《 ステラ 》
“なのは”の闇であり、凶星として撃ち捨てられた『イデア』の断片。不完全ながらも自我を取り戻し、現状を把握してしまったが故に日常への回帰を諦めた。
side:なのは
やうやう御布団のヌクモリティが際立ちたる早春の
良いことも悪いことも怒涛の勢いで押し寄せ、全てに変化を
……ところで極一部、今が見頃の桜でディバインとか《 SLB 》を思い出すのか複雑そうな感情を
「とうっ、はああああーーーー!!」
「動きが固いで、お猿! 無駄な筋肉付けすぎとちゃうんか?」
「はっ、技のキレが落ちている亀に言われてもな? 御前はもう少し、筋肉を付けろ」
「おぉー、脳筋のあまり観察眼も
さてさて。
春の陽気のせいか、久し振りにレンちゃんと晶ちゃんの喧嘩が勃発しております。昔みたいに居間とか縁側とか『翠屋』の厨房ではなく、庭の一角にある道場を選ぶだけの冷静さは残っているようですが……。取り敢えず、仲裁する前に観戦中の御兄ちゃんから事情聴取をします。
「……御兄ちゃん。何で、レンちゃんと晶ちゃんの戦いを見守っているの?」
「此処最近、めっきり喧嘩をしてないから合意の上で一勝負したいと相談されてな。初回という事も有り、審判をする流れになった」
「実質、証人役なのでは?」
「そうとも言う」
それから暫く見物していると、晶ちゃんによる激流の如き攻撃に身を任せどうかしているレンちゃんが適宜反撃するパターンが続き、やがて判定勝ちを
―― 結局、最後までレンちゃんの方が勝率は高かったですね。 ――
さめざめと五月雨が降りしきる深緑の候、6月。バリアジャケットの応用で、全身に透明な防護フィールドを張れば雨天外出も苦では無く、快晴が恋しくなれば雲の上を飛べば良いので湿気対策以外は気にせず平穏な日々を送っていた折に、何時の間にか身体付きが
まぁ、運動不足よりかは良い事ですし、出身世界は違えど男子たる者そういう理想が有るんだろうなと思いながらスルーします。アリサちゃんや“すずか”ちゃんみたく気軽に話す間柄でもないので、要件を聞かねば雑談にも身が入りません。
「久し振り……だね。“なのは”さん」
「御久し振りです、ユーノさん。また何か厄介事ですか?」
「正確には
空間モニター越しでも気不味そうな表情だけで色々察せますし、歯切れの悪い挨拶も加われば尚の事。それにしても未だとは、これからパンドラの箱でも開けるんでしょうか?
「僕が『無限書庫』の司書長に就任してから、これまで手付かずだった蔵書の整理区分やデータベースへの登録と修正を進めていた最中、封印魔法で閉ざされた『禁書体験室』という未知のエリアを見付けてしまったのが事の発端となる」
「んー……、閲覧室じゃないって所が気になりますね」
「うん、僕もそう思った。只そこで……、封印魔法を解除しないと内部を調べようが無いのに、脅威度が未知だから纏まった戦力を要請できずに困っているんだよ…………」
成程。でも管理局の人材事情的に、私のようなオーバーSランクとかAAAランクなんて払底している筈ですし、そもユーノさんの安心安全ラインが私基準となった
「確認なんですが、『無限書庫』で攻撃魔法を使っても大丈夫だからこそ私に声を掛けたんですよね? 場合によっては砲撃もしますけど?」
「空間バックアップは取っているし、外壁ごと撃ち抜かなければ何とかなる……らしいよ。仕様上は」
「一応、保険として八神家の近接組にも声を掛けてみます」
「珍しいね。フェイトさんじゃないんだ?」
「撃墜されたツケも有るので、早めに清算して清々しい気持ちで御付き合いしたいなと思いまして。あとは、こうでもしないと接点がなかなか……」
「あー……。そういう……事情なんだね。何となく分かるよ」
如何やら流れ弾だったようです。その後、“はやて”ちゃんの推薦によりヴィータさんを
「数十万にも及ぶ、
―― 時に、ヴィータさんとの連携が思いの
刻々と紅葉が色づき始める
幾度も実戦やら模擬戦を繰り返し、身体強化魔法のパワーアシスト込みとはいえ筋肉らしき物はそこそこ鍛えられておりますが、じゃあ徒競走や玉投げが得意かと問われると否であり、魔法並みに面白いとは思えないのでテンションも低空にて滑空中です。レンちゃんと晶ちゃん、そして御母さんが協力して作るランチ・ボックスは楽しみなんですけどねー。
他にも、『ブラッディ・イヴ』等と呼ばれるようになった日が近付くに連れてアンニュイな気分が増して行く為、冬に次いで微妙な季節です。
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しんしん雪が舞い降りる哀悼の候、12月。
怪しさを感じながらも大丈夫だろうという傲慢な態度で
おまけに
―― 嗚呼、全く……。かわいそかわいそ、なのですよ。 ――
私を愛してくれた家族と家族同然の人達、それから親友に知人の皆さんが
「…………【レイジングハート】、そろそろ出航準備を」
[- All right. My master. -]
本人の主観としては、何も問題はありません。自分の死後を強くなってコンテニューするだけなので続きはしますが……。本当の意味で帰るのなら、やはり『今の自分が存在しない、死なずに済んだ自分自身が居る世界』ですよね? だから、帰れないのです。
「行先は……、取り敢えず近しい世界で。暫く化物は見たくありません」
[- I agree too. -]
まぁ、ちゃんと帰れなくても立ち寄りはしますよって。たまに『翠屋』のスイーツが恋しくなりますし、魔法少女は砂糖にスパイス、そして素敵な物で出来ているそうなので適度な休息も必要です。……ええ、休息するったら休息しますとも。