覇王&清楚アフター   作:ペコ

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駄文ですがどうぞ


清楚編 複雑な乙女心

大和の紹介により葉桜清楚は風間ファミリーと深く関わるようになっていく、范増として軍師として恋人として清楚と覇王様の両面を支える大和だったが、最近、清楚は悩んでいた。

 

 

 

 

10月24日 九鬼のビルにて

 

「うーん……」

 

「? 清楚先輩? どうかしましたか?」

 

「あ、ううん! なんでもないの! さ、読書でもしようかな」

 

「????」

 

考え込んでいたところを義経に見られてしまった清楚は慌てて部屋に戻って行った。

 

 

 

翌日

 

「ふぅ……」

 

翌日清楚はまたしても物憂げな顔をして考え込んでいた。

 

3-Sモブ1「おい、見ろよ清楚ちゃんが……」

 

3-Sモブ2「うーむ、物憂げな顔をして読書する文学少女……いいですなあ」

 

3-Sモブ3「その悩ましげな顔がまた……」

 

「葉桜君、何か悩み事かね」

 

「あ、京極君」

 

3-Sの人間が遠巻きに清楚を眺める中、一人、悩んでいた清楚に声をかける者がいた。

 

「君の表情から憂いを感じ取った、何か悩み事なら相談してくれたまえ」

 

「ありがとう、でも……大したことじゃないから気にしなくていいよ。心配してくれてありがとう」

 

「そうか、まあ、相談したくなったらいつでも言ってくれたまえ、一応私は君の項粱なのだから」

 

「うん、ありがとう。その時は頼りにさせてもらうね」

 

そう明るい顔で言い放つと清楚は再び読書を始めたが、京極はその顔に違和感を感じ取っていた。

 

(……やはり、表面上は取り繕っても悩んでいるな、模擬戦も終わったしなにかあったのだろうか)

 

清楚の悩みに思いを巡らす京極だったが流石に神ならぬ人の身では清楚の胸の内は測れなかった。

 

 

 

 

昼休み

 

清楚は校舎裏の花壇で花に水をあげていた。

 

(義経ちゃんにも京極君にも心配されちゃうなんて、そんなに顔に出ちゃってたかな?)

 

いつもなら花に水をあげていると嫌なことも忘れ、心が洗われるような気分になるのだが悩んでいるせいか今日はそんな気分になれなかった。

 

(こうなっちゃったのは……)

 

清楚は静かに目を閉じると悩みの原因となった出来事に思いを巡らせた。

 

 

 

 

 

数日前

 

大和に用があった清楚は放課後、2-Fに向かった。

 

「こんにちは」

 

「あ、葉桜先輩」

 

教室に入ると一子が出迎えてくれた。

 

「大和君いるかな?」

 

「直江ならさっき出て行きましたよ」

 

清楚が訊ねると一子に代わってそばにいた源忠勝が答えてくれた。

 

「そっか……どこに行ったのかわかるかな?」

 

「この時間ならたぶん直江は第二茶道室っすね」

 

「そうなんだ。ありがとう」

 

清楚は忠勝に礼を言うと2-Fを後にした。

 

「美人な先輩が訪ねてくるとかうらやましすぎるぜちくしょぉおおおおお!!」

 

という叫びがむなしく響いた。

 

 

清楚が第二茶道室に着くと

 

「おい、弁慶」

 

確かに中から大和の声が聞こえたが

 

「んー、なぁにぃ?」

 

(あれ? 弁慶ちゃんの声?)

 

一緒に自らと同じクローンである武蔵坊弁慶の声が聞こえてきた。

 

(何してるんだろう?)

 

清楚は好奇心に駆られてそっと中を覗き込んだ。

 

 

「おい弁慶、なんでお前は俺の膝を枕にしてるんだ?」

 

「寝心地が良さそうだったから」

 

「そ、そうか…」

 

即答されて思わず言葉に詰まる大和

 

そんな大和を置いて弁慶は大和の膝に寝転がったまま川神水を飲み始める。

 

「んー、美味しい」

 

大和の膝枕で川神水をのんでご満悦らしい弁慶はさらにつまみを要求する

 

「ほら大和、ちくわ食べさせてよ」

 

「はいはい」

 

こうなったら好きにさせてやろうとと思い、大和はちくわを弁慶の口元に持っていく

 

「あーん、もぐもぐ…うん!美味しいー!」

 

足をパタパタと動かして喜ぶ弁慶

 

「やれやれ……」

 

そんな弁慶を見ながら大和は微笑を禁じえなかった。

 

 

「………」

 

そして、そんな弁慶に気を取られていたせいか、大和はついぞ部屋を覗き込む清楚に気づけなかった。

 

 

☆☆☆

 

 

 

清楚は大和が弁慶を膝枕していた光景を見てしまった後、気づいたら自室にいた。

 

どうやら無意識のうちにそのまま帰宅してしまったらしい

 

そして

 

「うーん……」

 

自らの胸の内に巻き起こったもやもやした感情を処理できずに悶々としていた。

 

(あれは別に弁慶ちゃんが酔ってただけだし…悪気はないんだから許してあげないと…)

 

二人のやり取りは見ていて面白いものではなかったが年上として、清楚は放課後見たことに関しては不問とした。

 

のだったが……

 

 

 

翌日

 

3-Fの矢場弓子や松永燕と下校していた清楚だったが遠目に河原で寝そべり昼寝する大和を発見した。

 

「あ、大和君」

 

「おりょ? あ、本当だねん。大和君だ」

 

「こんな遠くから……よく見つけたで候」

 

あっさりと離れた場所から大和を見つけた清楚、燕に弓子が呆れた声をあげた。

 

「それにしても、気持ちよさそうに眠ってるみたいだね大和君」

 

「ほんと、私も一緒にお昼寝していこうかなん」

 

「二人ともそんなことまでわかるんで候?」

 

「ふっふっふ、無防備な寝顔をさらすとは大和君、これは誘ってるのかな?」

 

よく眠ってる大和にいたずら心が芽生えたらしい燕が不穏なことを呟く

 

「別に燕を誘ってるわけじゃないと思うで候」

 

と、三人が盛り上がっていると

 

 

 

 

「あれ?あの人誰かな?」

 

見覚えのない女性が大和のそばに出現していた。

 

「ああ、遠目ではっきりしないけどあれは確か板垣三姉妹の一人で候」

 

清楚が疑問の声をあげると弓子が教えてくれた。

 

「さらに言うなら次女の板垣辰子さんだねん」

 

それに捕捉で燕が付け足してくれる。

 

「でもその辰子さんが大和君に何の……!?」

 

用が。と続けようとしたところで清楚の言葉は途切れた。 なぜなら……

 

辰子が昼寝する大和のそばで横になると、そのまま大和を抱きしめたからだ。

 

「うわーお!いきなり抱きしめられるなんて大和君、もてもてだねぇ」

 

燕が感嘆の声をあげる。

 

「い、いきなり抱き着くなんて破廉恥で候!(キャー!いきなり抱きしめちゃうなんてそういうこと!?そういうことなの!?)」

 

弓子が叫び

 

「………」

 

清楚は呆然と立ち尽くした。

 

百代が大和に抱き着いているところは見慣れてきたが、さすがに見知らぬ女性が大和に抱き着いているところはショックが大きすぎた。

 

「おお!?そのまま頬ずりまでするなんて!?」

 

「そ、そんな人前で…んん、ごほんっ!少しは周りの目を気にしてほしいで候」

 

そしてそんな燕と弓子の声を遠くに聞きながら……清楚の意識はそこで途絶えた。

 

「板垣辰子ぉ!!貴様人のモノに何をしてくれているぅ!」

 

どこか遠くで覇王の怒りの声が聞こえた。

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

 

 

気が付いたら清楚は昨日に引き続き、再び自室にいた。

 

どうやらまた無意識に帰ってきてしまったらしい、しかし河原での光景を思い出すともやもやしてしまう

 

「でも、大和君寝てたみたいだし……」

 

それにわざと大和が辰子に絡んでいったわけでもなく、意図的な側面を感じなかったので清楚は大和に対して怒れずにいた。

 

それに思い起こせば大和の周りには風間ファミリーをはじめ魅了的な女性たちがいるのだ、少々のことで嫉妬していてはいけないと自分に言い聞かせる、自分は年上なのだからもっと余裕をたなければと……

 

 

しかし、その日以降、清楚は大和の周りがどうにも気になって仕方がなかった。

 

今までスキンシップと見逃してきた百代との絡みまでが妙に気になってしまう

 

もとから知人が多い大和だ、当然その中には女性も多く含まれている。何度も辰子とはどういう関係か聞こうとも思ったが聞こうとするたびに、口ごもってしまう

 

かといって人脈は力とする大和に人付き合いをやめてほしいとも言えず、清楚はもやもやした気持ちを抱え込むのだった。

 

(そうだよ……大和君が人気者なのはいいことじゃない)

 

そう自分に言い聞かせてきた清楚だったが、やはりそう簡単には割り切れず悩み続けるのだった。

 

 

☆☆☆

 

 

「清楚先輩の様子がおかしい?」

 

そしてそんなことが続いて数日が経つと清楚が何事かに悩んでいるらしいという話は恋人である大和のところにまで届いた。

 

 

「そうなんだ、なんだか最近何かに悩んでるみたいで」

 

モロが大和に昨日聞いた清楚の噂について報告する。

 

「うーん、そういえばここ数日あまり話してないな」

 

そう言われて大和はここ数日の清楚の様子を思い出すがそういえば朝に軽く挨拶を交わしたくらいの記憶しかなかった。

 

「そうなの? そんなに離れててもいいの?」

 

恋人と数日も離れている、それを疑問に感じたモロが思わずといった感じで訊ね返す。

 

「あー、うん。模擬戦後からずっと清楚先輩と覇王様につきっきりだったからね。清楚先輩にそんなに面倒見なくても大丈夫だよって言われてさ、会長選挙もあるし、久々に人脈の再構築をしてたんだ」

 

「相変わらずマメだねえ。で、それで先輩と離れてたの?」

 

「ああ、それにちょっとしたサプライズの準備もしてたしな」

 

「そうなんだ、じゃあ大和が葉桜先輩に会ってしまえば解決なのかな?」

 

「即座にとはいかないだろうけどそういうことなら会って話を聞いてみるよ、サンキューモロ」

 

「別にこれくらいはお安い御用だよ……(魍魎の宴で手に入れた情報だし)」

 

「ん? 悪い、聞こえなかった」

 

「なんでもないよ!いいから大和は葉桜先輩のところにいってあげなよ」

 

「そうか?悪いなこのカリは今度返すよ」

 

そう言って大和は清楚の元に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ……」

 

またしても花に水をやりながら清楚は文学少女らしからぬ溜息をついていた。

 

(やっぱり気にしないようにしても気になっちゃうよ……)

 

年上だから、わざとじゃないから、そんな理由で自分を抑えていた清楚だったが流石に限界が来ていた。

普通は激怒していいところなのだからそれも当然だろう

 

「あ、いたいた」

 

「ふぇっ! 大和君!?」

 

と、清楚が悩んでいるとまさにその原因ともいえる大和がやってきて思わず清楚は声をあげてしまう

 

「ごめん、驚かせちゃったかな?」

 

「あ、ううん気にしないで、私が勝手に驚いちゃっただけだから」

 

そう言って笑顔を作る清楚だったが大和はやはりその笑顔にぎこちなさを感じていた。

 

(確かにモロの言うとおり何かに悩んでいるのかな?)

 

気になった大和はとりあえずストレートに聞いてみることにした

 

「悩み事があるって聞いたけど大丈夫?俺でよければ力になるよ」

 

しかし清楚の悩みの原因はまさに大和なのであって

 

「な、何もないよ?心配してくれてありがとうね」

 

(そんな大和君にはみっともなくて言えないよ……)

 

素直に言えるわけがなかった。

 

しかし、清楚の返事に悩み事があると確信した大和は少し強引に聞くことにした。

 

「嘘ですね、悩み事があるなら言ってください」

 

ずい!っと身を乗り出しながら訪ねる

 

「ええ!?で、でも…これを言ったら大和君私のこと……」

 

「嫌いになったりしないし、幻滅したりもしない! 俺ってそんなに信用ないかな…」

 

「そんなことないよ!模擬戦でも助けてくれたし大和君は凄く頼りにしてるよ」

 

「なら言ってくれますよね?」

 

「うう……本当に?」

 

「本当に」

 

「じゃあ……言うね」

 

そう言って清楚は呼吸を整えると

 

「大和君は私がいるのに女の子とべたべたしすぎだよ!」

 

「え、でもそれは付き合いで友達として……」

 

「弁慶ちゃんに膝枕してたのに?」

 

「うっ……それは弁慶が酔って絡んできただけで」

 

「板垣辰子さんに抱き着かれてたみたいだけど?」

 

「うぐ、それは……」

 

「大和君はお友達に抱き着かれるのが普通なの?」

 

「でも、その時は寝てたわけだし不可抗力で……」

 

「でも抱き着かれたまま一緒に寝てたんだよね?」

 

もはや清楚は我慢してきた反動か、事情が理解できていてもそれが許せるかどうかとなると話は別らしい

 

理性では分かっているも感情は納得していない、ずっとずっと我慢してきた反動か清楚はこの後ずっと大和に愚痴をぶつけ続けた。

 

 

 

数時間後

 

「えーっとさ、俺も確かに悪かったし謝るけど、浮気心は一片たりともないよ」

 

そう言って土下座したまま頭を下げる、清楚から愚痴、もとい説教じみた問答を続けるうちに自然とそうなっていた。

 

自分が悪いので頭を下げ続けていた大和だが、そろそろ足にきていた。

 

「俺は清楚先輩一筋だから、ね?」

 

「私だって大和君一筋です」

 

唇を尖らせながらそう言い返す清楚。ぷくーと膨らんだ頬を見るに拗ねているのが丸わかりだった。

 

「えーっと、もう許してよ」

 

「ダーメ、まだ許しません」

 

そう言って清楚はぷいっとそっぽを向いてしまった。

 

完璧に拗ねてしまっていた。 が、そんな清楚を見て大和は思わず本音をこぼしてしまう

 

「……かわいいなぁ」

 

年上で文学少女の清楚が拗ねている姿は可愛くて仕方なかった。

 

「大和君?」

 

清楚が怒った顔を向けてくるがもうそんなに怒ってはいない、どうやら大和に愚痴をぶつけてすっきりしたようだ。が、どうやら矛の収めどころがわからなくなってただ怒っているぞとアピールしているようだった。

 

「えーと、じゃあ仲直りのために俺の話を聞いてくれる?」

 

そこで大和は切り札を切ることにした。

 

「実はここ数日動いてたのはこれの準備のためだったんだ」

 

そう言って大和はパンフレットらしきものを渡す。

 

「これは、旅行チケット?」

 

渡されたものを見て清楚がその正体に気づく

 

「うん、二人で旅行に行きたいと思ってね、用意してたんだ」

 

ここ数日大和は人脈の再構成だけでなく、下北沢君など女性関係のプロに話を聞いて回りながら旅行プランをたてていたのだった。

 

ただ、寝る間も惜しんで動いたせいか、河原で寝てしまい、結果辰子に抱き着かれてしまったのでマイナスに働いてしまった部分もあったが、旅行というサプライズが大和の切り札であった。

 

「ありがとう大和君、とっても嬉しいよ」

 

清楚が笑顔でお礼を言う

 

「これで許してくれるかな?」

 

そう問いかけてくる大和に対して清楚は……

 

「私のお願いを聞いてくれたらね?」

 

いたずらっぽい笑顔で答えた。

 

 

☆☆☆

 

 

「まさか、膝枕とは……」

 

ようやく清楚から許しを得た大和は清楚の自室にて膝枕をしていた。

 

先ほどまで土下座していて足はしびれていたが、清楚に可愛くお願いされてしまうと断れなかった。

 

「いい感じだね、弁慶ちゃんが膝枕にしていた気持ちがわかるなあ」

 

大和に膝枕されて清楚は気持ちよさそうに目を閉じていた。

 

「どれくらいしていればいいのかな?」

 

「弁慶ちゃんにしていた時間よりも、かな?」

 

どうやら清楚は大和がほかの女性にしていた、またはされていたことをすべて自分の体で上書きするつもりらしい

 

「この後は板垣辰子さんよりも長い間添い寝してもらうからね」

 

そう言ってほほ笑む清楚の笑顔を見て大和は……

 

「いただきます!」

 

「ってちょっと大和君!?」

 

我慢できずに抱きしめた

 




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