模擬戦が終わって一月が経ち世間は冬へと向かっていた。しかし、直江大和と葉桜清楚は今まさにこの世の春を迎えているのだった。
10月24日
「あの……清楚先輩?」
「なに?大和君?」
「なぜ俺は先輩に膝枕されているのでしょうか?」
「ふふ…」
「えーと、その……」
大和が訊ねても清楚は優しく微笑むばかりだった。
放課後、清楚に屋上に呼び出された大和はベンチに横になるよう指示され、言われた通りにしたところいつの間にか清楚に膝枕されており現在に至っていた。
「えーっと、なんで膝枕を?」
とりあえず状況を確認しようと清楚に問いかける大和、
「この間大和君にしてもらったでしょう?」
「あー……」
言われて思い出した、そういえばつい先日弁慶に膝枕していた件を含め清楚を嫉妬させてしまい、償いとして逆膝枕をしてあげたのだった。
「そういえばそんなこともありましたね」
「それで気が付いたんだけど私は大和君にひざまくらしてあげてないなって思って……」
「今実行していると……」
即断即決とは確かに清楚先輩は意思が強いけどこの行動パターンは……
「ふふ、こんなに急いでしてあげる必要はなかったんだけど項羽がどうしてもといって聞かないから…「おいぃ!それは内緒だと言ったではないか!」
「あ、覇王様」
にこやかに説明してくれていた清楚先輩に代わって覇王様が表に出ていた、今は慣れたものだが前は話し方が突然すっかり変わるものだから混乱したものだ。
「や、大和!今清楚が言ったことは忘れろ!いや、記憶から抹消しろ!」
「なんでですか?」
「どうしても何も……恥ずかしいではないか」
顔を真っ赤にして呟く覇王様、付き合いだしてからアレなことやソレなことまでしているというのに相変わらず純情というか初心だ……、しかしそんな普段とは真逆の姿に俺のS心がくすぐられる!!
「えー、でももう聞いてしまったわけですし、覇王様が!俺の為に!膝枕を!してくれてるんでしょう?」
「な、ななな……」
あえて強調して話してみると案の定覇王様は顔を真っ赤にして黙ってしまった。……カワイイ
よし!ではここからが本番だ!
「って、あっ!」
と、続けて言葉を発しようとしたところで先輩は引っ込んでしまった!動揺させれば引っ込めなかった筈なんだが……どうやら黙り込んでいたのは入れ替わる為に集中していたようだ…不覚!!
「もう項羽ってば、恥ずかしがり屋なんだから……」
「あ、先輩もう一回覇王様を呼んでもらえます?」
と、悔やんでいると清楚先輩がやれやれといった表情で現れた。ダメ元でお願いしてみるが答えはノー!、どうやら心の奥深くに閉じこもってしまったようだ。
「やれやれ、仕方ないか、ならーーうひゃあ!?」
ならば、膝枕を堪能しようと考えて閉じた目は、突然耳を襲ったくすぐったい感触によって再びこじ開けられた。
「あ、ごめんね?痛かった?」
慌てて顔をあげてみれば清楚が耳かきを片手に心配そうな顔をしていた、
「いや、大丈夫ですけど…なぜに耳かきを?
「そういえば耳かきもしてあげてないなって思って…大丈夫、義経ちゃんや弁慶ちゃんの耳かきはしたことあるから、自信はあるんだよ?」
「あ、いえそんな心配はしてないですけど……突然だったんで驚いちゃって……」
まさか、放課後に彼女に呼び出されたと思ったら膝枕された上に耳かきされるだなんて……予測不可だろう
「ふふ、確かに急だったね。でも項羽が膝枕してあげたいって言うから私は耳かきをしてあげようと思ったんだけど……ダメ?」
小首を傾げつつ訪ねてくる先輩、そんなに頼まれたら俺の答えは決まっている、
「よろしくお願いします…」
「じゃあ、じっとしててね」
こうして、大和は放課後を清楚に耳かきしてもらいながら二人で過ごすのだった。
「や、大和、反対側は俺がしてやろう!」
「覇王様!? いえ結構でーー」
「いいから、おとなしくしろ!(ブスッ!)」
「ぎゃああああああ!!」
こんな一幕もあったとかなかったとか