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その起源は太古の時代まで
side:ステラ・オードナンス
まぁ、キリエさんの【機族】も奥の手でしたけど、人柄的に最後まで敵対するとは思えませんし、速いだけ固いだけの相手なら
問題なのはイリスさんの性能であり、私以外はキリエさんを最大の脅威だと思い込んでいる点について。……とは
あの会社、個人の魔導資質に頼らない装備を生み出そうとする理念は素晴らしくも、独自規格の電磁カートリッジが非常に宜しくないのでして……。数年保管できる従来のカートリッジとは異なり半年置きの再充電だの、コネクタ部に
他にも従来品なら最悪の場合は魔導師が手込めできるのに、変換ロスを生じさせてまで魔力から電気へと変換しないと充電できない&調達コストが高い&コンセントから充電するにせよ専用アダプターが必須&充電時に発熱するせいで暑くなる&大出力の魔力運用をすると劣化具合が
単なるバッテリーとして見るなら良い性能だったんですが文句の付け所も多く、最終的に極一部の電気への変換資質持ちや、一定出力の魔力運用に重きを置く魔導師――主にAAランク以下の魔導師や『近接組』の皆様が使っている感じでした。
………
……
…
そんな風に
「……何か、懸念事項でも?」
「いいえ。貴女方の判断を尊重しますよ、リンディ次長」
悪くは無く、ただ相手が悪いだけです。この辺の見極めは勘とか未来予知でやる領域なので、とやかくは…………。これって
さて。
強化改修に伴う代用デバイスの受け取りや、結界魔導師や武装局員の部隊展開など足並みを揃える都合により待機時間が出来ました。高町さんはベランダで内省に勤しみ、リンディ次長とフェイトちゃんは気分転換しに散歩へ出掛け、復活した“はやて”ちゃんが“すずか”ちゃんと雑談する程度には猶予が有り、そう言えば久しく使ってない『カレドヴルフ社』の装備が有ったなと懐古しつつ、量子格納領域から取り出してみました。
花のように咲く5つの矛先を持った槍。……何度見ても奇妙な形状です。
開発コードネームは【ブリューナク】。電磁カートリッジで
あとは名付けのセンスさえ有れば……。まぁ、【ルミナス・プラント】へ変更済みなので問題は御座いません。念の為、魔力を流すと金色の電磁エネルギーがバチバチ生成されて動作は良好。今回はフェイトちゃんが居るので自重しますが、複数並べて雷神ごっこするのも楽しいんですよね。
更に10分程。
管理局と地球の次元的
只、空を飛びながら《 空間モニター 》越しの聴取内容に耳を傾けても、「惑星エルトリアと父親が危篤で、キリエさんは独善的に動いている」という経緯が知れたところで、【機族】に関しては御伽噺の内容のみとか、イリスさんの事も遺跡板に宿る人工知能だと推測している等、戦力評価には役立ちそうにありません。流石に、エネルギー干渉術式《 フォーミュラ 》や【ヴァリアント・システム】については詳しかったものの、そっちは既知の仕様と変わらぬ感じでした。
ところで、イリスさんは手早く【夜天の書】から例の三人組を実体化させて欲しいです。飛ぶのは好きでも探す素振りが面倒でして、かと言って戦場候補の1つである『オールストン・シー』の上空で待つのも不自然ですから……。
あまりにも暇過ぎる為、無駄にバレルロールやシザーズ機動を織り交ぜて飛んでいると堪忍袋の緒が限界なのか、勝手に付いて来たヴィータさんからクレーム《 念話 》を頂いたので処理します。
[> 協力するとか言っといて、探す気ねーのかよ…… <]
[> 誰かさんが私を監視する
[> ……じゃあ本腰入れて探すとしたら、あんたは如何する? <]
[>
[> 却下だ <]
[> 冗談です。けれどキリエさん達はそんな懸念を拭えないので、管理局に痛手を与えて時間を稼ぎたい筈……。特に家族の具合が宜しくないともなれば、一分一秒すら惜しくなるのが人情ですよね? <]
[> ハッ……。だったら、直ぐにでも動きてぇよな…… <]
やれやれ……。全てを砲撃で解決し、グッド・ゲーム・エンドな『GGE』を迎えて楽しい夏休みパートへ戻りたいのですが、ふむ…………。
~~
side:キリエ・フローリアン
私は強くなった……と信じていた。《 フォーミュラ 》と【ヴァリアント・システム】を用いた戦闘技術の
そして不安要素だった魔法は避けれるし、防げる。火力が高いと流石に無効化は難しいけど、間断無く攻めれば“はやて”ちゃん程度なら押し通せて、最後に模擬戦をした2年前では勝てなかった御姉ちゃんにも圧勝したのだから、イリスを悩ませていたあの“ステラ・オードナンス”が相手だろうと――――
けれども、たった一度の《 拘束魔法 》が解けなくて、心に畏怖の感情が芽生えた。
純然たる魔法なのに、“はやて”ちゃんの魔法と同じ
気楽に挑める模擬戦や、戦うべき状況でも無いのなら交戦は避けた方が良いに決まっている……。全力で距離を取り、十分に離れてからは《 フォーミュラ 》のエネルギー反応を探知されないように通常形態へと戻って、遠回りをしながら仮拠点に帰還したものの安堵は出来ない。イリスに危険性を伝え、もっと強力な【機動外殻】の生産を訴えてみるも、彼女は動揺すら見せずに淡々と答えてくれた。
「安心して、キリエ。私達の計画は、ユーリさえ叩き起こせれば勝ったも同然なの。それに“ステラ・オードナンス”は、積極的な妨害行為をしようとはしない……。多分、彼女もユーリに用が有るんでしょうね? だから心配しなくても大丈夫だと思うわ」
「なら計画を早めて、さっさと終わらせるのは如何?」
幸いな事に、事前調査でユーリが封印されている【永遠結晶】の保管場所は判明しており、あとはイリスの本体が入った遺跡板と、【夜天の書】を持ち込んでハッキングすれば起動できる筈……というのが計画の前段階で、此処を
「焦りは禁物よ。無茶をしたら如何なるかなんて事は、キリエの御父さんや貴女が身を
「……何か見付けたの?」
私が預けた“はやて”ちゃんのペンダントから【夜天の書】を取り出し、片手間で解析していたイリスの様子が変わった。懐古というには冷め切った声音、無機質な微笑……。これほど
「ちょっと懐かしい物をね……。加工すれば陽動戦力の手駒に使えそうだから、後で《 マテリアライズ 》してキリエにも見せてあげる」
「うん、分かった。それじゃあ、私は休憩しとくから……」
「現地時刻で、24分後の20時。壁に掛かっている時計の針が、真上に来たら始めるわよ?」
「りょーかい」
出撃前に止まっていた機械式時計が、何時の間にか動き出している……。エルトリアでは
ケースから取り出した携行保存食の封を切り、ブロック状の塊を咀嚼する。久々に食べたせいか、風味が質素で美味しくない。また昔みたいに、農場で育てた野菜や家畜を使った御母さんの料理が食べたいなぁ……。それが叶うように頑張らなくっちゃ、私…………。