[ アミティエ・フローリアン ]ver.2.5.079-RD
普段は、明るく元気な御姉さん。両親を手伝うために2年前から『大型機獣』の間引きをキリエに任せており、色々と錆び付いてしまった。
side:キリエ・フローリアン
休憩をしっかり取って迎えた現地時刻の20時。イリスによる《 マテリアライズ 》が始まった。基本的には、設計データと素材を使って即席の道具等を作る工程を指すけれども、数秒と掛からず【夜天の書】の管理者権限を偽造して奪ったイリスは、【夜天の書】の中から紫色の魔力光を放つ“何か”を呼び出し、続いて赤色と青色の“何か”が宙を舞う。
やがてそれは形を変え、四肢を作り、頭が生えて、服を纏い、細部が彫り込まれながら着色され、其処で初めて参考にしたデータが“はやて”ちゃん達である事に気付き……。ふと、既視感を覚えた。
髪型や髪色、服装などを部分的に変化させた差別化はイリスの
「此処は……、何処だ?」
乳白色のロングに、黒いヘアバンドをした“はやて”ちゃんみたいな子が問い掛ける。声質は聞き分けが出来るくらいには別物で、尊大な印象を抱かせる言葉使いと所作から察するに性格もまた別物。此方は明確に違うと分かるのに、“なのは”ちゃんみたいな子がバイザーを装着すればステラちゃんにそっくりだと思えてしまうのは何故なのか……?
バイザーの下にある素顔なんて知らずとも、3年ほど前ならこんな感じだろうなって信じられるぐらいには違和感が薄く、偶然の一致にしては奇跡的すぎる……。
「此処は、『地球』という惑星に有る廃墟の中。目覚めたばかりで悪いけど、私達の計画を阻む敵対者を排除して欲しいの。
「呑むしかない要望とは笑えん冗談だ……。此方の戦力は
「貴女達3人と、多種多様な【機動外殻】が山程。指定のポイントで派手に暴れて、時間を稼いでくれると嬉しいわ。……何だったら、逃げ回っても良い」
「ほざけ。王たる我を使う貴様は、神の如く構えていろ。行くぞシュテル、レヴィ」
「了解しました。ディアーチェ」
「オッケー、王様! それじゃあ御姉さん達、ばいば~い」
そして青髪ボブカットの子が威勢よく
~~
side:ステラ・オードナンス
巨大な魔力反応が3つ、そして《 フォーミュラ 》由来の特徴的なエネルギー反応を宿す【機動外殻】が大小多数。大きい物は高層ビル並みの巨体で重々しく進軍し、小さい物は
敵が出現したのは『羽田空港』、『成田空港』、『オールストン・シー』の3箇所。
三点を結ぶと正三角形みたいな形で、三正面作戦画のつもりだったんでしょうね。『羽田空港』に関しては、たまたま近くを飛んでいた私とヴィータさんの哨戒班が担当したものの速戦即決で終わってしまい、不完全燃焼なヴィータさんは『オールストン・シー』で苦戦中の“はやて”ちゃん達を支援すべく彼方へ飛び去り、私は
や、赤の他人の空似です。
こう見えて私、結構驚いているんですよ?
ではでは、健闘を期待しています。
そんな白々しい嘘を吐いて通信を終えると、ジト目の王様が胡散臭そうに私を見つめながら何か思案しているようでした。……嗚呼、驚くと言えば王様の件もそうで、【ルミナス・プラント】による
地べたを這い、泥水を
「生温かい目を向けるでない。……時に、貴様は我を知っているのか?」
「愛称が“王様”で、性格や口調を知っている程度です」
「道理で尋問せぬ訳だ。なら、我等を手駒にする指し手については如何だ?」
「それは多分、イリスさんの事ですよね? 可哀相な人だと思います」
「くくくっ……。成程、慈悲深さも大魔導師級とは恐れ入る」
そもそも論ですが、幸福な人がこんな事件を起こす道理なんて無い為、悲しき過去が有ろうと無かろうと全て「可哀相な人」の一言に要約&矮小化が出来てしまいます。故に、《 言葉の魔法 》を使う際には正しい用法・用量を守り、健康的な魔法少女ライフを心掛けませう。
さて。
休憩という名目の時間潰しにも限度は有り、空気を読んでヴィータさんとは別方向の『成田空港』へ向かいます。エイミィさん情報によれば、彼方側の主力は“高町なのは”とフェイトちゃんとザフィーラさん、そして何時の間にか合流したユーノさんも居ますから援軍なんて不要だと思いますけどね……。尚、しれっと《 転移魔法 》にタダ乗りした王様を伴い跳んでみたところ現地では未だ戦闘が続いており、決着する気配が
“高町なのは”とレヴィちゃんが二刀流同士で決闘し、他の方々は【機動外殻】の大群を相手に苦戦中。……と言うか武装局員を含む皆様、施設や航空機を守りながら戦うとは余りにも悠長では? 結界内部の物なぞ後から直せますから、兎にも角にも迅速なる制圧が最優先ですよって。
「レヴィの奴め、血気に
「はぁ……。ちょっと撃ち墜として来ます」
「うむ。良きに計らえ」
特に必要のない許諾を得られたので王様から数メートル離れ、射撃体勢を取りながら複数の魔法を発動待機させます。タイミングを見計らいつつも観察していると、何故だかレヴィちゃんは血塗れなのに怪我は無く、“高町なのは”は《 バリアジャケット 》の損傷だけで済んでいるのに攻撃を
どうせ魔法生命体がやりがちな、修復しやすい身体特性を用いた切り込み戦法とか、自傷を恐れずに《 拘束魔法 》を爆破されたりして怖気づいたんでしょうけど、極論を言えば四肢切断による無力化をしても魔力さえ流しとけば死なないので、その点では気楽だったりします。多様な魔法が使えそうなフェイトちゃんor徒手格闘で容赦なく寝かすザフィーラさんと交代すれば、打開できたかもしれませんが……。まぁ、良い経験に成ったのでは?
[- 《 Crimson Tide 》, ready. -]
取り敢えず、ロングレンジから《 Blind Box 》を仕掛けてレヴィちゃんを閉じ込めます。【焔】の変換資質を切ってない為、外観は赤く燃える長方形の箱。半透明であるケージ型の《 拘束魔法 》にしては珍しい不透明な仕上がりで、閉じ込められた相手は外側から何をされるか分かりませんし、それ以前に
尤も、某処刑器具みたく焼き上がり待つような外道ではない為、砲撃を速達便で御届けしますけどね。安心して下さい。ちゃんと非殺傷設定ですから。
[- Fire. -]
『
「見事。
「さあ、何故でしょうね?」
「……傍目からは、確信しているように見えるのだが?」
「見当は付いていても、外れている可能性が有るので教えません」
キリエさんがあと10回くらい変身を残しているかもしれませんし、傘のような【空中要塞型機動外殻】が出現したって不思議ではないのです。基本的に、切り札はユーリさんでしょうけど――――
おや? 如何やら『オールストン・シー』の方でも決着が付いたらしく、広域通信で速報が流れました。という事は、そろそろイリス達とクロノ支局長がエンカウントする頃合いで、一番良い席を押さえる為にも早めに移動しなくては……。そう思って《 転移魔法 》の準備をしていると、またもやタダ乗りする気の王様が至近距離でスタンバっており、今更置いて行くほうが可哀相なので諦めて跳びます。ええい
~~
side:キリエ・フローリアン
今度は三箇所での陽動……に見せかけ、何故か単なる鉱物扱いで展示中の【永遠結晶】が置かれている『オールストン・シー』の施設内へ潜入して起動を試みるという作戦は、本来なら優勢な状況下&隠密性重視で行われる予定だったのに変更を余儀無くされた。
光学迷彩機能が付いたハッキング・ドローンを幾つも操作し、あれだけ増やした【機動外殻】はステラちゃんの魔法によって
「うーん……。この国の言葉だと、他愛無しだったかしら?」
「身体能力に優れたエルトリア人相手に、室内戦を挑むほうが可笑しいのよ。御疲れ様、キリエ」
「如何致しまして」
管理局に保護された御姉ちゃんから《 フォーミュラ 》に関する技術が漏れたのか、光学迷彩での潜入が看破されて待ち伏せを受けてしまった。……でも、ステラちゃんが相手じゃなければ全然怖くは無いし、実際に戦ってみても【
【永遠結晶】の制御に成功した場合、その後はエルトリアへ持ち帰るために敵戦力を削ったりする予定ではあるものの、上手く行くかはユーリ&ステラちゃんの動向次第と想定している為、厳密な作戦は立てていない。手駒は沢山有るんだけどね~……。あれを全部ぶつけるとは考え難く、今イリスの思考ではどんな風に計画を修正しているのかが気になってしまう。
………
……
…
気も
「ふふっ……。無意味な衰退ばかりの30年を抜け出し、10年掛けて此処まで来れた。
「……貴女、本当に私が知っているイリスなの?」
「キリエだって、家族には見せない姿が有るでしょう? この私もそう。人間、50年近くも生きていれば色々有るの……。
「イリス…………」
外見は大人びているのに、涙を流すイリスは何時もより幼く見える。50年……。一体、彼女に何が有ったのか? 歩み寄ろうと、声を掛けようと思ったのに身体は動かせないでいた。
「制限付きの強制自閉モード。【
違うっ! 話を聞いてイリス! 私は、自分の意――――
源想領域との接続を解除
完全自閉モードに移行します
指定時間までオフライン状態を継続
……追加命令受諾
験庫領域への改竄作業開始