Side一誠
レジーナ博士の残した残りのバビロンを探しにサンドラ王国へ向かう道中、数人の脱走してきた奴隷達を開放・保護したり、発見した「工房」のバビロンから帰る途中でマンタ型のフレイズに遭遇しそこで再会したエンデの実力を目の当たりにしたりと色々あった。
とある日
「最近、レグルス帝国の動きがどうにもなんだか可笑しい?」
「そうみたいなんだ」
八重とクエをこなしに行っていた冬夜が戻って来てから小腹も空いてきたので「工房」を用いて新しく作られた薔薇色喫茶に立ち寄るとそこで偶然ばったりとサンドラの元奴隷で斧戦士のローガンさんと会いそんな話題を振ってきた。
彼の話によるとどうやらレグルスは最近必要以上に軍事力の増加を図っているみたいだということ。
「何処かに戦争でも仕掛ける気か?」
「いや、それはないな。
現在のレグルス皇帝はご病気の上、次期皇帝である皇太子はまだ二十を超えたばかり…正直たとえ今起こされたとしても何の得も無い」
「なら何故?」
「分からないな…だが警戒はしておくに越した事はない」
「イッセーちょっと…」
「ん?」
ローガンさんの忠告があった直後、冬夜が月読に入荷依頼が二件きていてその何方も帝国の出版物らしくレグルスを訪れる必要性があるとの事で向かったのだが…
「あれ?…」
「これは!…」
レグルスの首都ガラリア帝都へと着くとなんだか様子が可笑しい事に気が付く。
俺達の目に飛び込んできたのは帝都の至る所が激しく燃え盛り人々が逃げ惑う様だった。
只の火事などではない…よく見ると黒い軍服の兵士達が帝都を侵攻しておりそれに対し黒い鎧の騎士達が必死に抵抗していた。
これはまさか!?…でも何故急に?…
「冬夜!」
「分かってる!」
考えている余裕はないので俺達は兵士を無力化し追い詰められていた騎士を助け出し急いで回復魔法をかけ落ち着かせてから詳しく話を聞いてみる。
「大丈夫ですか!?」
「一体何があったんだ!?」
「うう…ぐ、軍部が皇帝に謀反を!…」
戦いの疲労からかそれだけを告げて騎士は気絶してしまった。
やはりこれは内戦か!それもクーデター!…
「検索結果が出たよ。
軍人は帝国騎士達の十倍近くいるみたいだ!
どうする気なんだイッセー?」
どうやら本気で皇帝の首を狙っているらしいな。
「とりあえず召喚獣を呼んで今すぐにでもこの事をベルファストや他国に伝えるべきだ!
応援が着く迄の間に先にレグルス城へ行って皇帝達を亡命させるんだ!」
「で、でも正直僕達がどうこうしていい問題じゃないと思うんだけど…」
「無関係の国民を襲っている時点でもうこのクーデターは正義なんかじゃない!
今放置してしまえばきっと他国にも戦火が拡大してしまうに違いないぞ!」
「そ、それもそうだな…」
俺の提案に冬夜が渋るが推測を聞いて納得してくれる。
俺達は小型の召喚獣を呼び出し伝書を持たせゲートでベルファストへと送った。
後は急いで城に向かう。
城門は既に破られてしまっており城内の至る所で魔力を感じた。
魔術師までいるのか!ますます怪しくなってきたぞ。
「「『マルチプル』!『雷精よ』!『パラライズ』!」」
「「ぐはっ!?…」」
それぞれの魔法で魔術師達を無力化してから城内に突入ししらみつぶしに皇帝達を探した。
部屋を見つけ扉を開けようとすると突然背後から女性騎士が部屋に倒れ込むようにして扉にもたれかかった。
よく見ると彼女の首筋には針の様な物が刺さっていた。
急いで冬夜がゆっくり引き抜き、俺がダ・カーポで回復させる。
「貴様達何者だ!?」
回復した彼女はいきなり斬りかかってくる。
ちょま!?あ、断っておくのを忘れてた。
「お、落ち着いて下さい。
俺達は決して怪しい者ではありませんよ」
「とりあえずその剣仕舞って僕達の話を聞いて下さい!
軍人達は既に無力化させてありますから」
「何?…」
彼女を一旦落ち着かせ話を聞いてもらう。
「す、すまなかった命の恩人になんて大変失礼な事を!…」
「い、いえ頭を上げて下さい。
俺達だって偶然の行きずりの介入だったしお互い様ですよ。
それよりも今は…」
ドゴーン!
「「きゃあああー!?」」
謝罪を入れてきた女性騎士キャロさんと急ごうとすると微かな悲鳴と爆発音が聞こえてきた。
まだ魔術師が隠れていたのか!?
「はっ!?この声は姫様達の!…急がねば!」
はっと思い出したかの様に立ち上がったキャロさんの後を急いで追う。
そして二階の最奥の部屋に辿り着くが扉が開かない。
わざわざ施錠しやがったのか!
「仕方無い!」
ハクリガで扉を斬り裂き部屋に突入する。
「だ、誰か助けて!…」
「お姉様!…」
「おとなしくしろこの王族が!」
其処には二人の少女に馬乗りになった帝国軍の兵士が今にも彼女達を刺し殺そうとしていた。
「『パラライズ』!」
「ぐふっ!?…」
「『傷だらけの忠誠心』!そして其処か!『駆けよ風 駆けて抜けよ 打ち捉えよ』<ゲイル・ブロウ>!」
「ギャア!?…」
「ぴっ!?…」
冬夜のパラライズ、俺のトランプで馬乗りになっていた兵士を無力化、そしてゲイルブロウで付近に隠れていた魔術師も吹き飛ばし無力化させた。
「大丈夫か?」
「え、ええ…」
殺されかけた少女達を助け起こす。
間に合って本当に良かった。
キャロさんも慌てて駆け寄る。
「姫様御無事で何よりです!」
「キャロル、貴方も無事だったのですね!
それよりこの方達は一体?…」
「ベルファストの冒険者らしい。
今回我々に助太刀下さったのだ!」
「俺は兵藤一誠だ。
こっちは親友の望月冬夜」
「あ、どうも」
「「…」」
ンン?なんだかこのパターンどっかで既視感があるぞ…。
「「お、お慕い申し上げてもよろしいでしょうか?!」」
「「は、はい?」」
正にデジャヴ!又婚約者候補かああー!
嬉しくないと言えば嘘になるけど。
冬夜は金髪のルーシア・レア・レグルス第三皇女殿下、俺はその妹である銀髪の第四皇女殿下ラーシア・レア・レグルスのハートを見事に射抜いてしまったようだ…後で地獄だなこりゃ。
その後再び姫様達の願いもあり再び皇帝陛下以下数名の救出に動くのだった。