バカとウチと恋心   作:mam

23 / 35
僕とみんなとお昼御飯part02

 

 結局ムッツリーニと秀吉、工藤さんも来てくれる事になった。

 

「アキっ、ウチと二人で頑張ってみんなをおもてなししようねっ」

 美波のやる気が伝わってくる。

 二人と言う言葉に、やたら力が入ってた気がするけど……

 

「そうだね」

「葉月もお手伝いしますっ」

 右手を元気良く上げてアピールする葉月ちゃん。

 

「お手伝いをお願いする時は頼むね」

 頭を撫でてあげると目を細めて喜んでくれた。

 

 飲み物は雄二たちの方で用意してくれるみたいなので食材を買って帰らないとね。

 水物を買わなくて済むだけでも結構荷物の重さが違う。

 

 カートを押して材料選びへ……

 

「でもアキって勉強は苦手なのに料理はすごいわね」

「うーん、家庭科も試召戦争にあれば僕ももっと活躍出来るかもね」

 エビやムール貝を手にとって見ながら良さそうな物を買い物カゴに入れていく。

 

「ししょうせんそうってなんですか?」

 葉月ちゃんがカート越しに聞いてくる。

 

「ウチらの学校のクラス対抗戦かな?」

「葉月ちゃんも高校生になったら僕たちの学校に来てくれると嬉しいな」

「わかりましたっ。お兄ちゃん、葉月が高校生になるまで待っててくださいですっ」

 それって僕に卒業するなって事っ!?

 

「大丈夫よ。アキは葉月が入学するまできっと卒業出来ないから」

「みっ、美波まで……僕ってそんなにバカに見えるのかな……」

「卒業より進級出来るの?」

「うっ……た、たぶん」

「たぶんって何よ!?ウチはアキと一緒に進級して一緒に卒業したいのよっ」

 学年が違っちゃって、美波と一緒に遊ぶ事が出来なくなるのは僕も嫌だ。

 

「頑張ります……でも、美波も古典とか大丈夫なの?」

「うっ……確かにヤバいかもしれないわね……」

 二人して頭を下げて、はぁっと溜息をつく。

 でも美波は古典とか国語くらいで問題がちゃんと読めれば他の教科は大丈夫だろう。

 僕は日本史と世界史以外は、ほぼ全部ヤバい。

 しかもその世界史とかも名前の欄を間違えて書く事があるから安全だとは言えないし……

 

「次の期末試験も来月にはあるし…やっぱり雄二や姫路さんにお願いしないとダメかな」

「そうね……いつも迷惑ばかり掛けてる気がするけど」

「そうだね……連休明けたら頼んでみようよ」

「うん」

 

 そしてスーパーでムール貝やらエビやらパプリカなどパエリアの材料を購入し、お店の外へ。

 そういえば雄二には雑草サラダを食べさせてあげようと思ってたんだっけ。

 

「ちょっと待っててね」

「「?」」

 公園の近くで二人に待っててもらってスーパーから貰ってきた袋に

 適当に雑草を引っこ抜いて放り込んでいく。

 これくらいで良いかな?雄二がこれを食べるのが楽しみだ。

 

「ごめんね、おまたせ」

 雑草の入った袋を買い物袋に入れようとした時

 

「ちょっと、アキ。汚いでしょっ」

 美波に取り上げられて袋は公園のゴミ箱へ……

 

「ああっ」

 僕の雄二へのささやかなプレゼントが……

 

「なによ、アキ?まるで坂本に食べさせようと思ってた雑草を捨てられた様な顔してるわよ?」

「ははっ、そっ、そんなことないよ?」

 雄二へのご馳走は、またの機会にするか……期末試験が終わるまで。

 

 

 僕の家に帰ってきて……

 

「さて準備に取り掛かろうか」

「そうね、ウチは何からすれば良い?」

「僕が魚介の下ごしらえをするから、美波は野菜を切っといてもらえるかな」

「わかったわ」

「お兄ちゃん、葉月は何をすれば良いですか?」

「葉月ちゃんは今は休んでて良いよ。後で雄二たちが来たらお皿並べたりしてくれるかな?」

 お米は出掛ける前に洗って今は水を切ってるから今は葉月ちゃんに出来そうな事は無いかな。

 

「葉月もお手伝いしたいですっ」

 不満そうに頬をぷぅっと膨らませてる葉月ちゃん。

 

「じゃあ、お兄ちゃんが材料を下ごしらえする間、お姉ちゃんの野菜を洗ってくれるかな?」

「葉月、こっちでこれ洗ってくれる?」

「はいですっ」

 嬉しそうに美波の傍で野菜を水洗いする葉月ちゃん。

 

「なんか島田家でおもてなしするみたいだね」

 僕はムール貝を塩水に漬けながら、そう言った。

 葉月ちゃんも美波もすごく楽しそうだ。

 

「ふふっ、そうね……(それってアキも島田明久になる気になったのかな)」

 美波が何か言ってる気がするけど声が小さすぎて聞こえない。

 すごく嬉しそうにパプリカを切っている。

 

 

 

  ピンポーン  ピンポーン

 

 あ、雄二たちが来たかな。

 

「葉月ちゃん、玄関でお出迎えしてくれるかな?」

 鍋を見ながら葉月ちゃんにお願いする。

 

「はいですっ」

 とととっと玄関へ駆けていく葉月ちゃん。

 

「お、チビッ子、元気だったか?」

「はいですっ、おっきいお兄ちゃん」

 雄二の声は良く通るな。

 

「では、こちらへどうぞです。お姉ちゃんたち」

「島田妹よ。何度も言っておるが、わしは男じゃと……」

 秀吉は最初にチャイナ服、その後の水着の印象が強いから一生無理じゃないかな。

 毎日、男物の制服を着ているところを見ている僕ですら女だと思ってるんだし。

 

 

「……良い匂い」

「なんだ明久、島田と夫婦みたいだぞ」

「ホント、新婚さんみたいだね~」

「…………うらやましい」

「わしらがお邪魔して良かったのかのぅ」

 とりあえずみんなの代表として雄二の頭をフライパンで、かち割ってやりたい。

 

「もうすぐ出来るから、みんな適当に座ってて。葉月、こっちのお皿とグラスを出して」

 美波がてきぱきと葉月ちゃんに指示を出している。

 

「ほぅ、パエリアか」

「…………明久と島田で作るのはどんな味か興味がある」

「前に頂いたのは美味しかったから楽しみじゃのぅ」

 そういえば前に作った時は雄二とムッツリーニも手伝ってくれたんだよね。

 

「きっとアツアツで愛情たっぷりだよ」

「……雄二、私たちも今日帰ったら料理を一緒に作る」

「ちょっ、ちょっと待て翔子。変な薬とか入ってないヤツだよなっ!?」

 雄二は一昨日から何を食べさせられてるんだろう?

 

「出来たよっ」

「今そっちに持っていくわね」

 みんなの分を美波と手分けして運ぶ。

 

 

「「「「いただきまーす」」」」

 

「……美味しい」

「すごく美味しいですっ」

「この前のとはちょっと違うけど美味しいのぅ」

「へぇ、これが吉井君と美波ちゃんの愛情の味か~」

「…………ニンニクの炒め方が甘い」

「だな。その分、スープの煮詰めが濃いな」

 うっ、ムッツリーニと雄二は、どこぞのグルメリポーターか。

 でも味付けは僕がしたから、まだ風邪の影響が残ってるのかなぁ。

 

「ふふっ」

 すごく楽しそうな美波。

「どうしたの?すごく嬉しそうだけど」

 

「うん、アキと一緒に料理するの初めてだったし、それをみんなが美味しそうに食べてくれてるのが嬉しくて」

「そっか、そうだね」

 なんか照れるな。

 

「ウチらも食べましょ」

「うん」

 うーん、確かにニンニクの風味がちょっと薄いのに全体の味が濃い気がする。

 

 

 

「ところで明久」

「なに?」

「風邪はもぅ大丈夫なのか?」

「そうだね、今朝測ったら体温がほぼ36度になってたから大丈夫じゃないかな」

「そうかそうか、翔子聞いたか?明久の看病は終わりだそうだ」

 すごく嬉しそうな雄二……霧島さんと一緒に暮らせる方が幸せだと思うんだけどな。

 

「……看病は終わっても連休中、同棲してるのに変わりはない」

「今日で島田も家に帰るんじゃないのか?」

「そうなるのかな」

 何処となく寂しそうな美波。

 

 ……がしゃん

 

 あれ?霧島さんの椅子の横になんか落ちてるな?

 

「霧島さん?何か落ちてるよ」

「……ありがとう」

 落ちた物をいそいそと仕舞う霧島さん。

 なんか鎖っぽいのが見えるんだけど……

 

「……雄二、あんまり騒ぐと……」

「そっ、それだけは勘弁してくれっ」

 この二人は休みの間、何をしてたんだろう……聞くのが怖いから見なかった事にしよう。

 

「ねぇねぇ、吉井君と美波ちゃんって夜は一緒に寝てたの?」

 身を乗り出して聞いてくる工藤さん。

 ……って盗聴器を準備するなっ、ムッツリーニ!?

 

「昨日はお兄ちゃんとお姉ちゃんと葉月の三人で寝ましたっ」

「はっ、葉月っ!?」

 耳まで真っ赤になりながら慌てて葉月ちゃんの口を塞ぐ美波。

 

「なんと……明久、両手に花じゃのぅ」

 秀吉が頬を赤くしてる……ヘンな事はしてないからねっ!?

 

「明久、いまさら照れる事も無いだろう」

 ぶすっとした表情で言う雄二。霧島さんと何か、あったのだろうか。

 

「……私たちも昨日は一緒に寝た」

 ぽっと頬を染めながら霧島さん。

 

「ばっ、みんなの前で言う事じゃないだろっ」

 いまさらなのは雄二の方じゃないのかな。

「鎖でぐるぐる巻きにされて指一本動かせない状態で何をするって言うんだ」

 さっきの鎖は、それの残りだったのか。

 

「代表たちもラブラブだね~」

「……負けない」

 グッと両手を握る霧島さん。

 いや、勝ち負けは競いたくは無いんですが……

 

「うっ、ウチも……」

 あれ?美波が真っ赤な顔で何か……

「アキに御飯食べさせてあげたりしたわっ」

 ええっ!?それ言わなくてもいいんじゃないっ!?

「しかもメイド服着てねっ」

 終わった……

 僕は明日から学校でクラスメイトに無理矢理メイド服を着せて御飯を食べさせてもらった

 メイドマニアとして生きていかなければいけないのか……

 

 ……ガシッ

 ムッツリーニに両肩をガッチリ掴まれた。

 

「…………明久っ、写真は!?」

 まず、そこから入るとは、さすがムッツリーニ。

「写真は無いよ」

 あっても誰にも見せたくないし。

「…………なっ、何故撮らないっ!?」

 あれ……いつもは鼻からなのに目から血が出てるよ、ムッツリーニ?

 

「明久がメイド服着て御飯食べさせてもらっただけだろ」

 なっ、なんて事言うんだっ、雄二。

 メイド服は僕より秀吉の方が似合うじゃないかっ。

 

「…………そっちの方が需要がある」

 さっきまで血が流れてた目をきらきらさせて言うムッツリーニ。

 

「なんでウチよりアキの方が良いのよーーっ!?」

 美波の右ストレートが僕の左頬に……

 なんで僕が殴られるのっ!?

 

「……雄二、私たちも口移しで食べるしか」

「ばっ、バカっ。寄って来るなっ」

「……今日の夕食は一緒に作って口移しで食べる」

「あっ、明久っ。たっ、頼む、今日はお前の家に泊めてくれっ」

 美波に吹っ飛ばされた僕のところに寄ってくる雄二。

 

「ばっ、バカ雄二。こっち来るなっ、僕にもとばっちりが来るだろっ」

 足でガシガシ雄二を蹴る僕。

 

「……雄二。浮気は許さない」

「ア~キ~~。そんなに坂本が良いわけっ!?」

 

 修羅が二匹立っている。

 そして、それぞれの標的の顔をぐわしっと掴むと……

 

「「うぎゃぁぁぁぁぁぁ」」

 僕の家は割りと防音対策はしてるけど外に叫び声がもれないか心配だ。

 

「やっぱりみんな楽しいねぇ」

「仲睦まじいのぅ」

「楽しそうですっ」

「…………(コクコク)」

 

 とりあえずみんなに楽しんでもらえてなによりだ。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。