Side一誠
我が居城で従兄弟であったガサラを倒し帰還して数日後、瑠璃の知り合いである水竜(シーサーペント)と話をしたり、桜が使い魔である猫騎士ニャンタローを召喚して契約したり(たまにちゃんと名前で呼ばれない時があってしょげる時もあるが頼りになる)、レジーナ博士のスペアボディであるアンドロイドが目覚めたり色々とあった。
だが一つだけ悪報があった。
ユーロンの街の一つ、ヘイロンの都で新天帝(仮)が君臨し「鉄器兵」なる明らかにFGを模倣したかの様な兵器で他の沸いて出てきた天帝達を駆逐するべく国中を荒らし回っているとの報だ。
やがてはこっちに飛び火してきかねないので俺達は早急に調査に乗り出した。
上級種フレイズの砲撃によって滅ぼされたシェンハイでハイエナの如くな盗賊連中に絡まれたりしたが難無く撃退しヘイロンの都へと足を踏み入れた。
武田の人達にも調査を任せ、俺と冬夜は街を散策する。
そこで慌ただしい様子の警備兵と遭遇した。
「何事で?」
「天帝の命を狙ってきた不届き者がおる!連中の一人が怪我を負っているようだからそう遠くへは逃げ出してはおるまい…今ソイツ等を追っている所だ!
余所者と無駄話している暇はない!」
そう言って警備兵達は再び走り出していった。
「これも他の偽天帝の差し金かな?」
「いや…そう結論付けるのは早計だと思うぞ?
ユーロンは常日頃から方々に恨みを買っている様な連中の集まりだからな。
他の第三者が天帝暗殺に動いている可能性は否定出来ない」
「成程!…だったらその人達に会って話をした方が良いかもしれない!」
「だな!」
俺の考察を聞き冬夜が周辺の怪我人をサーチする。
するとすぐ付近でヒットする。
そこに向かっていくと
「だやァッ!」
「むっ!」
蹴りが飛んできて俺は咄嗟に飛び退く。
そこで
「あぁー!?」
「真逆…冬夜殿?」
冬夜と相手方のこの反応…もしや顔見知りか?
「よもやこの様な所でブリュンヒルド双王陛下とお会いするとは!…」
「一体何故貴方達が天帝暗殺を?」
「…傍から見たら只の暗殺でしょう。
ですがこれは敵討ちなのです…」
「ですがあの様な手練れの護衛が居たとは!…」
冬夜が説明し、竜人族の女性ソニア・パラレムさんと俺のマホウで怪我から回復した蓮月さん、ジェスティ・パララックスさんが語り出す。
現在この都に君臨しているのはやはり天帝を騙る元盗賊の男、チェイ・ジャオファという人物でとある遺跡から発掘されたという「玉璽」という古代の秘宝を発見した男性冒険者を殺して奪った後天帝の血筋であると名乗り出たようなのだ。
勿論その様な物はもう存在してすらおらずそのジャオファに殺されてしまった冒険者というのがソニアさん達の命の恩人だったということ。
そしてその恩人の息子さんがジェスティさんだということ。
彼の無念を晴らす為にジャオファ暗殺に乗り込んだまではよかったが奴が何処からか手に入れた鉄器兵を持ち出してきたことでソニアさん達は撤退を余儀無くされたとの事。
恐らく鉄器兵を流したのは…
PiPi!
「『双王陛下!ようやく彼奴の潜伏先と背後にいる組織が分かりました!
ボーマン氏はヘイロンの都に潜伏、その彼を支援しているのが「黄金結社」(ゴルディアス)!』」
「黄金結社!?以前フェルゼン陛下が言っていた禁忌魔法を狙っている秘密組織!」
「禁忌魔法だと!?冬夜、その魔法の名は分かっているのか?」
「確か「聖域」<サンクチュアリ>だったかな」
「…」
オードリー全州総督から連絡が入りようやく奴の居場所が分かったは良いのだが今の混乱に乗じて既にいないだろう。
あのハゲマッドは隠れる事に関しては一流だからなあ…。
そしてゴルディアスという組織が企んでいる禁忌魔法の事について冬夜に尋ねると俺は頭を抱えた。
聞こえは良いのだがその名とは裏腹に恐ろしい魔法ではある。
魔法使いではない者の一切を排除する魔法…只、これは発動するのにも維持するのにも多数の生贄が必要不可欠であり又対魔の強い者には効かないという欠陥だらけの禁忌魔法なのだ。
先日倒したガサラもその下法に手を出そうとしていた事があったので必死になって阻止した記憶がある。
恐らくゴルディアスは聞こえの良さに騙されてその欠陥を知らない可能性が高い。
何方にしろ同情出来ないがな。
俺達はソニアさん達にゴルディアスの事を説明、共に偽天帝達の殲滅に協力を申し出るのだった。