Side一誠
「遂に帰ってきたぞ我が居城へ!」
SBD号にローナを相乗りさせ共にゼノアスの南側にある我がアルーザス城へと久方振りに辿り着いた。
「荒れ果ててはいない様だな…」
城の外観は五千年と比べてほとんど変わってはおらず極一部にだけ大きな穴が開けられていた。
そうかあの時フレイズ共は此処を通って城内を…
「魔王様?…」
「すまん思いにふけっていただけだ…参ろう」
ローナに心配されるが俺は平静を保ち城内へと入る。
「?…」
「どうしたの魔王様?…」
「可笑しい…城のセキュリティーが何故か解除出来ない!?…」
「え!?…」
俺はエントランスホールでスッと手を翳し今も動いてはいるであろう城の防衛システムを解除しようとしたが何故か解除する事が出来ずに困惑する。
「真逆!?…」
「魔王様!?…」
「ローナは此処で待っていてくれ!すぐに片を付けてくる」
防城システムが第三者の手によって書き換えられてしまっていると勘付いた俺はローナに待機を命じ、新たに張り巡らされたであろう罠を掻い潜って玉座の間を目指す。
「邪魔をするな!」
書き換えられたであろうシステムによって動き出し立ち塞がる石像兵や下級魔獣を次々と屠りようやく玉座の間へと辿り着く。
其処に居たのは…
「随分と遅かったじゃないか魔王陛下サマよ…」
「やはりシステムを書き換えていたのはお前だったか!
ガサラ・アルーザス!」
玉座に踏ん反り返っていたのは五千年前、唯一我が魔王軍の汚点ともいえる従兄弟であるガサラだったのだ。
「何故こんな事を!…」
「真の魔王アルーザスはこの俺だからに決まっているだろう!」
「…他の者達はどうした!?」
「俺に付き従わない奴等なんか不要さ!皆、地下牢に閉じ込めてやってやったさはっははー!」
「ガサラ、貴様という奴は!…」
奴は五千年前となんら変わってなどいなかった…いやより酷くなっていた。
リーニエのエセ馬鹿皇子といい勝負だろう。
奴はローナや他の女中達に幾度となく手を出そうとしてきたので追放処分を下していたのだが…未だ生まれ変わっても魔王の地位を諦めておらず性懲りも無く戻ってきて城を乗っ取っていたようだ。
「その場から動くなよ!お前にもう一度断罪を下す!」
「やってみろよ!」
頭に血が上ってしまっていた為に瑠璃達、増援を呼ぶ事無く、奴の挑発に乗ってしまった。
奴は何時の間にか発動していたシールドを張り此方の攻撃を防御する。
「どうした?俺を断罪するんじゃなかったのか?」
「くうっ!?…」
可笑しい…奴の魔力でこれ程までの強度のシールドは作り出せない筈だ。
俺は不審を感じ飛び退く。
「チッ!?避けたか…」
案の定奴の魔力が急激に跳ね上がり黒い蛇の幻影を創り出して攻撃してきた。
此方は回避し黒蛇は地面にぶつかると消える。
「今のは…」
「俺は無限の魔力を手に入れたんだよ!」
「ならば!」
「おっとそうはいかないぞォ?」
「貴様の方こそな…」
平静さを取り戻し考察する。
奴がどんな方法を用いてそこまでの魔力を手に出来たのかは不明だが、アブゾーブする振りをすると奴は案の定此方の狙い通りに仕掛けてきた。
「『風纏いし矢雨』<ウィンドメテオアロー>!…」
「何ッ!?…」
シールドが張られていない死角から放たれてきた風の力を得た矢の雨にガサラは対応出来ず吹き飛ばされる。
「魔王様大丈夫?!…」
「ローナ!…助かったぞ!」
俺が罠を解除していたので此処まで来れたのであろう。
フェザーペンシーラで描かれた簡易魔法だがそれは彼女の腕により本来の物により近い威力を発揮出来る。
彼女の援護のおかげで難を逃れる事が出来、彼女を傍に抱き寄せる。
「ぐっ!?…あの時俺の誘いを断りやがった女か!…」
「私は貴方の事が気色悪い!…私が共に生きると誓ったのは魔王様只一人だけだから!…」
「ローナ!…」
推奨戦闘BGM「Over ``Quartzer``」♪
嬉しい事を言ってくれるローナを再び抱きしめた後、俺はガサラに向き直る。
「ガサラ・アルーザス!我、魔王アルーザスの名において断罪する!」
「ほざけえ!」
「遅い!綴る!サプレッションフィールド!」
「何ッ!?…」
逆上したガサラが魔力砲を撃ち込もうとしてくるがその前に俺は力場を発生させて彼の無限の魔力を抑制させる。
「か、体が動かねえ…ぎい!?…」
「あの時、お前に温情を図ったのが間違いだったな…極刑を下す!」
俺は拘束したガサラに魔力の往復ビンタを喰らわせ、トドメにハクリガの一撃を浴びせると奴は塵一つ残さず消滅した。
その後、奴に捕らえられていた魔王軍の者を助け出し今生の事を説明。
公国の新たな騎士団となった。