Side一誠
それぞれの武具を作成して時間が余ったのでミスミド王都の料理屋に皆で行こうという話になった。
それにしても郷土料理だといわれている「カラエ」がどうみてもカレーなんだよなあ…。
初めて口にしたエルゼ達や冬夜はその余りの辛さに悶絶していた。
「す、すぎょくきゃらいですう…」
「みじゅ、みじゅう~!…」
「そんなに言う程辛いかコレ?」←結構な辛党
「「え!?…」」
平気な顔して食べてたら皆に変な顔された…なんか解せぬわ。
その後、街をブラついていると黒竜討伐戦の時に瑠璃達が感じていた気配を再び感じそれを追った。
それがベルファスト国王陛下直属部隊「エスピオン」に属するメイドのラピスさんとセシルさんだったのだ。
捕縛した際に冬夜が隠し武器検査をしてうっかりラピスさんの胸を揉んでしまったが…う、羨ましい!
俺もすればよかった!
勿論、どちらも凄腕の持主なので下手な発言は控えたけど。
聞けばユフィナ達の警護を秘密裏に任されていたようだ。
親馬鹿もここまでくると清々しいな。
翌日、遂に迎えたベルファストとミスミド王国の首脳会談の日がやってきた。
「ようこそミスミドへ!心から歓迎致しますぞベルファスト王にその親族達よ」
「お招き頂き感謝致しますぞミスミド王」
ミスミド宮殿に設置させてもらったゲートを繋げた鏡台からベルファスト国王様達がやってきて互いに握手を交わしていた。
その後会談は着々と進み両国間の親睦がより深められた結果となった。
会談が思いの他早く終わり帰還した翌日。
「「うおおおー!」」
俺に対抗したのか冬夜が自転車を作っていた。
確かにアレならば少し練習すれば誰でも乗れるしな。
その日の夜
「ファッ!?~…」
「え!?…」
アカン…風呂に入ろうと思い入浴したら先客がいた。
ユフィナだった。
勿論互いに全裸である。
ううーむ…それにしてもやはり妹と同い年とは思えない程の豊満な良いスタイルだ。
ってそうじゃなくて!
「すすす、スマン!」
「こ、此方こそ~…」
少しだけ恥ずかしそうにするユフィナ。
ちょっと!?前隠して隠して!
「…イッセーさんと折角の二人きりな状況なんですから恥ずかしがる必要はないですわね」
ちょっとぉー!?そうだった俺に嫁入り宣言までした子だ。
羞恥心なんて限界突破してあるものもないんだ。
「で、でもユフィナ?俺はまだだな…」
必死に煩悩を抑える。
「…イッセーさんはそういう方でしたわね…待ち続ける事も必要ですわね。
ん?…」
「ふ、ふう!…ってい!?…」
名残惜しそうにユフィナはそう言って離れる。
が、ふとガヤガヤと賑やかな声が聞こえてくる。
ヤバイ、エルゼ達の声だ!
「い、イッセーさん早く!」
「うおわっ!?ちょ!?…」
他の女子達にこの状況が見つかれば流石に不味いと感じたのか慌ててユフィナがまた体を押し付けてくる。
一掃強い。
「ユフィナお姉様は先に入られた筈なのですが…」
「ここにいますわよ」
「なんでそんな所にいるのでござるか?…」
「「…」」
はっ、殺気!?…
エルゼとリンゼの目つきがヤバイ事になってる。
明らかに何か気付いてるバレたら終わるな…。
「い、今そちらにいきますわ(さ、今の内に脱出を!)」
「(さ、サンキューユフィナ!後でこの埋め合わせはさせてもらうから!)」
「(楽しみにしておりますわ!)」
ユフィナが向こうにいってる間に俺はゲートを使ってこの天国か地獄か分からない所から脱出した。
一時間後、冬夜がバッタリと着替え中のユフィナ達と遭遇し一悶着起きた。
くそ、ちょっと羨ましい気がする!
あ、思い出したら鼻血が…。
翌日
「あー…昨日は酷い目に遭った…」
「…(゜_゜)」
ドン!
「「ン?」」
「ご、ごめんなさい!…」
「私達ちょっと急いでて!し、失礼します!」
冬夜と王都をブラついていると人にぶつかってしまった。
ぶつかってきた人達は軽く会釈し謝罪してすぐに向こうへと行ってしまった。
その直後
「あ、あれあれ?…」
「無い!私の財布が無いぞ!?」
周りの通行人の何人かがそんな事を言っていた。
まさかこれはスリか?!
「イッセー、まさかとは思うんだけど…」
「ああ、多分今さっきぶつかっていった子達に何か関係があるのかもしれない。
まだそう遠くへは行ってない筈だ。
急いで後を追ってみよう!」
「うん!」
先程の子達が何かやっていたんじゃないかと予想した俺達はすぐさま見失わない様に後を追った。
その子達は五軒先の裏路地へと入っていった。
「どうする?イッセー」
「しばらく様子を見てみよう。
あんな小さい子が進んで白昼堂々スリをやらかすなんて考えにくい」
「分かったよ」
俺達はひとまず様子を探る為隠れる。
どうやら数人の男達、どうみてもチンピラだ。
緑の帽子を深く被っている子が通行人からスった財布をチンピラ達に差し出し、茶色の帽子を被っている子が何かを彼等に懇願していた。
あの野郎!…
「おい、コレは不味いんじゃ…」
「ああ…しかもかなりな…」
最悪の事態になると予想した俺達はたまらず飛び出した。
Side?
「はあはあ…こ、これ…」
「予想通りガキだからって流石の固くなっていた警備も甘くなったな」
「こ、これでアレを頂けますよね?…」
「アァン?たったこンだけの稼ぎで調子に乗るんじゃねえぞ!」
「そ、そんな約束が!?…」
「この糞餓鬼がぁー!誰のせいで警備が厳しくなっちまったと思っているんだ?ああ?!」
私はレネ。
私のお父ちゃんは一人魔獣討伐に出て行ったきり生死不明、お母ちゃんは私を産んですぐに死んでしまい親類も碌にいなかった私は同じ様な境遇を抱えていたサナちゃんとこうやっていけない事に手を染める事でしか生きる術がなかった。
だがサナちゃんはある日を境に日に日に私よりもやつれていったのだ。
「あ、アレが無いとあたし…」
「ゴチャゴチャとうるせえんだよ!」
「まあまあ、ここは此奴の望み通りにしてやりましょうぜ?」
「そ、そうだな。
俺も此処最近ご無沙汰だった事だし…」
「!?」
男達はそう言いながらおもむろに服を脱ぎ始め、懐から注射器を取り出してきた。
「ま、まさかそれは!?…」
私はそれを見て嫌な感じになる
「へえ、放浪児の餓鬼の癖にコイツが何か分かるとはな…もしかしてお前結構イイ所の餓鬼だったんじゃないのか?
まあ放浪児になっちゃ元も子もねえけどな!はははは!」
「は、早くソレを…」
「だ、ダメ!サナちゃんそれは!…」
サナちゃんはそれを目にした途端、物欲しそうな表情を浮かべ腕を差し出していた。
嫌な感じがしこれ以上アレを打たせてはいけないと思った私は必死にサナちゃんと男達を止めようとする。
「邪魔すンな!」
「あぐっ!?…」
女の私じゃ男達の力に敵わず突き飛ばされてしまう。
「へっへー!そンじゃお楽しみさせてもらうぜ~」
「嫌あああああー!」
男達が下も脱ごうとし魔の手を伸ばそうとしている事に非力な私はこれ以上何も出来ずに悲痛な叫び声を上げるしか出来ないでいた。
だが…
「アンタ等…自分達が一体何をしでかしているか分かっているのかよ!?」
「そうだ!これ以上は放っておく訳にはいかないよ!」
白と黒のコートを着たお兄さん達が現れそう言ってきた。
「なんだあ?関係無い奴はおとなしく引っ込んでな!」
「おっと!」
「あべし!?…」
男の一人が激昂しパンチを繰り出す。
だが黑のコートを着たお兄さんが難無く避けカウンターパンチを繰り出して気絶させた。
「や、野郎!」
「先に手を出してきたのはそっちだろうが…」
「一応聞いとくけどアンタ達がスリ常習の主犯って事で良いよね?」
「ナニ言ってんだ?スリしてンのはこの餓鬼等だぜ?」
「そっちが何を言っている?
警備が厳しくなるまでやっていたのは間違い無くアンタ等だろうが!
年場もいかない子供とアンタ等の様な汚い大人を一緒にするんじゃねえ!」
「そうそう、自分達がやりにくくなったからって幼い子を使い走りに使うのは関心しないな」
「うるせえ!お前等やっちまえ!」
「「おう!」」
「あ!?…」
お兄さん達の言葉に逆切れを起こした男達が何処に潜ませていたのか仲間を呼び一斉にナイフを取り出して襲いかかろうとしていた。
「OK!その喧嘩買わせて貰うぜ?
少しばっかり過剰防衛になるかもしれないがそれはお前等の自業自得だ!
『雷精よ』!」
「ブリュンヒルド!」
「え?…」
「ギャ!?…」
「うげっ!?…」
危ないと思い目を閉じようとしたその時、黒いお兄さんは手から雷を撃ち出し、白いお兄さんは銃と剣が合体した不思議な武器、えっと…ぶりゅんひるど?で男達を撃った。
どちらも恐らく魔法だ。
彼等は凄腕の魔法使いだったのだ。
Side一誠
「冬夜、ソレまさか実弾じゃないよな?」
「一応パラライズをかけたゴム弾には変えてあるけど…」
それでも結構痛いぞそれ。
まあ、こんな幼い子供に無理矢理こんな事をやらせるような輩に手加減する必要は無いか。
「ば、馬鹿な!?…なんでこんな所に魔術師が!?…」
取り巻きが一瞬にしてやられて慌て出すリーダー格のハゲ男。
「り、リーダー!たった今お、思い出しました!…」
「何をだあ?!」
まだ残っていたチンピラの一人が震えながら口を開く。
「こ、コイツ等!俺達が次期に入ろうとしていた盗賊団を一夜にして壊滅に追い込んだってもっぱら噂の奴等ですよ!…そ、それに村を襲った竜も討伐したとかなんとか!…」
え?噂になってんのかよ…。
まあ早くも一流冒険者のレッドランクになったからかな。
そして…ははーん、もしやスリで稼いだ金を上納金としてあの盗賊団に入れて貰い更に何かもっと良からぬ事を企んでいたという訳か此奴等は。
「お、俺達が敵う相手なんかじゃねえ!」
「に、逃げろー!」
服も着ずに逃げ出そうとするチンピラ達。
だが俺達はそんな事を黙って見逃してやれる程お人好しではない。
「スリップ!」
「コード解放!」
「ベッ!?……」
「ぼっ!?……」
スリップとタライを発動してこれで男達全員を気絶させた。
男達を捕縛して落書きして警備所へ転送した後、襲われていた子達に向いた。
「無事か?」
「う、うん私は…で、でもサナちゃんが!サナちゃんが!…」
「はあはあ…」
どうやらこっちの子は少し怪我しているぐらいで大丈夫そうだ。
だけど悲痛な声を上げながらもう一人の少女の名前を叫ぶ。
「イッセー!」
「分かっている!…こりゃあ物凄く酷い状態だ…かなりの中毒症状が出てしまっているな…」
ちらっと落ちていた注射器と少女の状態を見てそう判断する。
「だったら!…」
冬よがそれを聞いてリカバリーをかけようとする。
「いやこれはもうリカバリーでは駄目だと思う。
恐らくかなり依存性が高く効果期間がかなり短い違法薬物でも打たれたんだと思う。
症状を緩和出来てもその依存性までもを治さなきゃ意味が無いぞ!
だから俺がこの子を治療する為連れ帰る。
冬夜はそっちの子の面倒とこの子達が盗った財布を持主に返しに行ってやってはくれないか?」
「わ、分かった!行こう」
「え!?…」
俺の提案を受けて冬夜が緑の帽子の子の手を引いて連れて行ったのを確認し、少女を抱えて急いで屋敷へと帰った。
これ以上の症状の悪化を抑える為に一度、復元する世界を少女にかけながら。