彼は絆の繋がりで異世界で成り上がる   作:カオスサイン

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EPⅩⅧ「オエド、羽柴と織田軍の凶報 中編」

Side一誠

「なんだこれは!?…」

「酷い…!」

冬夜達とは別行動を取り、羽柴秀吉の治める地、ナガハマの城下町へと辿り着いた俺達の目に飛び込んできたのは凄惨な光景だった。

「これは一体!?…アレは!…」

恐らくは毛利一族の家紋(一部よく分からないものもあったが)だと思われる旗印を掲げた大隊が町を滅茶苦茶にしていたのだ。

駐留している織田からの派遣兵だっている筈なのにこの状況だ。

つまりは毛利一族はナガハマ城を襲撃、羽柴を滅ぼしに来たんだ!…だが何故?元の世界の歴史ならば毛利が羽柴と織田を相手に勝利を収めたという事実は無い筈だ。

異世界だからといわれればそれまでなのだが…しかしこのままでは秀吉さん達が危ない!

「うう!?…」

「!…」

すぐにナガハマ城へと向かいたい所なのだが毛利の襲撃によって大怪我では済まない傷を負わされた町民達を放っておく訳にもいかない。

「私が治癒魔法と消火を!」

「待ってくれ、今はそんなに時間の猶予が無い!だから!…」

「何か良い方法が?!」

「ああ!ユフィナは消火と引き続きの救護を頼む!」

「分かりました!『大いなる水よ』!」

ユフィナが率先して町民の回復役を買って出るが俺は待ったをかける。

即座にスマホのマップを扱いプログラムの魔法でマルチプルを適用させる。

直後に町民達へ復元する世界をかける。

これでこの町の人はとりあえず大丈夫だ。

後は毛利軍を無力化させながら城へと向かわなければ!…

しかし酷く衰弱していた人もいたが…あの症状には心当たりがあった。

俺の中で未だ何故か使えない力の一端を…

「『ます…』」

「!…」

今の声は!…俺にとって聞き覚えのある声が聞こえSBSD号を飛ばした。

 

その頃、Side鳩姫

「クッ!?…なんなのだこの軍勢は!?…」

「何度と射抜いてもキリがありませんよ!」

「ええい、落武者共が!…倒したと思ったら何やら可笑しな物が飛んできたかと思うとまるで何事もなかったかのようにどんどん迫ってきやがる!…」

次兄である秀永兄様と慈悲を受け今は織田の軍門へと下った今川善元殿と共に私は毛利の軍勢と戦っていたが一向に数が減る様子が無く劣勢を強いられていた。

「秀永兄上様、善元さん!此処は私めがなんとかして抑えます!

その間に秀義兄様達と共にお逃げ下さい!

そしてこの事態を一刻も早く信永様にも!…」

「待て鳩姫、死ぬ気か!?」

「羽柴と織田の為に散れるのならば私は本望です…!」

私はそう告げ敵軍へと向き直ろうとする。

「そんな駄目ですよ!鳩姫ちゃん考え直して!これ以上はどう考えてもナガハマの城は長くは持たなないわ!貴方まで此処で死ぬ事は!…」

「ですが!…」

善元殿の必死の静止により決意が鈍りそうになる。

だが生まれ育ったこの城と共に散るのもまた本望!…

「鳩姫ちゃん…」

「…いざ参らん!」

そう今度こそ決意した私に善元殿の声は遠くなり、羽柴に代々伝わる宝刀である青い刀を手にし駆け出した。

「うあああああー!」

一人、又一人と斬り捨てていく。

だがそんな事は御構い無しといわんばかりに斬った筈の敵兵が際限無く立ち上がり城門へと到達せんと私を排除しようとしてくる。

「クッ!…最早此処まで…」

遂には刀を弾かれてしまい私は死を覚悟した。

その時、ブロロロ!…

城外から聞き慣れない音が聞こえてきたのだ。

思わずそれに驚いた私が見てみるとそこにはまるで鉄の馬の様な物に跨り走らせた男性が此方に向かって来ていた。

見ると周囲の敵兵が倒れていた。

此処に来るまでこの数の敵を一掃してきたというのか!?

一体彼は何者なのだ?…

「そこの人!その兵士達は最早傀儡なんだ!

面を壊せばしばらくは起き上がってはこれないぞ!」

「!…」

それだけでなく男性の声がこの窮地を脱する術を教えてきた。

「やああああー!」

私はそれを聞いてなんとか刀を拾い目の前の敵兵の面を貫いた。

彼の言う通り敵兵が起き上がってくる様子はなかった。

「あ、貴方は一体?…」

「!安心するのはまだ早い!今すぐそこから離れるんだ!」

私は彼の正体を知ろうと立ち上がろうとするが彼のその叫びではっとなり飛び退いた。

「コレは!?…」

一瞬だけ見えた敵兵に謎の力を与えていたであろう札が私に向かって降ってきたのだ。

「やはりか!…オイ、毛利の大将さん達よいるんだろ?出て来いよ」

「!…」

「「…」」

彼がそう言うとザッと物陰から諦めたかのように二人の人物が出てきた。

「お前達は!…坪内利定に大沢次郎!…何故お主等がいる!?…」

秀義兄様の策によって既にこの世にはいない筈の二人に私は叫んだ。

 

Side一誠 

戦闘推奨BGM「Blow Out」

坪内利定に大沢次郎だって!?確か…坪内利定は秀吉を上から目線で部下に加えてやるとか言って信長さんを慕う彼を怒らせたから戦に突入して討ち取られ、大沢次郎についてはあの明智光秀とは違う思考で信長さんを嫌っていた傾向があったから謀反を危倶した秀吉さんによって討ち取られた武将だったか?

彼等はそんなに名のある人物ではないので歴史資料は少ないしうろ覚えだからあれだが…。

落武者軍勢に襲われていた彼女がそう叫んでいたので恐らくその戦の後…となると…。

「…」

「ヤベッ!?…」

大沢次郎が常人には視認し辛いカードを投擲してきた。

やはり!…でも何故既に討ち取られている筈のこの人達が存在していてしかもマホウと輝石を所持しているんだ?!…

自在に風の操作を可能にし、触れた相手の生命力を奪い自身もしくは他者への譲渡を可能とするトランプ型のマホウ【ミスティルティン】又の名を【傷だらけの忠誠心<ストームブレディンガー>】と二対の雷の槍型の輝石【双短槍金剛秤<ヴァジュラ・ヴァジュラ>】を利定が、大沢次郎が…!?アレはサクラ【穢れなき桜光の聖剣<レーヴァテイン>】じゃないか!?しかも反転しているから【正義なき夜光の魔剣<レーヴァテイン・ジャッジメント>】か!魔力を持たない筈の彼等が使えているって事は…彼女がなんらかの術で縛り付けて無理矢理に行使させてやがるのか!?

「『うう…この感じは?…』」

サクラの苦しむ声が聞こえる。

「…」

大沢次郎がレーヴァテイン・ジャッジメントを振るおうとする。

「させるかあ!【ストリングロード】!」

対する俺は即座に魔力で編んだローブを使い振るわれた剣撃を打ち消した。

しかし…さっきから奴等から一切の生気を感じないのは何故だ?

「…」

「666のナイフ収束!」

一方の利定がヴァジュラを振るってきたので俺は666のナイフの収束投擲で対応する。

だが利定はヴァジュラをクロスさせ防いだかと思うと更に弾き返してきたのだ。

「チイッ!?…」

「イッセーさん!」

防御態勢に入ろうとしたが、そこに町の人達の救護を終えて此処まで走ってやって来たユフィナが白い双剣を構えて弾かれたナイフを弾き返した。

ってそれは!

「ユフィナ、その剣は!…」

「此処に来る迄の道中で拾ったんですよ。

でも不思議なんですよね…今迄使っていた物よりも扱い易いです!」

「そ、そうか」

ユフィナが構えていたのは輝石剣【シュヴァルトライテ・アインス、ツヴァイ】だったのだ。

「あの二人は本来生きている筈の無い存在で全く生気を感じられないんだが」

俺はユフィナに彼等の事を説明する。

「それは恐らく『アーテファクト』の一種による物でしょう」

「アーティファクトだと?」

「ええ、古の魔法具だとお父様からお聞きした事がありましたので…恐らくは何者かが遠方から生き返らせた死者を使役しているのでしょう」

そうか!だからこそ生気を感じ取れない筈だ。

 

「とにかく、あの方の相手は私が致します!」

「ああ、だがアイツがもう一つ持っているトランプにも気を付けるんだ!」

「ええ!」

ユフィナに利定を任せ、俺はサクラを取り戻す為に大沢次郎と再び相対する。

だが彼女自身に呪縛がかけられていてはアポーツでは手元に来れないだろう。

なら…接近して復元する多重世界をぶつけるしかないな。

それにはアレも使うか…。

「来い!スウァフルラーメ!」

黒く錆付いた西洋魔剣を取り出し振るう。

「!…」

対する大沢次郎もサクラを振るってくる。

だがスウァフルラーメの真価はこんなものではない!

「【黄金の誓約<ティル・ヴィング>】!」

「!?…」

魔剣のエネルギーを乗せてサクラを奴の手元から弾き飛ばし、スウァフルラーメの真の姿の聖剣モードを解放し黄金の斬撃波を飛ばした。

「……」

「サクラ!今助け出すぞ!」

斬撃波に飲み込まれた彼は消滅したかに見えたが面が破壊されただけであった。

いくら全てを斬り裂くこの剣であっても肝心のアーティファクトをどうにかしないとあまり意味はないか…弾き飛ばしたサクラを手に取ってデュアルダ・カーポをかけ解呪し休ませる。

そして再び身構えていた時であった。

「!?これは!…」

 

Sideユフィナ

「はああー!」

「…」

偶然拾い、何故だか使い方が分かる白の双剣を手に私はトランプと雷の双剣を持ったもう一人の男性と対峙していた。

彼が投擲してくるトランプを弾きながら接近しながら魔法を詠唱する。

「『闇よ来たれ 大地にその屍の根を穿て ダークアースリンカー』!」

「!??…」

闇魔法を発動し彼の足下に闇のエネルギーを発生させて不視・混乱状態にする。

「せやあー!【神穿つ双光の聖剣<ミドガルズヴォルフ>】!」

「!?……」

此方が視認出来なくなった彼に私はすかさず目にも止まれぬ連続斬撃で斬り込み面を破壊した。

するとそれと同時に彼の体は砂と化し風にさらされ消えてしまった。

「もしやアーティファクトの使用者に何か不都合が生じたのでしょうか?…」

恐らく彼等を無理矢理使役させていた人物に何かありこうなったのだろうと推測した私…という事はイッセーさんの方も終わっていますね。

男性が扱っていた武器を回収しイッセーさんの元へと戻っていった。

 

Side一誠

「はい、イッセーさん此方を」

「お?そっちも終わったのか」

俺は利定を倒したユフィナが取り戻してくれたミスティルティンとヴァジュラを受け取り格納した。

「それで…これからどう致しますか?」

「そうだな…よし!」

毛利軍も利定と大沢次郎、軍の半数を失った事で撤退したようだし一度、冬夜達と合流する必要性があるのだが今はそれよりも秀吉さん達の身の安全を確認し話をする必要性もあるな。

「えっと…」

「あ、私は羽柴鳩姫と申す者…今はこのナガハマ城の主、秀吉兄上様に仕えている」

羽柴?俺は助けた少女の名を聞いて驚く。

秀吉さんには確か妹はいるが名前が違うしそれに一人しかいなかった筈だが…そうか異世界クオリティなのか…。

「それでは鳩姫さん、貴方のお兄様である城主様にお会いしお話は出来ますでしょうか?」

「兄上様に?…進言してみよう」

ユフィナが鳩姫さんに話を通す様に頼んだ五分後、入城の許可が降り俺達はナガハマ城へと足を踏み入れるのだった。

 

 

 

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