バカとウチと恋心   作:mam

34 / 35
僕とみんなと如月ハイランドpart07

 

 うわわわ……どっ、どどどどうすればいいんだっ!?

 落ち着け、僕……まずは周囲の状況を確認して……

 

 あれ?おかしいな、頭が……動かないっ!?

 

 前に……進むしかない!?

 でも前って……美波の顔しかないんだけど……

 これって、やっぱり……

 

「あの……美波?」

「なぁに?」

「えっと……頭が動かないんだけど?」

「アキ……ウチは一年半も待ったのよ。これ以上待たせるつもり?」

 一年半?何の事だろう?

 

 

『きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ』

『わあぁぁぁぁ』

 あれ?何か観客席の方が騒がしいな?

 

『ただ今スタッフが確認致しますので今しばらくお待ち下さる様お願い申し上げます』

 

 やっぱり、なんかあったみたいだ。

 

「美波?ちょっとごめん。何か、あったみたいだよ?」

「もぅ……せっかくの雰囲気が台無しじゃない」

 僕の首のホールドを解いてくれる美波。

 雄二の方を見てみると……

 

「翔子っ、離せっ!うぎゃぁぁぁぁぁっ」

 雄二が霧島さんに鯖折りを決められてる。

 普段どおり、仲が良さそうでなによりだ。

 

「どうしたのかしらね?」

「うん、観客席の方で何かあったみたいだね」

 

 観客席の最前列の方……さっきのバカップルが座ってた辺りで人だかりが出来ている。

 

「やれやれ……やっと終わりか」

 腰の辺りをさすりながら雄二と霧島さんがやってきた。

 

「「終わりって?」」

 僕と美波が質問を投げかけると

 

「ほら、救急車が来たみたいだぞ」

 正面入り口の方から救急隊員らしき人が担架を持って走ってきていた。

 

「さすがにこれだけ混乱していると式の続行は無理だろ」

 確かに上からだと良く見えるな。

 これだけ騒いでる人たちを落ち着かせるのは難しそうだ。

 

「坂本サン、吉井サン。オ楽しみのところマコトに申し訳ないのデスが……」

「俺たちは構わないぞ。こんな騒ぎがあったら仕方ないしな」

 すごく嬉しそうに言ってるよ、雄二。

 

「デハ翔子サンと美波サンは、コチラのスタッフに付いて行って下サイ」

 女性スタッフが軽く挨拶をする。

 

「坂本サンと吉井サンはドウゾコチラへ……」

 僕と雄二は似非野郎に付いて行った。

 

 

 

 如月ハイランドの中にあるグランドホテルのロビーでみんな待っていてくれてた。

 

「待たせてごめん」

「本当にごめんね」

 僕と美波がみんなのところに戻ると……

 

「吉井君と島田さん、お疲れ様」

「明久に島田よ、今日は大変じゃったのぅ」

「吉井君も美波ちゃんもお似合いだったよ。ボクも結婚式したいなー」

 そう言ってチラッとムッツリーニの方を見る工藤さん。

 それを無視するようにムッツリーニは……

 

「…………明久、注文の写真」

 何枚か写真を僕に渡してくれる。

 

「ありがとう……貰っておいて言うのもなんだけど工藤さんを無視したらダメだよ?」

「…………偶然聞こえなかっただけだ」

 本当に素直じゃないな。

 

「あら、アキ?それなぁに?」

 美波がひょい、と僕の手から写真を取る。

「あ……」

 一枚一枚確認するように写真を見ていると……

 

「……ウチも欲しい。土屋、焼き増ししてくれる?」

「…………島田の分もある」

 美波に写真を手渡す。用意の良いヤツだなぁ。

 でも、この写真、舞台の上からじゃないと撮れないアングルとかあるんだけど……

 なんて行動範囲の広い男なんだ。

 

「わりぃ、待たせちまったな」

「……お待たせして、ごめんなさい」

 雄二と霧島さんがやってきて全員揃ったかな。

 

「じゃあ、帰るか」

 そう言って来たばかりなのに外に向かって歩き出す雄二。

 ムッツリーニは雄二と霧島さんにも写真を渡していた。

 

 

 

 帰りの電車の中で……

 

 雄二がムッツリーニに、パフェに使ってた世界最強の唐辛子の原液を

 調理室から少々拝借してきてもらって、それを茶髪男に飲ませて

 茶髪女の方は秀吉がスタンガン(二十万ボルト)で失神させたらしい。

 

 そういえば美波たちが入場する前に会場の電気が全部消えた時

 観客席の方で一瞬何か光った気がしてたのはスタンガンだったのか。

 

 でもそれだと美波が入場する前には雄二の作戦は実行されてた訳だから

 僕と美波がキスしても観客の注意を引くだけで意味無かったんじゃないだろうか。

 

 ちなみに茶髪カップルが居なかったら唐辛子の原液は僕に飲ませる予定だったそうだ。

 今度、雄二が僕の家に遊びに来たらタバスコフルコースを食べさせてやろう。

 

 

 

 そして駅で、みんなと別れて

 美波を家まで送るために二人で歩きだした。

 

 





 一応、次で一区切りつくので完結にしようと思います。
 すぐ続きは書き始めるつもりですが…
 あと一回お付き合い頂ければ幸いです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。