[ ディアーチェ ]ver.2.5.080-RD
顔立ちは“はやて”と瓜二つな別人。乳白色のロングで、黒いカチューシャも付けているので識別自体は容易。多種多様な魔法を織り交ぜた射砲撃、《 短距離転移魔法 》による回避能力の高さ、タイムラグの無い遠隔発動。――そういった素質を見せてしまったが故に
side:八神 はやて
いやぁ、シュテルちゃんは強敵やったな~……。ステラさんみたいな精確無比の極太ビームを撃つわ、しれっと《 拘束魔法 》も《 幻影魔法 》も使うし、何なら“なのは”ちゃんみたいに突貫したりもするしで防戦一方やったけれども、飛び入り参戦したヴィータの横槍ならぬ横ハンマーの御蔭で勝つことが出来た。
シグナムは【機動外殻】の大群を
ほんでシュテルちゃん撃破後に残党狩りをしとったら、行方不明のクロノ支局長が重傷だとか容疑者のイリス達を此処『オールストン・シー』の水族館エリアで捕捉したとか、“キリエ・フローリアン”を確保した等の速報が色々流れ、頭に疑問符を浮かべているとステラさん&私のそっくりさんが一緒に転移して来たり、イリスと【永遠結晶】が東京方面に飛び去ったとの追加情報が入ったり
「おや、入れ違いとは……。“はやて”ちゃんも一緒に《 転移魔法 》で跳びます?」
「空を飛んで追いかけた方が、魔力消費量は少ないと思いますけど……」
「それでは御先にどうぞ。私達は後から出発して、先に戦いますから」
「済みませんでした。是非とも同行させて下さい」
『羽田空港』ではヴィータが手伝う間も無く掃討して、『成田空港』でもレヴィちゃんという子や巨大な【機動外殻】を仕留めたらしく、手柄なんて物は気にしとらんけど、このまま全部解決されたら申し訳無さを感じてしまう。そんな訳で、シグナム達に追跡する旨を伝えていると存在しない筈の双子はんが呆れたように口を開いた。
「……
「可愛いでしょう? 世が平穏なら、戦場を知らずにいた子供です」
「余計に胸糞悪いわッ! イリスも管理局も気に食わん! 大人は何をしている?!」
「強くて戦える子供が多いので、同じくらいの大人はあまり派遣されていないんですよ。管理局って、無駄に管理世界が多くて人手不足ですから」
うん、まぁ……。オーバーSランクが希少とはいえ、優秀とされるAランク以上の空戦魔導師で編成された
「ならば其奴は置いていけ。戦力的に、我等だけで対処可能な筈だ」
「勝ち戦を経験させるのも、優しさだと思いますよ? と言うか、此方側に付くんですね?」
「ほぼ記憶喪失の状態で目覚め、手伝えば記憶を復元してやると言われて戦いはしたが、外道に落ちてまで取り戻したくはない。一応、目覚めさせてくれた分の義理は果たした……とは思っておる」
ふむふむ、ドッペルゲンガーさんも色々事情が御有りのようで。
「成程……。嗚呼ちなみに、臣下の皆様も連れて行った方が宜しいかと。管理局へ収容されたら犯罪者扱いになるので」
「助言、感謝する。休ませてやりたいが、仕方あるまい……」
「あの~……。幾ら管理局でも其処まで横暴では……」
「妹を追い掛け、“はやて”ちゃんを助けようとしていたアミティエさん。そんな彼女に、如何して手錠が掛かっているんでしょうね?」
まず管轄がちゃうし、管理局警備隊の内部手続きなんて私にもよー分からんのよ……。苦笑で誤魔化しているとヴィータが護衛役で加わり、回復しきっていないシュテルちゃんとレヴィちゃんが《 転移門 》から召喚され、偽者さんの愛称が“王様”であるという謎も加わったところで東京湾上空へ《 転移 》。気付けば数十メートル先でイリスと金属製の蕾みたいな物が浮かんでいて、こんな至近距離まで飛ぶ度胸に畏れを抱きながらも展開し、取り敢えず射線を確保したところで……。どないするん?
これまで散々戦ってきたから、大人しく投降するとは思えない。そして戦うにしても、多分どっかに【機動外殻】が潜んでいる可能性は高く、万全を期すなら“なのは”ちゃんやフェイトちゃんとも合流したい。幾らステラさんが強くてもな、他の人達も大丈夫なんて限らんのや……。
「来ると思っていたわ、“ステラ・オードナンス”……。若しかして、キリエの時みたいに私を助けてくれるのかしら?」
対応に悩んでいると、ステラさんを警戒しているのかイリスの方から話し始めた。管理局なんて眼中に無いようで、逆説的に【永遠結晶】らしき蕾の中身がどんな物か察してしまう。多分アレやろ? ステラさんとも互角に戦えるような最終兵器みたいなヤツ。正直言って戦わずに終わらせてしまいたいし、御風呂と夜食も済ませて快眠したい。けれども、会話には会話で対処する気風を持つステラさんは強襲したりはせず、淡々と言葉を返して行く。
「残念ながら、今回は引き止める方です」
「よく分からないわね、貴女……。この状況を望んでいたって訳?」
「それは御互い様でしょうに。狂人同士、仲良くしませんか?」
「私は狂人で、貴女は悪魔。悪魔は悪魔同士で仲良くやりなさいな。……ユーリ、全部壊して」
空間が揺らぐ。イリスの傍らにある剣のような花弁が綻び、ユーリと呼ばれた女の子が出現すると共に不穏な魔力光が溢れたものの、それは片端から燃え尽きてしまう……。
変容したのはユーリだけではなくステラさんも同様で、此方は圧縮魔力が込められているであろう紅蓮の翼を二対展開した姿は頼もしくも恐ろしい。この刹那に、何かを無効化した? 【夜天の書】の蒐集データにも無かったで、そんなの。
「
「対戦、宜しく御願いします」
残像と音だけが空を走る。それは私がキリエさんにさくっと仕留められた瞬間にも似て、しかし此方は途切れずに続いて行く。あれは……手出し無用やね。ほんなら、こっちはイリスを取り押さえるべきなんやろうけど、結界内部に新手の【機動外殻】だけでなくイリスと同じ固有信号を放つ個体が数百数千と現れ、複数個所にある結界の要所に向けて展開中との急報も入り、そっちも放置するのは不味い。
結界が破られたら表側である現実世界に被害が反映される他、一般市民の生命を盾にされたらイリス達を黙って見送るしかなく、これまでの頑張りが
[> 適材適所と行きましょう。其方には拠点防衛を御任せします <]
[> こっちのイリスは、対処せんでも良いんですか? <]
[> 多分、キリエさん辺りがするかと。それよりも早く手伝いに行ってあげて下さい。防衛班の通信からは、悲鳴と救援要請しか聞こえてきませんよ? <]
つい先程確保されたばかりのキリエさんが、何でイリスの対処をするんやろ? まぁ、戦力の現地調達なんて【闇の書事件】の時もそうやったし、今更の話やね……。
「なぁ、王様」
「乗り掛かった舟だ。最後まで付き合ってやらん事もない」
「よく分かんないけど、悪い奴をブチ転がせば良いんでしょ? それなら任せてよ!」
「速戦即決と行きましょう。小腹も空いて来ました」
~~
side:火神 龍華
「ふむ。確かに小腹も空いて来たな……」
「ピザでも注文しますか?」
「そうしたいのは山々だが、外聞を
「では、厚生で適当に買って来ます」
「宜しく頼むよ」
ステラ先生の警告を受け、徒労になる事を願いつつも指揮を執らねばならぬ可能性を視野に入れて武井1佐と共に防衛省へ休日出勤してみたところ……、まぁ余波だけでも酷いものである。
3時間程前から《 空間モニター 》なる魔法で中継映像を送りつけられ、念の為に証拠保存用としてビデオカメラで撮影しているが、高速道路を暴走していた数十台の大型車両が消え失せたり、各地で車両からトランスフォームしたロボットが暴れているかと思いきや同様の消失現象――――《 結界 》に取り込まれて見えなくなるのだから、そういった
此方にも何件か来ているものの「技術的な事については防衛装備庁に尋ねて頂きたい」と蹴っているが、これから如何なる事やら? テレビから得られる情報に限れば、この暴走と消失事件以外は表沙汰になっておらず、結界内部が凄惨極まる状況だとしても私達は動けない儘で居る。
無数のビルが損傷・倒壊し、家屋や電柱は巨大兵器に踏み潰され、至る所に弾痕や残骸が増えて行く。
……本当に宜しく頼みますよ、ステラ先生。どうか、良しなに。