リトルアーモリー ~戦場を駆ける女子高校生たち~    作:AEGIS

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第6話 歓迎会前日戦(1)

「歓迎会ですか?」

 

 土曜日の昼、昼食を共にしていた咲先輩から私と雪の歓迎会開催を知らされた。

 

「そっ、301号室代々の行事でね。新しいルームメイトを祝うことになってるんだ。明日、何か予定あった?」

「明日は特に予定は入れてないです。強いて言えば、弾を買いに行こうって雪と話してたくらいです」

「そっか、なら大丈夫そうだね。弾だけど、今日この後買いに行くつもりだったから、一緒に行かない?」

 

 土曜日の授業は午前中までなので、午後は時間がある。それに咲先輩の行くお店ならいいところの多可能性が高いと思うので、この申し出はとてもありがたかった。

 

「ぜひ、お願いします。雪もこの後行くっていいよね?」

「えぇー、せっかく午後はゆっくりしようと思ってたのにー」

「じゃあ月曜日の射撃訓練は弾無しで参加することね」

「冗談が通じないなー。まぁ弾無しで参加とかやった教官に殺されそうだし、ちゃんと一緒に買いに行くよ」

 

 ちなみに弾は購買でも販売しているが、外で買うのと比べると少し割高なので購買で買う生徒は少ない。外に買いに行くのは面倒だが、少しでも安く買うためには仕方がないことなのだ。

 

「咲たち、弾買いに行くんだ。じゃあ私の分の弾も買って来てよ。5.56mmと9mm、両方お願いね」

 

 私たちの会話を聞いていた、なつ先輩は咲先輩にお使いを頼んでいた。それを聞いた、咲先輩は心底面倒そうな顔になった。

 

「えー、めんどくさいなぁ。なつも一緒に行けばいいじゃん」

「これから武器整備委員の仕事。誰かさんが無茶して扱ったM4の整備をしなくちゃいけないの。使った人が自分で整備してくれるなら私も行くんだけど」

「何でもないです、喜んで買いに行かせていただきます」

 

 咲先輩は真剣な表情に変わり、頭をさげた。ゆき先輩は「じゃあよろしくね」と言って立ち去って行った。

 

 

 

 昼食を食べ終わり、部屋に戻った。弾を買いに行く準備をしていると咲先輩が声をかけてきた。

 

「普通の鞄じゃなくて、うち(明日波高校)の鞄を持って行ったほうがいいよ。結構弾重たいから」

 

 と言いながら咲先輩は手に持っている鞄を見せてきた。指定防衛校の鞄は軍用規格で作られているので耐久性が高い。molleもあるため、ポーチ等増設できるようになっているが、ポーチ等を付けるとかなりがっしりとした見た目の鞄となってしまうため、あまり使用されていない。ただ、キーホルダー等のストップをつけるには便利なのでそういったものをつけている指定防衛校生は多い。

ちなみに私と雪は、デフォルメされた猫のキーホルダーを色違いでつけている。

鞄を用意していると咲先輩はホルスターに拳銃を入れているのが見えた。そう言えばと思っていると、雪は何故拳銃を持っていくのだろうと疑問に思ったのか、「咲先輩、どうして拳銃持っていくんですか?」と質問していた。

審問された咲先輩はキョトンとした表情になった。それはそうだろう。まさか当たり前のことを質問されるとは思っていなかっただろう。

 

「私たち指定防衛校生はどんな時も戦えるよう、最低限の装備を常に所持してることが義務付けられているからね。拳銃とE&Eポーチは必須常に持つようにって習わなかった?」

 

 雪は先輩の説明を聞いても思い出せないようだが、もちろんすでに説明されている。私は自分のE&Eポーチを取り出しながら「ちゃんと習ったよ」と呆れながらつぶやいた。

 

「あれ、そうだっけ?拳銃はまだ実弾撃ってないし、まだ持っていけないのかと思ってたよ」

「私たちは実弾射撃訓練を行ったから校外で銃持ってもいい扱いになってるから、拳銃の所持もOKだから持っておかないとダメなの」

「由奈ちゃんの言う通り。まぁだけど、撃ったこともないのに持ち歩ても意味ないよねぇ。なんならこの後行くお店にシューティングレンジあるから少し撃ってく?来週あたり撃つだろうけど先にやってて損はないしさ」

「ホントですか、ぜひお願いします!」

 

 私は咲先輩の申し出に即答し、自分のGLOCK17をロッカーから取り出してホルスターに入れた。そしてGLOCKのマガジンを3本とり、ホルスターの反対側についているポーチに入れた。ちなみに任務外で銃を持ち歩く際は銃にマガジンを入れた状態で持ち歩くのは禁止されている。常に銃を持ち歩けと言ったり、マガジンを刺して傾向するなと言ったり、改めていろいろ面倒な規則だなぁと思った。

 

 

 

学校を出て15分の所に『安心安全☆松本ガンショップ』と書いてある看板の店に私たちは3人は来た。

 

「この店が私となつが来る店だよー。学校から一番近い店って訳じゃないけど、弾とか光学機器とか色々安いからオススメだよ」

 

 私と雪は「へぇー」と返事をした。そして店に入ると元気のいい声が聞こえきた。

 

「いらっしゃいませー!『安全と信頼の松本ガンショップ』にようこそ!」

「やっほー、朝美(あさみ)。相変わらず元気ね」

「咲ちゃんセンパーイ!私は何時でも元気ですよー!」

 

 いきなりの元気の良い店員が私たちを出迎えてくれた。もっと硬い感じのお店を想像してので、イメージの違いに少し驚いていた。

 

「今日は新しく同じ部屋になった1年生2人と弾を買いに来たの」

「ということは、咲ちゃん先輩の後ろにいるのが新入生ですか?」

「そうそうって、あぁ、2人ともごめん。まだこの娘のこと紹介してなかったね。この娘は松本ガンショップの1人娘の松本朝美(まつもとあさみ)ちゃん、中学2年生だよ」

「松本朝美でーす!よろしくね!」

 

 少女の名前は朝美というらしい。中学生ということだが、見た目的に小学生かと思っていたので、私はまたもやや驚いた。

 

「んじゃ次はこっちの紹介の番ね。こっちが中村雪ちゃん」

「中村雪です。朝美ちゃん、これからよろしくね」

「んでこっちが古城由奈ちゃん」

「古城由奈です。よろしくお願いします」

「雪ちゃん先輩に恵那ちゃん先輩ですね!こちらこそ、よろしくお願いします!」

 

 朝美ちゃんはそう言うと私と雪の手を握って握手してきた。最初はイメージと見た目に驚いたが、いい娘であることが伝わってくる子だった。そして先ほどから私たちの事を「先輩」付きで呼んでることが気になったので聞いてみることにした。

 

「そうえば朝美ちゃんは何で私たちの事を『先輩』って付けて呼ぶの?」

「さんは付けなくていいですよ。将来私は明日波高校に通う予定ですから、だから皆さんは先輩なんです!」

 

 朝美ちゃんはニッコリと笑いながら答えてくれた。思ってる以上にいい子なのかもしれない。

 

「けど、朝美ちゃんが入学するころには私はいないんだよねぇ。残念」

「咲ちゃん先輩ももう3年生なんですね。その割に成長してない部分もあるみたいですけど(笑)。」

「んなっ!どこが成長してないってぇ!?」

「さぁどこでしょうね?」

「おい、騒がしいぞ。お客さんの前では少し大人しくしてろ・・・って、なんだ、咲か」

 

 奥からぬッとかなり体格のいい男性が出てきた。

 

「なんだとは失礼だなー、これでも私、お客様なんですけど?」

「そうだな、そうだな。で後ろの2人は?見慣れない顔だが。」

「なんか適当にあしらわれた・・・。まぁいいや、2人は同じ部屋の1年生」

「1年の古城由奈です」

「同じく1年の中村雪です」

「古城さんに中村さんね。俺はここの店主の松本慎也(まつもとしんや)だ。よろしく」

 

 この対角のいい男性はこの店の店主だったらしい。手を差し出してきたので握手すると、ガンショップの店員とは思えないほどガッチリとした手だった。

 

「んで今日は1年生がいると言う事は弾を買いに来たのか?」

「さっすが店長、話が早い。5.56mm&9mmセットを4つお願い」

「4つ?あぁまた、なつの奴にパシられたんだな。次は何壊したんだ?」

「今回は壊してないですぅー。ちょっと派手にぶつけちゃったから念のためにみてもらってるだけですぅー」

「似たようなもんじゃねぇか。とりあえず、弾は用意しておいてやるがほかになんか見ていくか?」

「シューティングレンジって空いてる?後輩2人に拳銃射撃を経験させてあげたいんだけど」

「ちょっと待って、朝美ちょっとレンジの状況確認しに行ってくれ」

 

「ラジャー!」ときれいな敬礼をして、朝美ちゃんは店の奥へと向かっていったが、すぐに顔だし、両手で大きなマルを作った。

 

「大丈夫らしい。拳銃撃つなら9mmはバラで少し買っていくか?」

「えぇー、店長まさか入学間もない1年生からお金とるのー?少しくらいサービスしてよ」

「お前なぁ。こっちも商売でやってるんだぞ」

「そうですよ、咲先輩。ちゃんとお金払いますから」

 

 私がそう答えながら財布を出そうとすると、店長は手を広げ静止してきた。

 

「まぁ今回は初回ってことでサービスにしてやるよ。咲はレンジ見学料払えよ」

「さすが店長、太っ腹~。んじゃレンジ行ってくるから弾の準備お願いね~」

「わかったわかった、さっさと撃ってこい」

 

 そういうと咲先輩は奥のほうに向かって行ってしまった。私と雪は店長さんに「ありがとうございます」と頭をさげ、咲先輩の後を追った。

 

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