戦紀絶唱《SIN》フォギア   作:星屑英雄

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少女は大切なものを守るため、拳を握る

この愛の拳は大切なもののため

響く心は迷わない




7話 迷いと心配と響の覚悟

 

 

 おかしい、と俺こと小日向遊策はそう思った。

 

 何がおかしいかと聞かれると、響だ。

 最近、響が俺に構いに来ないのだ。昔は、アピールがうざいくらいにあったのに最近なくて寂し……じゃなくて、落ち着かない。

と、言うか、俺を避けてさえいるような気がしてやっぱり、寂し……じゃなくて、悲し……そうじゃなくて……いや、自分の気持ちを偽っててもしょうがない。寂しくて悲しいんだ、俺は。

 

 なんで避けられるんだろうなァ……なんだか、無性に死にたくなってきた。

 

 鬱ダ・siノウ。……なんかこう書くと、暁切歌ちゃんのカットイン技名みたいだよね。 うん、至極どうでもいい☆

 

 まあ、死ぬのは響に真相を聞いてからにしよう、そうしよう。

 廊下を歩く、響を見つけ声をかける。

 

「と、いう訳で、響~」

 

「わ!! お、お兄さん!? え、なに? どういう訳ですか?」

 

「そこはあんまり関係ない。……いや、何、俺を最近避けてるみたいだったからさ。何かあったんじゃないかなって。……それで、何かあったのか?」

 

 あんまり、まどろっこしいのは好きじゃない。だからこそ、語尾を少し強め、ド直球に問い質す。

 

「あっ……ッ。……ごめん」

 

「あっ、おい! ちょ、待てよ!」

 

 しかし、響は何かを言おうとしたが、口をつぐみ、そのまま駆け出して行ってしまう。

 

 

 

 

「はぁ……」

 

 俺は家のソファーに腰を下ろし、ため息を吐いた。そこに、未来が現れ心配そうに近づいてくる。

 

「お兄ちゃん? どうしたの?」

 

「い、いや、響に避けられててさ……直接、なんでだって、聞いたんだがやっぱり逃げられちゃって……しかも、手に小さくない、傷があったし何か危ないことでもやってんじゃないかと思ってな。そうだ、未来、お前何か知らないか?」

 

「……さぁ? 私は、響じゃないし、それは分からないよ」

 

そう言って、手を後ろに持っていって、リボンをいじる未来。

 

 ……嘘だ。未来がこうやって意味もなくリボンをいじるときは、何か俺に隠し事をしている時だ。

 

「そうか……」

 

 しかし、俺は言葉を濁し、それ以上追及することをしなかった。いや、出来なかった。

 あの響の反応。それと、あまり隠しごとはしなかった未来が隠そうとするのだ。何か、俺が知ってはいけないことがあるのだろう。

 

「ま、いつまでも考えていてもしょうがないな。さあ~て、母さんたちは今日いないんだったな……俺が作ってやるよ!! 何が食べたい?」

 

 そう考えた俺はあえて明るく振る舞い、この話題を流すことにした。

 未来もホッとした表情で、「じゃあ、カレーが食べたいな」と、俺の意見に同調する。

 

「へへ、俺のカレーは絶品だぜ?」

 

「うん、知ってるよ。私はチキンカレーがいいな」

 

「おう、まかせとけ!!」

 

 俺はエプロンをしつつ、袖まくりをして、未来のリクエストに答え、キッチンに入る。

 

 俺は、野菜を切りつつ思う。

 今は、まだ踏み込めない。きっと、いつか話してくれることを信じよう、と。

 

 そこからは淡々と野菜を切る音だけがキッチンに響いていた。

 

 

 

 

『ねえ、本当にお兄ちゃん言わなくてよかったの?』

 

 私のスマホから親友である小日向未来の心配そうな声が聞こえる。

 

「うん、だって巻き込めない。きっと、知ったら、お兄さんは自分から巻き込まれに来ちゃうと思うから……」

 

『響……』

 

 そうだ、そうやって、私や未来や他の人を助けてくれた。だから、きっと今度も私のことを知ったら、来てしまうだろう。それでまた傷ついて、それでも、私達の前では笑うのだ。

 

 だから……

 

「だから、今度は私が守るんだ。お兄さんが、もう傷つかなくていいように!! この力で、この拳で!!」

 

 決意と共に、ギュッと、胸の前で揺れる赤いペンダントを私は握りしめた。

 

 

 





響が持っている赤いペンダントとは一体……?

次回もよろしくお願いします!!
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