Side一誠
「皆様!?メルド騎士団長、一体どうなされたのですか?!」
異世界召喚された者達の異常な様子を目にしたリリーナ姫は彼等に駆け寄りメルドと呼んだ騎士の男に問いかける。
「実は…オルクス大迷宮の探索中にアクシデントに見舞われ今の彼等の持ち得ている実力では到底踏破など不可能な階層に飛ばされその先でベヒモスに遭遇。
錬成師である南雲ハジメの立てた戦略のおかげでなんとかベヒモスを退けられたのですが…」
「真逆!?…」
「ええ、我々の窮地を救ってくれた最大の功労者であった彼が援護で放たれた魔法攻撃に巻き込まれてしまい更なる深層へと落ちてしまいました…」
「そんな!?…」
メルドからそう聞かされた姫さんは愕然となる。
「一体誰があんな魔法を撃ったの?!名乗り出てよ!」
「香織落ち着いて!」
「そうだぞ香織!南雲はもう死んでしまったんだ!…」
「落ち着ける訳無いでしょう!それに決めつけないでよ天之河君!
南雲君はねこの世界の知識を誰よりも身に付けていたの!
もしかしたらまだ希望はあるかもしれないの!だから!…」
香織と呼ばれた黒髪ロングの美少女が錯乱しながらそう叫んでいたのを目にした俺は彼女達に歩み寄る。
「…少し話を聞かせて頂いても良いだろうか?」
「君は?…」
「私の名は一誠・ブリュンヒルド・アルーザス。
とある事情から数時間前に別の世界からこの世界へとやってきた」
「別の世界から!?…」
「今はそれよりも最優先にするべき事がある筈だ。
先程の話を詳しく聞かせてくれないか?」
「は、はい…」
俺は彼女達から詳しい話を聞き結論を述べる。
「その状況だと明らかにその彼を狙い撃ちにした攻撃に違いないな…悪手も悪手だ」
どうやら異世界組の一人が落とされる原因となった攻撃は件の魔物が沈黙した直後に放たれたものらしい。
そんな状況で放たれたならそれは初めから援護などではなく狙い撃ちにする算段だったのは明白である。
「真犯人を見つけてやろう…ユフィナ!」
「はい!」
「「!?」」
俺が指示を飛ばすとインビジブルを解除したユフィナが姿を現すと異世界組は驚く。
そしてユフィナは魔眼で彼等を視る。
「そこの男性ですね、かなりドス黒く穢れた魂が視えましたよ」
そう言いながらユフィナが偏見だが明らかに不良じみた男子を指差した。
「やっぱり!…檜山君だったんだ!」
「ち、違うんだ白崎さん!…俺にそんなつもりはなくてだな…」
犯人であると確信されたそいつを見た香織さんは詰め寄る。
「貴方以外こんな事するの誰が居るっていうの?!
普段から南雲君の事を散々虐めていた癖に!」
おいおい普段からそんなのかよ。
「ユフィナの魔眼を誤魔化す事は出来んぞ!」
「ぐっ!?…く、糞がぁっ!…どうしても俺のモノにならねえっていうんなら…」
「キャッ!?」
「いっそこの俺の手でよおー!…」
逆上した奴は白崎さんを羽交い絞めにし彼女をナイフで刺そうとしていた。
「香織!?檜山、やめなさい!…」
「誰がやめるてやるものかよ!」
黒髪ポニテの美少女が白崎さんの身を案じて檜山を説得しようとするが奴は魂まで穢れ切っていると言われた屑野郎だ。
そんな言葉では止まらないのは確実、このままでは奴は白崎さんを刺し殺すだろう。
「フンッ!」
「ぐべえっ!?」
だが奴の誤算はたった一つあった。
この俺が居た事だ。
「女性をモノ扱いしている時点でテメエに慈悲はねえ!」
「ひ、ひい!?…許し…」
「何故許して貰えるだなんて思っている?この俺の前でやらかしたからには空っきしな謝罪など何も意味はない!
テメエの様な輩は一生奴隷として生きるのがお似合いだろう!」
「は、離せ!…俺は…」
「もう遅い!エセ馬鹿王子と同じ末路を辿るが良い!」
俺は檜山を掴み上げて開いたゲートへと強制的に放り込んだ。
行先はリーニエの元馬鹿王子らが今も尚強制労働させられている奴隷鉱山だ。
奴の罪状は冬夜に録画データを送っといたので一生働く事になるであろう。
その後、天之河と呼ばれていた男子が何やら騒いでいたが聞く耳持つ理由も皆無なので完全無視した。