バカとウチと恋心   作:mam

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バカとウチとツーテール
バカとウチとツーテールpart01


 僕は今、公園に来ている。

 去年葉月ちゃんにぬいぐるみをプレゼントした公園だ。

 なんでここに居るのかというと…

 

「アキっ、お待たせっ」

「バカなお兄ちゃんっ、お待たせですっ」

 鳩尾にロックオンしてるように元気良く突っ込んでくる葉月ちゃん。

 うんうん。今日の天気みたいに気持ち良い笑顔だ。

 葉月ちゃんの頭を撫でてあげると

「んにゅ~」

 と目を細めて喜んでくれた。

 

「アキ、今日はよろしくね」

「約束もしてたしね。美波と葉月ちゃんと三人で行けて嬉しいよ」

 約束とは以前僕と美波の召喚獣の子供がどうなるんだろうと話したとき

 ちょうど葉月ちゃんと出会って、ふっと葉月ちゃんみたいな感じかなと僕は思い、そのことを伝えた。

 そのとき美波が葉月ちゃんと僕と三人でお出かけを提案してきた。

 

 今日はその約束を果たすため三人で如月ハイランドへ行く予定だ。

 

「じゃあ、行こうか」

「はいですっ」

「そうね」

 三人仲良く並んで歩き出した。

 

 そうえいば美波、大きめのバッグ持ってるな。

 

「美波、そのバッグ持とうか?」

「え、そう?じゃあ、お願いしようかしら」

 

 はい、と渡される。ズシッと言うほどではないけど、そこそこ重量はある。

 

「何が入ってるのかな?」

「開けてみてのお楽しみよ」

 

 ふふっ、と笑いながら片目を瞑ってみせる美波。

 ……なんかドキドキするな。普段見慣れていない私服姿だからだろうか。

 

「そういえば、アキ」

「ん?なに?」

「昨日瑞希にヘンなことしなかったでしょうね?」

「すっ、するわけないじゃないか。昨日はあの後、姫路さんの家の近くまで送っただけだよ」

 あなた様のおかげで未遂に終わったのですが…でも腕を組むのはヘンなことに入るのかな。

 うちの姉さんじゃあるまいし。

 

 ……って今日のことは姉さんに言ってないのは当然としても

 美波だけならまだしも葉月ちゃんと一緒だってバレたら…妹萌えと勘違いされて

 とにかく酷いことをされるだろう。ぽっきり程度じゃすまない気がする。

 ヤバい…とりあえず美波だけでも口裏を合わせてもらわないと。

 

「美波っ。僕の将来のことで大事な話があるんだっ」

 がしっと肩を掴んで美波を正面から見つめる。

 

「あ…アキ?こんなところでいきなり…(ポッ)」

 美波の大きな瞳が潤んで頬をほんのり赤く染めて僕を見上げてる。

 か、可愛い…こっ、言葉が続かない。

 

 美波としばらく見つめあってると葉月ちゃんが

 

「バカなお兄ちゃん?お姉ちゃんと睨めっこでもしてるんですか?」

「はっ。美波があんまり可愛いから、つい…」

「あ…アキ…」

 あれ?美波の顔が真っ赤になってる。

 

「美波。よく聞いてね」

「はい」

「今日のこと、姉さんには黙ってて欲しいんだ」

「もちろんよ。酷いことされるんでしょ」

「うん。美波だけならまだしも葉月ちゃんと一緒だとロリコンの妹萌えだと思われるから」

「……」

 

「アキのバカァーーーーーッ」

 という言葉とともに美波の右ストレートが僕の顔面にめり込む。

 

(玲さんもライバルだから言うわけないじゃない…)

 美波が小声でそんなことを言っている…格闘技のライバルと思っているんだろうか。

 二人とも甲乙付け難いな。技を掛け捲られている僕としては。

 

(将来なんて言うからてっきりプロポーズかと思ったのに…アキのバカッ)

 僕は少し意識がなくなっていたので、その後の言葉は聞こえなかった。

 

 

 

 

 如月ハイランドのエントランスゲートが近くなるにしたがって

 家族連れやカップルなど仲良く歩く人が増えてきた。

 

「ウチらってどう見えてるのかな」

 ふいに美波がそんなことを聞いてきた。

「やっぱりカップルと、その姉妹じゃないかな」

 月並みだけど、そう見えるだろうし。

 

 カップルと聞いた瞬間に美波が少し頬を赤くした…すると

 

「バカなお兄ちゃんと葉月は恋人同士に見えるんですねっ」

 とっても嬉しそうな葉月ちゃん。僕も笑顔で

「僕も嬉 『ゴキッ』 しい 『ガシッ』 よ」

 美波に一瞬で手首の関節を外されて元に戻される。

 痛いと言う暇も貰えなかった…葉月ちゃんの手前、笑顔を崩さないようにするのが大変だ。

 

(アキのばかっ)

 美波が小声で言うと拗ねるような表情でそっぽを向いた。

「お姉ちゃん、どうしたですか?」

「なんでもないわよ。早く入りましょ」

 顔は笑ってるけど…僕を威嚇するように睨んだ後、美波がエントランスゲートに向かっていった。

 

 

 中に入ると色とりどりの花や水しぶきがキラキラしている噴水

 楽しそうに踊っているマスコットキャラのノインやフィー

 遠くには観覧車やジェットコースター、時計台や様々な形をしたアトラクションがあり

 そして笑顔で手を繋いだり腕を組んだりして歩いている人々…今日は天気も良いのでみんな楽しそうだ。

 

「葉月ちゃんは何に乗りたいのかな?」

 まずは葉月ちゃんを楽しませてあげよう。

 

「葉月、バカなお兄ちゃんと観覧車が良いですっ」

「ほぇ?いきなり観覧車?」

「はいですっ。オトナのデートの第一歩として観覧車が一番高いところでバカなお兄ちゃんが葉月に告白するところからですっ」

 とんでもないプランだった。

 

「ア~~キ~~~っ、覚悟は出来ているんでしょうね…」

 ヤバい。美波の怒りのオーラを見て僕の危険察知能力が耐え切れずに壊れた。

 

「あのね、葉月ちゃん。最初はジェットコースターとかにしない?」

 たぶん葉月ちゃんのお願いを聞くと観覧車の降り口は地獄の一丁目だ。

「む~、仕方ないですっ」

 と言ってジェットコースターの方へ駆けて行く葉月ちゃん。

 

 その姿を見失わないように歩いていく僕と美波。

 

「アキは葉月に甘すぎるわよ」

「そうかな」

「そうよ」

「でもあれだけ素直に言われるとやっぱり嬉しいよ」

「素直…ね…」

 

 指をあごに当てて何か考え込む美波…すると頬を少し赤くして

 

「えいっ」

 いきなり僕の左腕に、美波が右腕を絡ませてきた。

 うわっいきなりおしおき!?

 反射的に絡まれた腕に力を入れる。

 

 ……あれ?

 痛くない…関節が明後日の方向を向いてないな。

 僕の左腕に美波は右腕を添えて身体を寄せてきただけだった。

 こっこれはっ…腕を組んでいるというやつではっ!!

 

「アキってば、そんなに緊張しなくてもいいのよ」

 やさしく微笑んで見上げるように僕を見る美波。

 

 すごく可愛い!!

 僕の方からお願いして、このままずっと腕を組んでてもらいたいくらい可愛い。

 

 ……って、そういえば葉月ちゃんは?

 駆けて行った方を見てみると葉月ちゃんが飛び跳ねながら呼んでいる気がする。

 

「美波、葉月ちゃんが呼んでるよ」

「もう仕方ないわね」

 左腕から心地好かった温もりがなくなる…なぜか、ものすごく寂しくなった。

 

 ……でも僕の左手にはまだ温もりが残っていて…

 

「ほらっ、アキ行くわよ」

 美波と僕は手を繋いで葉月ちゃんの方へ走っていった。

 

 

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