This work end エルフ課長のさいなん   作:ARice アリス

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全身に怪我を負った。そこで、彼女に出会った

彼女は正しく悪魔の様な。

とろけるような、夢


魚介類系女子! うみへのみち 4

目に入り、囚われた

 

前は切りそろえ、うしろに長く生えた冷たく輝く鴉羽の黒髪

特徴的な紅い目がどこかにぶくどうしようもない熱を持ち燈っているような印象

褐色のカーテンサッシから身を乗り出し、バスタブの枠に腕押しする彼女は

 

そこから絵画の世界の華奢な姿も相まって

 

色素の薄い白い肌は仄かな赤らみを得ることで髪と肌との酷薄の色に彩を加える

美しさを持ったが故の閉じ込められた哀れな令嬢のごとく、ひどくこの世界から切り取られているような印象を受ける。

 

彼女はさらり、と黒髪の束を溢すように首を傾け

 

紅い色めくどこか愛嬌のある瞳を人好くようにぐにゃりとゆがめ

 

『我ら』らしい恵まれた容貌をさらりと、いともたやすく彼女は表情をくずすとニヤリと艶めき嗤い

 

顔を高揚に頬を赤らめてこう、挨拶した

 

「 失礼した。わたしはピラルクーの人魚、名は『サシ.イ』 」

 

学が無い者で彼女の言う魚はとんと聞き覚えがない。

 

「ぴらるくー?」

 

でも、知りたい。かのじょを

 

とくん、と波打つ鼓動はどくんと表情のの血管事跳ねた

 

色恋を知った乙女のように。彼女に魅せられている…?

 

 

ああ、そんなことかと容易く彼女は自己紹介を行う

 

「…南米アマゾンなどの温暖な気候で生息している世界でも有数の巨大な淡水魚であり。

 

                      …古代魚の一種で味はたんぱくで―」

 

 

 

 

ん?

 

 

んんん!?

 

とんでもないものをブッコンできたぞ、オイ。この輝く美人さんは…!

 

「待ったまった!」

 

なんだい、何が問題なのか分からない。ようなとぼけた仕草で声を返す

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へえ~?知らなかったわ。私あの集中治療室に入ったのは貴女だけだってきいたけれど?」

 

ぽーっと見とれてしまう。

うつくしい白いゆたかな髪を美術品の様な容姿ににあった巻髪にまとめた彼女はロウ

白蝋でできあがった精巧な芸術品の蝋人形のような彼女

 

 

ああ、その隣には形容しがたい美の現代の芸術品のひとつである囁きあうその乙女たち。かたわれは彼女ロウ

もうひとりは

 

 

「…ミャ・ノー?だいじょうぶ?」

 

うん、わたしはミヤ。ミャ・ノー…うん、うん

 

 

空間にノイズが走る。頭痛がする。

 

『あなたの名前は宮之。『    宮之 カイ   (み や の。あなたの名よ、わすれないで)

 思い出しなさい。』

 

だめね、『持っていかれた』ようね

 

何かを…忘れたような…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここは、屋敷の中?(わたしのおうちよ)

 

おそとは灰が降っている

 

―――気が付くとアナタはどこかの屋敷の中、私は誰で、貴女は何?―――

 

 

 ……かあさま! 」(かあさん、いままで…どこに…)

 

 

―――愛を求める彼女は、当然貴女自身

   といいたいところですが、ちがいます、貴女と境遇は似ていますが彼の母ではありません――――

 

 

「「かあさま!!」」

 

あら、■■■■■ルデはあまえん(いやだ、そんなのいやだ)ぼうね。でもこれからはあなたは■■(もどりたい、もとにもどりたい!)  一員です  (Nein! いやよ!)

 

 

 

  燃えている、街が。(ああ、この役目からも…)

 

   窓の外は人々の屍が重なり。炎の柱はそこかしこにあり、モノを焼く

        火柱は血をささげるべく天を突き、巨大な影(飛行機)がそれをついばんでいる

   《わすれろ、わたしはわたしだ きえろ おまえはきえろ》

 

人々の痛がる声が絶えない

《そうだ、そのまま》

 

うん、がまんする!(ごめんな。かあさん)ねえちゃんだもん(もっとがんばるから、いい子に…)!」

 

「お前、 の■であるわたしに《わたしに》勝■ると思ってん■ぉ《このからだをよこせ》」

 

 

 

 

眠い…もう、身体をねむりに、まかせよう

 

 

 

―――良い子だ―――

 

 

 

ソウダ、クレヨ。この身体を。任せなって

 

 

喰ラウ コイツ ヨワイ

 

ココカラダシテ。ママ。

 

オカアサンユルシテ。タスケテ

 

イヤダイヤダイヤダ、オマエヲ、ヒキズリコンデ……エエエ!!

 

 

――妬みと失望、生者が生み出した死に誘う死者共――

 

 

 

 

ああ、でも。やることがあるんだ。おれには

 

『今更引き戻れないぞ?』

 

 

れぎゅらーになる。

 

 

ゆくゆくは、せかいになをとどろかせて、いつかあのひとを、みかえしてやる

 

 

――彼の原初の夢、蝉のウルサイあの日。テレビの前で見た水の英雄その志は――

 

 

 

 

 

 

『は?』

 

 

「みやのんがんばれー!!」「がんばれー!」

 

――心を蝕まれ、欠片となった彼のどこかで、声が――

 

『うっ、ウザイ、てめーのことなんかシラネーよ かかわるな。もうすぐなんだ」

 

『ああ、もう、コイツは…しっかりなさい!あんたがやってきたことは、すべてが嘘ではないわ!』

 

――キイ、ロウ、シルキー…――

 

「かえりたい』

 

――口を突いて出た、彼女の本音――

 

  「 『みんなで、帰ろう』 」

 

 

「あのメダル(世界)に、みんなで」

 

 

「もうすぐだ!もうすぐで俺達は!勝てる…」

 

 

 

 

『なんだ?こレハ?あんなところに戻ったって、どうする』

 

 

『むりだよ、だって、もうここは…』

 

 

レーンと歓声が近づいて、水の中で揺らめく。求めるように手を伸ばすと。

 

あ、この後は……確か…

 

沼のように、固まる足。腕はもがいても、黒い影に深く沈む

 

沈んで、溺れて息が切れて

 

たどりつく

 

 

こん、固い音つめたい水の床。揺れる黄色い斜光も届かない闇

 

 

 

闇暗い、水底に。私はいた

 

 

「ここは、どこだ?」

 

 

 

 

「屍を越えてずいぶんと深層まで来たようだな」

 

 

 

「暗い…何もない…なんだ、ここは?」

 

 

 

―――ここは貴女の――――

 

 

 

「私の影で水底が見えも聞こえもせんか

 当然だ。宇宙を望む前にヒトは地の狭さにも気が付けぬ。」

 

 

 

黒い影が闇に浮かび上がる。

 

 

不思議と分かる、ここはこの身体の心だ。不器用な表現だが『精神世界』

 

 

―――あなたは、つらい経験をしていたのですね―――

 

 

目の前には黒い影のようなオレがいた

 

 

「あの後、俺は足がつって、いや」

 

 

 

連れてきてくれたんだよな。

 

 

――そう、あなたは不幸だったわね―――

 

 

 

 

目の前の存在から【得体が知れない。醜い、不気味 ここから去りたいかえりたいここはどこ】

 

 様々な年齢の子供の不安な考えが浮かぶ

 

 

 

 

 わたしは。あなたを消したくはない (思い出す事で殺したくない)

 

 

 

「優しい子だな。他の屍に喰れないように水底に手を引いてくれていた?」

 

 

 

 

 

「 お前は、何者なんだ? 俺達《ヒト》に何があったんだ 」

 

 

 

彼女は「私達は」とそらぶくと

 

 

せいたかの影は縮み ―線のモザイクまみれで、底を見下げ、幼い顔が見えた

 

 

 

「いいえ、語ることを■■に許されていないませんし、わたくしにはまだ待っている奴らも居るんだろう?」

 

 

ここはまだ、来るところじゃないわ

 

 

『わたし』はすがたを強い光に幻惑するように姿を眩ます。

 

 

 

―――泡沫が歪んで輝いて浮き上がる。ゆっくりと―――

 

 

 

 

 

 

「ミヤノよ、もう溺れるなよ」

 

 

長い生の果てに、この巨大な影を落としているソレにまた会うだろうことがなんとなく判っていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「宮之!!」

マイちゃん。ありがとう、夢の中から現実まで道を標してくれたんだね

 

 

 

「みやのんっ!」

うーうー唸らないの!シルキー…

 

 

 

「ミヤノ、あんた……っ」

ロウちゃん。うん、ごめんね。でも、ほんとうにあやまらなきゃなのは

 

 

「……っ!」

 

 

「いいや、まだ。眼は覚めていない。キショウちゃん、あなたは戦争の記憶を持った『3 ィ』なんだね」

 

 

「……っ」

 

 

「もうアナタの声を聴くことは叶わないけれど」

 

 

「……っ!……!」

 

 

「さよなら」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふむ、その方は『キショウ サキ』って名前?」

 

「はい、意識が浮かび上がった際の確認の診察、面談で変化後発見された免許証と一致しています」

 

「ロウちゃん……さんやシルキーちゃ……ええと、さんは宮之さんとの

 調整水槽内での水球バレーの後三十分ほどの昏睡状態の際。

 夢の中で誰かの影を見た様な気がした、と話しています」

 

 

「変化以降の重症患者の傾向から君の怪我のパターンは軽い裂傷」

 

 

「入院して三日目、朝の運動検査の水球で急に意識を失い」

 

 

「意識衰弱の状態で亜人を通じて変化(TS)後の事故に遭ったヒトまでも助けるとは…」

 

悪夢で会った人魚っていうのはどの娘だい?

 

「あ、それはザトウクジラの亜人のマイさんのおかげで!」

 

 

「そんなヒトいたっけ?」

 

 

 

 

 

「いえ、リストにも入ってませんね」

 

 

 

 

先生と桐生さんは顔を曇らせた

 

「うん、ザトウクジラ…あれかな。ゴンドウイルカの漁業組合の人が今朝水揚げで言っていたな」

 

「ええ、確認したところ沖合で漁業の職業訓練中に多数の人数が見た、とか」

 

「マイさんをですか!」

 

それは…と言葉を濁すと先生はハッキリと言った

 

「近隣の崖近くの岩礁に打ち上げられたザトウクジラをです」

 

 

 

 

 

 

屋外展示水槽の海岸沿いを望むテラスで、おれ達…は夕方の潮風を浴びていた。

 

 

『 マイ 』の意味は《こちらがわ》 て 意味のハワイ語

 

「カサゴの娘がハワイ生まれだったらしいからちなみに、って教えてくれたわ」

 

四人それぞれが悪夢から覚めても

「結局ワタクシたちは水の中に居ても溺れないし。」

 

「あたしたちは走るより水の中の方が速く動ける。」

 

「あれは、わしら、ボク達たち見た彼女たちの生き方、なんだろうね」

 

 

 

 

「それじゃあ、ここで。迎えに行くからね」

声に振り返ると白衣の桐生さんが

どうしたの、という間もなく彼女の後ろから

 

 

ウン、と音を鳴らし電動車いすが止まる

 

 

不安げに俯く、陸上に上がる下半身が無い彼女

 

「あ、キショウ…さん」

 

「きーちゃ…っ、希生さん……」

 

 

 

 

「はじめまして、になるのかな…みんな」

 

「きーちゃん!また鯖たべよ!あの夢《とき》みたいに」

 

「ごはんのとき。ほ、ほっぺ赤くしても見過ぎないようにしなさいよ!特にミヤノ!」

 

 

「まあ、心外ですわっ」

 

頬をふくらませ、ぷいとふざけてそっぽむくと視線を交わし。

 

クスクス、と私達は笑いあった

私達は4人手をかさねると

 

重ねた手をそれぞれ海に向かい手をかざすと

 

「…それに、ワタクシたちはみんな。『 マイ ()』でつながっていますわ。」

 

私達は海に――――




つづきます。

イは伊かもしれませんしEかもしれません

つづきはいちゃラブコメ書きたい願望…

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