魔法少女リリカルなのは√クロスハート   作:アルケテロス

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人物紹介
[ レヴィ ]ver.2.5.081-RD
 フェイトと鏡映しのような顔立ちをした雷光少女。青髪ボブカットで、黒い髪留めを無造作に付けている。性格は明るくて無駄に元気。奇(く)しくも同じ双剣使いだった為、“なのは”の自己推薦により対戦が始まるものの血に酔うことで暴走が加速し、最後の一線を越える前にステラの長距離砲撃を受けて気絶した。幸か不幸か、戦闘前後の記憶はすっぽり抜け落ちた模様。

[ シュテル ]ver.2.5.081-RD
 何故か、“なのは”と顔立ちがそっくりな赤の他人。茶色のポニーテール&黒いリボンが特徴的で、他にもステラとの類似性から注目を集めている。遠近共に卒の無いオールラウンダーだが、手数の多さや速度で攻めるフェイトと違って的確に刺すタイプ。ヴィータの誉(ほまれ)無き横ハンマーで殴られた結果、戦闘の本質を『理解』してしまった。デバイスは槍型で、古代ベルカ式とんでも変形ギミックを秘めている……らしい。



第81話:協同迎撃戦【後編】

side:高町 なのは

 

 『肉を切らせて骨を断つ』。回避の極限化、最小の負傷で最大の成果を。――――そんな物は【御神流】という剣術を身に付ける過程で知っていたのに、それを上回る『骨を断たせて命を狩る』ような攻撃をしてくるレヴィちゃんの狂気に圧(お)され、攻め倦(あぐ)ねていた所をステラさんが強力無比なバインドと砲撃で仕留めただけでなく、片手間で大型の【機動外殻】を撃ち落として何も言わず去って行く姿には、埋め難い実力差を感じました。

 

 せめて武器たる【レイジングハート】だけでもと考え、本局技術部の皆さんとアミタさんの協力で強化改修をして貰って先程受け取りましたが、それでもまだ影さえ踏めそうにありません。……けれど、今はまだ届かなくても良い。ステラさんは味方で、今日さえ乗り越えられたら明日へと繋がる。この事件を終わらせて、努力を重ねれば……。歩み寄れるとは思うのです。

 

[> 此方アルファー、最終防衛線まで押し込まれているっ! 誰か援護を! <]

[> 朗報だぞ、ブラボーからシグナム隊長を送る! 気張れよ若いの! <]

[> チャーリー。良くも悪くもないが、分隊を捻出して支援に出す <]

[> デルタ、死傷者多数! 長くは持たないッ!! <]

[> 此方エコー、敵の増援を数百体確認。流石にもう食いきれんぞ…… <]

 

 只、その明日が遠い……。仮称【群体イリス】というイリスさんを模したロボットみたいな人達や、小型の自爆ドローンだけでなく大型の【機動外殻】までもが結界の要である防衛拠点へ雪崩(なだれ)込み、斬っても斬っても切りがなくて、状況報告は回数を重ねる度に悪化する。敵は陸路を、鉄道を、または空や海から波濤の如く迫り、“はやて”ちゃんや戦線復帰したクロノ君が生産拠点と指揮所を潰しているらしいけれども、この儘じゃ駄目な気がする……。

 

「フェイトちゃん。私、ステラさんの所に行ってくる! 私がユーリちゃんを押さえて、ステラさんが遊撃しなきゃ間に合わないよ……」

「それなら一緒に行こう“なのは”! 一人じゃ危険過ぎる」

「有り難う、フェイトちゃん!」

 

 最早、第何波かも分からない【機動外殻】の群れを切り伏せた後、フェイトちゃんと共に東京湾上空へ突き抜けてみれば勝負の趨勢はステラさん側に傾きつつあるようで、4機の魔導兵器らしき球体と共にユーリちゃんを追い込み、仮令(たとえ)代わらなくても数分程耐えればステラさんが援護で駆け付けてくれたのかもしれない。……その様に考え、無駄な事をしたのではと竦(すく)みそうになった瞬間、ステラさんから呆れたような《 念話 》が届きました。

 

[- やっと来ましたか、“高町なのは”……。少し、場を持たせといて下さい -]

[- 若(も)しかして、遊撃してくれるんですか? -]

[- これ以上、殉職者が増えると目覚めが悪いですからね。嗚呼(ああ)それから、接近戦は避けるように。掴まれたら走馬灯でも眺めると良いですよ -]

[- 了解です! -]

[- ……まぁ、幾許(いくばく)かの不安が残るので【汎用型支援機(サテライト)】を貸与(たいよ)します。くれぐれも勝とうだなんて思わぬように -]

[- 分かりましたから、ステラさんは早く遊撃の方を! -]

 

 焦燥(しょうそう)に駆られて大声を出すと、ステラさんはフェイトちゃんの方に目配せをしてから《 転移魔法 》で消え去り、後に残されたのは高度な連携を見せる魔導兵器と私達のみ――――って、あれ?

 

[- うっ……。この魔力パス、さっき言ってた【汎用型支援機】4機分の? -]

[> Please be mindful of energy consumption. <]

 

 それだけじゃない。使い方も【汎用型支援機】4機の共有戦術思考も流れ込み、私が私達に成るような……。でも、借り物だからなのか少し余所余所しさも感じる。単純な道具じゃなくて、【レイジングハート】の様な知性端末とも違う。フェイトちゃんとアルフさんみたいな主人と【使い魔】の精神リンクを応用した物?

 

[- “なのは”、大丈夫? -]

[- カートリッジを使えば何とか……。ある程度は指示や調整も出来るみたいだから、今回はフェイトちゃんのサポートに回るね -]

[- 何時もとは逆だね……。了解、背中は預けるよ -]

[- 出来れば、背中にも目を付けて欲しいなって…… -]

 

 普段なら私が切り込んで、フェイトちゃんが援護。勿論、その逆を訓練でやったりするけれども実戦で活かされた事が有るかと問われたら……殆(ほとん)どありません。それは中距離戦における私の攻撃手段が乏(とぼ)しくて牽制という名目の繋ぎに過ぎず、如何(どう)しても経験不足が不安の種になる。

 

[- ……これが終わったら、もっと練習しようか。“なのは” -]

[- うん、頑張って終わらせよう。フェイトちゃん -]

 

 【汎用型支援機材】のコマンドから砲撃魔法《 Divine buster 》を選択。奇しくも私が愛用する近接魔法《 Divine saber 》と似た名前の魔法は、魔力消費量が多い代わりに弾速も射程も優れた砲撃魔法で、魔力残滓の煙が晴れるとユーリちゃんの周囲に浮いている盾が一部欠損していた事から威力も申し分無さそうです。修復されつつありますが、これなら攻勢を削げて時間稼ぎに徹する事が出来そうです。

 

[- 【レイジングハート】、サポートを御願い! -]

[> I will do my best. Let's roll. <]

 

 沢山、聞きたいことが有る。――――ステラさんの私に対する当たりが強い理由、アミタさんとキリエさんの故郷の話、イリスさんの動機や過去、ユーリちゃんと【夜天の書】の関係、私達にそっくりなレヴィちゃん達の容姿について色々と。だから、先(ま)ずは全部終わらせなくちゃ始める事すら儘(まま)ならない……。

 

「いざ尋常に、推して参ります!!」

 

 雑念を振り払う。仮令、得物が小太刀でなくとも『戦えば勝つ』のが【御神流】で、無事に帰る事もまた勝利。今はそれだけを望んで挑もう。

 

 

 

~~

side:ステラ・オードナンス

 

 やれやれ……。格好付けて遊撃を始めてみましたが、想定よりもイリスさんの殺意が高くて驚愕(きょうがく)です。他所(よそ)は鈍重な機動外殻や、劣化コピーみたいな【イリス群体】の皆様が主力だというのに、私の元には横須賀基地から拝借したであろう戦闘機(ホーネット)の高機動ミサイルや機銃、おまけに魔改造された原子力空母や護衛艦からは炸裂弾頭ミサイルや対空砲が雨霰と降り注ぐ。

 

 まぁ、バリアすらない質量兵器なんて標的に過ぎませんので片端から処理しているものの、この調子だと衛星軌道上の切札を使ってくるかもしれませんし、早めに終わらせた方が宜しいでしょうね。

 

「一射殲滅」

[> Lock on.《 Falling Stars 》. <]

 

 大気圏で流れ星が無数の欠片へと砕け散るように、砲撃を拡散させて一掃するだけの冷徹な魔法。人助けがメインになってからは、《 Divine Buster 》の数十倍は撃つようになりましたね。悲しかな……。あまりにも便利過ぎて仕方無いのです。

 

 それはさて置き2つほど気掛かりなのが、何処にも『フィル・マクスウェル』らしき特殊個体の【イリス群体】が見当たらず、別動隊すらない総力戦による力押しという所が気になります。初めから“高町なのは”が小太刀二刀流の時点で前提条件が破綻しているので、徹頭徹尾に至るまで変容していても納得できるものの、ならばイリスさんはどんな結末を思い描いているのやら……。

 

 

 

 嗚呼いえ、結末を決めるのは勝者でしたね。

 

 

 

 私(・)が(・)万(・)難(・)を(・)排(・)し(・)て(・)、望(・)む(・)結(・)末(・)へ(・)と(・)導(・)け(・)ば(・)良(・)い(・)。不幸な事に被害が出てしまいましたけど、それすらも礎(いしずえ)としてより善い未来へ繋ぐのが魔法少女というモノです。然しながら、止まぬ攻勢に対して魔力切れで絶望しかけた武装局員を見捨てたりはしません。死者蘇生の魔法が使えないタイプの魔法少女だから割り切っているのであり、拾える命は勿論拾いますとも。

 

「す……、済まない。助かった……」

 

 幾人かは間に合わずとも、辛うじて救い出せたのが崩壊寸前の航空魔導師分隊……。恐らく元々は小隊の方達でしょうね。ほっとした所で悪いのですが、更に悪いニュースを御届けします。

 

「では、今の内に前線から退避して下さい」

「…………理由を聞いても?」

「向こうが戦争を仕掛けて来たというのに、貴方達は対組織犯罪の制圧作戦規模でしか用意できていません。イリスの生産能力が異常とはいえ、こうも死傷者が出たのなら即座に撤退すべきかと。率直に申し上げるのなら、最早Aランク程度の個人戦力は不要です」

 

 何故、時空管理局の勢力圏では質量兵器が規制されてしまうのか? その答えがコレなんでしょうね。魔導師としては優秀な部類に入るAランク以上の空戦魔導師で構成された部隊が壊滅状態になるのですから、野放図にしておくと彼等や一般人への被害が増えてしまいます。Sランク付近ならバリアジャケットだけで割りと耐えれるものの……。戦力を底上げするような装備が普及するには数年単位で掛かりそうな気がしますし、現状は其処まで待っていられません。

 

 それから物質どころか、魔法という事象の解体にすら応用できるのが《 フォーミュラ 》というエネルギー干渉術式でして、簡易的な異次元を作る《 結界魔法 》だろうと短時間で壊せる筈です。つまり脱出目的の大攻勢ではなく、エルトリアまで追撃されたくないから人的資源を磨(す)り潰している。――――と仮定した場合、彼等のような武装局員が居たところで無駄な犠牲が増えるだけだと思います。

 

 

 

「後の事は、私達に御任せを」

 

 

 

 もっと早めに動き出せば、最小限の被害で終われたかもしれない。だけど、それは局所的な其の場凌ぎであり、長きに渡る救済の切っ掛けには成りません。……恨んでも良いですよ、“高町なのは”。貴女は不義に対する敵愾(てきがい)心と、理想への渇望によって輝きを増す辰星の子。その光が三千世界の一隅(いちぐう)を照らせるように、少しばかり天を廻(めぐ)らしましょう。

 

 

 

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