新たなる物語の序章
それぞれの思惑と信念が入り混じり
物語は一体どこへ行きつくのか
さあ、幕を開けよう
さようなら
ハッピーバースデイ ■ ■ ■
26話 英雄問答
列車が走っている。
この列車は先の事件、ルナアタックのおりに起動した完全聖遺物である米軍岩国基地までソロモンの杖を移送する目的で走行していて、三人の装者が警備にあたっているのだ。
そんな爆走する列車の中の一室で向かい合って、男が二人、激しく口論を続けていた。
「英雄とはぁ!!」
二人の内、銀髪の男の一段と大きな声がその場に響く。男は、そこで一旦区切ると息を吸い一気に言い放った。
「英雄とは、犠牲を払うものだ!!
犠牲を払い、身を削り、悪とののしられようとも進むものこそ、英雄たりえるッ!!
世界がこんな状況だからこそッ、僕たちは英雄を求めているッ!
そうッ! 誰からも信奉されるッ、偉大なる英雄の姿をッ!」
「チガーナ……もとい、違うな」
「ウェル!?」
「そう!! 確かに、犠牲も英雄の一側面でもある……でもそれだけじゃない!!」
彼、遊策は自らの思ったことを思うがままに言う。
「犠牲なんざ、無い方がずっといいに決まっている!!」
静かに、しかし、熱く、両者は語り合う。
「だからこそ、俺はこう言おう!! いいか!! 英雄はいたってシンプルでいいのさ!! そう!! 誰かを笑顔にできる奴こそ英雄と呼ばれるにふさわしい!!」
「なにィ!?」
白髪の男、ジョン・ウェイン・ウェルキンゲトリクス―――ウェル博士は、英雄通と言ってもいい男であった。英雄を愛し、英雄に焦がれ、英雄を願う、そんな男の自らの英雄像、英雄論からは想像も出来なかった言葉を前に衝撃を受けた。
「馬鹿な!! そんなことがあってたまるか!? それならば、お笑い芸人やらも英雄になってしまう!?」
「そうさ、俺からすれば彼らもまた英雄……人類は皆勇気を出すだけで英雄たりえるッ!!」
そうどこぞの歌詞にもあるように、自分が正しいと思ったことを言う勇気さえあれば英雄になれる、と、遊策は語る。
「ふ、それもまた英雄の側面か……確かに英雄とは、喜を与えるものだ……」
ウェルは考え、そして、その上で首を振った。
「だが、ボクは貴様を認めん!! 認めんぞ!! いや、認められん!!」
「おう、上等だぁ!! 犠牲を容認する英雄がいてたまるか!! 犠牲を必須条件にするんじゃねぇ!!」
「はっ、犠牲無き英雄などちゃんちゃらおかしいねっ!!」
「っは、犠牲ありきで語る英雄像なんぞたかが知れてる!! 犠牲なんざ、無い方がいいに決まってんだろ!! 俺からすりゃぁ、犠牲無く終わらせようとすることこそ英雄的だね!!」
「それは君の幼稚な理想論だよ!!」
「理想を語れずして何が英雄だ!! 英雄は理想主義者だろうが!!」
「む!? 確かにそれはそうだ……」
「そうだ、だからこそ人類それぞれに理想の英雄像は存在する!!
だからこそ、俺はこう主張しよう……」
息を吸い、一拍おいて、こう結論付け宣言した。
「人類は皆、英雄になりえるッ!! 皆、誰かしら、何かしらの英雄であると!!」
「なん……だと……!? そんな発想が……?」
衝撃を受けるウェル。してやったりとニヤリと笑う遊策。
が、内心、実は最初に驚かされたのは遊策の方であった。先ほどまでの口論で、ウェルの英雄像に触れ、その理想の高さに衝撃を受けたのだ。
そう言う意味も込めて、遊策は自然と行動していた。
「ありがとう。新しい考えが聞けた。また一つ学ぶことが出来た」
「こちらこそ、あんたの英雄像も興味深かった」
何方ともなく手を取り、互いに相手を認め合う二人。
「でも、てめぇの英雄像は認められねーけどなぁ!!」
「それはこっちのセリフさぁ!!」
しかし、この二人はそろいもそろって頑固だった。
二人は互いに握手をしたまま、『フフフフフ……』と黒い笑みを浮かべながら火花を散らし合った。
その時、一層激しく車両が揺れ、体勢を崩す両者。握手したままだったため、ウェルと比べ身長の低かった遊策がつんのめった形になり、丁度、ウェルの顎にジャストミート、頭突きをくらわしてしまう。
「あごオォォォォォ、あぎょがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「なんかすまんかった……」
そして、その揺れは同時にあるものの到来を示していた。
――――そう、ノイズの襲撃だ。
車両のドアを蹴破るように開き、通路からギアを纏ったクリスがあごを押さえてのたうち回るウェルを踏みつけ部屋に入って来た。
一瞬、状況を理解できず困惑した表情を作ったクリスだったが、今はそんな場合ではないと首を振り、行動に移す。
「っち、こっちだ!!」
そう言って、ウェルの白衣の襟を掴み、空いた方の手で俺の手を取る。
「あ、おい!!」
突然の事に俺は声を上げるが、手を引かれ安全地帯になっている場所に連れ込まれる。
「全く……」
そう言って、白衣の襟が絡まり息が出来ておらず、首を押さえ呼吸を求めて、地面に捨て置かれ死にかけの魚のようにピクピクしたウェルをぽいっと投げ捨て、ため息をつくクリス。
少しピリピリとした雰囲気を感じた。……そうか、これはクリスが起動してしまったソロモンの杖の警護。気を張るのも当然か。
そんな、気を張っているクリスに肩の力を抜かせようと、俺は少しおどけて声をかける。
「おいおい、いいのか? こんなとこにホイホイ連れ込んで……なるほど、告白かっ!?」
「な、ななっ……ののの、ノ、ノイズの襲撃だ!! バカなこと言ってねーで、さっさとギアを纏っとけぇ!! この
クリスは赤くなりながらそう言った。うーむ、冗談だったのになぁ……そんなに顔を真っ赤にして嫌そうに言わなくてもいいジャマイカ!!
「冗談だ、肩の力は抜けたか?」
説教が始まりそうだったので、ここで俺はネタ晴らしをする。
「~っぅ。全く、なんでこいつは……そもそも、告白まがいの……」
更に赤くなり、トマトのようになりながら何か言っているが、もうふざけてもいられない。ノイズの襲撃に備えギアを纏うことにする。
「ところで、響はどうしたんだ?」
「他の奴らの避難誘導をしてる!! あたしらは上に出て、ノイズの迎撃だ!!」
「了解!!」
ギアを纏って、列車の天井に出る。もちろん、その前に気絶したウェルを安全な場所に立てかけておいた。
「うわ、かなりの数がいるなぁ……」
天を埋め尽くす、とまではいわないが数百の飛行型ノイズがいるだろう。これを掃除するのは大変そうだ……
「っは、ちょせえ!!」
「っはあ!!」
クリスは得意の銃やらミサイルやらを繰り出し、空にいるノイズを撃墜していく。
俺は双槍で近づいてくるノイズを切り払う、が、数が多すぎてきりがない。
「そうだ、クリス!! 時間稼げるか!?」
「時間……? 何するつもりだ?」
「一掃だ」
軽く、思いついたことの概要を説明するとクリスは快く引き受けてくれる。そして、クリスの弾丸が俺に近づくノイズを全て貫いた。クリスは早く準備をするように俺を促す。
さて、やりますか!!
ゆっくりと俺たちの力の源、フォニックゲインを高めていく。
目を閉じ、フォニックゲインを双槍、それぞれに込め槍を変化させ、力の流れを鋭く、強く、イメージを形にするようにアームドギアに集中する。
「まだか、遊策!!」
5分ほどして、クリスはじれったそうにそう言ってくる。
ああ、もう少しだ……よし!!
「今、終わった!! チャージ完了!!」
そう宣言すると共に、両手に持った槍と槍を掲げる。
そして、完全に変形した双槍の柄を合わせ巨大な一本の槍へと変えた。
「全てを突け!! 『クォ・ヴァディス』ッ!!」
そう叫び、俺はその巨大な槍を空に投げ放つ。変形したアームドギアは、空に打ちあがり、数体の飛行ノイズを串刺しにし、炭に変えながらもまだ止まらない。
とうとう、上空の暗雲に突入、隠れて見えなくなってしまった。
「失敗……? いや、あれは!!」
クリスがそう言った瞬間、雲を突き破り幾万の槍が姿を現した。万の槍と化したアームドギアが空にいたノイズに雨のように降り注ぎ、次々とノイズを炭へと変えしていく。
ああ、もちろん、列車を避けて、だ。
そして、槍の雨が降り止むころには、空には一切のノイズがいなくなったのだった。
『クォ・ヴァディス』
光と化した俺のガングニールを上空に放ち、雨のように万の槍として周囲に解き放つ技であり、STARDUST∞FOTONと千ノ落涙を参考にした俺の必殺パート3。
絶大な威力がある反面、チャージまでに時間がかかる。チャージ中も発動中も、俺は一切の動きをその技の動作のみに使わなければならず、途中で邪魔が入ると技がキャンセルされるのだ。
だが、その欠点と引き換えに強力無比な技であり、ご覧のとおり何百といたノイズもきれいさっぱり消え去った。……広範囲の殲滅技と言うことで、敵味方入り混じっての混戦では使えない、ということも欠点か。
ふう、と息をつく。その時、丁度、響が列車の天井を開けて俺たちのいる場所までやってきた。
「避難、終わりました!! 立花響!! ビシバシとノイズを倒しちゃいますよ~!! ……って、もしかして終わっちゃいました?」
そう言って、ファイティングポーズをとり、シャドーボクシングを始める響。しかし、あまりにも静かなことから状況を察し、気まずそうに問う。
俺はそんな響がおかしくなり少し笑ってしまう。そして、横にいるクリスと目配せすると同時にこういった。
「「おせーよ、バ~カ」」
「そんなぁ、二人ともひどい!! バカは禁止用語ですう!! バーカバーカ!! この息ぴったりおしどり夫婦ー!! わーん!!」
そう言ってどこかに駆けていった。
「ちょ、どこいくねーん」
「ちょっとそこまでー!!」
「ジブリかっ!! つーか、なんだ!? おしどり夫婦って!!」
ツッコミを入れながら響を追いかけるクリス。俺も響を追い、グルグルと列車の天井を走る。
「わーん、お兄さんをクリスちゃんに寝た取られたぁ!! いいもんいいもん!! 私には未来っていういい人がいるんだからー!!」
「誰がこんなやつと!! っと、待ちやがれ!!」
少し笑いながらグルグルと列車の屋根を走り回る響と、それを顔を真っ赤にしながら追いかけるクリス。それを走りながら生温かい目で見守る俺。と、まあ、俺たちは平常運転だった。
……それにしても、あれだな、なんか地味に傷つくな、これ。『誰がこんなやつ』とか、そこまで言わなくてもいいじゃないクワァ!!
そうこうしていると、列車は目的の場所に到着。響は一足先に列車内に戻って行く。俺たちも響に続いて列車内に戻ることにした。
列車から降り、研究所の前に来た俺達につい先ほど目が覚めたウェルが振り返り言う。
「君たちのおかげで、無事ここまでたどり着くことができました。ありがとうございます」
「いえいえ、そんな……」
そう言って頭を下げるウェル。響がそれに答えて手を振り振りさせているが、俺とクリスは目を横に逸らす。言えない、もう少しで昇天させてしまいそうになってたなんて……。
「それにしても僕は、なんで気絶してたんでしょうね?」
……本当に申し訳ありません(^U^)。
最初に一つ言っておく!! クリスは全然遊策に惚れてない!!
すいません。中々更新できず……ただ、一つ言い訳させてください!!
本当に忙しいです……就活が始まり、就活に終わるって感じですね……
そこに合間合間に、ソシャゲが入ってくるんですからもう大変。
えっ、ソシャゲは娯楽だろ? ……FGOとXD、どちらも話を作って、更新する上で大事なので妥協できないんですよね。
基本、ストーリーとか後回しで適当にやろうのログイン勢なので普通にプレイするのが大変で大変で……
素材集めシンドイ……種、心臓、貝殻、勲章……うっ、頭が……
結局言い訳にならない? そんなァ……
そうそう、FGOと言えば、ブレイドの方は夏休み中に首を痛めたためあんまり書けてないんですよね。そちらも、もう少しだけ待ってください。
次回更新も早くできるように頑張りますのでよろしくお願いします。
それではまた!!