葉桜清楚は武士道プランによって生まれたクローンである。しかし、遅れて生まれた義経たちは何者か分かっているというのに自分はわからない、そんなジレンマに耐えかねた清楚は自分の正体を明かすよう、依頼を行う、そして…それを引き受けたのは風間ファミリーであった。
見事に正体を解き明かした大和たちであったが清楚の正体は西祖の覇王 項羽であった。
しかし、暴走する彼女を止めたのも風間ファミリーたる大和だった。
そして覇王に軍師として任命された大和は、范増として彼女のサポートを行う そんな中で彼女は純情なただの女の子だと気づいていく、そして沖縄旅行での夜、彼清楚の本音を聞いた大和は、そんな彼女にいろんな人を紹介してさびしい思いなどさせないと約束する。
その一環として大和は模擬選後、風間ファミリーへと清楚を引き合わせるのだった。
10月4日
模擬戦が終わって数日が経った。 学園統一で満足したのか覇王様の人格はお休み気味で、最近は清楚先輩のほうが表に出ていることが多い。
「と、いうわけで模擬戦も終わって一段落したことですし、約束通りいろいろと面白い人間を紹介しますよ」
「うん、ありがとう大和君。 でも……そんなに律儀に守ってくれなくてもいいんだよ?」
「まあまあ、遠慮はしないでください」
そう言って大和が案内することにしたのは金曜集会だ。
面白い人間、かつ義経たちのような関係というなら真っ先に風間ファミリーが上がったからだ。
もちろん、即座にファミリー入りというわけにはいかないがゲストとして参加するだけでも十分に楽しい時間を過ごしてもらう自信があった。
というわけで、秘密基地の廃ビルへと歩きながら大和は清楚に説明を行った。
「まずは俺の仲間 風間ファミリーを紹介します。 といってもメンツは知ってると思うので今日はそんな俺たちの集まり、金曜集会にご招待です」
「金曜集会?」
「ええ、俺たちは毎週金曜日の放課後は廃ビルに集まって過ごしてるんですよ」
「へぇ、どうして金曜日なの?」
「それはですね……」
大和は金曜集会誕生のいきさつを語った。
「へぇー、じゃあ京ちゃんは山梨からこっちに来てたの?」
「ええ、バイトした金をためて毎週新幹線ですよ」
「すごいね! まだ中学生だったのに……」
「ええ、それ以来京がこっちに戻ってきても続いてるんですよ」
「そうなんだ……でも、そんな大事な場所に私がお邪魔しちゃっていいのかな?」
「いいんですよ、先輩は今日のスペシャルゲストですから」
と、そうこう話しているうちに二人は廃ビルにたどり着いた。
「いらっしゃい、大和。もうみんなそろってるよ」
秘密基地に着くとクッキーが出迎えてくれた。
「ありがとうクッキー、じゃあ行こうか」
そう言って大和は清楚の手を引いて階段を登って行った。
「さあ、この扉の向こうが俺たち風間ファミリーのホームです」
扉の前に清楚を立たせる。
「ちょ、ちょっと待って!」
そういうと清楚は静かに深呼吸をしていた。
「……うん! いいよ」
そして準備ができたのかOKが出る。
「よし、じゃあようこそ金曜集会へ!」
そう言って大和は扉を開けた。
パパパパパパパーン!!
扉を開けた瞬間、清楚を迎えたのはクラッカーの音だった。
「「「「「清楚ちゃん(葉桜先輩)模擬戦優勝おめでとー!!」」」」
「え?……え?」
いきなり祝われてとまどう清楚を見てにやりと笑いながら大和が声をかける。
「ようこそ金曜集会へ、そして模擬戦優勝、改めておめでとうございます清楚先輩」
そういうと大和はいたずらが成功した子供のような笑みを浮かべた。
一週間前
「キャップ、清楚先輩を金曜集会に連れてきたいんだけどいいかな?」
遡ること一週間、模擬戦が終了して初めての金曜集会の時、大和はそう切り出した。
「ん?葉桜先輩をか?」
「ああ、来週の金曜集会に先輩を招待したいんだ」
「清楚ちゃんがここに来るのか? それなら私は大歓迎だぞ」
真っ先に賛成したのは百代だった。
「うむ、同じく共に戦った戦友だ、自分も異存はない」
「美人な先輩なら大歓迎だぜ!」
続いてクリス、ガクトが賛成に回る
「待て待てお前ら、大和がそう言いだしたならなにか理由があるんだろう?」
しかしそこで翔一がストップをかける、大和の顔を見て単純に招待したいというわけではないと気づいたからだ。
「流石キャップ、実はそうなんだ」
そう言って大和は清楚の悩み、清楚には仲間が主従であるクローンがおらず、いつも一人であったことで寂しい思いをしてきたということを仲間に打ち明けた。
「沖縄での夜、何を話されていたのかと思ったら、葉桜先輩はそんな寂しさを抱えておいでだったんですね」
話を聞き終えると由紀江がしみじみと呟いた。
「まゆっちも孤独だったから一人でいることのつらさはよくわかるんだぜー」
ついで松風が心の内を代弁する。
「そうだね、大和たちに出会うまで私も一人だったし」
続いて京も同意する。
「あたしもお姉さまがいなかったら一人ぼっちになっちゃうところだったし、他人事とは思えないわ」
ワン子も
「私もお前たちに出会えなければ、強者という孤独を抱えていただろうな」
百代も
「自分も父様や、マルさんが来てくれるからさびしくないが日本に来たばかりのころはさびしかったな」
クリスも
風間ファミリーの女性人は皆、清楚の境遇に同情を示した。
「俺はワン子や、大和と一緒だったからなぁ、一人の寂しさはわかんねえけど、一人ぼっちじゃ遊んでも楽しくねえ!ってのはよくわかるぜー」
翔一も
「おう、俺様も同意だ」
「僕も一人でもゲームはできるけど誰かと楽しさを語り合えたらより楽しいもんね」
ガクトも卓也も
皆が清楚の境遇に対し理解を示した。
「なんだ、みんな同意見か?」
そう言って翔一が皆を見渡す。
「うん、先輩にも仲間がいる楽しさを教えてあげたいわ!」
「私と似たような境遇だからこそお友達になりたいです!」
「清楚ちゃんならいつでもウエルカムだ」
「ここで断るのは義に反する」
「あんな美人断るほうがおかしいぜ」
ワン子、由紀江、百代、クリス、ガクトが清楚を招くことに賛成する
「そして俺も賛成だー!清楚先輩も項羽もどっちもおもしろそうだもんな」
そしてリーダーである翔一も賛意を示す
すると残りはモロと京だった。
「まあ、ここで私だけが反対するのはあれだし……一人のつらさは分かってるつもりだからね」
「おお!じゃあ!?」
「うん、私も賛成、ファミリー入りするわけじゃないし金曜集会に呼ぶくらいならいいんじゃないかな」
「皆が賛成なら僕も賛成かな」
それを見てモロも賛成を投じた。
「よーし!じゃあ風間ファミリーは満場一致で葉桜先輩を金曜集会に招くことに決定ー!!」
キャップの声が部屋に響いた。
「よーし、それじゃどうせ呼ぶなら盛大に歓迎したいよな」
「おう!というか考えてみれば俺様たちがここに仲間以外を呼ぶなんてめったにないよな」
「というか……初めてじゃない?」
「確かにまゆっちとクリスも仲間になったし、ファミリー以外はきたことないよな」
「源さんすら来たことねえモンな」
「それを考えるとさっきの決定って何気に重要なことだったのね」
「なーに、いいじゃねえかあまり閉鎖的になるのも良くないって」
「そうだな、それより初めてのお客さんをどうもてなすかだろ」
「それなら先日の模擬戦の優勝をお祝いしてあげるのはどうかな」
「おっ! モロ、いいこと言うじゃねえか」
「確かに模擬戦優勝したのに祝勝会もしてなかったな」
「仕方ないだろ、けが人続出で祝うどころじゃなかったからな」
「うん、確かけが人がみんな復活してからしようって話だったよね」
「そりゃあ、好都合だな! よし!次の金曜集会は葉桜先輩の模擬戦優勝の祝勝会だ!」
「「「「「おう!!」」」」
☆☆☆☆☆
「ということがあったんですよ」
「そうなんだ……大和君、みんな、ありがとう」
大和からいきさつを説明されて清楚が涙ぐむ
「おっと、先輩!まだ泣くのは早いですよ!」
そう言ってキャップが外に出る。
さらにそれに続いて皆が外に出る。
「さあ、俺たちも行きましょう」
そう言って再び大和は清楚の手を引いて外に出た。
大和に手を引かれるまま清楚がついていくと、たどり着いたのは廃ビルの屋上だった。
「ほら先輩!向こうを見てください」
そして先に待っていた翔一に言われるまま夜空を見上げると……
「あっ!?」
火の玉が次々と空に上がり、破裂して光で形を作った。
そこには見事にカタカナではあったがユウショウオメデトウという文字が見事に浮かび上がった。
そして……
「「「「「「「「「覇王様ー(葉桜せんぱーい)優勝おめでとうございまーす!!!」」」」」」」」」」」
廃ビルの下からは覇王軍のメンバー達による祝福の言葉が聞こえてきた。
慌てて清楚が駆け寄ってビルの下を見るとそこには覇王軍のメンバーはもちろん、弁慶や義経らクローン組など、模擬戦に参加した人間らが一堂に会していた。
「ずっと声をかけて回ったからね」
「それに世界的に注目されてた模擬戦の祝勝会ってんで金も出たし、九鬼も協力してくれたしね」
「急な話だけどみんな率先してうごいてくれたし」
どうしたのかと清楚が疑問の声を上げるまでもなく翔一たちが後ろで種明かしをしてくれた。花火をこんな季節に上げ、かつこれだけの人数を廃ビル前に集めたのは九鬼の協力あってのことだ。
しかし……
「ここまで人が集まってくれたのは先輩の人望かな?」
「清楚先輩目当てな人と覇王様目当ての人で別れてる気がするけどね」
ここまでの人数が集まったのは間違いなく清楚の、項羽の人望あってのことだ
「さあ、ここから先輩を連れて学園に移動だー!」
「祭りの始まりだぜーー!!!」
「「「「「「「「「「うおおおおおおおおおおしゃあああっ!!!!」」」」」」」」」
翔一の音頭を受けて下にいる生徒たちは盛り上がっていた、
それを見ながら清楚は覇王はただただ涙をこらえていた。
しかし泣いてばかりもいられない、清楚は必死に涙をこらえつつこのサプライズを企画したであろう恋人に向き直る。
本当は項羽に言わせたかったのだが彼女は今出て行ったら情けない顔をみられると混じってくれなかった。
「大和君、本当にありがとう、項羽も本当に感謝してるよ」
清楚は今回の祝勝会が覇王のためでもあると気づいていた。
勉強に集中すると決めた今、普段は清楚が表に出ているため、こういうイベントでないと彼女が活動できる場がないのだ。
「約束したからね、清楚と覇王。二人分面倒見るって」
「……うん」
この時の清楚の笑顔は忘れられない思い出として大和の脳に記憶された。