「妹から話は聞いた。
此度の戦の劣勢を覆してくれたそうだな。
どう礼を申し上げたら良いか…」
「ど、どうかお顔をお上げ下さい」
俺達はナガハマ城へと通された俺達。
鳩姫さんの兄貴である秀永さんに感謝の意を述べられ照れ臭くなる。
それにしてもあの今川義元、この世界では善元さんが女性でしかも討ち取られずに織田の軍門に下っているとは流石に驚いた。
ン?アレ…
「そういえばこの城の主様は如何なされたのですか?」
ユフィナが肝心の城主である秀義さんがいない事に気が付き問う。
「秀義様は既に外にお逃げになられましたが…呼び戻すにしても半日はかかります」
「そうだった!兄貴は俺が声をかけようとしたら既にいなかったのだ…」
「は?…」
それはいくらなんでも行動が早過ぎるんじゃないか?
部下を置いて一人だけ逃げるなんて…なんだか秀義さんのイメージが…。
「ま、ナガハマを救ってくれたのだ。
しばらくゆっくりしていくといい」
「そうさせて頂きたいのは山々なのですが…」
今回の事を冬夜達にも伝えなきゃならないのだ。
「一旦別れた仲間と合流しておきたいのです」
ユフィナが察してくれそう告げる。
「そういう事であるのなら仕方ないな…では兄貴が戻られたら一報入れよう」
「お願いします」
秀永さんに頼み一旦ナガハマ城を後にした俺はゲートを発動しオエドへと戻る事にした。
「おーい!」
「お!」
オエドに戻って冬夜達と無事に合流して情報共有をしていた。
「へえ、そんな事があったのか」
「そっちも大変だったようだな…」
冬夜から聞いた話を整理しよう。
彼等が八重の実家を訪れると母親達女性陣以外の姿が見えなかった。
どうやら八重の兄貴と父親はこの時既に突如として武田軍が仕掛けてきた戦争に赴く為に家奏さんに呼ばれていたようだ。
当然、その事を聞いた八重は慌てた様子でオエド城へ行こうとしたので冬夜達もその後を追いかけていくともう既に戦が始まっていて武田軍の俺達が遭遇したのと同じ様な鬼面軍勢に対し徳川軍は劣勢を強いられていた。
まあ、すぐに弱点が分かり冬夜が対応し八重の兄貴とお父さんを無事に助けられたそうだ。
だがその直後に武田軍の諜報役である椿さんというくノ一が現れ、家奏さんに対して武田を突如裏切った山本寛助の手から救って欲しいと言ってきた。
山本寛助ってあれだよな?
武田の有名な名軍師と言われた忍者。
無論そんな義理はないと家奏さんは断ろうとしたが状況が状況なので止むを得ずそれを受け入れ冬夜とリーンが椿さんと共に向かうのを提案し武田軍の領地へと赴いた。
山本寛助によって城に幽閉されていた武田の人達を助けた後、襲撃をかけた。
だが城主である武田真玄は既に物言わぬ骸となっていた。
どうやら自分の主君をも手にかけたらしいな山本寛助は…それもその筈だ。
鬼面兵を使役していたアーティファクトを山本寛助が持っていたからだ。
リーンによると使用者の心を歪めてしまう代物だったらしいので冬夜がアポーツでアーティファクトを奴の手から奪い破壊した。
アーテイファクトが破壊された事で山本寛助は急激に老化し俺とユフィナが対峙した二人と同じ様にその体を風化させた。
それがアーティファクトの魔力に囚われた者の末路か…。
『主、そろそろお戻りになられた方が良いのではないかと』
「そうだな」
冬夜達とまた別れ俺達は再びナガハマへと戻った。
「あ、戻っていられたのですね…そ、それより大変ですイッセー殿!」
「何があった?」
慌ただしい様子に急いで問う。
「も、毛利軍が明智光秀を誘い入れ共に信永様への襲撃を画策しているとの情報が入った!」
「なんだって!?…」
その時、既に事が始まろうとしていた事には思いも寄らずに…。