君だけのヒーローになりたい!! 作:来海
近々、ライトノベルの新人賞に応募したく、練習も兼ねて、応募予定の小説を上げていくことにしました。
まだまだ、小説を書くには知識が足りなく、お目汚しになるとは思いますが、
そんな部分がございましたらぜひ指摘していただけたら幸いです。
これからも指摘された部分はもちろんの事、小説の書き方を勉強し、魅力ある小説を書いていきたいと思っております。
本日より、どうかよろしくお願いします。
世界中でヒーローや英雄と呼ばれる主人公の物語がいくつあるのか……。
俺が知っているものだけでも、数えただけで両手じゃ収まらないから、
世界には数えきれないほどのお話があるはず……。
物語に出てくるヒーローや英雄は、世界制服を企む魔王を倒し、攫われた姫を助けたり
はたまた、地球侵略に現れた宇宙人と戦ったり。
ヒーローやら英雄と言われるくらいだから、当然そのくらいはするものなんだろう。
でも、時々大勢の為……ではなくて、たった1人の為のヒーローや英雄になることがある。
例えば村に住む病気の恋人を救うために、険しい道を進んで薬草を取ってくる男だったりとか……。
結局ヒーローや英雄というのは誰かのために行動ができる人のことなのだろうな……。
そんなことをもうすぐ18歳にもなる高校生が考えながら、
俺はアイスとかジュースを買いに通学路沿いにあるスーパーマーケットに向かっていた。
腕時計を見るとデジタル表示された数字が丁度正午を表示している。
真上に上がった太陽がジリジリと肌を焼いていく感覚がする……。
9月だからと言って薄手の上着を着て来なかったのは失敗かな?正直痛い……。
額に流れた汗を拭いながら歩いていると、遠くの公園から家族の笑い声が聞こえてきた。
立ち止まって見てみると、どうやら家族でボール遊びをしているみたいだ。
20歳ぐらいの父親と小さな男の子が、公園の中央でサッカーボールを離れて蹴って遊んでいる。
公園の奥のベンチには、ハンディカメラで録画している母親が座っていた。
「平和だなぁ……」
なんて声が漏れた。
そうだ、この世界はファンタジーの世界じゃない。
世界侵略を目論む魔王もいないし、宇宙人も攻めてこない。
あるのは戦争とかの人と人との争いぐらい。
お伽噺に出てくるようなヒーローや英雄は現実には存在しない……。
「平和だなぁ……」
ヒーローや英雄なんていない、そう思うとまた口から言葉が漏れてしまう。
はぁ……炭酸飲料でも買ってすっきりしよ……。
俺はまたスーパーマーケットへ歩き始めると、公園の入り口から軽い音を立てながらサッカーボールが跳ねながら道路を横切って行った。
サッカーボールに気を取られて、足がまた止まった。
サッカーボールは俺の歩いている歩道とは反対の歩道まで転がり、道路と歩道の間で静止した。
あれ……?あのサッカーボールはさっきの……?
「勇ッ!!待つんだ!!」
突如大きな声が公園から聞こえ、そっちに目を向けると、先ほど見た父親が、男の子を追いかけている。
「ボール取ってくるね!!」
笑顔で道路へ駆けていく男の子……、父親が一生懸命追いかけるが、子供の足は想像するより早い。
ついに子供がガードレールをくぐって抜けると、道路に出た。
あれ……?これやばくね?
子供が道路に出た瞬間に状況の深刻さに気付いた俺は、車が走っていないか見ると、
子供のすぐ近くを赤いスポーツカーみたいな車が俺の歩いている方の左車線を走ってきていた。
「危ねぇッ!!」
そう言って、ほぼ反射的に男の子にたった1歩右足で駆けた。
当然、男の子と距離は確実に10メートル以上は離れていた。
走って間に合うわけでもない、たった1歩駆け出したのもただの反射だった。
けれど、たった1歩なのに何でガードレールにぶつかりそうになるほど男の子に接近しているのだろう?
ガードレールまでの距離は元々2メートルくらい離れていたはずなのに何故?
なんて考える前にぶつからない様に左足でブレーキを掛けた。
……はずなのに、なんでガードレールを飛び越えてるんだ俺?
そこから先はほとんど無意識だった。
道路に着地したと思ったら何故か子供を抱えて反対側の道路に俺が居た。
何が起こったか自分でもわからない。
なんで俺、子供抱えてんだ?胸がすっごい苦しい……?なんで?
混乱している俺の頭は、後ろで響いた何かですこしだけ元に戻った。
「はぁ、はぁ……あれ?」
振り返ると、さっき見た赤いスポーツカーが止まっていた。
その奥には子供の父親が両膝をついてへたり込んでいた、さらにその奥から母親がゆっくりと歩いてきていた。
「お、おい!!大丈夫か!?」
車から赤いシャツを着た男性が降りてきて、駆け寄ってきた。
正直意味が分からなかった。
男性が何かを言いながら俺の肩を揺さぶるが、何を言っているのか聞こえない。
いつの間にか直ぐ傍に子供の両親が居て泣きながら何かを言っている。
ただ足が震えているのだけはわかってその場に崩れると、長い時間なにも考えれなかった。
俺がある程度まで冷静になったのは時計で見る限り正午から10分後のことだった。
そこまで時間を使ってようやく俺のやったことが分かってきた。
というより、子供の母親が持っていたカメラに途切れ途切れで尚且つブレていたけど、そこに映っていた。
とても人間とは思えない速さで子供を助けた俺が……。
はぁ?ナニコレ、なんて番組?
特撮作品みたいに高いジャンプをし、馬鹿みたいな速さで子供を抱きかかえて走っていた俺がいた。
結局その後、その家族と車の運転手にお礼を言われ、手を振って別れた。
手を振る俺の手のもう一方には、10数枚の万券と大きな飴玉が握られていた。
「あ、アイスと炭酸買いに来たんだった」
お金を財布に突っ込み、飴玉をズボンのポケットに入れると、
俺はスーパーマーケットでブドウ味の炭酸ジュースとソーダ味のアイスを買って家に帰った。
暗い……けどほんの少し明るい微睡みの中、突然頭に何かが響く。
「起きなさい、一斗!!こんなとこで寝てるんじゃないの!!」
とても聞きなれた声が俺の名前を呼ぶのが聞こえ、目を開くと目の前に見慣れた顔……というか俺の母親の顔があった。
「あれ?母さんおぁえり……」
「寝ぼけてるんじゃないの!!寝るなら自分の部屋で寝なさい……もう!!」
そこまで言われて初めて俺は気付いた……ここ玄関だ。
「うおッ!!ごめん母さん!!」
そういって急に立ち上がると、足元にあった何かを踏んでしまい、水音がした。
なんの音?と思っていたら、母さんがそれを教えてくれた。
「あんた買い物行った帰りに寝てたの……?アイス溶けてるわよ」
俺が踏ん付けたのは今日買ってきた棒付きアイスキャンディーのなれの果てだった。
袋が破けなかっただけまだマシと考えておこう。
腕時計を見ると夕方5時丁度を表示していた。