戦紀絶唱《SIN》フォギア   作:星屑英雄

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黒きノイズの襲来

罪の名を関する雑音は圧倒的な強さで青年を追い詰める

しかし、青年は譲れない思いで立ち上がり、拳を握る

――――死闘が、始まる……


13話 死闘

「ぐああああああ!!!」

 

 俺は攻撃を受けて、派手に地面を転がる。

 

「ぐっ!? なんだこの強さは!? こんなノイズもいるのか!?」

 

 そう、俺の言葉の通り、この黒いノイズは相当な強さだった。

 俺の攻撃が当たらないどころか、相手は俺の目に負えない程の速さがあった。

 

『ガングニールのバイタル、急速に低下!! まずいですよ!!』

 

 俺のギアを通して、オペレーターの藤尭さんの声が聞こえてくる。

 

『こちらはモニターの切り替えが出来なくなった。遊策君、いったい何が起こっている!?』

 

 何か向こうでもトラブルがあったらしい。何が起こっているのか、つかめていないようだ。

 俺は何が起こっているのかを伝えようと、喋るが、黒いノイズは攻撃の手を緩めず、地面をまた転がる羽目になる。

 

 転がりながら、何とか通信に応じる。

 

「黒いノイズが!! コイツ、強い!! ボボボッ!!」

 

 転がりながら通信している途中に蹴り上げられて、しこたま殴られる。空中コンボを喰らったのは、(ウォン) 老師(ろうし)との修行以来だ。

 だが、通信を続け相手の情報を伝えなければ!!

 

「このノイズ、強いっ!! 強いから、強い!! ボボボッ!!」

 

 また殴られ、蹴られ、石のように転がされる。

 

 あれ? これ、感想にしかなってなくねぇか?

 

 そう思い、俺は起き上がりながら、もっと詳しく説明する。

 

「シンプルに速度と攻撃、そして、耐久力もろもろ……まとめて防御力!! 全部が他のノイズとは比べ物にならない位です!!」

 

 何とか情報を伝えたが、状況は何も変わらない。

 

「ゴアッ!?」

 

 後ろに回りこまれ、鞭のような触手の連打で強か打ち付けられる。纏っているギアの一部が砕けて散らばる。

 

『モニター回復!! 響ちゃん達から切り替えます!! っこ、これは!?』

 

『黒いノイズ……!? こんなノイズ、見たことない!!』

 

 どうやら、向こうの方でも見たことのないノイズらしいな……!!

 

『っく、大丈夫か!? すぐに響君たちに応援を……』

 

「ッ!? 大丈夫です!! まだまだ行ける!! だから、応援は大丈夫です!!」

 

 とんでもない、響に来られては困る。俺は一人でも行けるということを証明しなければならない……こんな、雑魚に後れを取ってちゃダメなんだよ!!

 

「はあ、はあ……響に来てもらっちゃ、困るんだよ……こんなやつ、俺一人で十分だ!!」

 

 そう啖呵を切り、拳を握って、立つ。

 

 基本を思い出せ、エオンフヤーの基礎にして極意を!!

 

 俺は、目を閉じ、自然体になる。

 

『攻撃の流れを感じろ……どんな攻撃にも相手に攻撃を加える瞬間、一瞬だけ放出される殺気というものがある。それを感じて、流す!! そうすればどんな攻撃でも流すことが出来る……どう流すかは経験が必要だ。だからこそ、今から俺が攻撃を加える。それを千手流し切って見せろ』

 

 俺は兄弟子の言葉と、目に負えない攻撃の経験を思い出す。

 

 ……そうだ、殺気を、流れを感じろ!!

 

 眼を閉じると思考がクリアになり、神経系が一層研ぎ澄まされる感覚がする。

 

 その感覚の中で、一瞬、揺らぎを感じた。

 

「そこだ!!」

 

 繰り出された触手をはたき落とし、更に繰り出された攻撃を受け流す。

 

 更に襲い掛かるノイズの攻撃を左右に身をひねることで流す。

 

 蹴りを流す。

 

 攻撃を、流す、流す、流す流す流す流す流す流す流す流す流す流す流す流す流す流す流す流す流す流す流す流す流す流す流す流す流す流す流す流す流す流す流す流す流す流す流す流す、流す!!!!

 

 ノイズは攻撃の手を止め、動きも止まった。まさか、迎撃されるとは思っていなかったようだ。意志があるかは知らないが。

 しかし、そう、動きを止めるということは決定的な隙にほかならない!!

 

 ダンッと足元を蹴り、真っ直ぐに、爆発的に黒いノイズに近づき、懐に入る。

 

 一撃、二撃、三撃……腕、足から繰り出される連続攻撃コンボにたまらず、後退するノイズ。

 自身が攻撃されたことに戸惑いを起こすようなそぶりをして、理解できず自棄を起こした。

 真っ直ぐに俺に向かって突っ込んできたのだ。

 

「それを待っていた!!」

 

 そう、ただ 我武者羅(がむしゃら)に突っ込んでくるのを待っていたんだ!!

 

 俺は足を地面に叩きつけ、地面を陥没させる。

 そして、ゆっくりと腕を前に出し、空間の流れを腕に感じさせる。

 

「……エオンフヤーの極意は流しにある!! フジサキ、バレンシアァァァァァァァァァ!!!!!」

 

 感じた空間をグッと掴むように腕の動きが流れを描き、空間が流れる。そして、黒いノイズがその流れに引き込まれた。遊策は流れに乗って来た黒いノイズを横にトンッと押し、受け流す。

 

 その時、不思議なことが起こった。

 

 押された黒いノイズが空間の流れに耐え切れず、その体を上下に引き裂かれたのだ。

 

【奥義・フジサキバレンシア】

 

 そう、空間の流れに干渉し相手を引き込み、そして、空間の流れによって引き裂く。

これが、真のフジサキバレンシアだった。この技、考案者本人は相手が引ったくり犯……人であったため、空間で引き裂くことはなかったが、その威力は相手を一瞬で気絶させ、トドメを指している。

 

 まったく恐ろしい技だ。

 

 そう思いながら、俺はノイズが消滅するのを見届ける。

 黒いノイズが空気にとけていったことを確認すると、意識を手放した……

 

 

 

 

 先程まで、戦闘があったが今は静かだ。避難した人々はまだ戻ってきていない、誰もいなくなった場所に一人の女が姿を現す。

 

「ま、こんなものかしらね?」

 

 彼女は周りをぐるっと見渡すと目的のモノを見つける。

 ノイズを女は呼び出し、持ってこさせる。女は拾わせたものを回収すると、ノイズをしまい込み、ノイズが持ってきたものを見る。

 そう、それは砕けたギアの一部、先程、砕かれた遊策のギアの一部だ。

 

「このギアの欠片と戦闘力の見極め……目的は果たしたし良しとしましょう。しかし、まあ、型式番号『カルマ』、罪シリーズのノイズが自然発生するとはね。これは、早急にソロモンの杖を起動させなくては」

 

 女はそう言って、次に、ギアの一部を太陽にかざす。

 

「融合症例……さて、このギアにはどんな秘密が隠されているのかしらね?」

 

 研究者としても、超古代を生きた巫女としても、この未知には心が躍る。これから起ころことを想像し、頬を釣り上げるのだった。

 

 




遅れましたすみません。

それにしても、中々執筆に時間が取れなくてきついです。やっぱり、連続投稿できる他の作者さんはすごいですね……クオリティーも高いですし……

頑張って書かなければ……

それでは明日まで!!

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