[ フェイト・T・ハラオウン ]ver.2.5.073-RD
鎌を振ったり、敵にも優しかったりする方のフェイト。オールラウンダーで模擬戦の戦績は良いが真剣勝負は苦手らしく、気当たりや肉迫を得意とする“なのは”や『
[ 八神 はやて ]ver.2.5.073-RD
【闇の書】の呪縛により、両足が動かなくなっていた方の“はやて”。現在は完治済み。中遠距離型なのに、まともに中距離戦が出来る&予定を合わせやすいのはフェイトしか居らず、此処暫くは伸び悩んでいたが……。
side:天使 綺羅々
7月16日、日曜日の14時頃。ステラさんの深謀遠慮により『時空管理局』への嫌がらせも兼ねて、彼等の観測拠点が有ると思われる東京から遥かに遠い……イギリスに在るストーンヘンジまで転移し、其処で初めての特別授業を受ける事になりました。
時差を考慮するなら現地は早朝の筈ですけど、結界が張られていると全てがほんのり赤く染まるので夕方のようにも見えますね。
ところで、ストーンヘンジの一部である横倒しになった大石をベンチ代わりにするのは大変失礼だと思うものの、ステラさんは結界越しだからセーフという謎理論を持ち出した為、不承不承ながら座って待機しています。黒板も筆記用具すらも無い青空教室、果たして上手く理解できるのでしょうか……? いざとなれば、記録係の桐咲さんから映像データを貰うしかありません。
「では、これより特別授業を始めます」
「宜しく御願いします」
「……と言っても、魔法の本質だとか原理をくどくど説明するのではなく、体験会みたいな感じで魔法に触れて貰いたいなと思っているので、
そしてステラさんが指を弾くと、
その代わり、マリーゴールドを想起させる橙色を基調に、濃紫や乳白色、真紅などの落ち着いた色合いで纏まっており、鏡に映った自分を想像してみますと似合っているようにも感じて嬉しいやら恥ずかしいやら……。
「あの……、何ですかコレ?」
「
「そっちじゃなくて、格好の方です……」
「防護服ですね。またの名をバリアジャケット。肌が露出している部分にも透明なバリアが張っており、小口径高速弾であれば難なく防ぎ、火中でも水中でも活動できます」
「済みません。何故、こんなデザインなのか?――という意味で尋ねました」
「
コレが、私の理想……? 第三者として見る分には好ましいデザインですけど、自分から進んで着るには覚悟が足りていない気がします。そんな風に呆然としたまま特別授業が始まり、あれよあれよという間に魔力弾とか砲撃とか拘束魔法や防御魔法に、地面から少し浮かんで飛ぶ滑空魔法などを教わりながら再現できるようになった事で、喜楽の情よりも困惑感の方が勝って来ました。
――「誰だってマジック・ユーザーには成れますよ?」――
以前、ステラさんはそう話していましたが、魔法を使う度に精神的な疲労だとかマジック・ポイントらしき何かが失われる感覚も無く、明確なイメージを思考入力するだけで簡単に使えるのなら、『時空管理局』がわざわざ地球の現地人を雇う必要性は乏しく、この特別授業を受けるのだって桐咲さんでも良かった筈。
問えば今までのように色々教えてくれたとしても、私達はそれが正しいのか検証する
「さてさて、退屈なチュートリアルは此処までです。最後は模擬戦で遊び、次の授業に向けた課題を
「どうか、お手柔らかに……」
「御安心を。私、初心者には優しいと評判なんですよ」
実際、ステラさんは戦闘記録映像で見せた戦い方よりも穏やかに撃ち合ってくれたものの、後から直せるとはいえストーンヘンジの分厚い大石を砕いたり地面を吹き飛ばす等、『炙り出し』じゃなくて『火葬』されている気分でした。熟達すれば応用の幅も広がりそうな事ぐらいは察せますが、その方法が対人戦を含む必要性が有るのかはよく分かりません。
それでも、楽しそうに微笑むステラさんを見ていると大変だけど悪くはない……感じがして、前向きな気持ちで取り組みたくなります。只、防御魔法を使っているのに身体ごと潰れそうになる重たい砲撃だけは、正直なところ勘弁して欲しいですけどね。
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side:フェイト・T・ハラオウン
負けたことは何度も有る。模擬戦でも、実戦でも……。だから学んで、鍛え続け、戦法を変え、時にはデバイスを強化改修し、そうやって何度も勝利を納めて来た。
けれども今回ばかりは、あまりにも大きな障害が勝ち筋を閉ざしている。操られていたリインフォースや、【ナハトヴァール】とは別種の研ぎ澄まされた暴力。打ち勝つためには実力差を埋める他無く、
「うーん……。やっぱり、ステラさんと比べたら微妙だよね?」
「いや、真似できるだけでも十分やろ? 私なんて、まだ世界が回っとるよ…………」
[> リインも、くらくらなのですよ~…… <]
「私は平衡感覚よりも、魔力を大量に消費する方が辛いかな。カートリッジを使えば、もうちょっと長く飛べそうだけど……」
八神家の空き部屋に設けられた魔法訓練用の練習空間。結界で拡張されたその内部にて、私達は昨日の反省がてらステラさんの対策をすべく議論したり、独特な空中戦闘機動の再現を試みていました。ターゲット・スフィアにそれらしい動きをさせる事が可能でも、やはり人型の仮想敵を相手にした方が実戦的で、試行錯誤の過程を経て得られる教訓も有るだろうと頑張ってみたものの、これが中々に難しい。
通常、《慣性制御魔法》は旋回時に身体へ掛かる負荷を緩和したり、空中で減速または静止する目的で使用される補助魔法なのだから、自分の座標を縦横無尽に動かす目的で使おうとは考えないし、何よりも運動エネルギーの無駄が発生しやすいので速度を稼ぐには魔力消費量が重くなる。
普通に飛んでも普通に強いであろう魔導師が、こんな機動を極める利点は……仮に有るとして、他にも凄まじい射砲撃や60発も装填できるカートリッジ・システムにどんな対応をするだとか、問題は山積するばかり。私の【バルディッシュ】は汎用カートリッジが6発という標準的な仕様なのに、その10倍とは心が揺らぐ。
射撃戦に徹する専用フォームを作って、カートリッジ・システムごと適宜フレーム換装すれば遠近両用も技術的には可能だけれども、デバイス強化は最後の手段だ。優れた才能と、卓越した魔導によって成り立つのが
それから2年前、重篤な病に侵されていたプレシア母さんですら次元跳躍砲撃による長距離狙撃を成功させており、
「ねぇ、“なのは”。標的役を御願いしても良いかな? 私と“はやて”が撃って、“なのは”が一定時間逃げる。その後は私と交代して、“はやて”は……」
「射撃役なら御任せや。演習弾なら、本家並みにバリバリ撃てるで」
「……だって」
「標的役についてはオッケーなんだけど、“はやて”ちゃんも回避練習がてらやった方が良いんじゃないの?」
「うん? 逆に“なのは”ちゃん、私の代わりに魔力弾ぎょーさん撃てるんか?」
普段の“なのは”は接近して斬ったり、魔力斬撃を飛ばしており、私や“はやて”のように何十発も撃っている姿は見た憶えがない。撃つとしても
「数だけは何とか……なるかもです」
「本家本元はん、ほぼ全てにエグい誘導と弾速と炸裂機能が付いとるんやけど?」
「うぐっ…………」
「後はまぁ、苦手潰しを悠長にやっとると台風みたいに去るかもしれへんから、此処は適材適所・短期集中で特訓した方がええと思うんよ」
「……それもそうだね。再戦できるかは分からないけど、私達が強くなればクロノ君もGOサインを出し易いだろうし」
「せやせや」
本音としてはステラさんと仲良くなり、模擬戦や魔法談義をしたいなと願ってしまう。“なのは”を手酷く撃ち墜としたとはいえ、そんな蛮行は以前私もやった事なのだから御互い様である。……
私やシグナム達が積み上げてきた罪過と比べて、羽のように軽くとも罪は罪。ステラさんがそれを清算しない限り、表立って交流すべきではないし、裏でも論外だろう。
「楽しみだね、【バルディッシュ】?」
[- I agree. -]
強者は何人居ても良い。