バカとウチと恋心   作:mam

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僕とみんなとお昼御飯part03

 みんなにパエリアを満足してもらえたようで良かった。

 

 秀吉とムッツリーニと工藤さんが帰って

 葉月ちゃんはみんなとお昼御飯食べたのが嬉しかったのか

 はしゃぎ疲れて僕のひざの上で寝ている。

 美波は僕の隣に座って葉月ちゃんの頭を撫でている。

 

「……で、雄二はいつまで居るのさ?」

「気にするな、明久。お前たちが作ってくれたから洗うのは俺たちでやりたいんだ」

 

 雄二と霧島さんが洗い物をしてくれている。雄二のたっての希望だった。

 そんなに帰りたくないのか……このままだと僕の家の大掃除もしてくれそうだ。

 雄二にもメイド服着てもらおうかな、と考えていたら

 

「アキ、ウチ今日はどうしたら良いかな?」

「うーん……」

 ちゃんと僕の風邪が治ったのなら美波は帰らないといけない。

 まだ連休は明日もあるし美波にお礼したいし

 なにより僕が美波と一緒に居たいんだけど……

 葉月ちゃんも居るから、やっぱり帰らないとダメだよね。

 

「帰らないとダメじゃないかな」

「そうよね……」

 二人して俯いていると

 

「取り込み中、すまないんだが」

「うわっ、ゆっ、雄二!?」

 いつの間にか雄二と霧島さんが僕たちの後ろに立っていた。

 

「ほれ、明久。終わったぞ」

 手を拭いたタオルを僕に放り投げる雄二。

「ありがとう」

「気にするな。俺がやりたくてやったんだしな」

「……吉井と美波」

「霧島さんもありがとう」

「翔子ありがとう」

「……明日、暇?」

「僕は暇だけど……」

「ウチも特に用事は無いわね」

 

「あー、翔子がお前らと何処か行きたいそうだ」

 雄二が割って入ってきた。

「「なんで?」」

 僕と美波の二人、綺麗にハモった……なんかちょっと嬉しい。

 

「……お礼」

「「お礼?」」

「……うん。二人のおかげで雄二と一緒に暮らせた」

 ぽっと頬を染めながら言う霧島さん。

 くっ、こんな綺麗な人に好かれてて文句を言う雄二が信じられない。

 葉月ちゃんが居なければ掴み掛かってるところだ。

 

「……そして出来ればずっと一緒に暮らしてて欲しい。そうしたらわたしも雄二とずっと一緒」

「なっ、何トチ狂ってやがるっ」

 霧島さんってすごい事考えるな。

 

「とりあえず明日出掛けるのは大丈夫かな」

「ウチも大丈夫よ」

 

「でも雄二が休みによく僕と出掛ける気になったね」

「こいつと二人っきりで居るくらいなら、お前の顔くらい我慢してやる」

「僕も美波と一緒に居れるなら雄二の顔くらい我慢してやるさ」

「あっ、アキ……」

 美波が顔を赤くして俯いた。

 

「そうかそうか。仲が良くて、よろしいこった」

 くっ、気持ち悪い顔を更に気持ち悪くしやがって……ん?

 

「お前、自分で何言ったか判ってないだろ」

 美波を指差しながら雄二が言う。

 

「アキってば、みんなの前で恥ずかしいじゃない」

 照れながら美波は僕の頬を引っ張った。

 

「いひゃいれふ」

「ひゃっひゃんれほれふぁふぇ」

 雄二も霧島さんに引っ張られてた。

 

「いたたた…まぁそう言う訳だから出掛ける所が決まったら電話する」

「うん」

「明久、俺の携帯にワンコール入れといてくれ」

「いいけど、なんで?」

「また履歴全部消されたんだよっ」

 恋する乙女の行動力はすごいな。

 

 携帯を出してっと……

 

「雄二、これで良い?」

「オッケーだ。翔子、今度は消すなよ?」

「……明後日には消す」

「何故だっ!?何度も言ってるが明久は男だから問題ないだろっ?」

「……吉井が一番着信と送信が多い。危ない」

 ごめんなさい、僕も雄二とは浮気したくないんですが。

 

「まったく……じゃあな、明久、島田」

「……また明日」

「今日はありがとう。雄二、霧島さん」

「ありがと。坂本、翔子」

 

 

 

「さてウチも帰ろうかな」

「そっか、寂しくなるな」

「じゃあ、支度してくるわね」

 リビングを出て行く美波。

 そういえば葉月ちゃんの荷物は……美波が全部持ってきたから大丈夫かな。

 

 

「アキ、おまたせ」

「うん……家まで送るよ」

「悪いわね」

「僕の方こそ、お世話になりっぱなしで……本当にありがとう」

「いいのよ。ウチがしたくて、してたんだし」

「葉月ちゃんは……起きないかな。おぶって行くよ」

「ダメよ。ほら、葉月」

「んにゅ~」

「大丈夫だよ。葉月ちゃんにもすごくお世話になったし」

「そう?ごめんね」

「本当は美波もおぶってあげたいくらいだよ」

「ウチあんなに頑張ったのにおんぶだけ?」

「そういえばそうだね。美波はどうして欲しい?」

「そうね……お姫様抱っこ?」

 女の子なら憧れる気持ちは判らなくもないけど人の前でやるのは恥ずかしいよ。

 

「それで帰るのは恥ずかしいよ」

「ふふっ、冗談よ」

 ほっ、と胸を撫で下ろしていると

 

「膝枕の後にやってもらうから」

「えっ!?」

「ほらっ、アキ。帰るわよ」

「う、うん」

 何処まで冗談で何処まで本気なんだろう。

 

 

 

 

 さすがに11月ともなると風は冷たいな。

 葉月ちゃん風邪引かないかな。

 

「明日何処へ行くのかしら」

「そうだね」

 何処行くかによって家を出る時間も変わるからなぁ。

 出来るだけ早く連絡くれると良いんだけど……

 

「結局ずっと一緒だったわね」

「そうだね、ありがとう」

 この連休中ずっと美波と一緒だったのは嬉しいけど

 僕の風邪のせいで美波を引っ張りまわしたのは心苦しいな。

 

 

 そんな話や学校の話をしてるうちに美波の家に着いた。

 

 ……ガチャ

 

「ただいま」

 美波が玄関のドアを開ける。

「お邪魔します」

 僕が玄関へ入ると

 

「おかえりなさい」

 美波のお母さんが出迎えてくれた。

「お母さんただいま」

「この度は美波さんと葉月ちゃんに大変お世話になりましてありがとうございました」

「もう具合の方は良いんですか?」

「はい、おかげさまで」

 

「あら、葉月がまた……気が付かなくて、ごめんなさいね」

「いえ、葉月ちゃんにもお世話になりましたし……ありがとうございました」

 お母さんに葉月ちゃんを渡す。

 

「んにゅ……お母さん、ただいま」

 目をこすりながら挨拶をする葉月ちゃん。

「葉月、お兄ちゃんにご挨拶なさい」

「ありがとう、お兄ちゃん」

「僕の方こそ、ありがとう」

 頭を撫でてあげる。

 

「葉月、自分でお部屋へ行ける?」

「はいです」

 おぼつかない足取りで歩いていく葉月ちゃん。

 

「吉井君?よろしかったらお茶でもいかが?」

「いえ、おかまいなく…すぐ帰りますので」

「せっかく来たんだし、葉月おぶって来たなら少し疲れてるでしょ。一休みしていって下さい」

「そうね、少しうちで休んでいった方が良いわよ。病み上がりなんだし」

「では、お言葉に甘えてお邪魔します」

「こちらへどうぞ」

 リビングの方へ案内される。

 

「じゃあ、ウチは荷物置いて着替えてくるわね」

 美波は自分の部屋へ行ったみたいだ。

 

 

 

「座って待っててね。紅茶と日本茶どっちが良いかしら?」

「紅茶でお願いします」

「はい」

 

 この部屋に来るのも一学期の期末試験前の勉強会以来かな。

 

「お待たせ」

 お盆の上には紅茶のカップが三つとクッキーが載ったお皿が一つ。

 

「はい、どうぞ」

「ありがとうございます」

 角砂糖を二個入れてっと…スプーンをくるくる回していると

 

「吉井君は普段も美波をさん付けで呼んでるの?」

 いきなり質問された。

 

「いえ、普段は名前で呼んでいますけど……」

「じゃあ、私の前だからって遠慮しなくて良いわよ」

 笑いながら言葉を続けてきた。

 

「美波の部屋の大きなぬいぐるみって吉井君が葉月にくれたんですってね」

「あっ、はい」

「それが判った時、あの子すごく嬉しそうに話してくれたわ」

 そっか、やっぱりあの写真は葉月ちゃんか。

 美波に直接渡してプレゼントしたのは葉月ちゃんらしいから……

 ……ちょっと期待しちゃったじゃないか。

 

「それなのにあの子ったら……何も言ってないなら私が言うわけにはいかないわね」

 何も言わない?割と美波は僕に隠し事をしてないと思うけど……

 僕と一緒で、すぐ顔に出るし。

 ひょっとして、いつか本当に勢い余って僕を殺しちゃうかもって事だろうか。

 

「ところで風邪は完治したの?」

「はい、おかげさまで」

「そう……」

 手をあごに当てて何か考え込んでいるお母さん。

 なんか、こういうところは美波に似てるな。

 

「一つお願いがあるんだけど……いいかしら?」

「はい、僕に出来ることなら」

 なんか真剣な表情をしているな……よほど大事な事なのだろうか。

 

「あの……あの子に今回のご褒美が欲しいんです」

「はい?」

 ご褒美って何だろう?お礼なら僕もしたいと思っていたけど……

 

「うーん、そうね……もっと二人っきりになれる時間……だと直接過ぎるかしら?」

 何を言ってるのか意味が判らない。

 僕に美波の勉強を見ろとでも言うのだろうか。

 確かに国語くらいなら僕でも見れるかもしれないけど……でも、たぶんそんなに変わらない。

 

「吉井君は明日何か予定あるのかしら?」

「はい。友達と出掛ける予定がありますが……美波さんも一緒に出掛けると思いますけど」

「あら、そうなの……」

 また手をあごに当てて何か考え込んでいる。

 そこへ美波がやってきた。

 

「アキ、大丈夫?お母さんに変な事聞かれてない?」

 美波はソファに座って手の付けられてなかった最後の紅茶のカップに

 角砂糖を一個入れてくるくるスプーンを回してる。

 

「特には……聞かれてないかな?」

 僕に理解不能のことは聞かれてたけど。

 

「あら、美波。あなた早く支度しなさい。明日、吉井君と一緒に出かけるんでしょ?」

「そっ、そうだけど……なんで今から?」

「明日吉井君の家から行った方が待ち合わせしなくて良いじゃない?」

 

「「ええぇーっ!?」」

「おっ、お母さんっ!?ウチ今帰ってきたばかりよっ!?」

「そっ、そうですよ。お母さんっ!?」

「あら?もうお義母さんって呼んでくれるの?嬉しいわ」

 両手を赤く染まった頬に当てもじもじする姿は美波を彷彿とさせる。

 …が、今はそんな事を言ってる場合じゃないっ!!

 

「あのっ、男の風邪が僕を引いてる時ならまだしも風邪を僕が治ってますし」

「アキ?また日本語教えてあげようか?」

 とにかく今は雰囲気だけでも伝えねばっ!!

 

「大丈夫ですよ。私は自分の娘を信じてますから」

 優しく微笑む美波のお母さん。

 

 確かに僕が美波に何かしようと思っても返り討ちにあうのが目に見えてるけど……

 

「お母さん、いいの?」

「早く支度なさい。吉井君を待たせたら悪いでしょ?」

「うんっ」

 嬉しそうに笑ってリビングを出て行く美波。

 

「なんなら、あの子を押し倒しちゃっても良いわっ!!」

 グッと両手に力を込めて言うお母さん。

 

 いやいやいやいや、それはマズいでしょっ!?

 そんな事すれば確実に僕は美波に殺されるけど

 美波がいくら僕の事をウジ虫かサンドバッグと思ってても

 日本で僕を殺しちゃったら殺人犯ですよっ!?

 

 耳まで真っ赤になりながら、そんな事を考えていたら

 

 片目を瞑りながら僕の胸を人指し指で突付き

 

「もっと自分に自信を持ちなさい」

 

 美波に言われてるような気がした。

 

 

「アキっ、おまたせっ」

 バッグを肩から提げてきた美波。

「う、うん…」

 

「じゃあ、お母さん行ってくるわね」

「お邪魔しました」

 手を振る美波と頭を下げる僕。

 

「いってらっしゃい」

 見送ってくれる美波のお母さんはすごく嬉しそうだった。

 

 

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