「提督、これは本当なのかしら!?」
朝の鎮守府。
つい先程起きたばかりの提督は、まだまどろみのなかに居た。そんな朝の静寂は司令室に飛び込んで来た二人の艦娘によって破られた。
「ちょっと足柄さん、青葉の新聞なんか真に受けなくても…」
「何言ってるの瑞鶴、アナタがこんなの嘘だって騒いでたんじゃない?」
「ちょっ、言わないでっ!」
「青葉の新聞?」
足柄こと妙高型重巡洋艦三番艦、足柄が突き付けた新聞を手に取った。見出しにはこう書かれていた。
『T氏、翔鶴さんのお尻を触る!?スカートの中を近代化改修か?』
「な、なんだこれは?そんな事してないぞ!」
「じゃあこれは嘘なのね?」
足柄と瑞鶴が疑いの目を提督に向ける。
「当たり前だろ!…もしかして翔鶴が中破した時に俺が側にいた時の事を言ってるのか?あれは大丈夫か確認しただけで…」
「わ、私もさ?別に青葉の新聞信じた訳じゃないけど。でも提督さん、たまに私や翔鶴姉のスカートまじまじと見てるし…」
瑞鶴こと翔鶴型正規空母二番艦、瑞鶴が目を細める。
「(バレてる…)い、いや見てない!て言うか不可抗力だろ」
「じゃあこの記事は嘘なのね?」
「当たり前だろ足柄!そんな事はしてない。何なら翔鶴に聞いてみればいい」
提督の説明に足柄も瑞鶴もようやく納得した様に腕を下ろす。
「全く青葉ったら。それに提督も提督よ。そんなに見たいなら私を見ればいいわ。この精悍なボディ。フフッ、何なら触ってもいいのよ?」
「…昔は餓えた狼って言われてましたもんね~足柄さん」
「何ですってぇ!?」
「お前達やめないか」
提督は溜め息を付きながら、二人の喧嘩を嗜めた。
この鎮守府に居る青葉は重巡洋艦と言う立派な艦娘の一人だったが、知的好奇心が強いのか情報を根掘り葉掘り聞き出そうとする、まるで新聞記者の様な一面もあった。
ある時からまるで本物の記者の様に仕入れた情報を新聞という形で公表し始めた。と言っても半分は嘘か本当かも分からないゴシップ記事の様な物だったが、娯楽の少ない鎮守府では大層受け、青葉もそれに気を良くして次々に新しい記事を生み出した。それだけなら誰も文句は言わないが記事になる際は青葉フィルターとでも言うか、妙な表現で歪曲される事が多かった。
それが元で揉める事もあったが、一方で青葉の新聞を楽しみにしている艦娘も少なくなかった。
「…青葉、呼ばれた理由は分かるな?」
「あ、もしかして記事の事ですか?」
「他に理由ないだろ?」
青葉は悪びれる風でもなく答えた。
「俺、翔鶴に変な事してないから…。て言うかなんでオマエが知ってんだ」
「いや~瑞鶴さんから司令官が翔鶴姉の事イヤらしい目で見てるってタレコミがありまして」
「じゃあ捏造だよね?それ」
「私も不味いと思って、ちゃんとイニシャルにしておきました♪」
「イニシャルの意味無いから。ここ俺しか男いないからね?」
「じゃあどうすればいいんですか?」
「それ俺のセリフだよね?どうしたら捏造止めてくれるのかな?」
とまぁ、毎回こんな感じだった。
提督も当初は青葉のコミュニケーション能力の高さを買い、彼の知り得ない艦娘達の個人的な事情等を把握するには最適な人材だった。
だが、ある時取材に必要だからとカメラをねだられ、その辺りから出所の怪しい記事が目立つ様になり始めた。
ただ提督としても冗談の域を出ないのであればと、軽くお灸を据える程度で放任していた。
「とにかく、今回の記事はすぐ剥がす様に。俺だけならともかく翔鶴にも変な噂が立ったらどうするんだ」
「う~ん、翔鶴さんはまんざらでも無さそうでしたけど…」
「えっ、本当か?…じゃなくて、今回のは駄目!分かったな!」
「ハ~イ」
青葉は呑気に敬礼をしながら司令室を後にした。…おそらく、いや絶対解ってないだろうが。
「失礼します。…青葉さんと何かあったんですか?」
青葉と入れ違いに金剛型四番艦、霧島が入って来た。
「いや、何でもないよ。いつもの記事の事でちょっとね」
「あぁ、青葉さんの新聞ですか」
「それはそうと何か用でも?」
「はい、金剛お姉様からの伝言です」
「提督に呼ばれたみたいだけど、新聞の事でしょ?」
部屋に戻った青葉に、同じ青葉型二番艦の衣笠が興味半分、呆れ半分に話し掛けてきた。
「面白いと思ったのに。ガサもそう思うでしょ?」
「…」
「衣笠もそう思うでしょ?」
「…まぁ、面白いとは思ったけど」
「でしょ~っ?満更ガセネタでもないし。それにこう言った艶っぽい話は受けがいいのよね~♪」
「ハァ…まぁ提督さんが怒らない程度にしなよ」
数日後、提督が廊下を歩いているとすれ違う艦娘達から何やら妙な視線を感じる事に気付いた。
ある者は提督と目を合わせると照れた様に俯き、ある者は露骨に軽蔑の眼差しを向けた。
まさか、と思い提督は青葉の新聞が貼ってある廊下へと向かった。案の定、大勢の艦娘達が壁に貼られた新聞を見ながら黄色い歓声を上げていた。
提督に気付いた艦娘達が挙って彼に詰め寄った。
「提督、これは本当でしょうか?」
「アンタ、これ本当なの!?」
訳が分からない提督が記事を確認すると…
『司令官、戦艦四姉妹と深夜のお茶会!?私の紅茶(意味深)を飲むネ~♪』
「あの…提督さん、これってもしや…///」
「青葉ァ!!」
この後、滅茶苦茶説教した。
「全く、青葉にも困った物だ」
「あはは、まぁ私もあまりやり過ぎない様に言ってるんですけどねぇ」
衣笠の苦笑いの横で、提督は机に置かれた青葉の新聞を眺めていた。そこには『提督、足柄さんと密会?我、夜戦に突入す!』と書かれていた。
「因みにソレ…本当じゃないですよね?」
「当たり前だろ…。足柄と整備の点検してただけだ」
「あっ、そ、そうですよねぇ!い、いえ、疑った訳じゃないですよ!でも、もしかして…なんて」
「おいおい、青葉はお前の方が付き合い長いだろ。勘弁してくれ…」
「…」
「どうした?」
「い、いえ。因みに提督さんって…青葉の事、どう思ってます?」
「青葉の事?…まぁ戦力としては役に立ってるとは思ってるが」
「いえ、そうじゃなくて…」
「…まぁ可愛いとは思うよ。明るいし他の艦娘達も気遣えるし、鎮守府の潤滑油って所かな」
「それ、青葉にも言ってあげて下さい」
「え?」
「青葉がこんな記事書いてるのも、半分は提督さんに構ってほしいからだと思うんです」
「…」
「青葉には内緒にしてって言われてるんですが、カメラねだったのも、本当は提督さんの写真撮るのが目的だったんですよ。青葉、提督さんの写真大事に飾ってるんです。
「だから、ちょっと青葉の事も気に掛けてあげて下さい。あ、私が言った事は内緒でお願いしますね!」
「フンフ~ン♪」
ベッドの上で寝返りを打ちながら口笛を吹く青葉を、衣笠は白い目で見ていた。
「うわぁ、何ニヤけてんの青葉。ちょっとキモい…」
「え、何?聞きたい?」
「いや、別に「実は今日司令官がね♪」
〈話すんかい!〉
青葉は今日有った事を嬉しそうに衣笠に語った。
任務以外で珍しく提督と沢山話した事。一緒に間宮の甘味処で食事した事。そして何より新しい秘書艦になってほしいと頼まれた事。
「参ったなぁ。青葉は記者として中立じゃなきゃいけないのに、これじゃ提灯記事になっちゃうよ~///」
「ふふっ、まぁいいんじゃない?でも他の娘を怒らせる様な記事は止めなよ。私もたまにあの記事ホントなのって聞かれるんだからさ」
「分かってるって。青葉におまかせ!な~んてね♪」
多分解ってないだろうな、とは思いつつも今までに見た事のない笑顔を見せる青葉を見た衣笠は、これで良かったんだと密かに喜ぶのだった。
青葉が提督の秘書艦になって数週間、青葉の新聞は日々の出来事を書いただけの至って平凡な物になっていた。
提督も、以前衣笠が言っていた通り彼女に構ってやれなかった反動が新聞という形で表れたのだと思っていた。
かつての騒動も忘れかけていた頃、それは再び始まった。
「あのさ提督さん、アレって本当?」
任務報告に来ていた瑞鶴が、ふと提督に尋ねた。
「アレ?何の事だ?」
「あ、いやっその…。青葉の新聞にさ」
「青葉の新聞?…また俺が何かしたって書いてあったのか?」
「う、うん。その…ね…」
瑞鶴は言いずらそうに、下にうつむいた。
「て、提督さんが青葉の奴にケッコン申し込んだって…」
「俺が!青葉に?」
「あ、やっぱり嘘だよね?びっくりしたよ!」
「当たり前だろ!そりゃあ青葉の事は悪くは思ってないが、幾ら何でも話が飛びすぎだろ!」
「うん、私もそう思ったけどさ、提督が青葉を秘書艦にしたのも実は青葉の事を見初めたからだとか書かれてたからさ」
「い、いや違う!そういう意図で秘書艦にした訳じゃない!あれは衣笠に言われたからで…
「と、とにかくっ!青葉とケッコンしようとは思ってないから!」
「ま、まぁ青葉の新聞だし大方そんなとこだろうとは思ったけどさ。…わ、私は別にどうでもいいけどホントだったら翔鶴姉悲しむかな、って///」
提督の言葉を聞いて、瑞鶴は少しだけ安堵した。
「青葉…」
司令室では提督が青葉を問い質している真っ最中だった。仏頂面の提督を見て今回は分が悪いと思っているのか、青葉は下を向いたままだった。
「別に新聞を書くなとは言わないが、ケッコンを申し込んだって…。これは冗談の域を越えてるんじゃないか?」
「あ、あはは。今回はちょっとやり過ぎた…かな?」
「まぁ青葉の新聞って事もあるが、中には鵜呑みにする奴もいるかもしれないだろう」
「…ならいっそ、本当の事にしちゃえば…なんて」
「オイオイ、冗談が本当になってどうするんだ」
「…私は、冗談で書いたつもりじゃ無い…かも」
「えっ?」
青葉の言葉に提督は顔を上げた。彼女と視線が合った瞬間、提督は無言の圧の様な物を感じた。
「司令官、どうして私を秘書艦にしたんですか?」
「ど、どうしてって…。最近青葉と話す事も無かったからな。秘書艦にすれば青葉と話す機会も多くなる。それだけだよ」
「私も司令官とこうしてお話できる機会が出来て、とっても嬉しいです。…でも、それって青葉の事をもっともっと知りたい…って事ですよね?」
「あ、青葉?」
「それに私の新聞も…全部が全部、嘘って訳じゃないんですよ…」
さっきまで笑っていた青葉は、気が付くとまるで深海棲艦と対峙でもしたかの様な鋭い目付きに変わっていた。
「お、おい青葉…」
「な~んてね♪」
「…え?」
提督がもう一度青葉を見ると、そこにはさっきまでの険しい表情から一転、いつものお調子者の彼女が居た。
「ふふっ、大丈夫ですよ司令官。私の新聞なんてあくまで遊びなんですから!皆さんも本気になんてしませんって♪」
「い、いやしかし…」
「じゃ、青葉はこれで失礼します!読者の皆さんが次の記事を待ってますからね。それでは♪」
「あ、おいっ…」
提督は青葉を止めようとしたが、何故かそれ以上追及する事ができず黙って彼女が部屋を後にするのを眺めていた。
それからの青葉は、一見変わった様子もなく慣れない秘書艦の仕事も無難にこなしていた。
それだけなら良かったが、青葉の書く記事の内容は以前より過激さを増していった。
『瑞鶴、提督の魚雷直撃!?レイテ沖海戦再び!』
『霧島、司令のマイクチェック!?さすが司令、データ以上ですね!』
『足柄、スラバヤ沖海戦再び?提督が私を呼んでいるわ!』
この頃になると、艦娘達も青葉の新聞はニュースと言うよりは完全に娯楽と割りきっており、記事に取り上げられれば当然怒りはするが、一方で一躍話題の人扱いされる事を喜んでさえいた。
そんな状況に気を良くしたのか、青葉の記事は更に露骨な描写が増していった。
『司令官、青葉記者を空襲?大破着底か!?』
『呉軍港に沈む!?青葉記者、司令官に陥落!!』
『青葉記者は見た!その指輪は誰の為に?』
その記事を見た提督は当然、その都度これは誤解だと弁明した。しかし艦娘達も全く本気にはしていない様で、むしろ『ケッコンはいつ?』『青葉を大切にしてあげなよ』と冷やかされる始末だった。
『青葉妊娠!?人と艦娘の禁断の愛?』
提督が張り出された青葉の新聞を読んでいると、(提督にとって)運悪く足柄と瑞鶴が通り掛かった。
「おまえ達、こ、これは違うんだ!青葉が勝手に…」
「ハイハイ、分かってますよ♪」
「提督、次は私もお願いしようかしら?ウフフッ」
「うわっ、足柄さんってば大胆っ!」
二人は慌てる提督を茶化すと、クスクスと笑いながらその場を後にした。
その日の夜、提督は実務が終わり帰ろうとする青葉を、話があると引き留めた。
「青葉、いくら何でもこれはやり過ぎだ!!」
「もしかして新聞の事ですか?」
「当たり前だ!」
提督は青葉の答えに机を両手で叩いて答えた。
「ケッコンを申し込んだ位ならまだ笑い話で済んだが、こんなのはシャレに成らない!最近のおまえはちょっとおかしいぞ。一体どうしたって言うんだ」
「…おかしいのは司令官の方ですよ」
「…何?」
提督の問いに青葉はゆっくりと椅子から立ち上がる。
そのまま司令室のドアへ向かい、ドアの鍵を閉めた。
「あ、青葉、何をして…」
青葉は提督に向き直った。その顔はいつもと変わらない人懐こい笑顔だった。にも関わらず、提督は思わず背筋が寒くなる何かを感じた。
青葉は一歩、また一歩とゆっくりと提督の元へと歩みを進める。
「酷いですよ司令官。私がここまで言ってるのに答えてくれないなんて…」
「こ、答える…?」
「司令官も私と同じ気持ちなんですよね?だから私を秘書艦にしたんですよね?」
「ち、違う!違うんだ青葉。あれは衣笠に言われて…」
「ガサは私の気持ちを知ってます。だから応援してくれたんです。司令官はガサの親切を無駄にする気ですか?」
ふと気が付くと青葉はいつの間にか提督の机の前に立っていた。
青葉は自分の腰に手を回すと、スルッと履いているハーフパンツが床に落ち、白い下着が顕になった。
「お、おいっ!」
次の瞬間、今度はオレンジ色の三角タイを片手でほどくとセーラー服に手を掛け、力任せに破いた。
勢いよく破り過ぎたのか、ブラジャーも引きちぎれ、破れたセーラー服の合間から小振りだが形の良い胸が揺れた。
「もう青葉、帰れなくなっちゃいました。もしどうしても帰れって言うならこの格好で皆の所に行っちゃいます。こんな格好で司令室から出てきた私を見たら、皆さんどう思いますかね♪」
「あ、青」
提督が彼女の名前を呼ぼうとする刹那、青葉の両手が提督の両手を掴んだ。
「うわっ!あ、青葉っ、な、何をっ!?」
「…知ってますか司令官。新聞は読者の皆さんに真実をお知らせするのが使命なんです。
「でも最近の青葉は、その本分をすっかり忘れて誤った記事ばかり書いていました。
「きっと皆さん、青葉の新聞は嘘だと思ってるはずです。だから司令官、協力して下さい」
青葉は机に乗り上がると、その勢いで提督を椅子ごと押し倒した。
「青葉の新聞は真実だって」
「あ、青葉っ!何をっ!」
提督は自分にのし掛かる青葉を引き剥がそうとするが、まるで動かない。その小柄な身体の何処にこれだけの力があるのかと思う程の強力な握力で、提督の両腕を締め付ける。
「司令官、さっきの新聞の内容、覚えてます?」
「し、新聞…?オ、オマエまさかっ!?」
「アハッ♪覚えてくれてて嬉しいです。そうです、青葉、司令官との愛の結晶をこの身に宿すんです。
「だから司令官、協力して下さい。今この場で、青葉と愛を確かめ合いましょう」
そう言うと青葉は提督に唇を重ねた。
不覚にも青葉に女の香りを感じた提督は、暫く抵抗を忘れてしまったが、ハッと正気に戻ると青葉の唇から顔を離した。
「あ、青葉っ。おまえの気持ちは嬉しい。だが、こんなのは間違ってる!今のおまえは正気じゃない。落ち着くんだ!」
「間違ってるのは司令官の方です。それに青葉知ってます。人間には既成事実と言う物があるって」
「や、止めろ青葉っ、冷静になれっ!」
「司令官、艦娘とは言え青葉も女です。女がここまでしているのに恥を掻かせるんですか?」
青葉は提督の軍服に手を掛けると、荒々しく破った。顕になった提督の引き締まった上半身を見ると、青葉は顔を上気させ、生唾を飲み込んだ。
「司令官、や、優しくして下さいね…///」
「あ、青葉っ…」
青葉は再び司令官と唇を重ねた。
「あっ、青葉。ケッコンはいつ?」
青葉が廊下を通り掛かると、彼女に気付いた瑞鶴が冷やかす様に話し掛けてきた。
「むぅ~っ!信じてませんね~っ?」
「って言われてもねぇ。翔鶴姉や足柄さんに記事ホントか聞いたけど、そんな事してないって言われたよ?」
「あ、あはは…。わ、私の聞き間違いだった…かな?」
「ふふふ、次は提督が私にケッコンを申し込んだって書いてよ。そうしたら信じるわよ♪」
「し、司令官は私にケッコンを申し込むんですぅ~!」
「私は重婚でもいいわよ♪あっ、翔鶴姉~っ!」
「…」
翔鶴を見かけた瑞鶴が、彼女の下へと走っていった。そんな瑞鶴の後ろ姿を眺めながら、青葉は一人呟いた。
「ケッコンは、まだですよ。ケッコンはね…」
「あら、提督。青葉との仲は順調?」
「あ、あぁ…」
「ちょっと足柄さん、提督さんに悪いって」
足柄と瑞鶴のからかいに提督は力無く答える。
勿論、足柄も提督と青葉が本気で付き合ってる等と考えてはおらず、あくまで新聞を読んで冷やかしているだけだった。瑞鶴もそんな足柄を嗜めはするものの、顔は半分にやけている。
いつもなら提督もそれに反論する所だが、今日に限ってそうはしなかった。
そんな提督を少し変程度に思いつつ、二人は任務へと向かった。
提督は壁に貼ってある新聞に目をやった。そこには以前の新聞がまだ張り出されていた。
昨日までは嘘だった新聞が。
今はまだいい。だが日が経つにつれ、青葉のお腹が大きくなっている事に皆も気付くだろう。
その時、皆にどんな顔をすればいいのか。それを考えると、自然と彼の顔から笑顔は消えていった。
くふっ!
うぇひひひひっ…!!
とうとうこの日が来ちゃいました。青葉感激ですぅ!
この鎮守府には司令官を狙う人が一杯いる事は知ってました。でも司令官は青葉にはあまり興味が無いみたいです。青葉は司令官の事、こんなに興味津々なのに…。
だから青葉はカメラをねだって、記念にと司令官の写真を撮らせて貰いました。
この写真は青葉の大切な大切な宝物っ!
毎日あの人の写真を拝む。それだけで青葉、とっても幸せでした。
でもそんな青葉を憐れんでくれたのか、神様は青葉にチャンスをくれました。
司令官、青葉を秘書艦に任命してくれました!
本当は司令官も青葉の事が気になってたんですねぇ!
そうでしょうそうでしょう!
分かりますよ司令官。青葉、こんなに魅力的ですもんねぇ!男の人だったら好きになって当然ですよねぇ!フヒヒッ!
青葉、できればすぐにでも一つになりたかったですが、この鎮守府には他にも司令官に思いを寄せる連中がいますからねぇ。全く厄介です。あの人は私を選んだんだから、さっさと身を引けばいいものを。見苦しいったらありゃしない!
青葉、一生懸命考えました。
どうやったら皆に邪魔されず司令官と一緒になれるか。
そして気付いたんです。青葉には情報があると!
この新聞は半分趣味でやっている様な物ですが、日頃から娯楽の少ない鎮守府では、私の思った以上に受けが良いようです。
青葉、試しにちょっと嘘を載せてみました。
当然皆さん怒るだろうなぁと思ってたら、案外平気みたいです。
えっ?皆さん、こんな嘘許して下さるんですか?
…そうなんだぁ♪
青葉、少しずつ記事を過激にしていきました。司令官には何度か大目玉を食らいましたが、記事にされた皆さんは口とは裏腹に楽しんでるみたいです。御免なさいね司令官さん。ホントは私もこんな記事書きたくないんですが、全ては二人の未来の為なんです。分かってくれますよねぇ?
青葉、記事を徐々に司令官と青葉の記事にすりかえていきました。
案の定、皆さん青葉の記事を疑ったりはしません。
そりゃそうでしょうねぇ。青葉の新聞なんてほとんど嘘。そう思ってもらう為に随分と時間掛けましたからねぇ!
青葉が司令官の子供を妊娠してる、なんて書いても誰も疑いやしない。
皆さん呑気な物でした。アハハッ!
…だから青葉、司令官から話があると言われた時…
この記事をホントの事にしちゃいました!
皆さん、本当に呑気ですねぇ。
いくら秘書艦だからって、夜の司令室に青葉と司令官の二人っきりですよぉ?こんな状況なのに誰も不審に思いもしない。間違いがあったらどうするんですかぁ?
…最も、これから間違いを起こすんですけどね!クヒヒッ♪
ホントは司令官の方から愛の告白をして欲しかったですが、青葉の方から思いきって告白しちゃいました。
司令官も最初は嫌がってましたが、体は正直です。青葉が迫ったらちゃんと反応してくれました!
当然ですよねぇ!二人は相思相愛なんですから!
ヒヒヒッ!
最も、青葉こんな事初めてなんで上手くできたか不安ですが、司令官さんはちゃんと青葉の中に愛を注いでくれましたっ!
そ、そりゃちょっとは痛かったですが…。あんな痛みなら何度でも味わいたいです!青葉、ちょっと変なのかなぁ?…エヘヘ。
その後も何度か司令官に愛してもらいました。司令官は口ではこんな事間違ってる、なんて言ってましたが体は正直ですねぇ!
まぁ無理も無いですけどね!司令官も私の事を愛してるんですから!
一応、司令官にはこの事は内緒にしておいて貰いました。
何故って?答えは簡単。
皆さんの驚く顔が見たいからです。
どうせ青葉の新聞の事だから、嘘に決まってるでしょ?
そう思ってる皆さんが、実は全部本当だったと知ったらどんな顔するんでしょうねぇ?
考えただけで楽しみです。ティヒヒッ!
その時はどうしましょう?
皆さん、司令官はあなた達じゃなくて、青葉にお熱だったみたいですよ?ってからかってやりましょうか♪
それとも、司令官に無理矢理手込めにされたって、悲劇のヒロインぶるのも悪くないですね♪
どっちにしよっ?今から楽しみっ。アハハッ♪
次の新聞を貼るのはもう少し先です。
青葉と司令官の愛の結晶が誕生したら、号外でも出して教えてあげますか!
それまでは、その記事で楽しんでて下さいねぇ。
次の新聞が出たらもう笑えなくなるんですからねぇ!
ウェヒッ!
ウヒヒッ!ウヒャヒャヒャッ♪
アーッハッハッハッハッハァッ!!!!!
そのお腹に宿る子が産まれた時、誰も青葉の記事を疑う者はいなくなるだろう。
その時の事を考えると、青葉は口元が歪むのを堪えきれなかった。
ふと、青葉は自分の机に飾ってある写真を見上げた。そこには彼女の最愛の男性が、優しく彼女を見つめていた。
もう二度と彼女には見せる事のないであろう、微笑みを携えて…。
かなり青葉のキャラ崩壊が酷いですが、普段明るいキャラ程、実は一番歪んでたりするのが大好きです。青葉好きな方、ご免なさい。
記事のタイトル考えるのは楽しかったです(笑)
早い物で8月から書き始めて、気が付けば10数本書きました。創作活動も初めてなんで、文章は毎回四苦八苦してますが心地好い産みの苦しみを味わってます。
ネタはまだストックあるので、これからも提督とヒロインのハートフル(ボッコ)ストーリー書いていきたいです。
わたモテの百合展開が気になってしょうがない首領パッチでした。うっちーなんで別クラスになったんや…。
今年もよろしくお願いします。
おまけ 艦娘型録
青葉 パパラッチ。提督の(盗撮)写真を密売して荒稼ぎしている。提督の入浴写真(無修正)は発売10秒で完売した。今日も次の文春砲の相手を探し、鎮守府を徘徊している。愛機はソニーのサイバーショット。
衣笠 ガサと言われると口では嫌がる物の満更ではない様子。ただし、いがさと呼ぶと返事しない。野球よりサッカーが好き。
提督 顔は至って普通だが、筋トレが趣味でいわゆる細マッチョ。一時期、自室にマッチョマンのポスターを貼っていた為、艦娘から在らぬ疑いを懸けられた。ノンケ。
瑞鶴 表向きは提督に興味無いフリをしているが、青葉の写真を「翔鶴姉に頼まれた」と言う名目で毎回買いに来るリピーター。ちなみに翔鶴には一枚も渡っていない。
足柄 着任直後の提督に「年収と家族と同居しているのか」聞いてドン引きされた。女子力は高い。
霧島 瑞鶴同様「金剛お姉さまに頼まれた」と言って、青葉の写真を買いに来るお得意様。入浴写真(無修正)を買った時は何故かトイレに直行して、暫く出て来なかった。