「おち、るぅぅぅ!?」
いきなり空高く投げ出された俺は必死にティアマトの姿を探す。しかしその甲斐なく、ティアマトの巨体は全く見つからない。
「畜生!逃げられた!」
ヒビが入りそうなほど歯を噛みしめる。だがいつまでもそういう事をしているわけにはいかないと、とあるサーヴァント(ヒント・魔法少女)から得た能力で飛翔する。
ただ、その場所から見えた景色に、俺は驚いた。
呆然とする。そのせいで浮くのが地面ギリギリになってしまった。何やら大きな屋敷の庭に降り立った俺は先ほどの光景を思い出した。
「海が……青い……?」
世界中の海は、ティアマトの出現によってケイオスタイドに変わってしまった。だというのに、上空から広く蒼い海が見えたのは何故なのか?
「動くな!」
どういう事なのかを思案していると、屋敷の方から黒服の男達が現れあっという間に拳銃を俺に突きつけていた。
日本語だ。ということはここは日本?でも日本は前にケイオスタイドに沈んだはずだが……
しかも生きている人間がいる。俺たち三人以外はもう全滅したと思っていたんだけど、どこにこんなに人が生き残っていたんだろう。
……いや、今はこの場を切り抜ける事を考えよう。とりあえず武器を貸してくれる英雄を検索する。力を貸してくれるのは、エミヤ、モーさん、静謐ちゃん、清姫か。他の奴らはさっきの戦闘で使いすぎたか。ごめんみんな。
「すまんエミヤ、力を貸してくれ」
何やらモーさんから抗議が来たけど、お前だと殺しちゃうだろ?ん?そんなことしない?いや、単純に力が強すぎるんだよ。こいつらからマナやオドの使い手のような流れを感じないし、普通の拳銃を使う時点で強度は普通の人間と同じと思われるから、魔力放出とか使えばたちまち死人が出ちまう。
だからこそ、殺さずに無力化できるエミヤの魔術でこの場を収めるのは必然だろう?
だから静謐ちゃんも落ち込まないの。また今度ね。
「干将・莫耶」
白と黒の対となる中華剣を生み出す。刃は当然潰してある。そしてその動きによって、拳銃が弾を放った。
弾丸をかわして、放った相手の腹部に柄の部分で一撃、それによって一人が戦闘不能に陥る。
そして刃を潰した双剣で相手を殺さない程度に殴りつける。数秒後には全ての黒服を無力化した。
息をついてから改めて周りを見渡すと、本当に立派な屋敷だった。そりゃこれだけの警備があってもおかしくはないだろう。って、これは完全に俺が悪いよな。相手にせずに逃げ出せばよかったか?
その時、襖が開いた。
その先にいたのは、威圧感に溢れる老人。
「何者だ」
その老人は俺に問いかける。
「名はツナグ。お前は?」
「風鳴訃堂。ツナグとやら、来るがいい。貴様が欲するものをくれてやろう」
「そうか爺さん。話が早い」
なんというか、いきなりこの状況の情報を得ることができそうな人を見つけることができた。ラッキーというべきだろうか?まぁ、利用できるだけしてやるさ。その間相手が俺を利用しようが構わない。ギブアンドテイクだ。
そうして俺は屋敷の中に入っていった。