どうぞ!!
今回も言っておく。響ファンの皆さんごめんなさい!!
「はっ、知っている天井だ……」
何か足に重みを感じ、起きてみるとそこは見慣れた病室だった。二年前に入っていた病院と同じ病院で、そして、これまた同じ部屋だ。内装も花がいけてあるだけだ。
この寝たままの体制で、視線をそっと下にずらすと、そこでは未来が寝息を立てていた。
さらに、視線をずらし、時計を見る。このご時世だ、時計に日付もかかれてあった。
――――なるほど、翌日の午後2時か……確か、訓練を始めたのが午前10時だった。それから、3時間後くらいにノイズの襲撃を聞いたので、どうやら、一日寝ていたようだ。
俺はそれを確認すると、もう昼か、未来を起こそうか、と悩んだ。起こさなければ、夜に響きそうだし……いや、しかし、あまり寝れていないのだったら起こすのもかわいそうだ。
そんな事を考えていると、俺が起きたことによって微妙に振動を与えていたのか、未来が起きてしまう。
「お兄ちゃん!? 大丈夫!?」
未来は、瞬きし俺の姿を確認した後、そう言って勢いよく布団をはぎ取り、傷の確認として服を脱がしてくる。
「ちょ、まっ……いやァァァァ、未来さんのエッチィィィィィ!!!!」
「ちょっと静かにして!!」
「あっ、はい」
俺のあーんなとこやこーんなとこ、いろんなとこを見て無事であることを確認すると、ホッと息を吐く。
「……うう、お婿に行けない」
「とにかく、よかったよ……お兄ちゃんが無事で……」
俺のギャグはスルーされた。……虚しいものだ。
まあ、冗談は置いといて、また心配かけちゃったなァ……俺。ヒーローってのは誰かを心配させちゃダメだって、どこかのアニメでも言っていたし、やっぱり俺じゃ、ダメなのかなァ……。
そう思考していると未来は、今俺が抱える問題にズバッと探りを入れてくる。
「そう言えば、お兄ちゃん響と何かあった?」
「……」
何と言っていいのか、言葉に詰まった……。
未来が聞いてきたのは多分、響に変化が現れたからだろう。あいつはとても変化がわかりやすい。何かを悩んでいる時は、私悩んでます、といった風に表情にダイレクトにでる。
きっと、俺とのあの時のやり取りの後、学生寮で暗い顔でもしていたからじゃないか、と俺は推測した。
何を言っていいのか分からないが、俺はとりあえず言葉を出した。
「かくかくしかじかなんだが……」
「えっ、お兄ちゃんシンフォギア起動したの!? それで、響に戦ってほしくないと言われて、響も守れるくらい俺は強いぜー!! 最強の力で、響の信頼を手に入れてやるぜー!! と、証明しようとして、ノイズにフルボッコにされた!?」
「おう、かくかくしかじか、としか言ってなかったのに……さすがだな、その超解釈能力」
流石、未来さん!! 誰にでも出来る事じゃないよ!! さすみく!!
と、
……やべえよ、本気切れの兆候じゃねぇか。
俺はどうなるか、固唾を飲んで見守る。
……あたたかいめぇ(ダミ声)。
ぶん殴られた。反省しよう……。
未来は沈黙していた姿勢から、バッと立ち上がり、自分の胸を叩いた。
「それなら、まかせて!! いつまでも、お兄ちゃんと響がギクシャクしてるのは耐えられないもん!! 私にいい考えがあるから!!」
おお……とても、頼もしい……あなたは天使か……
あっ、天使だったわ。俺のなぁっ!! マイスイートエンジェル・未来ぅ~!!
ぶん殴られた。……なぜだァ!?
「と、いう訳で、遊策君!! ようこそ、特異災害対策機動部二課へ!!」
パアンッ!! と、クラッカーが次々に開く音がする。
大きく腕を広げる風鳴司令と拍手するオペレーターの人と二課のシンフォギアを纏う者、つまりは装者達と、ついでに未来。
そして、中央に『ようこそ、小日向遊策君!! 特異災害対策機動部二課所属装者歓迎パーティー』と書かれた横断幕がかかっている。
どういう……ことだ……?
あれ? 一日後、退院したと思ったら、なんか未来に連れ出され、気がついたらリディアン音楽院の中に入り、エレベーターに乗せられ、特異災害対機動部策二課本部にたどり着いたと思ったら、この始末。
……まるで意味がわからんぞ!! 未来ルドォ!!
俺と響の関係修繕のため閃いたんじゃなかったのか?
裏切ったのか、俺を売ったのか!? 未来ぅぅぅぅぅぅ!!
「……」<無言の腹パン
「おうっ!? こんなんじゃ、満足できねぇぜ……」
マジで、無言の腹パンはやめろ、未来エル。本気で吐きそうになったから……
文句を言おうとした俺に未来は、そっと、耳元で言う。
「後で、それとなく二人にしてもらえるように言ってあるから、そこからが勝負だからね? 逃しちゃ駄目だよ、お兄ちゃん?」
「……ああ、ありがとう、頑張ってみる」
俺は未来に頷いて返すと、未来は「よろしい!」と、言って笑って響たちの方に行った。
それをボーと、見ていると、俺を呼ぶ声が背後から聞こえた。
「遊策君」
「あっ、はい!! なんでしょうか?」
振り向くとそこには大柄の赤い髪を持つ大男。風鳴弦十郎……風鳴司令が立っていた。
司令は、俺を見るとスッと頭を下げる。
「すまなかった……」
「え? いや、なにがですか?」
何故、頭を下げられているのか見当もつかなかった。
「まだ実戦経験のない君に、大物を任せてしまった……すまない」
「……なんだ、そんな事ですか。こちらの方が感謝したくらいですよ。あの時の、俺だけでいいっていうワガママを聞いていただいたんですし」
本当に感謝している。ワガママを聞いてもらって、文句など言えるはずもない。
「しかし、だな。危険なノイズを相手にさせたということは、真実だ」
「頭上げてくださいって、こうやって俺は無事なんですし、そういうのは無しにしましょう。今はパーティーを楽しみましょう!!」
「……そうか、それもそうだな。祝いの席でする話ではなかったな」
そう言った風鳴司令に俺は、気になってしょうがないことだけ聞いておこうと、話しかける。
「ところで、危険なノイズって何か通常のノイズとは違うんですか? あの黒いノイズ」
「ああ、了子君が言うには、タイプ『カルマ』、カルマノイズと呼ばれるノイズでその力はシンフォギア装者複数人分と同等……らしい」
「ふぁ!? シンフォギア装者複数人分……通りで強いはずですよ……」
良く生きて帰れたものだ。しかも、それを聞くとなおさら、響たちを越させなくてよかったのかもしれないな、と思う。
「なぜ発生したのか、などは現在調査中だ。と、まあ、この話はこの辺りにしておこうか。ほら、彼女たちが呼んでいる。行ってあげるといい」
そう言って、クイッと顔を横に向ける風鳴司令。
視線を追って見れば、天羽奏さんが俺に向かって「こっちにこいよー」と手振っている。
風鳴司令は、ふっとニヒルに笑うと俺の背中を押して言う。
「今日は君が主役だ。存分に楽しんで来い」
「……はい!!」
……かっけぇよな、この人。本当にOTONAって感じがする。
俺はぺこりと一礼してから、装者達が集まるテーブルに俺は向かった。
「おう、来たか!!」
俺がついたと同時に、奏さんは俺の首に手を回し、ヘッドロックの体制になる。……なぜに?
「お前、一人で大物倒しちまったんだろ? しかも、あたしらの救援を断って。すげえじゃねえか!!」
「ははは……まあ、病院に運ばれましたけどね」
「それでも大きな怪我はしてないだろ? だったら大手柄だ」
言って、パッとヘッドロックを外す奏さん。
「あっ、そうそう、敬語は無しだ。同い年くらいだろ? あと、奏、な!!」
「え、いやでも、人気アーティストのツヴァイウィングの一人をそんな呼び捨てだなんて……」
そう言った俺に、今度は奏さんの横にいた翼さんが続く。
「なら、私も翼で構わない。歳はあなたの方が上みたいだし」
「いやいやいや、一人じゃなくて二人ならって訳じゃないでしょう!? 有名人を呼び捨てにするのはまずいんじゃ、って話ですよ!!」
頑として譲らない俺に、二人はため息をつくという。
「あのなぁ、これから仲間になるのに敬語とか使われてたら、なんかモニャるだろ? 堅苦しいのはなしだ」
「そう、私たちは仲間になるんだから、そういうものはなしにしましょう?」
……そうか、仲間、か。そう言われちゃぁ、何も言えないじゃないか。
「なら、しょうがないな。よろしくな、奏、翼」
そう名前を呼んで、手を差し出す。
その手を握りながら、「ああ」と翼はいい、「こっちこそよろしく頼むぜ!」と奏が言った。
「おい、そこ、三人だけで盛り上がってるんじゃねーよ!!」
クリスが乱入してきた。そのまま、クリスは言う。
「こっちに膨れた奴がいるんだ、こっちも相手してやれよ」
指をさした方には、未来、そして、響がいた。
そのまま、料理を持って来て、みんなで話をしながら食べることになった。
……響は黙ったままだったが。
ほぼ食べ物が食い終わり、食器を集めている時、その中で、クリスが俺に話を振る。
「そう言えば、カルマノイズ……だったか? そいつの戦い、どうだったんだよ?」
「まあ、基本防戦一方だったよ。んで、ちょぉっと、無茶して……」
そこで、今までずっと黙っていた響がポツリと言う。
「やっぱり、無茶するんだ……」
「ひ、響?」
響の顔は、伏せられていてわからない。でも、嫌な雰囲気なのはわかる。
そのまま顔を伏せたまま、響は喋る。
「お兄さんはすごいよ……私達でも倒せなかったかもしれないノイズを倒しちゃうんだから……でも、なんで? なんで私達に応援を頼まなかったの?」
「それは……」
「私たちは、ううん、私は、そんなに頼りないの……? 私も強くなったと思ってたのに……やっぱり駄目なの?」
「ち、違う、響、俺はただ……」
スッと、顔を上げた響の目には涙がたまっていた。唇をかみしめ、悲しみの表情でいっぱいだった。
違う、俺はただ、響にそんな顔をさせない様に俺一人でも大丈夫だってところを見せたくて……。
だが言葉が出ない。
そして、響はポツリと言う。
「いい、よ。もう、いいよ……もう、放っておいて!!」
「待って、待って、響!!」
そう言って、立ち上がり走って部屋を出ていった響を、未来が走って追う。
しかし、俺は動けなかった……。
俺はただ響に笑ってほしかっただけなのに……俺は、何を間違えた? 俺はどうすればいい……?
誰か、誰か教えてくれ……
うーん、なぜか響が曇ってしまう……
いじめもないのに、なぜだ!!
ただ、作者は響には笑ってほしいだけなのに……
あれか、好きな子には試練を与えるタイプなのか俺は!?
さあ、こんな作者が送る「戦紀絶唱《シン》フォギア(仮)?」の明日はどっちだ?
響に笑顔は戻るのか?
次回に、こうご期待!!