Side一誠
保護した転生者の青年信と魔族の少女桜。
桜の失われた記憶ならリコールで…と思ったが襲われた直前の記憶まで蘇って何か弊害が起きるかもしれないので彼女自身が自然に思い出すのを待つしかなさそうだ。
一方の信は俺達の護衛兵として志願してきたので快く了承した。
それから数日、冬夜「城壁」、「塔」のバビロンを発見しバビロン自身の防衛力がアホなくらいに高くなったり、試作機である「竜騎士<ドラグーン>」が完成したり騎士王国レスティアとの交易を結んだりで色々あった。
がとある日事件は起きた。
それは桜が銀月で食事したいと言ってきたので連れていってあげた帰り道の事だった。
「『主!…』」
「ああ、尾行されているようだな…」
瑠璃達が不穏な気配に一早く気が付き俺と冬夜はそれぞれシールドとリフレクションを発動する。
次の瞬間、付近から無数に矢が放たれてくるが俺達の発動していた術の前では無意味。
「桜っ!俺の後ろに」
「ん…分かった」
只事ではないと感じた信も桜を後方に隠れさせる。
矢が放たれた方向を見ると京劇者の様な仮面を被った如何にも怪しさ満点の黒ずくめの不審者が五、六人程いた。
「覚悟!」
「む!?…危ねっ!?…」
俺達は慌てて回避する。
奴等が所持している刀の刃先を見る限り毒が塗られている事が一目見て分かった。
此奴等どっかの国の刺客か!
「アンタ等何者だ!?」
ハクリガを構え俺は問いただす。
「…巨人兵は何処だ?」
「!話し合いは出来そうにないか!」
不審者達は此方の質問には答えず逆にそう言ってきた。
巨人兵…もしやFGの事を言っているのか?…なら増々奴等の背後を暴く必要性が出てきた。
「スリップ!」
「フリージングシェイド!」
「!?」
すぐさま奴等を逃がすまいと一人を転倒、残りを凍付けにする。
「この!正体を見せろ!」
「あ、馬鹿!…」
「ダメ!王さま近付いちゃ!…」
「わわっ!?…」
奴等がまだ何かしらの手段を用いているかもしれないのでディスペルフォースをかけようとしたらうっかり先走った冬夜が仮面を引っぺがそうと奴等に近付いていってしまう。
咄嗟に桜も嫌な予感がしたのか慌てて冬夜を強引に引き寄せた。
意外と馬鹿力あるんだなこの子。
その瞬間、ドーン!という音と共に不審者達は物言わぬ屍となっていた。
「あ、危なかった…」
「全く先走り過ぎだぜ冬夜は…」
「面目無い…」
どうやら自爆してしまったようだ。
スリップしていた一人は何時の間にか姿を消していた為明確な事はほとんど分からず仕舞だった。
奴等の遺体は手厚く葬り城に帰ってこの事をすぐ皆に伝えると流石に驚きが隠せないといった表情をしていた。
「FG狙いの不敬な輩か…」
「少なくとも西方諸国ではない他の国の手によるものだろうな…フレームギアという正式名称を知らなかったみたいだしな…問題は何処の国かだが…」
「両陛下の見たという仮面を扱う者には確証はないのですが恐らく「クラウ」という諜報部隊の手の者かと思われます」
椿さんがそう言ってくる。
「クラウは天帝国ユーロンの機関で、イーシェンの西側にあって何度か戦争した経験もあります」
「そのユーロンの天帝の命令で動いたかもしれないと?」
「その可能性が大いに高いかと思われます」
確かにあそこはやたらと短期間の内に治める天帝が代変わりしたりとの噂もあるのでロクな国ではない事は明確なのかもしれないな。
ある意味でフレイズ以上に頭を抱える案件になったこの件はまだ始まりに過ぎなかった。