Side春季
「貴様等、何者だ一体!?」
音六が助けを求める声を聞いたと言ったので久し振りに異世界ゲートを使い向かった。
向かった先で俺が恋愛地場を纏った素手(素手というのかは微妙)で止めた男が持つ金色の槍。
男から魔力を感じるな…しかし魔族堕ちの気配がしないから純粋な魔力なのか?
まあどの道俺達の敵ではない。
「俺達か?俺達は愛の伝道師さ!」
「ふざけているのか!」
「別にふざけてなどいないぞ?ちょっとしか」
「なら邪魔者は倒させてもらう!」
俺達の自己紹介を聞いた男は憤怒し戦闘態勢に入ろうとしていた。
それに対し俺達も戦闘態勢に入る…っとその前に…
「此処は何処だ?」
「きょ、京都なのじゃ」
狐耳の少女に現在の場所を聞く。
一瞬リアルツクモ!?かと思ったのは内緒だ。
「そうか、なら…」
場所を聞いた俺は別の地点にゲートを開きこの世界に降り立った音六組にエナジーテレパシーで連絡を入れた。
『話は聞いていましたねサクラさん。
早急にスフレさんに連絡して其方の周辺で一番大きいライブ会場の手配する様に伝えて下さい。
恐らく長丁場になりそうなので』
『分かってるわ!皆も準備を急ぐわよ!』
『『うん/はい!』』
サクラさんが申し出を受け入れ音六組は向かったようだ。
これでセッティングは完了だ。
「アンタ達が何者なのかは知らないけど仕出かそうとしている事は絶対に止めてやるよ!」
「我々英雄派の邪魔立てはさせんぞ!」
英雄派ねぇ…ロクな集団ではない事は確実だな。
「では、兄さんは剣を持った奴を、寧流は女性の方を、ミドウさんとハヤトさんはあっちの杖を持った男と化物を生み出している少年を、俺が槍持ちと大男をやります!」
「「了解!」」
イチカ兄さんに同じ剣持ちの男を、金髪の女性を寧流、ミドウさんとハヤトさんには魔法の杖らしき物を所持した青年と周囲に存在している化物を生み出したであろう少年を任せ、残りの槍持ちの青年とガチムチ筋肉質丸出しな大男を俺が相手取る事になった。
Sideミドウ&ハヤト
「突然現れて何かと思いましたがその程度の武装で私達に敵うとお思いですかね?舐められては困りますね」
「はッ!言ってろ。英雄らしからぬ行為でイキがっているだけのような餓鬼共じゃあ俺達武芸者には絶対に勝てない事をその身に教えてやるよ!」
「ッ!なら試してみましょうか!」
「遅いっ!」
「何っ!?…」
杖持ちの青年、偉大な魔術師の子孫(自称、それもかなりマイナーな)を名乗るゲオルグが呪文を唱え魔力弾を飛ばしてくる。
だがミドウには欠伸が出る程遅く感じられ彼の大鎌で容易く斬り払われる。
一方
「やりにくいな…」
「…」
ハヤトは【魔獣創造<アナイアレイションメーカー>】という神器を生まれ持ったレオナルド・ダヴィンチの子孫の少年と相対する。
「(此奴のあの目、アイツと同じだ…!)」
ハヤトはかつて敵対していたセリヴィア元教皇の四天王だった一人を思い出す。
セリヴィアという存在以外には一切興味を示さず相互理解など出来ないと悟った少年の事を。
「(説得は時間の無駄か…なら速攻でカタをつけるしかない!)はああああー!」
そう結論付けたハヤトはレオナルド少年が無言で次々と生み出してくる化物を彼の目では到底捉えきれないスピードで全て斬り裂いた。
「!?」
レオナルド少年は己が生み出した魔獣が容易くやられた事に驚く。
それも無理はない。
レオナルド少年は敵対相手に対して有効打となるモンスターを生み出せる。
だがそんな彼でもハヤト達武芸者の事は当然知らない。
自分と同じ只の神器持ちの人間だと勘違いしている時点で彼に勝目など無いに等しいのだ。
「……」
己の生み出した魔獣ではハヤトには勝てない事を悟りレオナルド少年は白目を向いてその場で気絶した。
そして
「そらそらそらあー!」
「(だ、駄目だ!…コイツに勝てる未来が全く浮かばない!?…)」
「余所見厳禁だ!」
「しまっ!?…」
ゲオルグは完全にミドウに遊ばれていた。
そして、レオナルド少年を完封し援護に駆け付けてきたハヤトの不意打ちに対応し切れずに杖でなんとか防ごうとする。
だが…
「【残影斬】!」
「なっ!?…」
「喰らいな!」
「ぐふっ!?……」
ハヤトの繰り出してきた奥義によってゲオルグの杖は綺麗に真っ二つに斬り裂かれる。
得物を失い狼狽するゲオルグは追い打ちといわんばかりにミドウのエナジー斬波の一撃を喰らい気絶したのだった。
Sideイチカ
「俺はジークフリートの子孫!俺の魔剣達に勝てるものならかかってくるといい!」
「何?…」
コイツがかの大英雄の子孫だと?…俺はふざけるなと思った。
子孫が御先祖の残した方針に背いて無用に他人を傷付ける行為に及んでいるなどと。
尚ジークフリートの子孫だと名乗った青年が実際には既に死したフリードと同じある機関が生み出した只のクローンの成功例でしかないという事は知る由もない。
「魔帝剣グラムの力とくと味わうがいい!」
「成程確かに常人よりは早い…だが己を磨かず剣に頼りきっているお前に俺と友が受け継ぎ研ぎ澄ましてきた剣崎流の奥義は決して負けん!【残影斬・弐式】!」
「ぐああっ!?…な、何っ!?」
ガラン!ガラン!
俺は奴が繰り出してきた技を見切り、奥義で奴の手を狙い得物をはたき落とした。
「フム…確かに一級品の代物ではあるが担い手がこれではな…」
「お、俺のグラムか、返せ!」
「お生憎様、返す訳にはいかないな!」
俺は奴の剣を拾い上げ奴の叫びを無視し下がった。
Side寧流
「私はジャンヌ・ダルクの魂を受け継ぎし者!さあ私の創り出す聖剣の数々に翻弄されるがいいわ!」
「この程度の数が何?撃ち落とす!」
「なんですって!?」
私はジャンヌと名乗った金髪の少女が投げてくる剣を二丁のショットガンで撃ち落とす。
「どうしたの?その程度?」
「な、舐めるなあ!」
先程よりも数を増やした剣が私を襲ってくる。
だけどこんなものあの生徒会長のよりも遅い!
「全て撃ち落とす!焔牙!」
私は己に投与してきていたRedHotがあの人に救われ触れ合った事で本当に手にした、進化した魂の、世界の力を手にする。
「【叡智の結晶なる力弾<ガイアフォースパワークリスタルバレット>】!!撃ち乱れなさい!」
「なっ!?…」
縦横無尽に世界の叡智の全てを内包した弾丸を降り注いでくる剣にぶつける。
ある物は骨組み一つ残さずに燃え散り、ある物は凍りつき空で停止、またある物は己の許容範囲をゆうにこえる閃光の輝きを受け崩壊、そしてある物は対なる力の上回りによって飲み込まれた。
「そんな!?…」
「私はもう絶望に負けない…あの人の望む理想の邪魔はさせない!」
「理想って何よ!?聖女の生まれ変わりだと崇められてきたけどある日掌を返して絶望に叩き落とした連中に復讐する!
それの何が間違っているというのよ!」
「貴方は大切なものを失った事がないようね…只自分の境遇に甘えてきていただけに過ぎないわ…己自身の弱さを認めぬ者に奇跡と希望は生まれないわ…」
かつて最愛の兄を間接的にとはいえ己の手で失ってしまった弱かったあの頃を受け入れた私と境遇に只甘えていただけに過ぎない彼女では決定的な差が瞭然だった。
「五月蠅い!だったらこれで!【混沌禁手<カオス・ブレイク>】!」
私の言葉に逆切レを起こしたジャンヌはそう唱えると半身が蛇の様な尾となり半化物の蛇女になった。
「仕方無いわね…ならこの一弾で終わらせましょうか。チャージ開始!」
「小癪なァ!たった一発の銃弾で何が出来る!?」
「可能よ…この力はあの人のおかげで手にした誇るべきものなのだから!
チャージ完了!【果てなき叡智統べし幻想の祈生声<ガイアバースディーファンタズムロー>】!!発射<ファイア>!」
「嗚呼あァァー!?……」
この一弾に祈り込めたチャージバーストを向かってくる化物と化したジャンヌに向けて撃ち放った。
ファンタズムローの直撃を受けた蛇女は苦しみの絶叫を上げ煙幕が晴れると当然な事かの様に大事な所を露わにした状態で気絶していた。
あ、あの人には見せられないから施しをあげたわよ!
Side春季
「はっはー!俺様の【巨人の悪戯<バリアント・デトネイション>】の力をとくと受けてみやがれぇー!」
「…」
相手の大男が両手を突き広げると周囲が突如爆発を起こす。
俺はラブパワーでそれを防ぐ。
「その程度か?」
「何ッ!?無傷だと!?」
「ヘラクレス!禁手を使え!」
「言われなくても分かってる!バランスブレイク!うおおおおー!【超人による悪意の波動<デトネイション・マイティ・コメット>】!喰らええええー!」
どうやらコイツ等には今迄の世界と同様に俺の力の根源が見えないようだ。
彼等の力が魔力にあるのなら本来なら俺の力と拮抗し合う筈なのだがそれは感じられない。
という事は奴等は俺に傷一つ付ける事など一切不可能なのだ。
それでも只の強固なシールドだと思ったのか大男が力を解放し大胸筋をミサイル弾倉化し撃ち放ってくる。
ってどんな原理だよそれ!?
「無駄だ!」
再び地場を翳しミサイルを防ぐ。
「何!?俺様の全力をコイツ!?…」
「ヘラクレス下がれ!俺がやる!
はあっ!」
完全に己の全力を防がれ驚愕する大男を下がらせ槍持ちの青年が得物を突き出してくる。
「だから無駄なんだっての!」
地場を展開したままだったので叩き付ける様に突き出すと青年が振るってきた槍は難無く止められる。
「何!?我が神槍の一撃を!?」
「呆けている場合か?」
「しまっ!?…」
「アァッタァー!」
ズドーン!
今の一撃が防がれた事が予想外だったのか驚愕する青年の隙を突き俺は高速部分展開した雷砲血神の零距離の拳の一撃をお見舞いしてやる。
対応し切れなかった青年は物の見事にこの一撃を喰らいふっ飛ばされた。
「曹操!?」
「ぐっ!?…中々に面白い力を持っているようだね君は…だが今度はそうはいかないよ!」
コイツまだ折れてないのかよ!?
俺は頭を抱えた。
Side信
「凄い…!」
突如現れた男女数人が襲撃者を圧倒していた。
「だったらお前からだ!」
「しまっ!?…」
今の戦況では彼等には勝てないと悟ったのかヘラクレスと呼ばれていた大男が此方に狙いを変えて襲ってきた。
「何やってるの信!早く戦って!彼等を見て悔しくないの?!」
「桜!」
「こんのガキ!何しやがる!」
「キャッ!?」
その刹那、テレポートでヘラクレスの背後に回り込んでいた桜が捕り抑えていた。
だがすぐに大男の反撃を受けてしまい吹き飛ばされる。
「桜!…あの野郎!…!?」
ドクン!
桜を傷付けられた瞬間、怒りより先に沸き上がってきたものを感じた。
それは
『怒りに支配されちゃ駄目!それじゃ内に存在している神様は決して力を借してはくれないわ…私の神様、今度は私の大切な人の事を護ってあげてね』
今のは…!俺にとって聞き覚えのある声が聴こえてきてそう囁きかけてきた。
世界が離れてても俺の事を忘れないでいてくれたのか…纏従姉さん。
「神様…」
「凄く綺麗!…」
「何じゃこの神は!…」
「何、神だと!?…なんだこの力の奔流は!?…」
俺に憑いていた神様は突如眩い輝きを放ち偽りの姿を脱ぎ捨てその真の姿を顕現させた。
傷を抑えている桜や九重ちゃんは見惚れ、敵は驚愕していた。
「そうか…それが本当の神様の姿なんだな…だったら!」
「信!…私も歌う!♪~」
俺の神の姿を見た桜も奮い立つ。
推奨戦闘BGM「蝶結びアミュレットー桜Ver」♪
「『八百万の神よ!我が手にその力の一端を顕現せよ、【八百万の剣】!」
「何!?八百万の神だと!?」
顕現した神が呼び寄せた神羅万象幾多の他の神が集結し八百万の剣はとんでもない神力が満ちる。
「ひっ!?…く、来るな、来るなぁー!」
「願い、叶え給へ(え)!悪意退散!せえい!」
「ぐわああああー!?…」
八百万の神の力に恐怖したヘラクレスは逃げ出す事すらも叶わず俺が振るった八百万の剣の一閃に飲み込まれ光の奔流が止むと倒れ伏していた。
「ヘラクレス!?
糞っ!…だが切札は未だ此方の手中にあるんだ。
近日中に九尾の大将を使って我等が拠点にて真赤龍帝グレートレッドを呼び寄せる為の実験を行う。
阻止したいのであれば来るが良い!」
「待て!」
槍持ちの青年が戦況を見て撤退して行ってしまった。
王に報告せねばな。
「俺達も引き続き協力させてもらっても良いだろうか?」
「ああ…俺達もそう思っていた所だ」
乱入者の青年が聞いてくる。
俺達は了承しホテルへと帰還するのだった。