艦娘症候群   作:昼間ネル

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うん…やっぱ那珂ちゃんの歌は…最高やな!




ラブソングを あなたに

「ずっと…ずっと提督さんに聞いて欲しかったの…」

 

提督と呼ばれた男は、目の前で恥ずかしげに俯く少女を勇気付ける様に彼女の目を見た。

 

「あぁ…聞かせてくれるか…」

 

「うん…あなたの為に作った歌だよ」

 

男の答えに、彼女は泣くのを堪えながら満面の笑みで顔を上げた。

スウッと深呼吸すると、彼女は口を開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「那珂ちゃんセンター、いっちばんの見せ場っ!!」

 

目の前の敵を捉えた少女が威勢良く声を張り上げた。白い仮面の様な物を着けた者は、その声に慌てて右手を向けた。

 

「アアアアッッ!!」

 

だが、その砲身の様な手が少女を捉える事はなく、逆に砲撃に撥ね飛ばされた軽巡ヘ級は海へと沈んで行った。

 

「やったな、那珂!」

 

那珂と呼ばれた少女に、同じ服装の少女が二人駆け寄って来た。短髪の少女が那珂の肩を叩くと、彼女は得意気に振り返った。

 

「へっへ~ん、決める時は決める!それがセンターのお仕事!」

 

「おいおい、お前私から旗艦の座を奪うつもりか?」

 

「そんな~、私なんかに川内お姉ちゃんの代わりは無理だよ~。でも~みんながどうしてもって言うなら…那珂ちゃん頑張っちゃう!」

 

「フフッ♪川内姉さんも、うかうかしてられませんね」

 

短髪の川内の隣に並ぶ、やや髪の長い少女が微笑ましく二人を見つめた。

 

「おい神通、お前悔しくないのかよ?」

 

「わ、私は別に…」

 

「う~ん、確かに神通お姉ちゃんは可愛いけど~ちょっとオーラが足りないよね~」

 

「お、オーラ?そ、そうでしょうか…」

 

「神通、真に受けるなって」

 

「な、那珂ちゃん!お姉ちゃん、どうしたらオーラが出せるかしら?」

 

「う~ん、水見式ってのが一般的で~」

 

「おい、止めろ那珂」

 

「那珂ちゃん、私、絶対強化系だと思うの!」

 

「知ってるのか神通!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「たっだいま~♪」

 

「あぁ、お帰り」

 

戦いを終えた三人の艦娘が執務室を訪れた。共に川内型軽巡洋艦の姉妹であり、お団子頭の快活な少女は3番艦の那珂(なか)。髪を両脇で結わいた1番艦の川内(せんだい)、長髪で両脇に跳ねた特徴的な髪型の少女が2番艦の神通(じんつう)と呼ばれている。

3人が部屋に入ると2人の先客が居た様で、提督は那珂達に気付くと彼女達に振り向いた。

 

「取り込み中?後にした方がいい?」

 

「いや、こっちの話はもう終わったよ川内」

 

「ちょっと!まだ終わってないわよ!」

 

「まあまあ、大井っち」

 

提督の机の前に立つのは球磨型軽巡洋艦3番艦の北上、同じく4番艦の大井。

大井は話を途中で遮られたのが癪に障ったのか提督に食って掛かるが、隣の北上によって宥められていた。

 

「…まぁいいわ。行きましょう北上さん。川内達もお疲れ」

 

「ああ、またな」

 

「悪いな、報告に来たのか?」

 

「うん、あたし達も今回は小破だけで済んだよ」

 

「MVPは那珂ちゃんで~っす!」

 

「そうか、お疲れ」

 

「んも~っ!せ~っかく提督さんの為に頑張ったんだよ?何かご褒美ないの~?」

 

「那珂ちゃん、あまり提督を困らせちゃ駄目ですよ」

 

「いいんだよ神通。そうだな…じゃあ何がいい?」

 

「え?ほんとにイイの!?じゃあねじゃあねっ!那珂ちゃん、アイドルのライブ行ってみたい!」

 

「ラ、ライブか…俺あんまり詳しくないけど…分かった、じゃあ行ってみるか?」

 

「やった~!提督さん、だ~い好き!」

 

「す、すいません提督、妹の為に」

 

「いや、いいんだよ。神通達水雷戦隊には頑張ってもらってるからね。そうだ、川内と神通も一緒に行ってみないか?」

 

「おっ、イイね。私も少し興味あったんだ」

 

「そ、そうなんですか川内姉さん。私はあまり…その、恥ずかしいと言うか…」

 

「大丈夫だよ神通お姉ちゃん!別に私達が歌う訳じゃないんだから」

 

「そ、そうよね!私達は聴く側だものね…そうよね

 

〈歌いたかったのか神通…〉

 

「でもぉ~偶然そこにプロデューサーさんがいて~那珂ちゃんスカウトされちゃったら、どうしよう!那珂ちゃん一応艦娘だし…」

 

「そ、そんな…駄目よ那珂ちゃん、私達艦娘なんだし…化粧してったがいいかしら…」

 

〈スカウトされたいのか神通…〉

 

「もう、お姉ちゃんったら!那珂ちゃん達はお客さんだよ。皆アイドル見てるって!」

 

「ハハハ、那珂達は可愛いからな。案外声を掛けられるかもな」

 

「や、やだな~提督、那珂ちゃんより可愛い娘なんていっぱいいるよ~…ったないけど

 

「そ、そうだな。でも川内達が歌ってる所も見てみたい気もあるな」

 

「て、提督!艦娘は副業は認められているのでしょうか?」

 

〈デビューしたいのか神通…〉

 

「じゃあ提督さん!今度の日曜日、絶対だよ!」

 

「分かった。俺も初めてだけど楽しむかな」

 

「何言ってるんですか提督、ライブは戦いです!場所取りに始まりグッズの即売、気を抜く暇はありません!」

 

〈ノリノリだな神通!〉

 

「あ~悪いね提督。神通の奴、私と一緒に那珂のライブ手伝ってるからさ」

 

「あ、ああ。気合い入れて行くかな」

 

「そんな堅苦しく考えなくても平気だって。ただサイリウムとタオルは必須だね。それにチェキ代は入場料とは別だからね」

 

「お、おう…(サイ…リ…?チェキって何?)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この鎮守府には個性豊かな艦娘が大勢居るが、川内型三姉妹も一際大きな個性の持ち主だった。

1番艦の川内の夜戦好きは鎮守府では常識で、重巡のK(プライバシー保護の為、名前を伏せています)いわく「夜戦…どこかのバカが好きでしたわね」、同じ軽巡のYいわく「あぁ~、もぅ~、5500トン級が一隻、ホントうるさいですね」と何かと苦情が絶えない。

2番艦の神通は謙虚で大人しめではあるが、一方で姉の川内ですら自分より強いと認める程の猛者である。

また鬼教官としての一面もあり、駆逐艦のKいわく「何よクズ司令官、私今忙し…神通さんが呼んでる?先に言いなさいよ!」、同じ駆逐艦のYいわく「神通教官はとてもイイ人っぽい!美人で…気配りも出来て皆に…皆…川内さん、その漢字なんて読むの?」と色んな意味で恐…慕われている。

慕われている。

 

そんな三姉妹の中でも取り分け個性的なのが3番艦の那珂だった。

那珂はラジオの歌番組を聴くのが好きだった。

ある時、那珂の鼻歌を聞いた姉の川内に『那珂って、歌上手いんだな』と褒められた事があった。川内にしてみれば只のお世辞だったのかもしれない。だが、それを聞いた那珂はその言葉を真に受け、歌う事にのめり込んでいった。そんな那珂を見た神通と川内は那珂の為に曲を作り、気が付けばアイドルの真似事をしていた。

例え艦娘と言えど中身は年頃の少女と変わらない。殺伐とした戦いの日々に少しでも癒しになればと提督も那珂達の活動を後押しした。

いつしか那珂は、鎮守府のアイドルを自称するまでになっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「提督さん、昨日はありがとうね!川内お姉ちゃんも神通お姉ちゃんも面白かったって!」

 

那珂達と出掛けた翌日、朝から執務室に来ていた那珂は昨日の興奮が冷めやらぬ様で、かれこれ一時間も昨日の事を話していた。

 

「ああ、喜んでくれて何よりだ。俺も楽しかったよ」

 

「やっぱり本物は違うな~。那珂ちゃんも見習わなきゃ!」

 

「那珂だって鎮守府じゃ大人気じゃないか。駆逐艦の娘がよく真似してるぞ」

 

「それは嬉しいんだけど…ちょっと違うんだよね~」

 

「違う?」

 

「ねぇ、提督さんは私のライブ見た事あるよね?どう思った?」

 

「それは…可愛いと思ったけど」

 

「本当!?じゃあ、どうしてその後の握手会に来てくれなかったの?」

 

「い、いやその…何人も並んでたし、あの列に並ぶのは流石に勇気がいるな」

 

「も~っ!せっかく提督さんにも握手してあげようとしたのに!」

 

「そ、そうか。それはすまない」

 

「じゃあ~特別に…今から握手してあげます!」

 

「え…いいのか?」

 

「本当はオフの日だから駄目なんだけど~、提督さんは那珂ちゃんファンクラブ会長だから特別!」

 

〈いつの間に会長に…〉

 

艦娘といっても精神的には年相応の女の子と変わらない。表面上は笑顔を装ってはいるが、男性の手を握るのは恥ずかしいのだろう、那珂の手はやや震えていた。そう思うと提督も苦笑しながら那珂の手を握った。

 

「ど、どう?那珂ちゃんからアイドルのオーラ…感じる?」

 

「オーラは分からないけど、普通に嬉しいよ」

 

「それだけ?何か感じない?」

 

「それだけって…ま、まあ…その…」

 

「もっと強く握ってみて!那珂ちゃんの気持ち、感じない?」

 

「う、う~ん…」

 

「失礼するわよ…って、あなた達何してるの?」

 

ドアを開けた大井は、提督が那珂の手を握っている光景に暫く固まった。やがて冷めた目で提督を睨み付けた。

 

「い、いや、これはだな…」

 

「もしかしてセクハラ?撃っていい?」

 

「ち、違うって」

 

「じゃあ何で那珂は泣いてるの?」

 

「な、泣いて…?那珂!?」

 

「グスッ…私、少しでも感じてもらいたいから提督さんの(手を)握ったのに」

 

「か、感じる?握った!?」

 

「オ、オイ、那珂っ!変な言い方するな!」

 

「昨日はあんなに楽しんでくれたのに…もしかして、お姉ちゃん達の方がいいの?」

 

「き、昨日って…そういえばアンタ達、何処かへ出掛けてたわよね?一体何してたの!?」

 

「『今日はいっぱい楽しんでくれ』って提督さんに連れて行かれて…」

 

「連れて行かれた?ど、何処へ!?」

 

「暗くて狭い(ライブ)小屋に…」

 

「…ッ!?」

 

「川内お姉ちゃんも最初は大人しかったけど、最後は自分から『もう一回!もう一回!(見よう)』って言うし…」

 

「も、もう一回?何を!?」

 

「神通お姉ちゃんも『(サイリウム)もっと激しく振らないと(アイドルに)届きません』って…」

 

「んなっ!!な、何てハレンチなの!提督、あなた三人に手を出したの!?」

 

「誤解だ!那珂、変な言い方は止せ!ちゃんと説明しろ!」

 

「だから那珂ちゃんも負けてないって証明したくて、提督さんに(手を)出してって…」

 

「…那珂、あなた席を外してくれる?私、提督に話があるの」

 

「うん…じゃあね提督さん、満足させてあげられなくてゴメンね」

 

「んなあっ!な、那珂っ!」

 

提督が那珂を呼び止めようとすると、大井の手が彼の肩にめり込んだ。

 

「何処に行くの?言ったでしょ…少しお話があるって…!!」

 

「じゃあ何で目が血走ってるんだ!?ちゃんと話す!話すから落ち着け!」

 

「あ、そういえば提督さん、神通お姉ちゃんが昨日はあんな恥ずかしい所見られちゃったから、今日は顔を合わせられないって!」

 

「那珂っ!お、大井っ!痛い!肩痛イグァ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

那珂が歌い始めたのは確かにアイドルの真似事がきっかけだったかもしれない。だが、それが全てではなかった。

自分の歌や踊りを披露すると、皆は誉めそやしてくれる。それに気を良くして提督にも見てもらった事があった。それを見た提督はとても可愛かったと素直に感想を述べた。

その言葉を聞いた時、那珂はこれだと思った。可愛いだけなら他の娘にも言われた事がある。だが提督と他の艦娘とでは言葉の響きが違った。そしてその時、初めて理解した。

 

自分はこの人に、もっと自分を見てほしかったんだと。

 

以来、少しでも自分に興味を持ってほしい、もっともっと自分を好きになってほしい…そんな一念で、那珂は今まで以上にアイドル活動に打ち込んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、那珂、大井っち見なかった?」

 

鎮守府の中庭。那珂がベンチに腰掛け思い付いた歌詞をメモしていると、いつもは大井と一緒の北上が珍しく一人で通り掛かった。

 

「大井ちゃん?今、提督さんの所だよ。でも今は行かない方がいいかも」

 

「え、何で?」

 

「那珂ちゃんに夢中なのが気に入らないみたい!お説教されてるよ♪」

 

「ふ~ん、大井っち、ああ見えて嫉妬深いからね~。提督も気の毒に…それ、新しい歌の?」

 

「うん、今までは川内お姉ちゃんや神通お姉ちゃんが書いてたから初めて自分で書いてみたの」

 

「えっ!…あ、アレって川内や神通が作詞してたの?」

 

「うん。那珂ちゃん、歌うのは得意だけど歌詞書くのは苦手なんだ」

 

「じ、じゃあ『恋の2-4-11』は…」

 

「神通お姉ちゃんが書いてくれたの」

 

「その前の『トキメキ!アナタのハートに雷撃戦♪』は?」

 

「あれは川内お姉ちゃん」

 

〈せ、川内っ!アンタあんな可愛い系の歌詞書くの!?〉

 

「因みに川内型の制服は川内お姉ちゃんが具現化(プロデュース)したんだよ」

 

「(川内って…もしかして乙女!?)な、那珂はどんな歌詞書いてんの?」

 

「タイトルは『Heart of fleet』」

 

〈スッゴいCool!!〉

 

「フンフン~♪フフフ~ン♪」

 

〈歌い出した!〉

 

「フフンフン~♪フフン~♪」

 

〈前奏か…にしても長い気が…〉

 

「フフフン~♪…スウッ」

 

〈あ、始まった〉

 

「…フフン♪フ~」

 

〈歌えよ!!〉

 

「私は那珂ちゃん、すべすべ赤ちゃん♪

決めるよワンチャン、いないよカーチャン♪」

 

〈ラップかよ!〉

 

「…(スッ)」

 

「(歌詞…指差した!あ、合いの手?歌えって事?)…ウォ…Wow Wow♪」

 

「深海来たけど 大丈夫~

魔法の魚雷で撃退だ~♪」

 

〈どっかで聴いた事あるぞ!〉

 

「F○cK you~深海「ダメーッ!!」

 

「び、びっくりした~」

 

「それはこっちのセリフだよ!仮にもアイドルがFu○kなんて口にしちゃ駄目だよ!」

 

「そ、そうなの?金剛さんが前に言ってたから使ったんだけど、何て意味なんだろ」

 

「意味解んないで使ってるの!?」

 

「北上ちゃん知ってるの?」

 

「それは…と、とにかく!使っちゃ駄目!いいね!?」

 

「う、うん…」

 

〈金剛さん、意外と口悪いんだな…〉

 

「ところでどうしたの?大井ちゃんに用なら後で伝えとこうか?」

 

「あ~いいよ、後で言うから。明日遠征なんだけど、予定が早まって今日からになってさ。明後日まで帰れないって言いたかっただけだから」

 

「そうなんだ、何処へ行くの?」

 

「すぐそこだよ。駆逐艦の御守りみたいなもんだよ」

 

「頑張ってね、無事に帰って来れる様に祈ってるからね」

 

「アハハ、ありがと。次のライブ決まったら教えてね。こう見えても私も大井っちも結構楽しみにしてるんだからさ」

 

「ホント?那珂ちゃん嬉しい!これからも川内型をよろしくネ♪」

 

「アンタ、ホントにブレないな…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌朝、北上を見送った那珂は川内達と演習に精を出していた。

 

「ほら、那珂!動きが鈍いぞ!」

 

「うひゃあっ!こ、この位じゃへこたれないよ!」

 

「神通!」

 

「ハイ!」

 

「え?きゃああっ!!」

 

いつの間にか後ろに回り込んでいた神通の模擬弾を喰らった那珂は、その場に片膝を突いた。

 

「前にも言ったろ。お前は攻撃を受ける時、右手で顔を庇う癖があるって。それじゃ敵の動きが見えなくなるだろ」

 

「アイドルは顔が命だもん!ファンの皆を悲しませる訳にはいかないの!」

 

「那珂ちゃん、ファンも大事だけど私達は駆逐艦の模範にならなきゃいけないんだから。こんな姿を見たらそれこそファンが悲しむわよ?」

 

「神通お姉ちゃん…解ってるんだけど、無意識に庇っちゃうの…」

 

「惜しいよな~、その気になれば私より強くなれるのに」

 

「強くなんかなくたっていいよ…艦隊ステーションに出てモタさんに『特技ある?』って聞かれて『砲雷撃戦ですっ♪』なんて言いたくないよ…」

 

「え…で、でも私は、おいしいと思うわよ」

 

「色物街道まっしぐらだよ!那珂ちゃんは正統派なんだから!」

 

「私だったら夜戦って答えるのになぁ」

 

「大スキャンダルだよ!デビュー早々“金曜日”されちゃうよ!…あ、でも熱愛発覚みたいでちょっとカッコいいかも…だ、ダメダメ、那珂ちゃんは清純派なんだから!」

 

「でもバラエティに呼んで貰えるかもよ?那珂も提トーーク出たいだろ?」

 

「それは…ちょっと出たいかも…」

 

「夜戦大好き芸人で呼んで貰えるかもよ?」

 

「それはお姉ちゃんでしょ!それに那珂ちゃんは芸人じゃないよ!?」

 

「な、那珂ちゃん…お姉ちゃん、絶対に笑ってはいけない鎮守府に出たいかなって…」

 

「絶対アウトだよ!那珂ちゃん、タイキックなんてされたくないよ!」

 

「でもさ、私達は人間を守ってる訳だろ?那珂が助けた奴がファンになる事だってあるかもしれないだろ?」

 

「えっ?」

 

「そうよ那珂ちゃん。それがきっかけで『あなたは今幸せですか?』ってどこかのプロデューサーにスカウトされちゃったり…」

 

「プ、プロデューサーさん…?」

 

「そうそう、歌って戦え(バトれ)るニューアイドルで売り出すってのもアリだよな」

 

「ニュ…ニューアイドル…?」

 

「アナタに届け、この魚雷(想い)!とか素敵じゃないかしら?」

 

「そうそう、深海棲艦も魅了して戦争を終わらせた伝説の艦娘M@STERとかさ」

 

「…何か不思議な力が湧いてきた。そうだよね!ファンの期待に答えるのもアイドルの務めだよね」

 

「そう、その意気だ那珂。お前なら川内型…いや鎮守府のセンターにだって成れるさ!」

 

「ええ!『Kan・Kan』の表紙だって飾れるわ」

 

「川内お姉ちゃん、神通お姉ちゃん!もう一回やろう!」

 

「ああ!…神通、お前もノセるの上手いな」

 

「…もう一人で慣れましたから」

 

「うん?もう一人…ちょっと待て神通、それって私の事か!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜も更け鎮守府もすっかり寝静まっていた。そんな中、鎮守府港の砂浜を歩く二つの影があった。

 

「那珂、お前が私に付いてくるなんて珍しいじゃん。お前も夜戦の魅力に取り付かれたのか?」

 

「違うよ、私はダンスの練習がしたいだけです~」

 

「ふ~ん、まぁいっか。んじゃ私はそこら辺駆けてるからさ」

 

「うん!また後でね」

 

川内と別れると那珂は浜辺を歩き始めた。少し歩くと座礁して放置されている船の所へと辿り着いた。以前、ここを通り掛かった際に那珂はこの場所に目を付けていた。

早速船に乗って下を見下ろすと、那珂の想像通り船が小さなステージの様であり、那珂は以前のアイドルのライブを思い出しながら歌の練習を始めようとした。

 

「今夜は貸し切りかな?」

 

「えっ!?提督?」

 

那珂が下を覗くと、浜辺から提督が現れた。とっくりの様な物を持っており、顔も少し赤かった。

 

「もう、びっくりしたな~。提督さん、どうしてこんな所に?」

 

「川内と同じかな。気晴らしに海でも見たくてね。那珂は?」

 

「私?エヘヘ…前に提督さんに連れてってもらったライブが忘れられなくて。ここなら練習出来るかなって…」

 

「そうか、邪魔しちゃったかな?」

 

「あ、そんな事ないよ!提督さんは那珂ちゃんファンクラブの会長だもん。特別にレッスン見学させてあげます!」

 

「ハハッ、たまには散歩もしてみるもんだな」

 

「でもアルコールは禁止で~す!」

 

「そ、そうか…」

 

それから数分程、提督は那珂の歌を聞いていた。月明かりに照らされる彼女は幻想的に見え、酔いが入っていた事もあってか提督は心地よく彼女の歌に聞き入っていた。

 

「ど、どうかな?那珂ちゃんの歌…良かった?」

 

「ああ、まるでこの間のライブみたいだったよ。いや、あれ以上だよ」

 

「ほ、本当?そうかな…エヘヘ…やっぱり提督さんに言われると照れちゃうな…」

 

「本当に良かったよ。俺一人で聞くのは勿体無い位だ」

 

「う~ん…那珂ちゃんは、別にそれでも…いいかな?」

 

「どうしてだい?」

 

「そ、それはその…提督さん覚えてないかもしれないけど、前にライブやった時、提督さん私の歌、良かったよって言ってくれたでしょ?

 

「私ね、それがとっても嬉しかったんだ。何だか提督さんを独り占めしてるみたいで…って恥ずかしいなぁ、もう!」

 

「そうか…そんなに喜んでくれるなんて思ってもみなかったよ。俺も那珂の歌を独り占め出来て嬉しいかな」

 

「エヘヘ…あっ、でも那珂ちゃんは皆の物だからね!独り占めはダメだよ?」

 

「そ、そうか?それは残念…」

 

「で、でもね…もし提督さんがどうしてもって言うんなら…少しサービスしてもイイよ」

 

「サービス?ハハッ、握手でも…」

 

冗談混じりに那珂を見つめた提督は、彼女が自分に顔を向け目を瞑っているのに気付いた。

 

「…っ」

 

なけなしの勇気を振り絞っているのか、那珂の肩は小刻みに震えていた。どうしたものかと思案に暮れる提督だったが、彼女の勇気を無下にするのも気の毒に思い、優しく那珂と唇を重ねた。

 

「…あっ、アハハッ…ウフフ…」

 

「ファンに見られたら殺されそうだな」

 

「だ、大丈夫だよ!その時は那珂ちゃんもアイドル辞めるから」

 

「う~ん、それだと尚更恨まれそうなんだが…」

 

「え?どうして…あ、お姉ちゃん」

 

海を見ると、二人に気付いたのか川内が海から上がって来た。二人を見ると那珂と同じく提督がいる事に驚いている様だった。

 

「あれ?提督じゃん。どうしたんだい、こんな所で」

 

「…川内が来てくれて助かったよ」

 

「え?何で?」

 

イイだったのに

 

「那珂…何か怒ってないか?」

 

「何でもないっ!じゃ、提督さん、またね!」

 

「あ、ああ…」

 

「お、オイ那珂、待てって…何で顔赤いんだ?少し酒臭いぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、朝の訓練を終えた那珂は、中庭のお気に入りの場所で新しい歌の歌詞を考えていた。

 

〈うん、大体こんな感じかな?もうちょっとで出来上がりそう!

 

〈提督さん…喜んでくれるかな。この歌、提督さんの為に作ったって…気付いてくれるかな…〉

 

「…あれ?」

 

誰かが駆ける足音に那珂が振り向くと、大井が髪を振り乱しながら那珂の横をすれ違った。大井は那珂に気付いていないのか、全速力で駆け抜けて行った。

 

〈ど、どうしたんだろ…怖い顔してたけど〉

 

「あ、那珂ちゃん、ここにいたのね」

 

「じ、神通お姉ちゃん。何かあったの?」

 

「それが…昨日、北上さんが遠征に行ったのは知ってるでしょ?」

 

「う、うん」

 

「さっき連絡があってね…北上さん達の部隊が襲われたらしいの…」

 

「ええっ!?」

 

「話を聞いたら、駆逐艦を逃がす為に北上さんが囮になったみたいで…北上さんだけ帰投していないみたいなの」

 

「そ、そんな…」

 

那珂は神通と共に執務室へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だから私が救援に向かうって言ってるじゃない!」

 

「落ち着け、大井」

 

執務室は険悪な空気が流れていた。今にも提督に掴み掛からんばかりの大井、それを必死で嗜める提督。その横では北上と共に出撃した駆逐艦達が涙を堪えていた。

 

「これが落ち着いていられる訳ないでしょ!アンタ達、行くわよ!」

 

「お、大井さん、落ち着いて下さい!」

 

「な、何よ神通、アンタまで!今こうしてる間にも北上さんは助けを求めてるかもしれないのよ?」

 

「それなんだが…大井」

 

「何よ…アンタ達も…どうしたのよ」

 

北上と共に出撃した駆逐艦の一人が涙を堪えながら口を開いた。

 

「大井はん、気持ちは解る…でも、もう遅いんや」

 

「どういう意味よ、黒潮」

 

「北上はんは…うちを庇って沈んだんや」

 

「…ッ!!」

 

「勘弁や…勘弁してつかぁさい大井はん…」

 

「…神通、すまないが大井を部屋まで連れて行ってやってくれ」

 

「は、ハイ!大井さん、こっちへ…」

 

茫然自失とした大井を連れて神通は退室した。暫くすると壁越しに大井の泣き声が木霊(こだま)した。

 

〈そんな…北上ちゃんが…〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「提督さん、やっぱりここにいたんだね」

 

「…那珂か」

 

日も暮れ始めた夕方の海岸。一人佇む提督は聞き慣れた声に振り向くと、いつもとは違い暗い表情の那珂がいた。那珂は座る提督の側に腰を下ろした。

 

「大井はどうしてる?」

 

「もう大丈夫。でも、神通お姉ちゃんも何て声掛ければいいか分かんないって」

 

「だろうな。暫くはそっとしてやろう」

 

「そうだね…。ねえ、提督さん…北上ちゃん、本当に沈んじゃったのかな…」

 

「そんな事ないって言いたいが…黒潮の目の前で沈んだそうだ。期待しない方がいい」

 

「そっか…そうだよね」

 

「…」

 

「ねぇ、提督さん。艦娘(わたしたち)ってさ…沈んだらどうなっちゃうのかな?」

 

「それは…人間の俺には分からないけど、聞いた話だと再び生まれ変わる事も出来るらしい」

 

「そうなの?」

 

「そんな例もあるって聞いた事がある」

 

「提督さん…もしも…もしもだよ?那珂ちゃんが沈んじゃったら…もう一度那珂ちゃんを呼んでくれる?」

 

「…あまりしたくないな」

 

「え…ど、どうして?提督さん、那珂ちゃんの事…嫌い?」

 

「確かに那珂を再び生まれ変わらせる事は出来るかもしれない。でもな…蘇ったから、また今まで通りなんて割り切れるもんじゃないよ」

 

「…」

 

「それに、その那珂は本当に…今の那珂なのかなって」

 

「今の…那珂ちゃん?」

 

「ああ。見た目は同じでも違う那珂かもしれない。俺の事だって覚えてないかもしれない」

 

「そ、そんな事ないよ!那珂ちゃん、提督さんの事、絶対に忘れたりしないもん!」

 

「ありがとう。ファンクラブ会長としては嬉しいよ」

 

「大丈夫だよ!絶対に…絶対に忘れたりなんかしないよ!名誉会長にしてあげる!ずっと那珂ちゃんと一緒にいられる特典も付けてあげるよ!」

 

「え…それって…そうだ。那珂、ちょっといいか?」

 

「何?」

 

「これを…」

 

「それ…提督さんのバッチ?」

 

「徽章って言うんだけどな…こうして…那珂の衣装には不釣り合いかもしれないけど」

 

「ど、どうして那珂ちゃんに?…これ、大事な物じゃないの?」

 

「上には無くしたとでも言っておくさ。それに俺は那珂の方が大事だよ」

 

「て、提督さん…」

 

「もし生まれ変わっても、それ見て思い出してくれよ?一番のファンの事を」

 

「…あ、あのね提督さん…那珂ちゃんね、今度の曲初めて自分で詞を書いてみたの。それでね、その歌…提督さんをイメージして書いてみたの…

 

「出来たら…聴いてくれる?」

 

「ああ、楽しみにしてるよ」

 

「ホントに?」

 

「もちろんだよ」

 

「やっぱり那珂ちゃんをプロデュース出来るのは提督さんだけだよ!」

 

「え?プ、プロデュー…ファンクラブ会長じゃ…」

 

「提督さんはぁ~ケッコンしたら、やっぱり那珂ちゃんに引退して欲しい?」

 

「ケッ…ええっ?曲を聴く話はどこへ…」

 

「那珂ちゃんはぁ、ママドルも悪くないかな~って…」

 

「あの、那珂?ちょっと、こっち戻って来て?」

 

「将来は娘と共演も悪くないと思うの!提督さんはどう思う?」

 

「俺も俳優デビューするかな…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、北上達の任務を続行する形で再び同じ遠征が決まった。名目上は遠征だが、大井が旗艦に任命された事から提督が彼女の気持ちを汲んでの編成だという事は川内達も察していた。

 

「ねぇ、提督。私達も付いていっていいかな?」

 

「川内」

 

「同じ軽巡だし、ほっとけないじゃん」

 

「ええ。私も、もし川内姉さんや那珂ちゃんが沈んだらと思うと…他人事とは思えません」

 

「そうそう!それに北上ちゃん、那珂ちゃんのライブ来てくれたし、ファンは大事にしないとねっ♪」

 

「アンタ達…」

 

「…分かった。大井、良い友達を持ったな」

 

「グスッ…足引っ張ったら承知しないんだから」

 

〈素直じゃないな…〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大井!前に出過ぎだ!」

 

戦闘が開始されて早数分が過ぎていた。

形勢は互角だったが、当の大井だけが我を忘れて前へ前へと一人突出していた。

だが、それも無理からぬ事かもしれない。

 

『北上はんを沈めたんは…』

 

今、大井の目の前にいる重巡リ級こそ、北上を沈めた張本人なのだから。

 

「…よくも!」

 

川内や那珂達はほぼ無傷だったが、大井だけは既に中破状態だった。重巡リ級を目にした瞬間、大井は自分への攻撃など物ともせず、北上の仇を討つ事に躍起になっていた。

 

「くっ!大井ッ!私達の声が聞こえてないの!?」

 

「ね、姉さん!あそこ!見た事もない敵が!」

 

「ひゃあっ!お、大井ちゃん!危ないってば!!」

 

わざと自分を追わせる様に逃げる重巡リ級を追い掛ける大井。そんな彼女の背後に忍び寄る仮面の深海棲艦、雷巡チ級。

白い仮面から覗く青白い眼が、大井の後ろを捉えた。左手の砲身を大井に向けるが、その間に割り込む様に滑り込んだ那珂に、一瞬戸惑いが生じた。那珂はそれを見逃さなかった。

那珂の単装砲の一撃が雷巡チ級を的確に捉えた。

 

「クウッ…!」

 

顔面に直撃を受けた雷巡チ級は、大きくのけ反り片膝を突いた。白い仮面に大きくヒビが入り、ボロボロと砕け落ちていく。

 

「大井ちゃんの邪魔はさせないんだから!」

 

「…ッ!」

 

体勢を立て直すよりも早く、那珂がトドメを刺すべく腕を構えた時だった。仮面の剥がれた雷巡チ級が苦しそうに那珂を睨み付けた。

 

「…え?」

 

「な、那珂ッ!何やってるんだ!」

 

「那珂ちゃん!」

 

雷巡チ級と正面から向き合った那珂は、彼女を撃つ事が出来なかった。何故なら、那珂が見たその顔は…

 

「…北上…ちゃん」

 

雷巡チ級が左手を那珂へと向けた。

その光景を最後に那珂の意識は途切れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…ハッ

ここは…どこ…海…?

それに…私は…

どうして…こんな所に…

 

〈おめでとう…〉

 

おめでとう?

 

〈新しい仲間が生まれるから迎えに行けって言われたけど…よろしくね〉

 

アナタは…誰?

 

〈名前…?名前なんて無いわ。アイツらは…雷巡チ級って呼んでいたわね〉

 

アイツら…?

 

〈艦娘達よ。私達の邪魔する奴らの事よ〉

 

艦娘…そうだ、そういえばそうだ

私達は…アイツらと戦っているんだった

 

〈アナタも…まだハッキリ思い出せないの?〉

 

思い出す…分からない、何か大事な事があった気がするけど…

 

〈実は私もなの。私もつい最近生まれたの。私も何か忘れてる気がするんだけど…何だったんだろ〉

 

…私は…誰かが待っている気が…誰…?

 

〈ねぇ、さっきから気になってたんだけど…アナタ、前に会った事ない?〉

 

そう言われてみれば…どこかで会った様な気が…

 

〈気の所為かな…それはそうと…早速行くよ〉

 

行く…どこへ?

 

〈アイツらがまた来てるから沈めに行かなきゃ〉

 

そう…そうか、そうだよね

私達はその為に生まれたんだものね…

そうだよ…沈めるんだ…

 

二度と浮上できない深海に…!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うち、もう…あかん…」

 

「黒潮ッ!」

 

「黒潮ちゃん!」

 

軽巡棲鬼の一撃を喰らった黒潮は、力尽き海へと沈んでいった。

 

〈…黒…潮〉

 

その様を見届ける軽巡棲鬼に神通が迫る。ハッと我に返った軽巡棲鬼が神通に向き直ると、その神通の後ろからもう一つの影が踊り出た。

 

「黒潮の仇ッ!」

 

「クッ!」

 

「…えっ?」

 

軽巡棲鬼は、とっさに右手で顔を隠した。彼女の不意を突いた川内は何故か撃つのを躊躇った。

そんな三人に雷巡チ級が割って入った。彼女に気を取られた瞬間、軽巡棲鬼は二人に砲撃を浴びせ、その場から撤退した。

 

「川内姉さん、どうして…単装砲の調子でも悪かったんですか?」

 

「神通…私、おかしくなっちゃったのかな?一瞬アイツが…那珂に見えちまったんだ」

 

「え?な、何を言って…」

 

「神通、お前も見たろ?あの右手で顔を庇う癖。まるで那珂そっくりだったじゃん」

 

「…」

 

「なぁ、神通…私達が戦ってるのって…」

 

「姉さん、それ以上は言うべきじゃありません」

 

「じ、神通?」

 

「例えそうだとしても、彼女達が黒潮ちゃんを…そして北上さんや那珂ちゃんを沈めた事に違いはないんです」

 

「そ、そうだけど…」

 

「私達も引き上げましょう」

 

「…うん」

 

神通達は踵を返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈ありがとう、さっきは助かったわ〉

 

〈危なかったわね。まだ上手く戦えないの?〉

 

〈そうかも…しれない…〉

 

〈私もそうだったの。でもすぐ慣れるわ〉

 

そう…

それにしても…あの艦娘…

どうして私を撃たなかったんだろう…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雷巡チ級は追い詰められていた。

重巡リ級に食らい付く大井に以前の様に後ろから仕掛けたが、それを看破していた大井は反転、更に川内と神通に挟撃されていた。

 

「前はよくもやってくれたわね…!」

 

雷巡チ級にトドメを刺そうと追いすがる大井に割って入ろうとする軽巡棲鬼だが、川内と神通に邪魔され先に進めずにいた。

 

〈このままじゃアイツが沈む…聞こえるか?〉

 

〈そ、その声は…助けてくれ、このままじゃ…〉

 

〈大丈夫、目の前のそいつに、こう言って!〉

 

〈何を言って〈いいから言って!〉

 

〈わ、分かった…「ヤ、ヤメテヨ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オオイッチ…」

 

 

 

 

 

 

「…え」

 

後は魚雷を放てば目の前の彼女を仕留められる。その直前まで来て、大井は動きを止めてしまった。

 

〈こ、これは…どうして…?〉

 

まさかの大井の硬直に呆気に取られている川内達の隙を突き、軽巡棲鬼は二人の間をすり抜けた。

 

「あっ?」

 

「し、しまった!」

 

自分に迫る軽巡棲鬼に気付きもせず、魂を抜かれた様に雷巡チ級を見下ろす大井。彼女が振り向いた瞬間、軽巡棲鬼の下半身の鮫の様な口が開いた。

 

「きゃああっ!!」

 

「お、大井ッ!!」

 

巨大な水柱と共に吹き飛ばされる大井。その顔は、まだ自分に何が起きているのか理解していなかった。

雷巡チ級の肩を掴むと、軽巡棲鬼は撤退した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈ありがとう、お陰で助かったわ〉

 

〈私を迎えに来てくれたお礼よ〉

 

〈フフ、そういう事にしておくわ。ところで…さっきの言葉は…どういう意味なの?何故あの髪の長い艦娘は私を撃たなかったの?〉

 

〈それは…あの言葉を言えば、きっと…そうだ、どうして私はあんな言葉を思い付いたんだろう…〉

 

〈実は…私も不思議なの。あの言葉…いや、あの艦娘の事が頭から離れないの。一体どうしてなんだろう…それはそうと…アナタの胸に付いているの…何?〉

 

〈胸に…?何だろ、これ。バッチかな…〉

 

〈バッチ…〉

 

〈分からない…でも、何だろう…とても大事な物だった気がする…〉

 

〈…まるで人間みたいね〉

 

〈人間…〉

 

人間…何処かで…

私…何か…誰かを忘れている気が…

バッチ…これと関係あるのかな…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌朝、重巡リ級の指揮の下、軽巡棲鬼と雷巡チ級は鎮守府近海に来ていた。この辺りで艦娘が目撃された事から、奇襲を仕掛けるべく待機していた。

 

〈そのバッチが気になるの?〉

 

バッチを手に取る軽巡棲鬼が気になるのか、雷巡リ級は声を掛けた。

 

〈うん…何か思い出しそうで…〉

 

〈しっ!艦娘が来たよ〉

 

〈え?あっ…〉

 

海に落ちたバッチを慌てて拾った軽巡棲鬼の頭に不思議な声が響いた。

 

『那珂…仇は取ってやるからな!』

 

〈これは…向こうに見える艦娘の声…?〉

 

『無理はしないで川内姉さん、私達まで沈んだら提督も悲しむわ』

 

〈川内…提督…?〉

 

〈何をしているの?行くわよ!〉

 

〈あ、ああ…〉

 

戦闘が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

戦いは艦娘有利に進んでいた。

重巡リ級は轟沈され、残る味方も残り僅かに減っていた。

そんな中、軽巡棲鬼だけは奇妙な感覚に囚われていた。目の前に迫る艦娘達を敵として戦いつつも、妙に懐かしい、まるで何処かで会った様な感覚に囚われていた。

 

〈一旦引こう!〉

 

雷巡チ級の提案に他の深海棲艦は後退し始めた。だが、軽巡棲鬼だけは、その場から動かなかった。

 

〈何をしているの!危ないわ!〉

 

〈…先に行ってて〉

 

〈な!ど、何処へ行くの!?そっちは奴らの…〉

 

〈確かめたい事があるの!待ってて北上ちゃん!〉

 

〈北…上…?〉

 

軽巡棲鬼は艦娘達を大きく迂回すると、ある場所を目指した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕暮れ。鎮守府から少し離れた海岸に軽巡棲鬼は来ていた。始めて来た場所の筈だったが、彼女は妙な郷愁感に浸っていた。

 

〈私は…ここに来た事がある。確か…この先に…〉

 

記憶に沿って歩いて行くと、寂れた難破船があった。

 

〈やっぱりだ!私はこの場合を知っている!〉

 

「…川内か?」

 

ふと、船の後ろから人の声が聞こえた。やがて声の主は警戒心もなく軽巡棲鬼の前へ姿を表した。

 

「もう帰投して…うわあっ!」

 

声の主、提督は目の前にいるのが軽巡棲鬼だと判ると腰を抜かした。

 

〈ま、待って!〉

 

慌ててその場から離れようとする提督に、軽巡棲鬼は覆い被さる様に倒れ込んだ。

 

「うわっ!は、離せっ!」

 

〈私は…この人間を知っている…〉

 

「…そのバッチ。な、何故お前がそれを…まさか!」

 

軽巡棲鬼を振りほどいた提督の眼は憎しみに染まっていた。

 

「まさか…お前が那珂を…」

 

〈那珂…?〉

 

「うわあああっ!」

 

提督は軽巡棲鬼に掴み掛かると、その首を締めた。軽巡棲鬼は抵抗出来ずにいた。提督の手を振りほどけなかった訳ではない。彼の発した言葉が頭から離れず、抵抗する事を忘れていた。

 

「よくも…よくもっ!!」

 

〈や、やめてよ…〉

 

軽巡棲鬼は彼の手に触れた。次の瞬間、提督の頭に女の声が響いた。

 

「はっ!?」

 

提督は彼女から飛び退くと、辺りを見回した。

 

「な、何だ今の声は…そ、それに今の声は…那珂の…」

 

軽巡棲鬼は起き上がると、ゆっくりと彼に近付いた。

 

「ち、近寄る…」

 

その場から逃げ出そうとした彼だったが、彼女の悲しげな微笑みを見ると自分に敵意がない事が分かった。それどころか、彼女の顔が既にいない部下の顔と重なった。

 

「そのバッチ…お前…那珂なのか?」

 

「ナ…カ…オマエハ…提督…?」

 

「や、やっぱり!お前、那珂なんだな!そうだ、間違いない!那珂、お前は那珂だ!」

 

「私ハ…那珂…?」

 

「そうだよ!だからここに来たんだろ!思い出してくれ!前にここでよく話したろ!」

 

『じゃあねじゃあねっ!…ちゃん、アイドルのライブ行きたいっ!』

 

『…ちゃんは皆の物だからね!独り占めは駄目だよ!』

 

『…ちゃんが沈んじゃったら…もう一度、…ちゃんを呼んでくれる?』

 

「ア…頭ガ…痛イ…」

 

「な、那珂っ!」

 

「私ハ…誰ナノ…」

 

そう言うと軽巡棲鬼は倒れた。憔悴した顔で横たわる彼女を見て、果たして本当に彼女は那珂なのだろうか?今更ながらに疑問に思う彼だったが、今この状況を人に見られるのは不味いと判断し、彼女を人目に付かぬ様に難破船の中へと運んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「提督、どちらへ?」

 

「あ、あぁ…日課の散歩だよ」

 

「そうですか…」

 

神通と別れた提督は執務室を後にした。

あれから数日、提督と軽巡棲鬼に姿を変えた那珂との奇妙な交流はひっそりと続いていた。

軽巡棲鬼は彼に敵意を向ける事はなかった。だが、彼の語る思い出話は今一つ理解していない様で、話は聞くものの、思い出している訳ではなさそうだった。

川内や神通に話そうかと思ったが、黒潮、北上、大井と仲間を失った彼女達が理解を示すとは到底思えなかった。

一体どうすればいいのか…そんな悩みを抱えて早三日が過ぎていた。

 

提督が部屋を後にして十分程後、神通が残る執務室に一人の艦娘が飛び込んで来た。

 

「神通、提督は?」

 

「提督は散歩に行くと言ってましたが…どうかしましたか、川内姉さん」

 

「今、哨戒に出てる連中から深海棲艦を二人見たって…まさか鎮守府には来ないとは思うけど…」

 

「提督は確か海岸に行ったはず…」

 

「…神通、一緒に来てくれ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…そうだ、お前はアイドルを目指していてな…」

 

「…」

 

いつもの様に那珂の事を軽巡棲鬼に語る提督だったが、当の彼女の方は理解しているのかいないのか、皆目見当が付かなかった。

 

「はぁ…やっぱり思い出すなんて無理なのかな」

 

提督が肩を落とすと、軽巡棲鬼は彼の手を握った。

 

〈ごめんなさい…私が何も思い出せないばっかりに…〉

 

彼女は喋るのは苦手な様だが、相手に触れる事で自分の意思を送る事が出来た。

提督が話し掛ける、軽巡棲鬼が手を介して返答を伝える。この奇妙な会話のお陰で話は伝わっているが、問題の解決には至っていなかった。

 

「俺もこんなケースは初めてだからな。どうしていいか分からないよ」

 

〈私…ここにいたら迷惑?〉

 

「ごめん、そんな意味で言ったんじゃないんだ。ただ、お前の歌が聴けないのかと思うと残念かな」

 

〈ごめんなさい…〉

 

軽巡棲鬼は申し訳なさそうに頭を垂れた。姿こそ違うが、その仕草は紛れもなく那珂にしか見えず、それが一層彼を困惑させた。

 

「…今だからこそ言うけど。那珂、俺お前の歌聴くの好きだったんだ。上手い下手の問題じゃないんだ。気持ちが安らぐって言うか…」

 

〈今の私じゃ…ダメ?〉

 

「そんな事はないよ…って言いたいけど、皆は納得しないだろうな」

 

〈…〉

 

「でも那珂、俺毎日ここに来るよ。今は無理かもしれないけど、いつかきっと昔の事を…那珂だった時の事を思い出せるよ!」

 

〈ありがとう…もし思い出したら、歌を歌ってあげる〉

 

「ははっ、那珂の歌を独占か。ファンクラブ会長になって良かったよ」

 

〈ファン…クラブ…?〉

 

「ん、ああ…言ってなかったっけ?俺は那珂のファンクラブの会長なんだよ…って那珂が言ってたよ」

 

〈…〉

 

『今までは…お姉ちゃんや…が書いてたから…』

 

『あのね提督さん、今度の曲、初めて…が詩を書いてみたの』

 

『出来たら…聞いてくれる?』

 

〈歌を…作ったの…〉

 

「那珂…どうしたんだ?」

 

〈提督…さんに…聴いてもらいたくて…一生懸命…作ったの…〉

 

「な、那珂、まさか思い出したのか!?」

 

〈だから私は…この場所を知って…あなたの事も知ってて…〉

 

「そ、そうだよ!那珂、お前は艦娘だったんだ!そしてここで俺と何度も話したんだ!」

 

〈そうだ…私は那珂…〉

 

「那珂っ!!」

 

提督は軽巡棲鬼に抱き着いた。一瞬戸惑った彼女だったが、やがて彼の肩に手を回した。

 

「ズット…ズット提督サンに聴イテホしかったの〉

 

「ああ…聴かせてくれるか」

 

「うん…あなたの為に作った曲だよ…」

 

軽巡棲鬼は立ち上がり、提督の前へと立つと深呼吸をした。

その時だった。

 

「動くな!提督、大丈夫かい!?」

 

「せ、川内!どうしてここに!」

 

ふと上からの声に見上げると、堤防に艤装を展開した川内が血走った目で二人を見下ろしていた。

堤防から飛び降りた川内は提督と軽巡棲鬼の下へとゆっくり近付いて行く。

 

「さっき報せがあったんだよ、この辺りで深海棲艦を二人見たって。一人は今神通が追ってる。もう一人はこっちに来てたのか」

 

「二人?ち、違うんだ川内!そいつは深海棲艦じゃない!」

 

「な、何を言ってるの?こいつは…お前、あの時の…」

 

「川内、そいつは見た目こそ軽巡棲鬼だが中身は那珂なんだ!俺達の事を覚えてて帰って来てくれたんだ!」

 

「な、那珂…こいつが…本当に…」

 

「せ、川内…お姉ちゃん…」

 

「…!そ、その声…アンタ本当に…」

 

「そ、そうだ!那珂なんだよ。川内、お前の妹の那珂だ!」

 

「…那珂」

 

川内が腕の単装砲を下ろした時だった。

浜辺に鳴り響く砲撃音と共に、軽巡棲鬼はその場から吹き飛ばされた。

 

「うわっ!」

 

「きゃっ!な…じ、神通!」

 

川内の後を追って来たのだろうか、堤防には息を切らせた神通が単装砲を構えていた。

ゆっくりと堤防の階段を降りてくる神通。再び立ち上がろうとする軽巡棲鬼に神通は更に砲撃を加えた。

 

「きゃああっ!!」

 

「や、止めろ神通!止めるんだ!」

 

最早虫の息の軽巡棲鬼を庇う様に、提督は彼女の前に立ちはだかった。

 

「何故撃った!」

 

「な、何を言ってるのですか提督!退いて下さい!彼女はまだ生きて…」

 

「こ、こいつは那珂だ!那珂なんだ!」

 

「お、おい神通、提督の言う事、信じられないかもしれないけどアイツは…」

 

「…そんな筈はありません」

 

「え?」

 

「私の妹の那珂はもう沈みました。提督も川内姉さんも忘れたのですか?」

 

「そ、そうだが…で、でもこいつは那珂なんだ!神通、信じてくれ!」

 

「…仮にそうであっても、それはもう那珂ではありません。提督、そこを退いて下さい」

 

「じ、神通!」

 

動けない軽巡棲鬼の前に立つ提督の肩越しに彼女の手が掛かった。提督の頭の中に彼女の…那珂の声が伝わってきた。

 

〈北上ちゃんと大井ちゃんが呼んでる…〉

 

「…な、那珂?」

 

〈提督さん…アイドルはね、ステージを降りるまで…笑顔でいなきゃいけないんだよ…

 

〈最後にもう一度…提督さんの前で歌いたかったなぁ…〉

 

「ま、待て那珂!俺は…!」

 

「…さよなら」

 

軽巡棲鬼は提督を突き飛ばした。彼を受け止めた川内が那珂に目をやると、軽巡棲鬼の背後の海が静かに盛り上がり、二つの影が姿を表した。

 

「あれは…私が追っていた雷巡チ級!…どうして二人も!?」

 

仮面から青白い眼光を放つ、そして赤い眼光の雷巡チ級が鮫の様な艤装を川内達に向けた。

 

「あ、危ない!」

 

艤装の口から放たれた魚雷は確実に川内を捉えていた。だが、軽巡棲鬼は彼女を庇う様に飛び出した。

 

「なっ!?」

 

軽巡棲鬼に炸裂した魚雷の閃光は彼女を包んで四散した。

 

「きゃああっ!」

 

「な、那珂っ!!」

 

川内と神通に庇われる様に立ち竦む提督が次に目を開くと、そこにはもう軽巡棲鬼はいなかった。雷巡チ級の二人も既に海の彼方へと走っていた。

ふと、吹き飛んだ那珂のいた場所に黒く焦げた物が提督の目に入った。彼が何かと拾ってみると、それは彼がかつて那珂に渡した徽章だった。

 

「…那珂…」

 

黒焦げの徽章を握り締める彼の手に、涙がこぼれ落ちた。

 

「ね、ねぇ…提督。アイツって…本当に那珂だったのかな…」

 

「ああ…きっとそうだよ。だからここに来たんだ。俺や川内の事が忘れられなかったんだよ」

 

「…那珂」

 

「提督、川内姉さん…もう、その事は忘れましょう」

 

「…神通!あ、アンタ何言ってるの?神通も見たでしょ?だからアイツはあたしを庇って!」

 

「もう沈んだんです!私達の妹の那珂は…もう沈んだんです…」

 

「じ、神通…どうして…」

 

「あれが那珂ちゃんだったら…今見た雷巡は誰なんです…北上さん?それとも大井さんですか?」

 

「そ、それは…」

 

「私達は仲間と戦っているとでも言うんですか?」

 

「…」

 

「もしそうだとしても、きっと倒される事を望んでいる筈です。昨日までの仲間を手に掛ける、あの感覚…私はもう二度と味わいたくはありません」

 

「じ、神通…アンタまさか…」

 

「…」

 

神通の答えが何を意味しているのか、川内はそれ以上問う事は出来なかった。

覚えていないだけで、かつては自分も体験している事かもしれない。そう考えると、川内はとても聞く気にはなれなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

艦娘と深海棲艦の闘いはそれからも止むことなく続いている。

その後、奇妙な事にかつての軽巡棲鬼の様に単独で鎮守府を目指そうとする深海棲艦が度々現れた。

だが、その多くは鎮守府に辿り着く事もなく轟沈する事がほとんどだった。

彼女達が何故、鎮守府を目指したのか…かつての那珂の様に艦娘としての過去に目覚めた為なのか、それとも違う何かなのか…

 

それは彼女達しか知らない。

 

 

 

 

 

 

 




改訂前の読んでくれた人には申し訳ないんですが、以前のは話を何にも考えないで書いたので、自分でもよく解んないオチでした。やっと新しい話を思い付いたので書き直しました。
重複を避ける為、古いのを消してますが何で消しちゃうんだと思ってる方、すいません。

参考までに。
潮、雪風、大淀、鹿島の話を改訂する予定です。今回の様に話を丸ごと改変するのではなく、会話パートと話を付け足すだけでオチは同じです。
ちな歌はテッドのサンダーソングのパロディです。









艦娘型録

提督 ファンクラブ会長か。これって年会費は…え、取るの?俺会長なのに?そ、そう…。最前列席チケット?駆逐艦の中に混ざって聴くのか…絶対誤解されそう…。

那珂 あれ?提督さん、何書いてるの?え、徽章を無くした始末書?そ、そう…やっぱり返した方がいい?

川内 な~那珂、新しい歌作ったんだけど見てくんない?え?那珂も作ったの?どれどれ…ふ、ふ~ん…まぁまぁ…じゃない?

神通 ね、ねぇ那珂ちゃん、そろそろ新しい展開もいいんじゃないかしら?た、例えばよ?ユニットを作ってみるとか…え?募集してみる?そ、そんな事しなくても側にいるじゃない。川内姉さん?いっそ三人とかは…どう?

北上 そうそう、F○ckなんて言葉使っちゃダメだよ。え?Bi○ch?Ass H○le…M○ther fu○kerって…もっとダメだよ!普段、金剛さんと何話してるの!?

大井 に、握るって何を!?え、腕?な、何だ。びっくりしたじゃない!私てっきり…な、何でもないわよ!え?提督さんのとっても太くて、血管が浮き出てて…ねぇ、本当に腕よね!?

重巡リ級 新人教育係になったのはいいが…どうして私の部下共はどいつもこいつも勝手にどこかに行くんだ?だから雷巡!勝手に行くなって!

黒潮 何でウチの出番少ないんやろ…やっぱりスパッツだからやろか。それとも関西弁やから?でも龍驤はんはピンで出てるやん。何でなん?


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