改めて、悪即斬の再開よ! 閉ざせ、《 封絶 》!」
パチンっ!と軽快な指鳴らしの音が響くと同時に、アリサちゃんを中心に結界が拡張されて世界の位相がズレました。内側から見る分には、アリサちゃんの魔力光である明るいオレンジ色の炎が所々舞っているくらいで、機能としては《 封時結界 》と変わらないように思えます。
原作みたいな因果の断絶なんてミッドチルダ&古代ベルカ的な魔法の領分を超えてますから、流石に其処までは再現されなかったみたいですね。
さて。そうこうしていると反応したのか、黒煙が人型へと変貌し……。『守護騎士』の皆さんになりました。只、騎士甲冑のデザインが当世風ではないので、恐らく“はやて”ちゃん以前の誰かに
「……もう嗅ぎ付けたか、管理局の魔導師よ」
「はぁ? そんな面倒な所に縛られているのなんて、“なのは”だけなんだけど? 私とこっちの“すずか”は『
「断る。我等にも大命があるのでな……。あとは、その剣で語るが良い」
「
一閃。シグナムさんとアリサちゃんの魔力光を伴う斬撃が射出され、空中でぶつかり合うことにより開戦の合図と成りました。ところで、こっちは3人で向こうは4人なんですよねー……。
アリサちゃんも“すずか”ちゃんも、それなりに魔力反応が有るのでフェイトちゃん並みに強いとは思いますが、此処は素直に私がヴィータさんとシャマルさんを請け負った方が無難でしょうから、誘導弾で追い回して分断させます。
「てめぇ、攻撃するくせに引き撃ちすんのかよ! ちゃんと戦いやがれ!」
「えぇ……。1対2なのに、逃げられる方が悪いと思うのですが?」
「うっせえ、腰抜け! さっさとブチって潰れろッ!」
「ヴィータちゃん、無理はしないで!」
嗚呼、本当に見た目や性格だけはそっくりですね。でも何故か、私と戦った事が無いような口振りや戦術なので、此処は一気呵成に墜として終わらせます。この場に居るアリサちゃんや“すずか”ちゃんみたく、特異個体なら少しは
「《アクセルシューター》」
[-《 Barrage 》-]
カートリッジ消費数は8発。そして生成する誘導弾は40発。
「はっ、そんな見掛け倒しが当たるかってんだ!」
「そうだと良いですね。では、頑張って避けて下さい」
[- Fire -]
別に、誘導弾だからって最初から最後まで全てを思考操作する必要は無く、極論を言えば迎撃されずに当たればオーケーです。
詰まるところ、理想としては赤外線だの画像を認識して追尾してくれれば楽なのですが、誘導弾に其処までの機能を付与するのは難しい為、ターゲットに追従しつつ誘導弾の中間及び終端誘導を行い、更に周囲にある誘導弾を統率して乱数回避機動をさせる《マーカー・スフィア》さえ用意すれば、大体の問題は解決します。
勿論、欠点はありますよ?
魔力消費量が多い上に発射準備まで時間が掛かり、《マーカー・スフィア》を破壊されると再誘導が面倒なので放棄したら魔力は無駄ですし、そもそも空間ごと爆破されたら乱数回避機動も無意味とかエトセトラ。……まぁ、誰かが気付いて露骨に対策しない限りは、愛用したい所存です。
「ぐっ……。この、……悪魔め。…覚えて……やが、れ……」
「あ…あ……。ごめん……な……さ…………」
さて。余った並列思考を遊ばせている内に、34発の着弾を確認。ヴィータさんとシャマルさんの贋作物は、フェイトちゃんの闇と同様にデータ片を散らしながら消滅して行きました。
[- Target neutralized -]
「ふぅ……。アリサちゃん、“すずか”ちゃん、そろそろ勝てそう?」
「相打ち上等でやれ、ばっ! 勝てなく、もないわねっ!」
「こっちは、もう少し掛かるかも……?」
耐久値下方疑惑がある闇の皆さんですけど、得物や近接戦闘技術が似ている長剣VS大太刀だとアリサちゃんの腕では苦戦するようで、“すずか”ちゃんの方は本人の慎重さとザフィーラさんの頑丈さも相まって長引いているみたいです。
気持ちとしては、二人を信じて声援を送りたいところではありますが、残念ながらこれは模擬戦に非ず。この後もさくさく攻略する必要がある為、良心を押し殺しつつシグナムさんとザフィーラさんを適当に
「あーもー、あのベルカ騎士やたら強いのなんの……。ありがとね、“なのは”。流石は、音に聞こえし『弾幕の引き手』様ってところかしら?」
「横槍を入れて仕留めただけなので、あまり感謝されましても…………」
そも一番強い相手を任せてしまった負い目が有るので、素直に受け取れません。無論、変な異名については関係無く不要ですが。
「単騎で2人撃破して、残りも私達以上にダメージを与えてきっちり撃破。これだけ貢献しているんだから、むしろ堂々と褒められなさいな」
「うん。私も同意見だよ、“なのは”ちゃん。あと
「……ともあれ、こっちはこっちで連携を試行錯誤します故、御了承の程を」
敵の数や種類にも因りますが、バインドで足止めしたり1発の誘導弾を向かわせるだけでもアリサちゃんや“すずか”ちゃんは楽になるでしょうし、直接的な魔力供給の他にも最終手段を含めて多々色々。
思い返せば、管理局の方針なのか高ランク魔導師は単独行動を重視されており、模擬戦もそれを想定した物ばかりでしたので思考からすっかり抜け落ちていました。連携・協力・援護の2文字達……。今度暇が出来たら、フェイトちゃんや“はやて”ちゃんを誘ってPvE形式の模擬戦か、何かしらのゲームで融和団結をしたいところですね。
「そう言えば、連携と言ったら……」
「簡単に出来るアレが有るよね、アリサちゃん?」
「あの、“アレ”とは……?」
「『レアノイレ』の事よ」
「…………成程?」
何も分かりませんが、連携に関する例のアレが有るようです。では全指向性マイクの代わりに【レイジングハート】を突き付け、再度訊ねてみましょうか。多分きっと、何かが分かると思います。