This work end エルフ課長のさいなん   作:ARice アリス

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海獣、大海を知る。海の深さを知る。愛の深さを知る。

すごいねえ!すごいすごいすごーい!すごい!

 

これ見てそれしか言えねえじゃねえか、と言ってみなさいな

 

「ハハ、それしか言えないのかい?」

 

ここはフェリーの上、乗船し途中燃料の補給を得つつ東の海へ向かう

 

 

 

『だって見渡す限り浜に近い混雑する海水浴場のごとく人魚や泳ぐことができるヒトたちが海を泳いでいる。』と理解できるような理由で騒いでいた

 

「海底に住み始めている人たちもいるそうだよ」

 

す、す

海側からの視線が集まり思わず離れたくなった

 

「どうしたんです?先生」

いや、とうそぶき。船室から重いドアを押し出てきた彼女を見てため息をついた

またすごいを言い始めたよ、と先生は一人目に目をやると大人しく鼻歌を歌っている

 

 

それにしても、と白石は二人目の問題児を見る

 

大胆なフリルの水着だが…

 

「って、水着姿でここまで?」

 

 

「だって女の子しかいないですし」不思議そうにきょとんとしている

 

「そうじゃないだろう…そうだけども…」ああ、頭が痛い

 

と船室に戻るわけにはいかない

 

この光景を見て彼女(ミヤノ)と心を同期して気分を上げてもらおうとシルキーさんを連れてきたのだが

 

腰をがくがくさせながら長い綺麗なすらっとした脚と豊かな胸元を柱に擦り付けるようにドアの影からびくびくとしながらちらっと見えている

 

頭が痛い

 

 

 

 

・・・

 

「ふふ、楽しんでますね。彼女たち(・・)

 

 

「後でまた検査するから」

 

 

「まだ引き摺ってたんですか?大丈夫ですよ」

 

私は新しい尾ヒレを左右に振って見せた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

月が海上を照らす。階段のように強い光の柱がこちらに向いていた。

 

 

「眠れない……」

外洋の風を浴び。三角座りで膝を抱えて凪いでいる海を見つめていた

 

「ミヤ」と声をかけるシルキー。手にはホットサンドのスナックパンがふたつ。

 

 

「明日は海底までのダイブだよ。ゆっくり眠らないと。」片方を渡すと舷側通路の手すりに身を少し乗り出して、自身の白銀色の髪を手で風になでていた

 

 

「…わたし、分からなくなるんです。いつ眠っているのか。でも時間間隔は適正で…」もぐ。と口に食む。振り返るシルキーの見るミヤの目は少し虚ろだ

 

 

「私たちの脳は半眠半休。ベッドに眠るのは身体を休める意味合いもあるんだよ」海の中で体が邪魔にならないならまだ、ね。と膝を横立ててミヤの隣に座る。

 

 

そういわれると。ミヤはあくびをひとつ

「幼いころ。母と行った水族館で綺麗なシロイルカを見たんです」ミヤはウトウトしながら呟いていた

 

「あの子が私の理想の……友達…」と寝ぼけ眼で両眼を閉じ眠りに入った

 

 

よいしょ。とミヤを横抱きで抱えて歩いて船内に戻っていたところ

 

 

遠くで雷雲が鳴りだし。船の揺れは大きくなってきていた

 

 

 

「面白い。仲間(群れ)を吞もうとは。このわたしシルキーは伊達じゃない。試される海(マイ)よ」

 

彼女は巨大なクジラを想起させる確かな威厳ある目つきで海を睨むと

 

体幹をぶらさず。ゆっくりと歩いて部屋へと向かった

 

 

 

 

 


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