聖域に到着した俺は、原作通りに魔鈴さんに扱かれることにした。ここで俺の力が露見するのはまずいし、なにせ女神をぶち殺すのに、聖衣が力を貸してくれるはずがない。代わりのものを確保しておく必要がある。
今の俺にとってはヌルイ修行だが、くたばってる演技をして思考する時間を稼いでいる。なにせ神を殺すのだからそれ相応の準備をしなくてはならない。教皇に化けた双子座のサガが使った、神殺しの黄金の短剣もぜひ確保して置きたいところである。
さてまず防具の件だが、冥界に行って冥衣でも作ってもらうか。黄金聖衣よりも強度面で劣ると言う噂もあるが、まぁ俺の血で強化すればそこそこいけるだろう。短剣に関しても、最悪はなくてもなんとかなるので展開しだいで良いだろう。
出来れば今生の兄弟である、氷河や紫龍や瞬などは救ってやりたいが、奴らは沙織お嬢様の毒牙に掛かっているので手遅れかもしれない。一輝はと言うと、実はかなり前から攻略済みである。瞬が苛められるのをさり気なくカバーしたり、お嬢様にやられそうになったら身代わりになったりと外堀から埋めていった結果、こちらの陣営に引き込むことが出来た。表向きは大人しくしてもらい、お嬢様に反抗的な態度をとらない様にしてもらった。
さりげなく修行をつけておいたので、デスクィーン島でむざむざ彼女を死なせる事態にはならないと信じたい。原作組を毒婦から救ったら、この先どうなるんだろう?歴史の修正力が働くだろうから、別の主人公が用意されるであろう。ターゲットはさしずめ一角獣の邪武といったところだろう。一番先にお嬢様に尻尾を振った情けない奴と言われているが、俺は真実を知っている。
奴には血の繋がった妹がいるが、生まれつき体が弱くその治療費に多額の金がいる。そこをお嬢様の執事である辰巳に突かれ、率先して手先になっている。邪武は元々腕が立ち、男気があり仲間内から一目置かれる男であった。それが率先してお嬢様の奴隷になったという宣伝効果を辰巳の奴は欲したのだ!!(もちろんお嬢様は自分に屈したのだと上機嫌である)
辰巳と言う人物、お嬢様に忠誠を尽くす立派な奴と言えなくもないが俺はまっぴら御免である。どう考えても仲良くなりたい人物ではない。どういった感覚で忠誠を尽くしているのかが、俺にはまったく理解できない。
お金?子供の様子を見守る親の気分??もしくは、亡き城戸光政に対する忠義心???なのかは知らないが、お前が教育を誤らなければ、不幸になった人物の絶対数はもっと少なかったはずである。その大罪はいずれ償わせてやる!!!