『「ウー!」』
「コラコラ!お前等やめい!」
『「ぶべるっ!?」』
「そうだよ…」
先日俺達が召喚魔法で呼び出した瑠璃と琥珀だが元々この二匹の仲は悪かったらしく暇があっては喧嘩していた。
「ったく…止めるこっちの身にもなってくれ」
『す、すみません主…』
『ですがね…』
「理由は何なの?」
冬夜が二匹にそれとなく聞く。
『「…(・_・;」』
「…」
言うまでもない只互いに口出しをしていただけだったので金輪際下らない理由でするのはやめるように言った。
琥珀に関しては女子陣のおかげだな。
『うう…ちょっと苦しいです…』
強引なもふもふタイムという天国だけど…ここばかりはグッジョブと言わざるを得なかった。
『げ、解せぬわ…』
尚本人にとっては拷問と同義の模様。
それから色んな事があった。
迷子捜しを頼まれたり(本人は冬夜が連れてきてくれた)、『ロングセンス』の魔法を試していたらうっかり手が滑ってエルゼの着替えを覗いてしまったりしまってそれがバレそうになったりしたのでご機嫌取りを兼ねて彼女が欲しがりそうな表情で見ていた服をプレゼントしたらリンゼやユフィナまでもが不機嫌になり…おかげで大分資金が減ったよ…。
「「しゃ、爵位授与?」」
「ええ!」
「「ええ!?」」
ある日、唐突にユフィナ達がそんな事を言ってきた。
エルゼ達も相当驚いている。
「実はお父様が改めてお礼としてイッセーさんと冬夜さんお二人に爵位を授与したいとの事です」
「じ、辞退を…」
「おっと?辞退は無いと思うなあ…ノブレスオブリージュを面倒臭がるもんじゃないぜ?」
「…分かったよ…」
何処か納得していない様子だが冬夜も話を受ける事にしたみたいだ。
礼を兼ねてとの事だが公爵家のメダルだけでなく肩書も付けば何かとより融通が利き易くなる。
その分他国のアホ共に命を狙われる危険がないとはいえないが…まあ最強の使い魔がついているしそこは大丈夫だ。
翌日、俺と冬夜は授与式に出た。
国王様から直々に与えられた爵位はスゥの父親アルフレッド様と同じ公爵だった。
勿論冒険者稼業は続けさせてもらう。
…何故か有無を言わさずデカイ豪邸までもがそれぞれ与えられたのだが…お、王家のバックアップパネェ…。
翌日
「まさかイッセー殿達がユフィナ達の婚約を結ぶ事になるとはな」
「むう…」
「はは…まだ正式な婚姻とまではいってませんけど…」
アルフレッドさんに呼ばれて行くとユフィナ達との婚約の事を知っていたようで茶化される。
スゥはなんだか御機嫌ナナメだったが。
まあ、アルフレッドさんは当然の様に俺達のどちらかにスゥを嫁がせたいなどと言い出し、それを聞いたスゥが真っ先に俺に抱き着いて来たのだ。
「トウヤも好きだけど美味しい料理を食べさせてくれるイッセーはもっと好きじゃ!」
「…」
スゥは満面の笑みでそう言った。
半分食い気だったか…。
ちょっと冬夜!?そんな目で俺を見るな…。
あ、スゥから凄く良いニオイがする…っていかんいかん!
「そ、それで依頼というのは?」
「おっとそうであったな!
ギルドを通しての依頼なのだが君達にはミスミド王国へ出向いてもらいたいのだ」
強引に話を戻すとアルフレッドさんも気を取り直して話す。
「ミスミドにですか?」
「大方、今度行われる同盟会談の為に俺達にゲートを繋げておいて欲しいといった所ですかね?」
「その通りだ。
本来ならば兄上達自らが出向くべきなのだがあの辺りは魔獣共の出現頻度が高い森ばかりでな…」
「一足先に安全確保の名目という事もありという訳ですね!」
「ミスミド大使の護衛も兼ねて此方からも護衛兵を同行させるつもりだ。
受けてくれるかね?」
「「良いですよ!」」
「そうかそうか!」
二つ返事で依頼を受ける事にし、出向の日を迎えた。
「…」
「どうかされましたか?イッセーさん」
「『瑠璃、俺達以外に人の気配を感じないか?』」
『ええ…とても友好的な人の気配ではありませんね…』
「『イッセー、琥珀にも確認したけど相当の数のようだよ。
まあ、流石に王宮襲撃の時の様な人数ではないようだけど…』」
「イッセー殿達も感じたのですか?」
「ええ…人数からして恐らくは盗賊の集団なのではないかと」
陽が落ち何やら周辺に気配を感じ瑠璃達にテレパシーで確認を取る。
獣人であるオリガさんも感じ取っていたようで驚いていた。
「『琥珀、およその人数は?』」
『東と西側に五人ずつ、南と北側に十人ずつといった所でしょうか』
冬夜が琥珀に一応の人数確認を取る。
成程、あえて前面には少人数を配置し、後ろに多人数で包囲網を作り獲物の退路を断とうという作戦か。
只の野盗にしては良い考えだとは思う。
だが人数で圧せれば良いというその考えは俺達には通じないぞ!
「このまま完全に包囲されたら面倒だ!
冬夜!お前は東と西側の制圧を頼む!
俺とオリガさんで残りの南と北側に居る奴等の制圧に向かう!」
「分かった!」
「え、ええ!」
オリガさんが格闘術をたしなんでいる事は知っていたので指示を飛ばした。
さあてと、いっちょやってやりますかね!
「へっへっへ!…イイ獲物が舞い込んで来たじゃねえか!
オイお前等!作戦通りに身ぐるみ剥いでやろうぜえ!」
「おおう!」
盗賊団のリーダーが指示を飛ばす。
だが綿密に立てた筈の作戦がいとも容易く突破されてしまうとは彼等にも予想外であった。
「ヘ、ヘッド!…」
「何だあ?」
一メンバーが大慌てで報告にやってくる。
「ひ、東側と西側に潜ませていた者達が一瞬にしてやられ…捕縛されてしまいました!…」
「ナニィッ!?そんな馬鹿な事があってたまるか!
たかだか少数のVIPの護衛の筈だろう!」
「で、ですが…恐らく向こうには此方よりも凄腕の魔術師が護衛に付いているのではないかと思われます!」
「お、おのれえ!…だったら俺達で…」
確かに盗賊団のメンバーの中にも腕の立つはぐれ魔術師が数人いた。
だが冬夜が発動した無属性魔法『マルチプル』によって広域拡散したパラライズによって有無を言わさず鎮圧されていたのだ。
勿論そんな事は知る由も無いリーダーは新たに指示を飛ばそうとする。
「そうはさせねえよ?」
「ご観念を!」
そこに一誠とオリガが現れる。
「!?…て、テメエよくも!…」
作戦をいとも簡単に突破され激昂したリーダーは剣を振るおうとする。
「アポーツ!」
「んなあっ!?…」
「はあっ!」
「ぐぶっ!?…」
俺はすかさずアポーツで剣を奪い取り遥か彼方に放り投げる。
剣を奪い取られた事に混乱している隙にオリガさんが渾身のキックを繰り出し見事に気絶させた。
「ひ、ヒイィー!?ば、化物ンだあー~!?」
「逃がさねえよ!ゲート!」
「な、なんじゃこりゃああああー!?…」
リーダーがやられたのを見て残存している盗賊一味が一目散に逃げ出そうとするがそうは問屋が卸さない。
ゲートを奴等の所に開き転送させた。
「イ、イッセー殿、一体彼等は何処に転送されたのですか?」
「ン?ああ、奴等はあらゆる場所で強盗を働いている連中で手配書が回っていたからな。
王都の警備所に転送させてやっておいたよ。
今頃向こうで確保されている筈さ」
「う、うわあ…」
オリガさんに聞かれそう答えると彼女は苦い表情をしていた。
自分でもえげつない事をしたと思う。
「さてあっちの制圧は既に終わっているしまたゲートで転送してやろうかな」
「もう何も言いません…」
なんだよう…。