ダンジョンにねじれる者がいるのは間違っているだろうか   作:屈曲粘体

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考察する者ボーンスライム

 「1マナ溜まった」よ!

 

 おっと失礼。喜びのあまり唐突に叫んでしまった。

 ここは、一旦落ち着くためにラマーズ法を、ヒッヒッフー、ヒッヒッフー。

 

 よし、落ち着いた。

 なにが起きたかって言うと、1マナ溜まったんだよね。……あれ、最初と変わってない?

 まあ、もう少し詳しく言うと、最後に戦ったあのコボルトの集団。あいつらの魔石を食べたらちょうどマナが溜まったんだ。やったぜ!

 

 と言うわけで、私達は無事最初の迷宮探索を終えた。

 私は春姫ちゃんの風呂敷の中に収納されてゆらゆら揺られている。

 これから魔石の換金だよ!いくらになるか楽しみだね!

 ところで、ここでの通貨はヴァリスっていうんだって。名前の由来は人名かな?たしか、ドルは人名が由来だったよね。

 それでは気になる換金結果は……3800ヴァリス!

 

 うん。言っといて難だけど謎だね!多いのか少ないのかよく分からん!日本円で教えて欲しい。

 まあ、昨日の宿代から判断から判断するとそれなりの額だってことは判断できるけどね。

 だから、ここは素直に喜ぼう!

 

 春姫ちゃん、やったね!

 

 

「はい!アヤカシ様のおかげです!」

 

 

 いや、私はそんなに力になってないよ。武器やのおっさんと酒場のオーナーぐらいの貢献度じゃない?

 あと、ロンリーウォーカーだね。うん。ロンリーウォーカーの方が貢献してたね。

 

 

 さっ、それじゃあやることも全部終わったし、ヘスティアちゃんのところに帰ろうか!

 

 

 

◆◇◆◇

 

 

 

「おかえり、春姫君!アヤカシ君!」

 

 

「ただいま帰りました!」

 

 

 ヘスティアちゃんに出迎えられたよ!

 うん。ヘスティアちゃんの職場はホワイト企業みたいだね!良かった良かった。ブラック企業は心を蝕むからね。死んだ目のヘスティアちゃんなんて見たくなかったから本当に安心した。

 定時に帰宅できるって、普通なようで大切なこと。私なんてデスマーチ(死神術士ではない)が当たり前だったからね。

 ヘスティアちゃんの友達が経営してる職場らしいし、建前じゃなくアットホームな職場なんじゃないかな。

 

 

「初めてのダンジョンはどうだったかい?怪我はないかい?」

 

 

「はい!アヤカシ様にお守りいただきましたので!」

 

 

 ペタペタと春姫ちゃんの身体中を触って確認するヘスティアちゃん。この光景だけでご飯三杯は、ゲフンゲフン。

 ヘスティアちゃんがどれだけ春姫ちゃんを大切に想ってるかが分かって嬉しくなるね。

 二人とも良い娘で本当に良かったよ。

 それはそうと、私は今回の探索では春姫ちゃんのこと守ってた要素なくない?

 

 

「よし。大丈夫そうだね。それじゃあ早速ステイタスを更新しようか!」

 

 

 ステイタス更新。ここのシステムは自動更新じゃなくて手動更新。経験値をいくら貯めても神による更新がなければ変化はないらしい。微妙に不便だよね。いや、レベルシステムで強くなれる分だけ便利なのかな?

 一般人だとモンスターには勝てなさそうだし。

 

 上着を脱いでベッドに寝そべる春姫ちゃん。

 白く傷のない綺麗な背中にはヒエログリフで文字が刻まれている。

 中学二年生くらいの時期にとある病を患った私は、ヒエログリフやルーン文字の解読方法を学んでいるため、時間をかければ読むことができる。

 えーっと……サンジョウノ・春姫……春姫ちゃんの家名ってサンジョウノなんだ。

 ふむふむなるほど……私はあくまでヒエログリフを解読してるだけですよ。ええ、春姫ちゃんの幼くも美しい背中を鑑賞している訳ではないのですよ。ええ。

 

 私が解読作業に勤しんでいると、ヘスティアちゃんは指先に針を指して血を出して、春姫ちゃんの背中をなぞり始めた。

 その様子はとっても神秘的で、だけど、針を指先に指したヘスティアちゃんはちょっと痛そうだ。ヘスティアちゃん自信は涼しい顔をしてるんだけどね。

 

 

「これが君の新しいステイタスだよ。初期だから上がりやすいってのもあるんだろうけど、すごい上がり幅だね。やっぱりボクの確信に間違いはなかったよ!」

 

 

サンジョウノ・春姫

Lv.1

 

力 :I0→I12

耐久:I0→I8

器用:I0→I11

敏捷:I0→I43

魔力:I0→I72

 

 

《魔法》

 

【呪文:光・自然】

・異なる体系の特定系統の魔法が使用可能になる。

 

 

《スキル》

 

【異形共鳴】

・絆を結んだ特定の存在の意思を自身が理解可能な言語で翻訳する。

・絆を結んだ特定の存在と経験を共有する。

・絆の強さによって効果向上。

 

 

 なるほど……物凄く偏ってるね!

 ただ、普通が分かんないからどうなのか判断できない。ヘスティアちゃんの反応的に凄いんだとは思うけどね。

 

 

「アヤカシ様、やりました!私、強くなりましたよ!」

 

 

 うん。春姫ちゃんは凄く頑張ったからね!これからドンドン強くなっていこうね!

 

 

「はい!これからもよろしくお願い致します!」

 

 

「それじゃあ春姫君の初の冒険を記念してパーティーと洒落込もうぜ!今日はヘファイストスから子供達とお祝いしろって色々と渡されたのさ!春姫君、今夜は寝かせないぜ?」

 

 

 へ、ヘファイストスさん!凄く良い人!その人絶対良い人だよ!ヘスティアちゃんから聞くヘファイストスさんの情報、全部その人が良い人だって裏付けてるよ!

 私の中で男神=変態の図式が出来上がってるけど、女神には良いイメージがものすごい速度で構築されてるよ!

 

 さあ、ヘファイストスさんの好意に甘えて、今夜はおおいに楽しもうか!

 

 だけど、あんまり夜更かししたらだめだよ。徹夜って、後々効いてくるからね。若いうちは大丈夫な感じするけど、三十越えた辺りで一気につけが回ってくるからね。

 

 

 

◆◇◆◇

 

 

 

 迷宮だよ!(2回目)

 

 と言うわけで、今日も迷宮に来たよ!

 昨日は一階層を余裕を持って探索できたから、思いきって二階層に来てみた訳だけど……

 

 

「―――【ソーラー・レイ】!今ですロンちゃん!」

 

 

「切り裂くよ!」

 

 

……うん。かなり余裕なんだよね。

 

 二階層に来て変わった事と言えば、一回の戦闘で相手取るモンスターの平均数が増えたぐらいで、モンスターの種類は変わってないからね。

 それに、平均は増えても昨日の八体には及ばないから楽々対処できてる。

 あと、春姫ちゃんとロンリーウォーカーが仲良くなった影響で、私の指示がなくても連携とれてるんだよね。ちょっと寂しい。

 そう言えば、再召喚したクリーチャーって記憶を引き継ぐんだね。何気に新しい情報だ。と言うことは、デスマーチ先生を再召喚したら当然あのデスマーチ先生が出てくる訳で、私と春姫ちゃんが再び玩具にされることはほぼ間違いなしだ。しばらく召喚はやめとこ。

 

 あ、考え事に気をとられてる間に戦闘が終わってた。

 春姫ちゃんとロンリーウォーカーはハイタッチして讃えあってる。少し嫉妬しちゃうね。

 

 これはもう一階層進んでも良い感じかなあ?

 でも、ミイシャちゃんは『冒険者は冒険するな』って言ってたし……

 

『冒険者は冒険するな』矛盾してるような言葉だけど、要するに冒険者は命をかける職業だから、きちんと準備と情報集めをして無茶するなって言う意味の格言らしい。

 まあ、偉業を成し遂げないとランクアップはできないらしいから、要はほどほどにって事だね。

 私も春姫ちゃんには無理してほしくないから強行軍には反対だけど、低級の階層に居座って成長がそがいされたり、格下との戦闘で変な癖が付いたりしたら春姫ちゃんにとってマイナスになるし余計なリスクになるかもしれない。

 うーん。悩みどころだね。

 どうしようか……

 

 

「ロンちゃん凄いです!」

 

 

「ハルヒメもな!」

 

 

……うん。ノンビリで良いかな。

 

 楽しそうな春姫ちゃんとロンリーウォーカーを見てたらそう思えて来たよ。

 

 別に探索を急ぐ理由はないんだ。ブラック企業から解放されて、せっかくの異世界ライフなんだから急ぐのは良くないね。

 私の願いはスライムになってノンビリ過ごす事だった。

 その願いはどうしようもなく捻れちゃったけど、それでも叶えられなくなった訳じゃない。

 一日中日向ぼっこして生きていける訳じゃないけど、太陽みたいに暖かい春姫ちゃんの側でノンビリ冒険する生活も悪くない。

 

 

 二人とも、私もまぜておくれ!

 

 

「はい!アヤカシ様も一緒です!」

 

 

「マスターも一緒!」

 

 

 だから、ここに私が、ダンジョンにねじれる者ボーンスライムがいるのはきっと間違いなんかじゃないだろう!

 




あ、最終回っぽい感じですけど、最終回とかじゃないですよ。
まだ続きます。

ただ、書き溜めが無くなったので、毎日投稿は難しくなりました。できるだけ早いペースにできるように頑張ります!

それでは、これからも本作をよろしくお願いします!
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