戦紀絶唱《SIN》フォギア   作:星屑英雄

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青年が闘うこと、傷つくこと

それが、少女の記憶を刺激する

なぜ、どうして……?

そして、更なる悲劇が少女を襲う

疑問は深まるばかり――――




最初にまたまたいっておきます。クリスちゃんと響のファンの皆さんごめんなさい!!



15話 ダブルクロス

 ただ立ち尽くすだけだった俺に、声がかけられる。

 

「何をしているの?」

 

「え?」

 

 その声の主は、シンフォギアの製作者、櫻井了子だった。

 了子さんは俺の肩に手を置き、有無を言わさぬ迫力で言う。

 

「追いなさい」

 

「え?」

 

「ほら、さっさと追った追った。女の子を泣かせたままでいるのは、男の子としてどうなの?」

 

 グイグイと俺をドアの方にやり、押す。

 

「さっさと追って、涙を拭ってあげなさい!! それがあなたの役目よ!!」

 

 パンッと、尻を叩かれ、衝撃でドアの向こうへ。

 俺は尻を押さえつつ、戸惑いながら返事を出す。

 

「は、はい!!」

 

 ……戸惑いながらではなく、迫力に押されるようにと言うのが正しいが。

 でも、背中を押してくれているのだと感じた。ならば、ここでしり込みしているわけにはいかない。

 俺は、響と話をしよう。じっくりと、しっかりと、互いのことがわかるように!!

 

 そう決意し、俺は駆け出した。

 

 

 ……とりあえず、響のいそうなところを探ってみるか!!

 

 

 

 

 

 遊策が居なくなったパーティー会場では、櫻井了子が、はぁ、と大きなため息をつき言う。

 

「全く世話が焼けるんだから……」

 

「ふ、さすがだな了子君」

 

 そう言いつつ、風鳴司令がワインを持って来て渡す。それを受け取りつつ、了子さんは、ワインを一気にあおる。

 

「ぷは~、それほどでもないわぁ~、といっても、解決するのはあの子たち自身だしね」

 

「そうだな、乙女心難し 悩めよ 少年ってところか……」

 

 

 なんかいい風に閉めようとしている、大人たちを見て……

 

「あの言葉、無理ねぇか?」

 

「ああ、語呂悪いな」

 

「まあ、いいんじゃないか?」

 

とかいう会話があったとか何とか。

 

 

 

 時、同じくして雨が降りしきる商店街。

 未来はまだ響を追っていた。

 

「待って、響!!」

 

「……」

 

「響、響、響響響!!」

 

「……何、未来?」

 

 何度も呼びかけ、やっと止まった響を見て、ぜいぜいと息をつきその場で膝に手を当てる未来。

 響は、グロッキーになった未来を見て、何度も無視していたことに罪悪感が募る。

 

「未来、大丈夫? それにしても、陸上部のエースなのにどうしたの?」

 

 未来に駆け寄り、肩を貸しながら問う響。その響にもたれかかりながら、息を整え話し始める未来。

 

「ぅぅ……何度も待ってていってるのに無視してエレベーターで行っちゃうから、階段を全力疾走して追う羽目になって……」

 

「あっ、ごめん未来……」

 

 申し訳なさそうに謝る響だったが、未来は両腕でギュッと響を抱きしめて言う。

 

「でも、これで捕まえた。」

 

 さらに、響の耳元に口を近づけ、そっという未来。

 

「少し話をしようよ、お兄ちゃんと」

 

「でも、私は……」

 

 響は顔を下げ、うつむいて黙ってしまう。どうしたものかと、未来は思っていると、そこに救世主が現れる。

 

「あれまぁ……響ちゃん達どうしたの、びしょ濡れで」

 

「フラワーのおばちゃん……」

 

 そう、そこに現れたのは、お好み焼き屋「フラワー」のおばちゃんだった。

 おばちゃんは言う。

 

「そのままじゃ、風邪を引いちゃうから、家に上がっていきなさい」

 

 こうして、おばちゃんの家でお風呂と服を乾かせてもらうことになった。

 

 

 響と未来、お風呂に二人で入る。足の親指と親指を合わせ、頭を突き合わせて風呂に入っていると、硬かった響の顔の表情も少し緩まる。

 

「ねぇ、響、気持ちいいね」

 

「うん、未来~。ふにゃ~、あったまるぅ~」

 

 そうやって、ヘニャっと顔を綻ばせる響を見て、未来はクスクスと笑う。そんな、ひと時だった。

 

 

 

「おばちゃん、ありがと~、いいお湯でした~」

 

 お風呂からあがって、ホクホクの響と未来は、アイロンをかけているおばちゃんに感謝と感想を伝える。

 おばちゃんは笑って、「いえいえ、それならよかった」とアイロンをかけた服を二人に手渡す。

 それを貰った、響たちを見て、おばちゃんは疑問だったことを聞く。

 

「それにしてもどうしたの? あんなところにいて?」

 

 響は少し迷ったが、話すことにした。

 

「うん、実は……」

 

 響はすべて話した。シンフォギアや二課の話を除いて、自身の思いも全部。

 それを聞いた、おばちゃんはあっさりと言う。

 

「じゃあ、響ちゃんが守ったらいいんじゃないかな?」

 

「え?」

 

「どこか遠くで、遊策君が傷つくのが嫌な訳なんだろう? だったら、簡単さぁね。響ちゃんが近くに居て、傷つかない様に守ったらいいんじゃないかい?」

 

 そう言って、おばちゃんは遊策の事を思い出しながら、話を続けた。

 

「未来ちゃんのお兄さん、遊策君には私も結構助けてもらっていてねぇ……。店の手伝いや、荷物運びをやってもらったもんさ。厄介な客が現れたことがあってねぇ。あまり関わらない方がいいといったんだがね。この店に迷惑だし、おいしく食べている客が不味くなるって言って、関わりに行って殴られたことあったのさ」

 

「お兄ちゃんそんな事してたんだ……」

 

「……」

 

 未来は知らなかった自分の兄の事を知って、驚き。響は殴られたと聞いて、顔をしかめた。

 それぞれの反応を見て、少し笑うとおばちゃんは続ける。

 

「確かに、ちっとやそっと言っただけじゃ、止まらない頑固者ってのが遊策君だねぇ。でも、だからこそ、いいところでもある、と、私は思う訳さ」

 

「確かにそうです……お兄さんのいいところだと私も思います」

 

 響はその話に同意する。

 頑固なところは響にもあるが、時たま自分より頑固な時がある遊策を思い浮かべて、少し笑顔になる。

 

「そう、問題は響ちゃん自分にあるってこと、わかってるんだろう? だったら簡単さ、遊策君が無茶しない様に抑え役になってあげることさ。自身の目の届く場所にいるなら、安心できるだろう?」

 

「あっ……、そっか、そうだったんだ……」

 

 おばちゃんは今の響には抜け落ちていたことを、埋めてくれた。

 もう少しで、答えが出せる。

 

 そう思った時、ノイズの襲来を知らせる警報が鳴り響く。

 

「ノイズ警報!?」

 

 すぐさま、服を着替えると外に出る。

 出ると、目に見える場所から火の手が上がっている。

 

「未来、おばちゃん連れて早く非難して!!」

 

「うん、わかった。響、気を付けてね!!」

 

 響はその声をバックに、走り、聖詠を口ずさみシンフォギアを纏って、ノイズの一団に突っ込んでいくのだった。

 

 

 

「くそ、どこにいるんだ……響!! 未来!!」

 

 響と未来を探す遊策の元に、緊急通信で、風鳴司令の声が聞こえてくる。

 

『遊策君、ノイズだ!! すまないが、急行してくれないか!!』

 

「っ!! 了解!!」

 

 仕方ないと、一旦響たちを追うのを中止し、ノイズが発生した場所に急ぐのであった。

 

 

 

「ふう、これで終わったかな……?」

 

 すぐに駆け付けたおかげか、誰も犠牲になることが無かった。

 周りにはノイズの残骸である炭だけが、散乱している。

 

 変身を解いた響に未来からの連絡が入る。

 

『助けて』

 

 そう、一文が書かれていた。

 それを確認した響は、いてもたってもいられず、GPS機能を頼りに駆けだした。

 

 

 

 たどり着いた場所は、廃工場だった。

 中に入ると、一角が崩れたようになっていて、そこをのぞき込むと少し下に未来がいるのが見えた。

 

「未っ……」

 

 急いで、駆け下がり、未来と名前を言おうと、響は口を開くが口に手を当てられ言葉をキャンセルさせられる。

 

「しー……」

 

 未来は口に指を当て、喋るなという意味の仕草をする。そして、携帯の画面でメモ帳を起動させ、文字を表示させる、

 

『あのノイズ、音に反応して獲物を見つけるみたいなの。だから、喋らないで!!』

 

 そういって、上を指す未来。ノイズが上に陣とっていた。落下して来たら一たまりもない程の大きさだ。

 次に、未来の横を見れば、気絶しているおばちゃんがいる事に気づいた。

 状況を理解した響もスマホの画面を操作し、メモ帳を表示させ返す。

 

『でも、歌わないとギアを纏えない……どうしよう……? おばちゃんも気絶してるし……』

 

 その時、気絶していたおばちゃんが「うっ」と言葉をもらす。起きかけている兆候だろう。

 響はおばちゃんの様子を確認する。足を痛めているようだ。きっとここに落ちた時にひねったのだろう。気絶しているということは頭も打っているのかもしれない。

早めに医者に見せた方がよさそうだ。そう判断する。

 おばちゃんを見て、響を見ていた未来が顔を上げ、意を決したように言う。

 

『私が囮になる。その間に、おばちゃんを連れて逃げて!!』

 

 思わず声が出そうになる響だったが、グッと言葉をこらえる響。スマホを急いで入力し抗議する。

 

『そんなことは出来ないよ!!』

 

『でもこのままじゃ、だめ……大丈夫、私の足なら逃げ切れる。それに、安全な所におばちゃんを託したら、響は、助けに来てくれるでしょう?』

 

 ジッと未来は響を見つめる。

 その瞳は自分に全幅の信頼を寄せていてくれいる事がわかる。わかってしまった。

 仕方ないと、折れるしかなかった。

 

『でも、未来……無茶だけはしないでね?』

 

『わかってるよ、じゃあ、行ってきます!!』

 

 頷き合うと、未来は階段を上がり、大声を出す。

 

「行って、響!! こっちよ、ノイズ!!」

 

 大声をあげたと同時に、響はおばちゃんを抱え、走り出す。

 しかし、運の悪いことに、前方にノイズが現れた。

 突然の事に絶句する響だったが、さらに、追い打ちをかけるようなことが起こる。

 今までの疲労とさっき一・二階下の場所に落ちた衝撃で足にガタが来ていたらしい。未来が足をもつれさせ転んでしまったのだ。

 

 そこに、ノイズが容赦なく襲い掛かる。

 

「み、未来っ!!!!」

 

「あ……」

 

 響の叫びもむなしく、ノイズは無防備な未来に襲い掛かった――――

 

 

 

 

「おおおおおお!!!! らあああああ!!!!!」

 

 その時、何者かの咆哮じみた声が聞こえ、次の瞬間、真上から降って来たシンフォギアを纏った遊策により、ノイズはぶん殴られ、炭へと変わった。

 

「響ィ!! いけぇ!! こっちは任せろ!!」

 

 未来を確保し抱きしめながら、遊策は響に向かって叫ぶ。

 響はそれを受けて、頷くとシンフォギアを起動させるために必要な歌、聖詠を口ずさむ。

 

「(ありがとう、お兄さん……やっぱり、そうだよね……私は決めました、お兄さん!! だから、見ていてください!! 私の、決意の『変身』!!)」

 

「Balwisyall Nescell gungnir tron」

 

 ギアが装着され、ゆっくりとおばちゃんを下ろす響。

 

 そこからは、言うまでもなく、ノイズは殲滅されたのだった。

 

 

 

 おばちゃんを病院に送り届け、未来は付き添いとして中に入っていった。

 俺と響は、待合室に二人だけになる。

 

 響は「そういえば」と、思い出したように言う。

 

「なんで、あの場所に来れたんですか?」

 

「ん? ああ、それはな、これだよ」

 

 俺は携帯を見せた、『助けて』と一言書かれたメールだ。

 これの発信源を、二課の人にたどってもらいたどりついたという訳だ。

 説明した後、響は納得のいったように、「そうなんですか……」という。

 

「ああ……」

 

 俺がそう返したきり、会話が無くなる。しばらく、互いにうつむいて黙っていたが、意を決したように響が話を切り出した。

 

「あのね、お兄さん……」

 

 おっと、女の子に先にいわせてしまうのは、ダメだ。

 俺の決意を、響に伝えなければならない。

 

「待ってくれ、先にいわせてくれないか?」

 

「いいですけど、何を?」

 

「……響、お前が誰かを、俺を守るっていうのなら、俺にお前を守らせてくないか?」

 

 俺は今言える精一杯の気持ちで言った。

 そっと、響の顔を見る。

 

「なんだ……お兄さんも私と同じ結論だったんですね……」

 

 そう言って、響は笑っていた。

 同じ結論……?

 

「私もそうです、私もお兄さんの背中を守らせてくれませんか?」

 

「そっか……同じ結論ってそういうことか……」

 

 フッと俺も笑い、そして、俺は響の腕を俺はおもむろに取る。

 

「お兄さん……?」

 

「俺はお前を守る、お前は俺を守る、約束だ」

 

 小指を小指ではさみ、指を結ぶ。

 響は意味がわかると、「嘘ついたら、ハリ千本……じゃなくて、結婚届にハンコ押す!! 指切った!!」と、そう言って指を切る。

 

 そして……

 

「好きです! 大好きです!! お兄さん!!」

 

 満点の笑顔で、そう言って抱き着いてきた。

 

 

 

 

 

 そして、待っていた未来と合流した後、遅くなったので寮の前にまで、遊策に送ってもらい、別れた。

 その時、ピロリンッ、と響のスマートフォンが震え、メールが表示される。

 

「あれ? クリスちゃんからだ。何々『大事な話がある、今二人で会えないか?』とな?」

 

「そう言えば、クリス、すごくお兄ちゃんと響の事、心配してくれてたんだよ? 会うなら、お礼を言っておきなよ?」

 

「そうだよね……うん、じゃ、ちょっといってくるよ!!」

 

 響は踵を返し、「じゃ、行ってくるねー」と、一言いうと、クリスの待つ場所まで駆け出した。

 

 

 

 息を切らしながら、待ち合わせ場所の路地裏に入ると、そこではクリスが腕を組んで待っていた。

 

「どうしたのクリスちゃん? 大事な話って何?」

 

 息を整え、そう呼びかけると、クリスは少し言い出しにくそうに、頬をポリポリとかきながら、切り出す。

 

「あ、ああ……そうだ、えーと、あいつ、遊策の奴とは上手くいったのか?」

 

「あ、うんっ!! おかげさまで、解決しました!! ありがとうね、クリスちゃん!!」

 

「ああ、それならよかった……」

 

 安心したと共に、クリスの目には決意が宿った。しかし、クリスの変化に響は気づかなかった。

 

「これで、安心して抜けれる」

 

「え? 今何……」

 

 ぼそっと言った言葉を聞き返そうとした瞬間、パンッと乾いた音がした。

 最初は何をされたのか全く理解できていなかった響だが、ジワリと、制服を着ている腹部が赤く染まっていく。

 

 撃たれた――――

 

 そう理解した瞬間、響の全身から力が抜けた。

 倒れこみ、地面に転がる。鋭い痛みが響を蝕んでいる。

 

「わりぃな……あたしを恨んでもらって構わねぇ。でも、これは貰っていくぞ……」

 

 そういって、銃を撃った犯人――――クリスは懐から響のペンダント、いやシンフォギア・ガングニールを取り出し、確認すると自らの懐に入れ、踵を返す。

 

「なん……で、くり、すちゃ……」

 

 遠ざかっていく、クリスの背中には、なぜ? どうして? の声は、届かなかった……

 

 




シリアス「シリアル……? 奴さんは死んだよ……」

遅くなりました!!
ギリギリだったぜ……

うーん、中々キャラクターを動かすのは難しいですね……
もっと頑張らなくちゃ……

また明日、投稿出来たらお会いしましょう!!
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