Side一誠
「ギャアァァ!?…」
「なっ!?…き、貴様!奴隷商人などではないな!一体何処の国の手の者だ!?」
ミラージュで偽りの姿を解いた俺が御礼参りの挨拶代わりにとサンドラの重鎮に放ったショックボルトにアブダル達は慌てふためき始める。
「俺か?俺はなブリュンヒルド公国双王の一人、一誠・ブリュンヒルド・アルーザスだ!」
「何!貴様があの小国の双王の片割れだと!?…」
俺が高らかに宣言すると彼等は驚く。
「はっ!?真逆サフィア、今回の事といい先日の奴隷が奪われた事件といい全てお前が仕組んだのか!」
ガブダル王子が事を察したのか隣に居る筈のサフィアを見るが既に彼女は危険を察知して俺の傍に移動して来ていた。
「こ、この裏切り者がぁー!」
「先に私の民を想う気持ちをないがしろにしたのは貴方方ではないですか!」
「五月蠅いっ!」
妹であるサフィアの言葉も一切届かずガブダルは逆切レを起こすばかりである。
「アブダル王、一つ二つ聞きたい事がある。
何故樹海の部族達を襲撃したりした?
あそこは我が国と友好を結んでいる故、怒りを買うに等しい行為だ。
そして、何故それ程迄に他国を欺いてまで奴隷を欲する?」
「知れた事よ。
奴隷の数が不足しているから…だ!?」
俺の問いに奴は予想通りの返答を返してきたので俺は呆れながらアブダル達の顔面スレスレに魔法を放つ。
「はっ!聞いた俺が馬鹿だったよ…愚かだよアブダル・ジャーバ・サンドラ!並びにガブダルとこの国の重鎮共!やはりお前達に国を治める資格など無い!」
「何をぉこの小童がぁ!いくら鉄器兵を所有しているからといってたかが新興国如きが我等の魔獣兵団と鉄器兵に勝てるとでも思っているのか?!」
やはりな…あの若ハゲマッドめこの国にもFGの劣化品を流していやがったか…。
この国の規模からするとアイツはまだ滞在している可能性があるな。
俺はサーチングをかけ奴の居場所を探り使い魔を捕縛に向かわせた。
「ならばこの場ではっきりさせようか?」
「ッ!~魔獣兵団と鉄器兵を出せ!あの小童をこの場で八つ裂きにしてくれるわ!」
「は、はっ!…!?」
「どうした!?」
アブダルが出撃命令を下すが何処か様子が可笑しい。
「こ、これは!?魔獣達が王都中で暴走しています!」
「なんだと!?ええい!儂の腕輪で止める…何故腕輪の効力が効かない!?…」
「これの事をもうお忘れですかねぇ?」
「き、貴様!…魔獣共に何かしたな!?」
「簡単な事だ。俺がこの鎖で権限を上書きして好きに暴れろと命令したまでさ」
ちなみに人は襲うなと言ってあるから物資的被害だけで済む筈だ。
それにしても隷属化の首輪に干渉する王の腕輪か…初代サンドラ王は本当に犯罪者を抑えるだけの目的で隷属化の首輪の開発に着手したのだろう。
それが初代の死を切欠に二代目以降の王は我欲に飲まれ腐敗し好き勝手に奴隷を増やし続けていっている…そんな負の連鎖は世界に残しはしない!
「鉄器兵はどうした?!」
「今出てくると!」
「!…」
魔獣兵団が最早使い物にならないと悟ったアブダルが急くと鉄器兵が十数機出てくる。
だがアブダル達が乗り込む様子はない。
「ふははははー!捻り潰してやれえい!」
「国の長の癖に自らが戦場に一切出て来ないとはとんだ笑い者だな!」
「何が言いたい!?」
「分からないだろうな…奴隷を無理矢理従わせて戦わせ己らは安全圏で呑気に踏ん反り返っていて国を自分達が楽をする為だけの玩具にしている様なお前達みたいな輩ではな!」
この国の重役共は甘い汁をすすっているばかりの本当の戦場の恐怖を知ろうともしない者達ばかりだ。
そんな奴等では本気で国を守れる筈がない。
よってこの国は0へと回帰させる。
「来い!デモ二クス・ツァーリオン!
ローナ!」
自らの愛機を召喚し、ローナの隷属を解除してから乗り込む。
「魔王様!…来て!…」
「ようやくお呼びねマスター!」
正気に戻ったローナもピクトヴォーティヴァーとプラムを呼び出し乗り込んだ。
「さあ!此処からは俺達の戦いだ!」