艦娘症候群   作:昼間ネル

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「…あの五航戦、生意気じゃない?」

「どうします加賀さん、食す?食す??」



散る薔薇 咲く薔薇

「甲板に火の手が…そんな…!」

 

海の上をふらつきながら駆ける一人の艦娘。服は焼け焦げポニーテールもほどけ背中に背負う矢も失い、最早いつ倒れてもおかしくない満身創痍だった。

 

「か、加賀さん!」

 

そんな彼女を追い掛けて来た黒髪の艦娘。彼女は目の前に(うずくま)る仲間を見付けると、彼女を庇う為に駆け寄ろうとした。だが、急に思い詰めた様に立ち止まった。

そんな二人の頭上に無数の黒い影が迫っていた。影は二人を見付けると獲物を見付けた動物の様に一斉に襲い掛かった。

 

「第二次攻撃隊…全機発艦。目標…」

 

彼女は弓を引くと、狙いを定めた。

ドス黒い感情と共に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここは譲れません…!」

 

加賀が矢を射ると、その矢は空中で火花と共に数機の爆撃機に姿を変え、海面の敵めがけて襲い掛かる。

 

「グッ…オノレ…ッ!」

 

爆撃を受けた戦艦タ級が苦悶の表情を浮かべる。

 

「今よ瑞鶴!」

 

目の前の加賀に完全に意識を奪われていた戦艦タ級は、後ろから迫り来る爆撃機に全く気付かなかった。慌てて振り返るも時既に遅く、その攻撃を真正面から受ける形になった。

 

「グアアアッ!!」

 

戦艦タ級が海に沈むと同時に、彼女に付き従っていた駆逐イ級達は我先にと散会していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「さっきのは中々良かったわよ、瑞鶴」

 

「はぁ、ありがとうございます」

 

鎮守府のドックに戻った瑞鶴と翔鶴の下へ、既に帰投していた加賀が語りかける。

 

「あら、褒めているのに浮かない顔ね」

 

「べ、別にそんな事…ないけど」

 

「…まぁ私の掛け声が無くても攻撃を仕掛けられていれば合格と言った所ね」

 

「ムッ!か、勝ったんだから別にいいじゃない!」

 

「私がお膳立てをしてあげたのだもの。当然じゃない」

 

「か、加賀さんがいなくても出来てました~!」

 

「そんなに興奮すると七面鳥みたいよ」

 

「だ、誰が七面鳥よ、この陰険ポニテ女!!」

 

「…頭に来ました」

 

「こっちこそ!!」

 

「「まぁまぁ」」

 

睨み会う二人の間に赤城と翔鶴が慌てて仲裁に入る。

 

「瑞鶴、加賀さんに失礼ですよ」

 

「加賀さん、瑞鶴さんも頑張った事ですし…」

 

赤城は翔鶴に一礼すると、加賀の手を引っ張りその場を後にする。瑞鶴はまだ納得が行かないのか膨れっ面のままだった。

 

「全く、せっかく生まれ変わったって言うのに、性格は沈む前と同じなんだから!」

 

「ふふっ、そうね。でも二人の喧嘩を見てると、本当に加賀さんが帰って来たんだって実感するわ」

 

「あんな人、帰って来なきゃ良かったのに!全く提督さんもあんな人のどこが良いんだか!」

 

「ウフフ、でも喧嘩してる時の瑞鶴、とってもイキイキしてたわよ」

 

「ッッ…!翔鶴姉ぇ!」

 

 

 

 

 

 

 

先程迄、瑞鶴と口喧嘩していた加賀は数ヵ月前の戦闘で不運にも海に沈んでいた。仲の良い赤城は勿論、瑞鶴や翔鶴も彼女の轟沈を心の底から悲しんだ。

そして一番深い悲しみに沈んだのは提督だった。

提督は加賀を戦力として信頼していたのは勿論、一人の艦娘としても特別の愛情を持ち、ケッコン指輪を彼女に贈る程だった。

加賀が沈んだ事を赤城から知らされた時は深い失意に囚われた提督だったが、暫くして同じ艦娘を建造出来る事を知った。提督は一か八か再び加賀を蘇らせられないか試す事にした。

その結果、彼の願いの強さが届いたのか加賀は再び彼の前へと姿を現した。

生まれ変わった加賀は一部の記憶は失っているものの、過去の記憶を引き継ぎ、提督の想い人として、瑞鶴には口うるさい先輩として、以前の彼女の様にすっかり鎮守府に溶け込んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「提督、只今帰投しました」

 

「あ、あぁ。お帰り加賀。お疲れ」

 

鎮守府に戻った加賀は赤城と共に戦果の報告に来ていた。提督にしてみれば最愛の人物が無事生還した事は何より喜ばしい筈だが、その顔には何故か戸惑いが浮かんでいた。

 

「戦艦タ級が相手だったと聞くが…。無事で何よりだよ」

 

「当然です。赤城さんのサポートもありましたしね」

 

「えっ、ええ…まぁ」

 

実際の所、一度沈んだ加賀より赤城の方が遥かに練度は上な為、どちらが活躍したかと言えば赤城なのだが、その赤城も加賀の発言を否定しなかった。その表情にはどこか動揺が見てとれた。

 

「な、何はともあれ今日はゆっくりしてくれ」

 

「ええ、そうさせてもらいます。…あぁそれと提督」

 

「ん、何だ?」

 

「今日は久しぶりに飲んでみたいのですが…出来れば二人で。大丈夫ですか?」

 

「うん、そうだな。じゃあ今日は早めに切り上げるよ」

 

「楽しみにしています」

 

加賀は一礼すると部屋を後にした。

部屋に残された提督と赤城は、気まずそうに目を合わせた。

 

「提督…加賀さん、完全に気付いてますよね」

 

「…あぁ、間違いないだろうな」

 

実は提督と赤城はお互いに想いを寄せあう仲だった。

加賀が沈んだ後、意気消沈していた提督は何度も赤城に励まされた。赤城としても提督の事は憎からず思っていたが、彼は既に加賀を選んでいた。親友の幸せを思った彼女は身を退く事にしたが、そう決めた矢先に加賀がいなくなった。親友の不幸に乗じる罪悪感もあったが、気が付けば相思相愛の仲になっていた。

そんな甘い一時も束の間、再び加賀が帰って来た。

提督も赤城も自分達の関係を隠しているつもりだったが、加賀は二人の関係に感付いている様だった。

 

「赤城…悪いんだが俺達、暫く距離を置かないか?」

 

「そ、そんな…確かに私も加賀さんには悪いと思っています。で、でもそれは昔の事だって仰ったじゃないですか!」

 

赤城は提督の両肩を掴み激しく揺らす。そんな赤城に目を反らしながら提督は答える。

 

「お前には悪いと思ってるよ。でもそれは加賀がいなくなったと思ったからだ」

 

「だ、大丈夫ですよ!提督、加賀さんはケッコンの事は口にしましたか?」

 

「いや、してないが」

 

「きっと加賀さんは提督とケッコンの約束をした事はまだ思い出していないんです!そうです、そうに違いありません!」

 

「…例えそうだとしても、俺はあいつを裏切る事は出来ない。すまない」

 

「て、提督…」

 

提督の肩を掴む手から、ゆっくりと力が抜けていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一人自室へと戻った加賀は、自分のタンスを開けた。着物の中に隠す様に置いてある錠前付きの箱を取り出すと、左手の裾を捲り手首をじっと見つめ錠の番号を合わせた。カチリと音がして箱が開く。加賀は神妙な面持ちで箱の中の物を取り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鎮守府の一角にある弓道場。

加賀が足を踏み入れると同じ正規空母の翔鶴が練習に励んでいた。

 

「こんにちは。加賀さんも練習ですか?」

 

「ええ。復帰してからあまり練習していないから腕が鈍っていてね」

 

加賀は翔鶴の隣に立ち、弓を構える。力強く弓を弾き、矢が放たれる。

放たれた矢は的に命中はしたものの、真ん中の赤い丸からは大きく反れていた。

 

「…相当鈍ってるわね」

 

「そ、そんな事は…」

 

「ふふっ、いいわよそんな気を使わないで。自分の事は自分が一番よく解っているわ」

 

「は、はぁ…」

 

続いて翔鶴が矢を放つ。放たれた矢は加賀の隣の的に命中する。ただし加賀とは違い矢は正面の赤い丸を射抜く。

 

「お見事。流石は翔鶴ね」

 

「か、加賀さんにそう言ってもらえると嬉しいです」

 

「だから、そう畏まらなくてもいいわよ。私がいなくなった後も戦ってきたあなたの方が練度は上なのだから」

 

「そ、それは鳳翔さんや加賀さんの教えが良かったからです!」

 

「ふふっ、嬉しい事言ってくれるわね。矢を放つ時に少し右手がぶれる癖も直ってるみたいだし」

 

「そ、それは…。加賀さんが教えてくれたから」

 

加賀は再び弓を構えた。

弓を構える加賀の姿を見ていた翔鶴はふと微笑む。

 

「うふふっ♪」

 

加賀の弓から放たれた矢は的の赤い丸を僅かに反れて命中する。

 

「どうしたの?」

 

「い、いえっ。やっぱり本物の加賀さんだなって思って」

 

「本物って…私は私よ。偽物じゃないわ」

 

「あっ、そんな意味じゃ無いんです!その…私は轟沈した事は無いのでよく解らないんですが…。加賀さんと再会した時、もしかしたら私や瑞鶴の事も忘れてるんじゃないかと心配だったんです。

 

「でも、ちゃんと私達の事を覚えていてくれて…。私の癖の事も。少し安心しました」

 

加賀は再び弓を構える。

 

「大丈夫よ。大事な仲間の事は忘れられないわ。…後ろの子の事は忘れても良かったけど」

 

「えっ?」

 

翔鶴が振り向くと、弓道場の入り口に瑞鶴の姿が。

 

「げっ!何でここに」

 

「私がここにいちゃいけないのかしら?」

 

「べ、別にそんな事言ってないでしょ!」

 

「そう。ならあなたの腕も見せてもらっていいかしら?私がいない間に鈍っていないか知りたいわ」

 

「に、鈍ってなんかないわよ!」

 

「そう、それは楽しみ…ね!」

 

加賀の放った矢が的の赤い丸に突き刺さった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…以上が今回の作戦だ」

 

提督の説明を聞き終えた艦娘達が執務室を後にする。だがその場に残る二人の影に提督は気付いた。

 

「どうしたんだ赤城…それに加賀」

 

「あ、その…」

 

「提督、久しぶりにゆっくりお話したいのですが…」

 

加賀はチラッと赤城に視線を送る。

 

「て、提督。わ、私はこれで…」

 

赤城は何かを思い出したかの様に慌てて部屋を後にした。

 

「あ、赤城…」

 

「提督、赤城さんに何か用でも?」

 

「い、いや別に…」

 

「そう…」

 

加賀は焦る提督を尻目に窓辺に立ち、外を眺めながら語り出した。

 

「提督。お互い回りくどいのは嫌でしょうから単刀直入に聞きます…私のいない間、赤城さんとは」

 

「それは…その」

 

「そう、二人の態度がおかしいからまさかとは思ったけど…」

 

「待ってくれ加賀!決しておまえの事を忘れた訳じゃないんだ!」

 

「誤解しないで。私は赤城さんとの仲を責めるつもりは無いわ」

 

「えっ?」

 

「あなたは元々、気の多い人な事は知ってるわ。だからそんな事で怒ったりなんかしないわ。…ただはっきりしておきたかったのよ。

 

「…今でも私の事を一番に考えてくれているのか」

 

「も、勿論だ!俺はおまえが一番大事だ!」

 

「フフッ、確かケッコン指輪を貰った時も同じセリフだった様な…」

 

「か、加賀。やっぱり昔の…沈む前の事は覚えているのか?」

 

提督の問いを聞いた加賀はキリッとした顔立ちで提督に向き直った。自分を責める様なその眼差しに、提督は思わず後退る。

 

「当たり前です。この鎮守府の皆、赤城さんや翔鶴…勿論、瑞鶴も。それに何よりあなたの事…ただの一時も忘れた事はありません。

 

「再びこの姿で帰って来た時、私はどれだけ嬉しかったか。やはりあなたも私の事を忘れていなかったんだと」

 

「あ、あぁ。勿論だ」

 

「一つ聞かせて下さい。昔あなたはケッコンしようと言ってくれました。でも結局その約束は果たされずに私は沈んでしまいました。

 

「もう一度…約束してもらえますか?」

 

「あぁ!約束する」

 

「本当に…?」

 

「ほ、本当だ」

 

加賀はゆっくりと提督の背中に抱きつくと、愛しそうに頬を背中に擦り付けた。

 

「嬉しい…必ずそう言ってくれるって信じていました」

 

「加賀…」

 

提督は振り返り、加賀を抱き締める。加賀もその抱擁に身を委ねる。

 

〈…〉

 

そんな自分達の様子をドアの外で盗み聞きしている影がある事を二人は知らなかった。

 

少なくとも提督は。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「隣、いいかしら」

 

「えっ?べ、別にいいけど…」

 

鎮守府の昼下がり。

つい先程、帰投した瑞鶴はその足で間宮食堂へ来ていた。

 

「翔鶴は?」

 

「しょ、翔鶴姉ぇは入渠よ。私を庇って小破しちゃったから。そういう加賀さんは?赤城さんと一緒じゃないの?」

 

「別にいつも一緒にいる訳じゃないわ。赤城さんは赤城さんでやる事があるのよ」

 

椅子に腰を下ろした加賀が箸に手を付ける。

 

「そう言えばあなたにはまだ言ってなかったわね」

 

「な、何を?」

 

「ありがとうね瑞鶴。赤城さんやこの鎮守府の皆、それに提督を守ってくれて」

 

「んなっ…!え、えぇ~っ!?」

 

「何かおかしな事言ったかしら?」

 

「あ、あの加賀さんが…私に…お礼?明日、矢の雨が降る…ふにぃ~ッ!痛い痛い(いはいいはい)!」

 

加賀が瑞鶴の頬を思いっきりつねった。

 

「失礼ね。私だって褒める時位あるわ」

 

「…」

 

「もう一回つねる?」

 

「や、やめてっ!!」

 

「…フン」

 

驚く瑞鶴を尻目に加賀はご飯を口に運ぶ。

 

「…何見てるの?食べないならもらうわよ?」

 

「だ、ダメッ!…じゃなくって。翔鶴姉ぇの言ってたの本当だなって思って」

 

「翔鶴が?何か言っていたの?」

 

「そ、その…加賀さん、戻って来てから少し優しくなったって」

 

「私は元から優しいわ。ただおっちょこちょいの誰かさんのせいで眉間にシワが増えただけよ」

 

〈ッ!…やっぱ変わってない…〉

 

「冗談よ。あなたにも感謝してるわ。せっかく戻って来ても肝心の皆がいないんじゃ意味が無いもの。感謝してるわ」

 

「べ、別に…私は加賀さんの為に頑張ってたんじゃあ…」

 

「それでもいいわ。…それにこの間の出撃の時も翔鶴を置いて前に出る癖も直ってる様だし」

 

「そ、それは…そのせいで翔鶴姉ぇが私を庇って被弾するって加賀さんに言われたから…」

 

「ふふっ、ちゃんと覚えてたのね」

 

「…やっぱり昔の事、覚えてるの?」

 

「えぇ。私がいない数ヶ月で随分と強くなっていて驚いたわ。さっきも言ったけど、ありがとうね瑞鶴。私の好きなこの鎮守府を…あの人を守ってくれて」

 

「加賀さん…」

 

加賀は瑞鶴の手にそっと自分の手を重ねた。

 

「…ただ前にも言ったと思うのだけど、改二の迷彩はどうかと思うの。気は確か?」

 

「んなっ!あ、あれはあれで格好いいじゃない!」

 

「でも海で迷彩なんて…馬鹿なの?」

 

「前言撤回!全然優しくない!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「提督、瑞鶴は…?」

 

入渠を終え、すっかり回復した翔鶴が報告を兼ねて執務室へ姿を現した。

 

「瑞鶴なら多分、間宮の所じゃないかな」

 

「そうですか。では私も行ってみます」

 

「あぁ、翔鶴…」

 

「ハイ…?」

 

「いや、その…加賀とは上手くやっているか?」

 

「ええ。瑞鶴も口ではああ言ってますが、あんなはしゃいでる姿は久し振りに見ました」

 

「そうか。だが瑞鶴よりも翔鶴、俺は君の方が心配だよ。瑞鶴を庇うあまり被弾する事がよくあるみたいだし。あまりヒヤヒヤさせないでくれ」

 

「そ、そんな…私なんかに勿体無い言葉です」

 

翔鶴はドアに手を掛けて、ふと立ち止まる。

 

「あの…提督。加賀さんとは、その…」

 

「ああ、多分考えている通りだと思うよ」

 

「そうですか…」

 

「翔鶴…少し愚痴に付き合ってくれないか?」

 

「え、ええ…私で良ければ…」

 

「俺は加賀が戻って来てくれるのを願ってた。赤城もきっと喜んでくれる…いや、これは言い訳だな。俺は自分の為だけに加賀が戻る事を願った。

 

「だが赤城といる内に、このままでもいい…加賀の事は諦めようかと思い始めている事に気付いたんだ」

 

「それは…赤城さんを…」

 

「ああ…節操が無いって笑ってくれても構わないよ」

 

「そ、そんな事…」

 

「もう諦めようか…そう思った矢先、加賀は帰って来た。それは嬉しいんだ。だが俺の中で赤城は、加賀と同じ位に大きな存在になっていた…。

 

「俺は…どっちを望んでいるんだろう…」

 

「提督…」

 

「…悪い、つまらない話に付き合わせて」

 

「い、いいえ、そんな事ありません…私だって似た様なものです…」

 

「翔鶴が…」

 

「はい…あの、提督…もし良ければ私の愚痴も…聞いて頂けますか?」

 

「翔鶴の…?ははっ、驚いたな。翔鶴も悩みとかあるんだな」

 

「もうっ!私だって悩みの一つや二つあります」

 

「ご、ごめん。で、何だい?」

 

「提督と同じ事なんですが…私にとって加賀さんや赤城さんは尊敬すべき先輩方です。でも…あの日、加賀さんが沈んだ時、私の中に悲しみとは別の気持ちもあったんです。

 

「加賀さんは、いなくなってくれた…って…」

 

「し、翔鶴…?」

 

「提督…私はおかしいでしょうか?」

 

「し、翔鶴…お前…」

 

「つまらない話をしてすみません…でも、提督だってそうなんです。私だって…少し位そんな事考えても…バチは当たりませんよね?」

 

「…」

 

「失礼しました、私はこれで…」

 

「あ、ああ…」

 

一礼すると、翔鶴はそそくさと部屋を出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ある日の鎮守府。

演習場で二人の艦娘が訓練を行っていた。

加賀の放った艦上爆撃機が海に浮かぶ的を粉砕し、彼女の左肩の甲板に戻って来る。

 

「お見事」

 

隣にいた赤城がニコッと微笑む。

 

「いえ、まだ勘が取り戻せません。こんな事じゃ瑞鶴に笑われるわ」

 

「そ、それは仕方ないですよ。加賀さんは暫くいなかった訳ですし」

 

「そうですね。でも人が変わるには充分な時間です。…赤城さんと、あの人が変わるには」

 

「…!」

 

続いて自身の爆撃機を発艦させようとした赤城は、思わず息を飲んだ。

 

「やはり…気付いていたんですね、加賀さん」

 

「…はい」

 

背を向ける加賀に、赤城は申し訳なさそうにうつ向く。

 

「…やっぱり怒っていますか?私と提督がその…そんな仲になってしまったのを」

 

「怒っていないと言えば嘘になります」

 

「か、加賀さん。私は…!」

 

「誤解しないで下さい。もう怒ってはいません」

 

「…え?」

 

加賀は弓に矢をつがえ、弦を引く。

 

「あの人が少し浮気性なのは知っていましたから、きっとそんな事なんじゃないかとは思っていました」

 

「…」

 

加賀が矢を放つと、矢は空中で火花と共に数機の爆撃機に姿を変えた。

 

「でも、その相手が赤城さんだと知って安心しました」

 

「加賀さん…」

 

「ですが」

 

「…!」

 

「あの人は言ってくれました。もう一度私とやり直したいと」

 

加賀の放った爆撃機が海面に浮かぶ的を捉え、機銃を放つ。的は銃声と共にあっと言う間に蜂の巣になった。

 

「以前、赤城さんも言ってくれましたよね。『例え提督が加賀さんを選んだからと言って、私達の友情は変わりません。これからも提督を支えていきましょう』と。

 

「だから私は、赤城さんを…提督を許します」

 

爆撃機が最後に残った的に一斉に爆弾を落とす。的は轟音と共に四散して砕け散った。

加賀の話を黙って聞いていた赤城は、徐々に顔色が曇っていった。

 

「…どうしました?赤城さん」

 

「じ、じゃあ…」

 

「…?」

 

赤城は震える声で加賀に尋ねた。

 

「あ、あの時の事も…覚えて…」

 

赤城の肩は震えていた。その表情はまるで飼い主にイタズラを咎められた子犬の様に弱々しかった。

そんな赤城の変化に一瞬驚いた加賀だったが、直ぐに目を反らすと事も無げに呟いた。

 

「えぇ…覚えていますよ」

 

「…!!」

 

赤城はいよいよ顔面蒼白となった。

加賀が左肩の甲板を広げると、爆撃機はその上を滑り煙の様に消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

FS海域。

一時は頓挫した海域だったが、加賀の復帰により提督はこの海域への進攻を決意した。既に編成は発表され、明日の出撃を待つだけとなった。

 

「…加賀さん、どちらへ?」

 

夕方、既に日も落ちすっかり暗くなった頃、赤城と同室の加賀は小脇に箱を抱え、部屋を後にしようとしていた。

 

「いえ、用と言う訳でもないですが…。身辺整理と言った所です」

 

「はぁ…」

 

部屋を後にした加賀は鎮守府の港、灯台の下へと向かった。

辺りに人影が無い事を確認すると加賀は箱を地面に置いた。左手の裾を捲ると手首の内側に何かで彫った様な数字が刻まれていた。

 

〈この傷を見るのもこれが最後となると、名残惜しいわね〉

 

加賀が腕に力を入れると数字は煙の様に消えて無くなった。

加賀は箱の錠前に付いたダイヤルを合わせる。カチリと音がして箱が開いた。加賀はその中から手帳を取り出した。

数分でその手帳を読み終わると、手帳を箱に落とし、懐からマッチを取り出した。数本のマッチに火を灯すと箱の中へ落とした。やがて火は手帳を燃やし尽くし、箱へと引火した。

ものの数分で消し炭になった箱を拾い上げると、加賀は箱をそのまま海へと放り投げた。

 

〈これで終わり。ありがとう…〉

 

灯台の灯りが彼女の背中を妖しく照らしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ドウイウ…コト?ソウ…ソウナノネ…。あり、がとう…」

 

FS海域前縁部。

彼女達の前に立ちはだかる水母棲姫との死闘に終わりが訪れた。力尽き海面へと沈み行く水母棲姫を加賀達は静かに見守っていた。

 

「翔鶴姉ぇ!」

 

大破し、最早立っているのがやっとの翔鶴に瑞鶴が駆け寄る。

 

「ごめんね、私の為に…」

 

「大丈夫よ瑞鶴。あなたが傷付くのを見る位ならこの方が…」

 

「翔鶴姉ぇ…」

 

そんな二人の元へ近付いた加賀が翔鶴へ肩を貸す。

 

「瑞鶴、翔鶴は私が連れて帰るわ。あなたは周囲の索敵をお願い」

 

「で、でも…!」

 

「水母棲姫を倒したと言っても、敵はまだいるわ。幸いあなたは一番被害が少ない。分かるでしょ?」

 

「…わ、分かった。翔鶴姉ぇをお願いね」

 

「ええ」

 

心配そうに翔鶴を見る瑞鶴だったが、再び気を取り直すと、海面を滑り走って行った。

瑞鶴の姿が見えなくなると同時に、赤城が自分の艦載機を全て発艦させる。

 

「…?赤城さん、敵ですか!?」

 

自分達の上を旋回し始める爆撃機に、加賀も身構える。

 

「…ごめんなさい加賀さん。もう…もう、こうするしか私には思い浮かばなかったの」

 

「…な、何の話です?」

 

「最後に言いたいの。加賀さん、私はあなたを裏切るつもりは無かったの。あなたと提督が愛しあっているのを知った時、私は自分の気持ちを胸の中に閉まっておくつもりでした。

 

「でも…でもあの時、あなたは私の目の前で今の翔鶴さんの様に大破した。その時、もう一人の私が囁いたの。

 

『加賀さんがいなくなれば、提督は私のモノだ』って…。

 

「気が付いたら私はあなたを攻撃していた…。加賀さんがいなくなった後、私は提督を慰めるフリをして彼に近付いた。彼は私を愛してくれる様になった。でも、まさか!…まさか加賀さんが再び蘇るなんて…っ!!

 

「加賀さんと再会した提督は、再びあなたに心奪われた。その時解ったんです。あなたがいる限り、私は提督の一番には成れないんだって…」

 

加賀、赤城達の頭上を旋回する爆撃機達はクルッと向きを変えると、一気に急降下する。

 

「ま、まさか赤城さんっ…!!」

 

「だからこれでさよならです。ごめんなさい加賀さん」

 

二人に迫る爆撃機から無数の爆弾が発射される。…赤城に向かって!!

 

「くっ…!」

 

加賀は翔鶴を突き飛ばし、全力で海面を滑る。

 

「きゃああっ!!」

 

危うく爆発に巻き込まれそうになった翔鶴が再び目を開けると、そこには赤城を庇い攻撃を受けた加賀の姿があった。

 

「ううっ…」

 

苦悶の表情を浮かべ海面に倒れようとする加賀を、赤城は抱き止めた。

 

「か、加賀さんっ…どうして!どうして私を庇って…!」

 

「ま、前にも言いましたよ…。私は赤城さんを許しますと」

 

「で、でもっ!私はあなたを沈めたんですよ!?それだけじゃない!私はあなたのいない間に提督を奪おうとしましたっ!

 

「そんな私が罪を償うには、こうするしか無いじゃないですかっ!!」

 

泣き叫ぶ赤城の頭をそっと、加賀は撫でる。

 

「…か、加賀さん?」

 

「私が沈んだのは、私が不甲斐なかったからです。赤城さんに攻撃されなくてもきっと沈んでいました。

 

「それに、赤城さんは私にとって提督と同じ位の大事な人です。赤城さんが幸せになるなら、私はこのまま沈んでも構いません」

 

「ううっ…加賀…さん」

 

涙と嗚咽混じりの顔で、赤子の様に泣きながら赤城は加賀の胸に顔を埋めた。そんな赤城を、加賀は優しく抱き締めた。

 

〈そう…そうだったのね、赤城さん…〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈私は…あなたに沈められたのね…〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの日、私は再び生まれた…らしい。

 

光と煙に包まれ、気が付くとこの鎮守府に建造された。

自分が艦娘である事、赤城さんや七…瑞鶴といった仲間達の事は何故か顔を見た瞬間に解った。

だが一つ不思議だったのは、私は一度海に沈んでいるらしかった。私にはそんな記憶は無い。だが皆や私の前に立っていた彼…提督はしきりに昔の事を覚えているのか尋ねてきた。

私の記憶はここからだ。過去なんて無い。

だが、自分でも何故なのか解らなかったが、初めて会った筈の提督に私は強く心を惹かれた。聞けば前の加賀はこの彼と恋仲だったらしい。そんな記憶は無い筈なのに、私は彼が愛しくて仕方なかった。

 

私は彼に話を合わせる事にした。

 

赤城さんに連れられ、かつての私が過ごした部屋へ訪れた。何もかもが初めて見る物だったが、私は赤城さんに話を合わせ、懐かしがってみせた。

自分の持ち物を整理していると、タンスの中に隠す様に小さな箱があった。何だろうと思って開けようとしたが、箱にはダイヤル式の錠前が付いていた。もちろん番号なんて分かる訳がない。

そう思った時、私は自分の左手に小さな傷が付いているのに気付いた。

 

【1 1 1 7】

 

それは私が艦娘として生を受ける前の、船だった時の私にとって記念すべき日、進水した日付だった。

私は試しにこの数字を回してみた。

案の定、鍵は開いた。

恐らく沈む前の、かつての私が自分の最後を知り、もし忘れてしまった時を考えて自分で傷を付けたのだろう。〈我〉ながら賢明な判断だったと思う。ウフフッ。

 

箱の中には小さな手帳が入っていた。随分使い込まれているらしく、かなりぼろぼろだった。私はその手帳を見て驚いた。

それは先代の加賀(わたし)の日記帳の様な物だった。

彼女が見聞きした事、体験した事が事細かに書かれていた。

この鎮守府の仲間達の事。赤城さんや瑞鶴、翔鶴と話した事。

そして、提督との思い出…。

 

私は暇を見つけては貪る様にその手帳に目を透した。試しにかつての私が言ったであろう事を皆に言ってみた。

皆は驚いた様な嬉しい様な、複雑な表情をしていた。

成る程…。どうやらこの手帳に書かれている事は本当の事らしい。

私はこれを利用して、一計を案じた。

このまま過去の自分を演じよう…

 

昔の自分に成り代わろうと。

 

あの二人、提督と赤城さんがお互いを想う間柄なのは私の目には明らかだ。提督に何故か強い執着を持っている私だったが、今の二人の仲に割って入るのは難しい…。そう思っていたが、この手帳があれば過去の…昔の私を演じる事ができる。

赤城さんには悪いが、私は提督を…彼を取り戻す事にした。

 

記憶があるフリをした私に提督は、再び…と言うのはおかしな表現だけど、もう一度ケッコンの約束もしてくれた。

 

全てが順風満帆な、そんな時だった。

赤城さんから思いがけない告白を聞いたのは。

 

『あの時の事も…覚えて…』

 

その時の私には何の事だか解らなかったが、話を合わせて覚えているフリをした。

そして今回の出撃で、それが自分を裏切った事だと知った。

前世の私は彼女に沈められたのだと。

 

それを聞いた私は怒りに囚われたが、赤城さんの行動に全て掻き消された。

彼女は自分で轟沈しようとした。

考えるよりも早く、私は彼女を庇っていた。

確かに同じ男性に心奪われた恋敵かもしれない。それでも…そんな彼女でも、私の大事な親友だった。一瞬でも彼女を沈めようと考えた自分が恥ずかしい。

 

そう、私が沈めなきゃいけないのは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「第一艦隊、帰投しました」

 

至るところ服が破れ、満身創痍の加賀、赤城、瑞鶴。

瑞鶴は泣くのを必死に堪えている。そんな彼女を不思議に思った提督は加賀に尋ねた。

 

「加賀、翔鶴が見えない様だが…」

 

「翔鶴は…轟沈しました」

 

加賀の答えに、瑞鶴がワアッと泣き声を上げその場に座り込んでしまった。

 

「そ、それは…そうか。瑞鶴、すまない」

 

「いいえっ!提督は悪くありません!私達が翔鶴さんを守れなかったのがいけないんです!」

 

瑞鶴に頭を下げる提督を庇う様に、赤城が割って入った。

 

「瑞鶴、任せておいてなんて言いながら…。本当にごめんなさい」

 

目を腫らした瑞鶴が瑞鶴が赤城に支えられて立ち上がった。

 

「…ううん。加賀さんは悪くない。加賀さんや赤城さんだって中破状態だったもの。索敵をしっかりしなかった私も悪いの。気にしないで…」

 

「瑞鶴、本当にすまなかった。赤城、それに加賀、先ずは入渠を。詳しい報告は後でいい」

 

赤城と瑞鶴は一礼すると、執務室を後にした。

 

「うん?加賀、どうしたんだ…うわっ!」

 

提督の問いかけに答える前に、加賀は彼の胸へと飛び込んだ。

 

「ごめんなさい。生きて帰れたのだと思うと…こうしてあなたを抱きしめる事ができたと思うと嬉しくて…」

 

「加賀…」

 

「私らしくないなんて言わないでちょうだい。前の私だったら戦いで沈む事も怖くなかったわ。

 

「でも今は違う…。あなたの事を考えると…もう会えないかもしれないと思うと怖くなってしまったの…。

 

「こんな私は…嫌いかしら?」

 

「そ、そんな事ある訳ない!例えどんな風になっても加賀は加賀だよ!」

 

「ありがとう。お願い…もっと強く抱きしめて」

 

提督は加賀を抱き締めた。加賀も彼の腰に手を回し、優しく抱き締める。

 

「加賀…愛しているよ」

 

「ええ…私もよ…あなた」

 

二人はどちらからともなく口付けを交わした。

 

〈ありがとう過去の私、ありがとう赤城さん。そして…こんな私を許してね…

 

〈翔鶴…〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈ど、どういう事なの…?前の加賀さんを沈めたのは…赤城…さん?〉

 

「爆撃隊、発艦!」

 

そんな翔鶴の困惑を余所に加賀は空に弓を構えると、矢を放った。矢は火花と共に無数の爆撃機に姿を変える。

 

「か、加賀さん、何を…」

 

「索敵をすり抜けた敵を攻撃します」

 

「て、敵?でもこの場には私達しか…」

 

加賀は後ろを振り向いた。赤城も加賀の視線を追うと…。

 

「…!か、加賀さん、まさか!」

 

二人の視線の先には、今にも倒れそうな翔鶴が立っていた。

 

「し、正気ですか加賀さん!翔鶴さんは…」

 

「いいんですか?」

 

「…え?」

 

「前にも言いましたね、提督は気が多いと。赤城さんも本当は気付いているんじゃないんですか?彼が翔鶴を私達と同じ目で見ていると…」

 

「そ、そんな事…」

 

「赤城さん、私は自分以外の艦娘が彼の横にいるなんて、考えたくもありません。でも赤城さん、あなたなら私も許せます。

 

「…ただし赤城さん、あなただけです。あなた以外は…許せません」

 

「…」

 

加賀の言葉に呼応するかの様に、頭上を旋回する赤城の爆撃機は、加賀の爆撃機と編隊を組んだ。

 

「か、加賀さん?赤城さんっ!?」

 

遥か頭上から真一文字に自分めがけて急降下する爆撃機に、翔鶴は目を丸くする。

 

「…ごめんなさい翔鶴さん」

 

「あ、赤城さんっ!」

 

無数の爆撃が翔鶴を襲う。次の瞬間、いくつもの水柱が上がり翔鶴を吹き飛ばした。

まるで雨の様に海水が降り注ぐ。さっき迄翔鶴が居た場所に彼女の姿は無かった。焼き焦げた飛行甲板が無惨に浮かんでいた。

異常を察した瑞鶴が遠くから叫んでいた。

 

「どうします加賀さん。瑞鶴さんも…」

 

「いえ、止めておきましょう。いくら私達でも今の様に不意を付かないと難しいわ。それに他の皆も集まってきます」

 

「…そうですね」

 

「それに瑞鶴は提督のお気に入りという訳ではないわ。彼は私達の様な落ち着いた感じが好きだもの」

 

「まぁ、加賀さんったら♪それじゃ瑞鶴さんが騒がしいみたいじゃないですか」

 

「違いますか?」

 

「私の口からは何とも…。でも…そうですね。一度に二人も仲間を失うのは寝覚めが悪いですね」

 

「フフッ、私を沈めた人とは思えないセリフですね」

 

「もうっ!言わないで下さい。許すって言ったのに…加賀さんって意外と意地悪ですよね」

 

「ごめんなさい。さっきまで罪の意識で自沈しようとしていた人の発言だと思うと可笑しくて…」

 

「まあっ!…ウフフッ♪」

 

「フフッ…」

 

瑞鶴の呼び声が二人の耳に入った。

二人は目配せをするとお互い頷き、振り返るのだった。

 

 

 

 

 

 

それから更に1ヶ月を要し、何人かの犠牲を出しながらもFS海域の攻略は無事成功に終わった。

ただ、犠牲になった艦娘は皆、加賀や赤城と同じ部隊に所属しており、不思議な事にその最後を目撃した者は誰もいなかった。

 

加賀と赤城の二人を除いて…。

 

 

 

 

 




加賀さんと天龍は艦これにハマるきっかけになったキャラなので、やっと書けたと感慨深いです。

今回も自分なりの独自設定があり、同じ艦娘は存在しない事にしてます。この鎮守府に加賀が居る場合、他の鎮守府には居ないみたいな。
艦娘は戦艦の魂が仮の体に宿ってる訳で、ハリポタのヴォルデモート卿みたいに魂を分割できないと(ネタバレすんまそん)同時に二人存在するのはおかしいんじゃないかなと思ってます。その変わり、一度沈んだら別の鎮守府に建造という形で転生できます。悪魔の実みたいな感じです。

公式とは解釈違うかもしれませんが、自分の作品ではこのルールでやっていくつもりです。
後に天龍の話書きますが、今回も出てきた転生に関するもう一つのルールに則った話になります。先に天龍回書いちゃうと、そのルールと今回のオチがバレちゃうので先に書きました。

次は金剛姉妹ネタです。










艦娘型録

加賀(先代) 提督さんとは相思相愛だったが、運悪く大破した所をチャンス到来と見た赤城さんに撃たれた。手首の数字は多分、矢尻か何かでとっさに彫ったんだと思われる。

加賀(なう) 前世の遺産を上手い事使って、提督さんの崩落に成功。ちなみに手帳には提督さんの夜の性癖も書かれていたらしく、これから役に立てようと思っている。

赤城 一度は加賀さんを撃ってしまったものの、罪悪感から自沈しようとしたり途中迄はまともだったのに、加賀さんに唆されてやっぱり闇堕ちしちゃった。まぁ一度ある事は二度あるって言うからね。仕方ないね。

翔鶴 完全なとばっちり。出てくる度に二次災害を被る。でも美人薄命って言うし、多少はね?

瑞鶴 提督さんの好みじゃなかったお陰で、被害を免れた。だからと言って、この先も安泰とは限らない。

提督 この鎮守府のバンコランみたいな人。この人が目を付けた艦娘に被害を及ぼすハタ迷惑な人。

戦艦タ級 別に露出癖ではなく、スカート履き忘れて出撃したら、そういう仕様なんだと艦娘達に勝手に認識されてしまい、今さらスカートを履くに履けなくなった。

水母棲姫 ジオング。自分に見せつける様にパンイチで現れるタ級が嫌い。それを知ってる癖にタ級が寄って来る。嫌いって言ってるのに…この戦艦おかしい。


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